相続について、生前対策等の準備をする際に、被相続人の家族関係を明らかにしておくことは非常に重要です。
長年一緒に暮らしている両親であれば、もちろん家族のことは分かっているかも知れませんが、離婚していたり、養子縁組に入っていたりすると、意外と自分の知らない親族がいる可能性があります。
親族関係は市町村が管理している戸籍を見ることで確認できますが、その写しである戸籍謄本は基本的には委任状がなければ本人でなければ取得できません。
しかし、一部の人間だけは、本人の委任状なしでも戸籍を取得することが可能です。
では、本人以外が取得する場合、その適用範囲はどうのようになっているのでしょうか?
委任状なしで、戸籍謄本を取得できる範囲
結論から述べると、委任状無しで戸籍を取得できるのは、
- 配偶者
- 直系尊属(ちょっけいそんぞく)
- 直系卑属(ちょっけいひぞく)
です。
配偶者という言葉は馴染みがあるかも知れませんが、直系尊属、直系卑属という言葉はあまり聞きなれませんかもしれません。
詳細をご説明します。
直系尊属
直系尊属とは、自分より前の世代(先に生まれた人たち)で、直通する系統の親族を指します。
つまり、これを読んでいるあなたの直系尊属は、あなたの母親、父親、祖母、祖父、曾祖母(そうそぼ)、曾祖父(そうそふ)とさらに、その上の親族へと繋がっていきます。
直系卑属
直系卑属とは、自分より後の世代(後に生まれた人たち)で、直通する系統の親族を指します。
つまり、これを読んでいるあなたの直系卑属は、あなたの子供、孫、ひ孫とさらに、その下の親族へと繋がっていきます。
- 自然血族
- 法定血族
があります。
法定血族とは、本来は血の繋がりがない人物でも、法律上は血族と認められるもので、養子などがこれにあたります。よって、養父母などは直系尊属に含まれ、養子は直系卑属に含まれます。叔父や叔母、兄弟姉妹、甥や、姪などは直系尊属、卑属に含まれません。
まとめ
話を戻すと、委任状無しで戸籍を取得できるのは、
- 配偶者
- 直系尊属
- 直系卑属
とご説明しました。
つまり、図にすると以下のようになります。
兄弟姉妹などは例え家族であっても、戸籍を取得することができないため要注意です。
なお、戸籍を取得したい本人から委任状を取得すれば、戸籍を代理で取得することも可能です。
上記を確認しても、分からない場合は、専門家(弁護士など)に依頼するのが良いでしょう。