相続の際には不動産や現金、貴金属の他にも、各種の権利やライセンスなども相続財産の対象となります。権利などの代表例として、電話加入権が挙げられます。
電話加入権と言うのはあまり聞きなれない言葉だとは思いますが、相続財産として評価のつく財産ですので、理解しておく必要があります。本稿では、相続財産として忘れがちな電話加入権について、解説します。
目次
1.電話加入権とは
電話加入権と聞いて何をイメージされますか?多くの方はイメージしづらいのではないかと思います。
電話加入権とは、設置固定電話の設置の際に、費用の一部を負担することで、電話の架設場所の移転、利用の休止などができる権利を指します。
これでもイメージが湧きづらいとは思いますが過去に「電話会社が設置費用の一部を顧客に負担させるために設けた権利」と覚えておくと良いでしょう。
固定電話=電話加入権が存在する、は間違い
電話加入権と聞くと「全ての電話回線を使う時に持っている権利」と思いがちですが、そうではありません。
ここで述べている電話加入権とはNTTの電話加入権のみを指します。
その他のネット回線を利用したIP電話、ひかり電話などの場合は、そもそも電話加入権を利用しなくても、電話番号を取得できるため、対象とはなりません。なので、まずはご自宅の固定電話の契約内容を確認し、評価の対象(=相続財産)になるかを確認しましょう。
尚、この確認は「電話番号」から分かるものでもないので、必ず電話会社に確認を取る必要があります。
2.電話加入権の相続税評価額は?
電話加入権は、その他の相続財産(土地、建物など)と同様に、相続税評価が存在します。
では、電話加入権の相続税評価額はどのようにして算出するのでしょうか?
電話加入権の評価額は国税庁の「財産評価 / 第7章 第7節 電話加入権」の通りに決定します。
第7節 電話加入権
161 電話加入権の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭41直資3-19改正)
(1) 取引相場のある電話加入権の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。
(2) (1)に掲げる電話加入権以外の電話加入権の価額は、売買実例価額等を基として、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額によって評価する。
つまり、評価の方法は2つのパターンがあると言っています。
- 取引相場のある電話加入権
これについては、相続発生時の取引価額に相当する金額によって評価されます。
- 取引相場のない電話加入権
これについては、「国税局長の定める標準価額によって評価」と記載されていますが、2017年からこの国税局長の定める標準価額(=相続税評価額)は、全国一律で1回線あたり1,500円となっています。
3.相続時における手続き
では、相続の際に電話加入権をどのように相続するのか、についてお話しさせて頂きます。
基本的には以下の流れによって、行われます。
- 必要書類をダウンロードし作成
- その他の必要書類の準備
- NTT加入権センターへ郵送
1.必要書類をダウンロードし作成
まずはNTTのサイトから必要な書類をダウンロードします
ダウンロードが完了したら、印刷をし、見本に沿って記入していきましょう。
2.その他の必要書類の準備
必要な書類は個人の場合と、法人の場合によって異なりますが、以下となります。
個人の場合
- 死亡の事実及び相続関係が確認できる書類(写し可)
- 戸籍全部事項証明書・戸籍個人事項証明書または遺言書
- 新契約者の印鑑 ※承継・改称届出書の印・押印欄の2ヶ所に押印が必要
法人の場合
- 承継関係が確認できる書類(写し可)
- 登記簿謄本、または履歴事項全部証明書
- 新契約者の印鑑 ※承継・改称届出書の印・押印欄の2ヶ所に押印が必要
※一般的な内容は上記の通りですが、それぞれの資料の細かな内容や注意事項は、こちらのNTTのサイトに掲載されているので、ご確認下さい。
3.NTT加入権センターへ郵送
必要書類の準備ができたら、NTT加入権センターへ郵送しましょう。
尚、郵送の宛先は、名義変更を行う回線の存在する都道府県によって異なるため、下記のサイトを参考にして下さい。
まとめ
電話加入権は、相続財産の中でも分かりづらい資産ですが、手続き自体は決して難しいものではないので、きちんと対応しておきましょう。
また、分からない事があればNTTに直接訪ねてみても良いかもしれません。