【2021】土地の生前贈与でかかる費用・名義変更手続きの方法は?

生前 贈与 土地 生前対策
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相続まで待たずに生前贈与によって土地を渡せば、渡したい相手に確実に渡せて早くから土地を活用してもらえるなど、さまざまなメリットがあります。

その一方で、土地の生前贈与では税金や費用がかかるなどデメリットもあるため、土地の生前贈与を検討する際には総合的な判断が必要です。

この記事では、生前贈与を活用して土地を渡すときにかかる税金や費用、必要な手続き、メリット・デメリットについて紹介します。

土地の生前贈与でかかる税金・費用

土地の生前贈与でかかる税金・費用

土地の生前贈与でかかる税金や費用としては、主に次の4つが挙げられます。

土地の生前贈与でかかる主な税金と費用
  • 贈与税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 専門家への支払報酬(専門家に手続きを依頼する場合)

贈与税

贈与税は、個人から財産をもらったときにかかり、贈与を受けた人にかかる税金です。

贈与税の計算方法には暦年課税方式と相続時精算課税方式の2種類がありますが、一般的に適用されるのは「暦年課税方式」で、1年間に110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかります。

贈与税の計算方法(暦年課税)
  • 贈与税の税額 = (1年間の贈与財産の総額 - 基礎控除額110万円) × 税率 - 控除額

贈与税の税率には一般税率と特例税率の2種類があり、祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子や孫などへの贈与に適用されるのが特例税率、それ以外の贈与に適用されるのが一般税率です。

特例税率のほうが一般税率よりも基本的に税率が低くなっているため、たとえば生前贈与によって土地を20歳以上の子や孫に渡す場合には、特例税率の対象になり税負担が軽くなります。

不動産取得税

不動産取得税は、その名のとおり土地や建物などの不動産を取得したときに課される税金です。

相続によって不動産を取得した場合など一定のケースを除いて、不動産を購入したり贈与したりした場合には、有償・無償の別を問わず不動産取得税がかかります。

不動産取得税の計算方法
  • 不動産取得税の税額 = 課税標準(固定資産税評価額) × 税率

税率は、原則として家屋(非居住)が4%、家屋(居住用)や土地が3%で、宅地などを取得した場合は土地の価格を1/2にした上で税額を計算できる特例制度があります。

登録免許税

登録免許税とは、土地や家屋の登記などを行う際に納付する税金です。

登録免許税の計算式
  • 登録免許税の税額 = 課税標準(固定資産税評価額) × 税率

登録免許税の税率はケースによって異なりますが、贈与で不動産を取得した場合の税率は2%です。

専門家への支払報酬

生前贈与によって土地を渡すときには、土地の登記や贈与税の申告が必要になり、自分で手続きをするのが難しければ、司法書士や税理士などの専門家に依頼することになります。

登記の手続きを司法書士に依頼する場合は6~8万円前後、贈与税の申告手続きを税理士に依頼する場合は贈与財産額の0.5%~1.0%が報酬額の目安です。

ただし、報酬額や報酬体系は士業事務所ごとに異なるので、実際に依頼する場合には依頼する事務所に個別に確認するようにしてください。

土地を生前贈与するときの手続きの流れ

土地を生前贈与するときの手続きの流れ

土地を贈与する場合、単に「土地をあなたにあげます」と伝えて終わりになるわけではありません。

生前贈与によって土地を子や孫、兄弟姉妹などに渡す場合には、次の手続きを行う必要があります。

土地を生前贈与するときの手続きの流れ
  1. 贈与契約書を作成する
  2. 土地の所有権移転登記を行う
  3. 贈与税の申告を行う

贈与契約書を作成する

贈与契約そのものは、贈与する人と贈与される人が合意すれば成立するため、贈与契約書の作成は義務ではありません。

しかし、口頭で確認しただけで契約書を残しておかないと、後々トラブルになる可能性が高くなるため、土地の生前贈与では贈与契約書を作成することが一般的です。

贈与契約書に決まった書式はありませんが、契約書としての体裁を成していないと意味がなくなるので、作成の仕方がよくわからない場合には司法書士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

土地の所有権移転登記を行う

土地が誰のものなのか、土地の所有者・名義人は登記簿に記録されて管理されています。

生前贈与によって土地の所有者が変わるのであれば、登記簿上の名義人を変更する手続きである登記が必要です。

不動産の登記の手続き先はその不動産がある地域の法務局で、一般的には窓口に必要書類を持参するか郵送して手続きを行います。

贈与税の申告を行う

土地は高額な資産であり、生前に贈与すると贈与額が基礎控除額110万円を超えることが多く、一般的には贈与税の納税義務が生じて申告が必要になります。

贈与税の申告の手続き先は、贈与を受けた人の住所地を管轄する税務署で、この後に解説するように、申告期限が決まっているため注意が必要です。

贈与税の申告方法

贈与税の申告方法

贈与税がかかる場合には、決められた期間内に税務署に対して申告手続きをする必要があります。

申告期限を過ぎると延滞税などの罰金を科されてしまうため、土地の生前贈与で贈与税の申告が必要な場合には、申告期限までに確実に手続きをするようにしてください。

申告期間:2月1日から3月15日

贈与税の申告期間は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までです。

申告先は贈与を受けた人の住所地を管轄する税務署で、窓口に書類を持参するか郵送、e-Taxによって申告手続きを行います。

贈与税の申告手続きで必要な書類

贈与税の申告で使う申告書は税務署に行けばもらえますが、以下のサイトからダウンロードすることもできます。

暦年課税のみを申告する場合には申告書の第一表に記入して提出します。

また、特例税率の適用を受ける場合で、贈与額が410万円を超えるときは、その人の氏名、生年月日、その人が贈与者の直系卑属(子や孫など)であることを証する書類の提出が必要です。

土地の生前贈与では贈与額が410万円を超えることが多いため、一般的には受贈者(贈与を受ける人)の戸籍の謄本または抄本を申告書とともに提出することになります。

なお、相続時精算課税制度や贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合は必要書類が異なるため、以下のサイトで確認するか税務署や税理士に確認するようにしてください。

土地の登記(名義変更)の手続き方法

土地の登記の手続き方法

土地を贈与されたら、土地の名義を贈与された人に変更する登記の手続きを行います。

登記の手続きに期限は特にありませんが、土地の所有者として登録するための大切な手続きなので、できる限り早く手続きを済ませることが大切です。

やり方がよくわからない場合や自分で手続きする時間が取れない場合は、登記の専門家である司法書士に依頼することになりますが、自分で登記を行う場合は次の流れで手続きを行います。

土地の登記の手続きの流れ
  1. 固定資産評価証明書などの必要書類を集める
  2. 登録免許税を計算して登記申請書を作成する
  3. 管轄の法務局に書類を提出する

固定資産評価証明書などの必要書類を集める

土地を生前贈与された場合の登記では、手続きの際に主に次の書類が必要になります。

土地の登記で必要な書類
  • 固定資産評価証明書
  • 不動産の権利書または登記識別情報
  • 登記申請書
  • 贈与した人の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
  • 贈与を受けた人の住民票
  • 贈与契約書(登記原因証明情報)
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

固定資産評価証明書や印鑑証明書、住民票は市区町村役場で発行でき、登記申請書の用紙は以下のサイトからダウンロードできます。

また、登記申請書を作成するために登記事項証明書が必要になるため、固定資産評価証明書に記載された家屋番号を使って法務局で発行申請を行ってください。

登録免許税を計算して登記申請書を作成する

登録免許税の計算方法はすでに紹介しましたが、固定資産税評価額に税率2%をかけた金額が登録免許税の税額になります。

固定資産評価証明書に記載された不動産の価格(固定資産税評価額)の千円未満の端数を切り捨てて、税率2%をかけた上で百円未満の端数を切り捨てた額が納税額です。

登記申請書には、登録免許税の税額をはじめとして、主に以下の内容を記載します。

登記申請書の記載事項
  • 登記の目的や原因、申請日
  • 土地を贈与した人と贈与を受けた人の住所や氏名(登記の権利者・義務者に関する情報)
  • 登記対象の土地の価格や登録免許税の税額
  • 所在地や地番、地目、地積(土地に関する情報)

管轄の法務局に書類を提出する

不動産の登記は全国どこの法務局でも手続きができるわけではなく、不動産の所在地を管轄する法務局で手続きを行います。

管轄の法務局がわからない場合は、こちらのサイトで調べた上で手続きを進めるようにしてください。

登記申請書などの手続き書類を提出すると、1週間から10日ほどして登記が完了します。

法務局の窓口で申請した場合はその場で登記完了予定日を教えてもらえるので、予定日以降に再度法務局に行って登記完了証や登記識別情報通知書を受け取りましょう。

なお、登記完了証や登記識別情報通知書は郵送してもらうこともできます。

土地を生前贈与するメリット

土地を生前贈与するメリット

土地を生前贈与するメリットとして、主に次のような点が挙げられます。

土地を生前贈与するメリット
  • 渡したい人に渡したいときに土地を贈与できる
  • 相続まで待たずに贈与すれば早くから土地を活用できる

渡したい人に渡したいときに土地を贈与できる

土地を相続によって家族に渡すこともできますが、生前贈与であれば渡したい人に渡したいときに土地を贈与できる点がメリットです。

遺言書を遺すなどして相続によって土地を渡す方法だと、自分が亡くなり相続が開始するまで待たなければなりません。

そして、相続トラブルになって裁判になった場合、裁判所が下した審判の内容によっては、故人が望む人ではない人に土地が渡る可能性もあります。

生前贈与であれば、渡したい人に確実に土地を渡すことができるため安心です。

また、土地を贈与するタイミングも自由に選べるので、たとえば高齢になって介護施設に入る際に住んでいた土地を子に贈与するなど、ご自身の状況にあわせて柔軟に対応することができます。

相続まで待たずに贈与すれば早くから土地を活用できる

相続まで待たずに土地を生前に贈与することで、贈与を受けた人が早くから土地を活用できる点が生前贈与のメリットの一つです。

たとえば、土地を贈与された人がその土地にアパートを建てて家賃収入を得る場合、少しでも早く贈与を受けてアパート経営を始めれば、その分だけ家賃収入が増えることになります。

土地を生前贈与するデメリット

土地を生前贈与するデメリット

土地を生前贈与するデメリットとして、主に次のような点が挙げられます。

土地を生前贈与するデメリット
  • 贈与税などの税金がかかる
  • 生前贈与が相続トラブルの原因になる場合がある
  • 生前贈与より相続のほうが節税になる場合がある

贈与税などの税金がかかる

土地を贈与された人はその土地を自分のものとして活用できますが、贈与を受ける際に贈与税や登録免許税、不動産取得税がかかります。

司法書士や税理士に手続きの代行を依頼する場合は、専門家への報酬の支払いも必要です。

生前贈与を受ける人が納税資金を自分で用意できる場合は問題ありませんが、そうでない場合は、納税資金に充てられるように土地だけでなく、現金も贈与するなど対策を講じる必要があります。

生前贈与が相続トラブルの原因になる場合がある

家族が亡くなって相続が起きると、遺産をどのように分けるのかを相続人の間で話し合う「遺産分割協議」を行います。

このとき、そもそも遺産分割協議の対象とする財産の範囲をどう考えるかが問題になることがあり、取扱いを巡って相続トラブルの原因になりやすいものの一つが生前贈与財産です。

たとえば、生前に土地の贈与を受けた人がいる場合、他の相続人からすると土地の生前贈与によって相続財産が減ったことになり、相続が起きたときの自分たちの取り分が減ったことになります。

そのため、土地の生前贈与を受けた人に対して他の相続人が不満を抱くことになり、生前贈与が相続トラブルの原因になることがあるのです。

このような相続トラブルが起きないようにするためには、土地を生前贈与する際に贈与される人以外の推定相続人(将来相続が起きたときに相続人になる人)にも配慮すると良いでしょう。

生前贈与より相続のほうが節税になる場合がある

贈与額が110万円を超えれば基本的に贈与税がかかりますが、相続税は少なくとも遺産額が3,600万円以下であればかかりません。

また、相続税には「小規模宅地等の特例」という特例制度があり、一定の要件を満たす土地を相続する場合には、土地の価格を最大8割減額してから相続税を計算できることになっています。

小規模宅地等の特例制度を使える人の要件は細かく決まっていますが、家族が居住用や事業用の土地を相続する場合は、特例制度による節税効果で相続税がかからないことも少なくありません。

一方で、生前に土地を贈与してしまうと贈与税がかかり、相続で取得するわけではなくなるため、小規模宅地等の特例が使えないことになります。

また、相続で土地を渡す場合は登録免許税の税率が0.4%と低く、贈与する場合と違って不動産取得税がかかりません。

生前贈与には、渡したい人に早く土地を渡せて活用してもらえるというメリットはありますが、節税だけを目的とするのであれば、必ずしも生前贈与が有利とはいえないため注意が必要です。

土地の贈与にかかる贈与税を安くする方法

土地の贈与にかかる贈与税を安くする方法

贈与税にはさまざまな特例制度があります。

土地の生前贈与にかかる贈与税を安くする主な方法としては、次の2つが挙げられます。

土地の贈与にかかる贈与税を安くする方法
  • 贈与税の配偶者控除
  • 相続時精算課税制度

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与すると、基礎控除110万円のほかに、最高2,000万円まで贈与税がかかりません。

贈与税の配偶者控除と呼ばれる制度で、控除額が最高2,000万円と節税効果が大きい特例制度です。

贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された居住用不動産または贈与された金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた人が住んでその後も引き続き住む見込みであることが条件です。

また、贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには贈与税の申告が必要なので、特例制度を利用する場合には忘れずに申告手続きを行ってください。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、生前に贈与する財産のうち2,500万円までは贈与税がかからず、2,500万円を超える部分の贈与には20%の税率で贈与税がかかる制度です。

2,500万円までは贈与税がかからないため、土地の生前贈与で相続時精算課税制度を使えば、贈与税を大きく節税することができます。

相続時精算課税制度を使える人の条件は細かく決まっていますが、主な条件を挙げると次のとおりです。

相続時精算課税制度を利用できる人の条件
  • 贈与をする人は60歳以上の父母または祖父母
  • 贈与される人は20歳以上の子または孫

ただし、この制度を使って生前に贈与した財産の価格は、贈与した人が亡くなって相続が開始したときに相続税の計算に含めなければなりません。

そのため、単に税金が課税されるタイミングを贈与時から相続開始時に先延ばしにしているだけで、結局は相続税という税金がかかることになって節税にはならない場合があります。

土地の生前贈与契約は取り消しができる?

土地の生前贈与契約は取り消しができる?

契約書を作成していない贈与契約の場合は、履行の終わった部分を除いて各当事者がいつでも契約を取り消すことができます。

そのため、土地の登記を行って実際に贈与を行う前であれば、各当事者の意向で契約の取り消しが可能です。

また、契約書を作成している贈与契約の場合は、契約の当事者双方が合意するのであれば解除することができます。

ただし、あくまでも契約の当事者双方が取り消しに合意する必要があるため、贈与する人または贈与される人どちらか一方だけの意向だけでは取り消しはできません。

土地の生前贈与では贈与契約書を作成するのが一般的であり、一方の当事者だけの意向だけでは贈与契約を取り消すことは基本的にできないことになります。

また、仮に両者が合意して贈与契約をなかったことにする場合でも、贈与税はかかる場合があるため注意が必要です。

まとめ

生前贈与によって土地を渡せば相続まで待たずに済み、贈与を受ける人が早くから土地を活用できるなどのメリットがあります。

土地の贈与では登記や贈与税の申告が必要になるため、法務局や税務署で忘れずに手続きを行ってください。

また、土地の贈与では贈与税や登録免許税、不動産取得税がかかり、司法書士や税理士に手続きの代行を依頼する場合には、専門家への報酬の支払いも必要です。

土地の生前贈与を行う場合には、納税や費用の支払いに充てる資金をどのように準備するのかについても、あらかじめ検討するようにしましょう。

生前贈与では土地の登記や税金に関する知識など、専門的な知識が必要になるので、よくわからない場合には司法書士や税理士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。

この記事を監修した専門家は、