火葬中に関する疑問を解決!遺体は動くことがある?火葬中は食事をして過ごす?

火葬中 火葬式

「火葬中にご遺体が動き出す」「火葬中のご遺体の様子を見ることができる」など、火葬に関する俗説がいくつかありますが、これらにはきちんとした理由があります。

また、火葬の方法や時間、火葬の際に棺に入れられるものなど、火葬に関するルールやマナーもあるのです。

そこで今回は、火葬に関する俗説の解説とともに、ルールやマナーについて説明していきます。

火葬の概要

納骨

我が国日本におけるご遺体の埋葬方法は、宗教やその宗派、地域性によって異なるものの、現在は火葬を行うことが一般的です。

しかしながら、人生で家族・親類など火葬に立ち会う場面は実質数回ほどしかないことが多いため、火葬について詳しく知っている人は多くないでしょう。

そこで、まずは現在日本で行われている火葬方法の概要について説明します。

方法

火葬炉にはいくつかの種類があるものの、現在我が国で主流になっているものは「台車式」と呼ばれるものです。

炉底台車に乗せられた棺をチェーンコンベアによって火葬炉に送りこむためにそのように呼ばれており、高温のガスバーナーによってご遺体の焼却を行うようになっています。

 

また、現在運用されている火葬炉の多くは平成以降に新設されたものがほとんどです。

そのため、火葬中に排出される未燃焼ガスによる有害物質の発生を防ぐために再燃焼室が設けられており、有害物質の排出が極力抑えられていることが特徴的です。

 

なお、火葬場の室内は、火葬炉の直前の部屋(最後のお別れをする場)を「冷却室」、実際に火葬が行われる炉を「主燃焼炉」と呼んでおり、炉に設置された耐火扉を閉めるとバーナー点火スイッチが押せるようになります。

火葬炉側面には小窓が設けられており、火葬中の棺の様子をうかがうことができるようになっています。

炉の温度

現在日本で使用されている火葬炉の多くは平成に新設されたものがほとんどであり、主燃焼炉の温度は800度以上になるように設計されています。

800度にする根拠は、きれいに火葬することが可能な温度という理由もありますが、平成12年に厚生省から出された『火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針』によるところが大きいです(※)。

その影響もあって、多くの火葬炉では主燃焼炉に加え再燃焼室を設けて有害物質の発生を防いでいます。

 

なお、最近は800度以上(900度から1,200度)の火葬炉も増えていますが、火葬時間の短縮ができる反面、ご遺骨の形状がきれいに残らないといったデメリットもあります。

※ダイオキシンの有毒性に関しては諸説あります。

火葬時間

火葬時間は火葬場に設けられている火葬炉によって左右されますが、概ね70分(火葬60分+冷却10分)ほどとなっています。

また、一般的に体の大きいご遺体ほど燃焼時間が長くなる傾向がありますが、新しい火葬炉ほどそういったケースは当てはまらないようです。

 

ただ、脂肪の多いご遺体(特に女性)の場合、通常の温度で火葬を行うと炉の温度が脂肪によって上昇してしまうため、炉の故障防止やご遺骨の形状維持のために通常よりも低温での火葬が行われることがあります。

その結果、火葬時間が長くなる傾向にあります。

火葬中のご遺体の状態は見られる?

お葬式

火葬にまつわる都市伝説的な話として、「火葬中にご遺体が動く」ということを聞いたことはありませんか?

確かに、ごく稀に死亡確認をしたご遺体がその後蘇生してしまうようなケースはありますが、あくまでもレアケースなのでほぼほぼそういったことはありません。

また、火葬場の職員に頼めば火葬中のご遺体を見ることができるといった話や、現在は土葬が法律によって禁止されているなどの俗説もいくつかあります。

 

こういった火葬にまつわる俗説にはきちんと理由がありますが、場合によっては事実を曲解しているケースがあります。

ここでは、それら俗説について解説していきましょう。

見られるのは火葬技師だけ

現在日本で運用されている火葬炉の多くは炉内温度が800度になるように設計されており、炉内が800度になった時点でバーナーに着火されるようになっています。

一度点火されればその後燃焼完了まで全自動で進められると考えがちですが、実際には火葬中ご遺体の様子をうかがいながら、その都度ご遺体の向きを棒などによって変えるようになっているのです。

そのため、火葬炉には側面に火葬中のご遺体を確認できるようにに小窓が設けられています。

 

ただ、この作業を行えるのは火葬の技術者である「火葬技師」だけなので、ご遺族の方は見ることができません。

また、火葬技師にお願いすることで火葬中のご遺体の確認を確認できるように考えるかもしれませんが、万が一のトラブルの可能性も否定できないため、基本的には無理だと考えた方が良いでしょう。

遺体は動くことがある

人体の組成する主成分の一つは水であり、およそ70パーセント(成人で65パーセントほど、高齢者で55パーセントほど)だと言われています。

そのため、水分を多く含むご遺体を火葬すると、水分が蒸発することによって筋肉が縮み、火葬中に動き出してしまうのです。

 

この現象は「熱硬直」と呼ばれています。

火葬の際、ご遺体は前屈し両腕を曲げた格好になり、ボクサーのような姿勢になると言われています。

土葬は禁止されている?

結論からお伝えすると、土葬が禁止されているいうことは嘘です。

なぜなら、墓埋法(2条)によって土葬が認められているからです。

 

しかしながら、墓埋法10条では墓地の経営には都道府県知事認可が必要で条例が定めらています。

加えて、墓地や霊園は宗教法人などの管理者権限による自主ルールで土葬を受け入れない取り決めになっているため、実際には難しのです。

 

また、自らが所有する土地に土葬を行う場合も、各自治体で埋葬許可証を取得すれば可能になりますが、地域によっては禁止地区が設けられています。

特に、大都市圏の場合はほぼ無理だと考えたほうが良いでしょう。

ただし、キリスト系の墓地なら大都市圏でも土葬が可能です。

火葬から納骨までの手順

お祈り

葬儀が無事に終われば、いよいよ最後のお別れです。

ここでは、火葬から納骨までの手順について説明していきます。

手順①:火葬場まで移動する

葬儀が終わった後は、火葬場に霊柩車もしくはマイクロバスで移動します。

火葬場に到着した際は、受付などで火葬場のスタッフに「埋火葬許可証」を忘れずに提出するようにしましょう。

 

「埋火葬許可証」の確認が行われ火葬炉の準備が整えば、棺は霊柩車から火葬炉までストレッチャーによって移動されます。

また、火葬炉の前には祭壇が設置されているので、遺影や白木位牌などをそこに飾るようになっています。

埋火葬許可証とは

火葬の際には、「埋火葬許可証」を提出する必要があります。

埋火葬許可証は死亡届ともに発行される書類で、これがなければ火葬を行うことができません。

 

また、火葬終了後には埋火葬許可証に火葬済の証印が押され返却され、その後霊園などに納骨する際に必要になります。

紛失しないようにしましょう。

手順②:火葬前に最後のお別れをする

棺が火葬場に移動され準備が整えば、火葬前に最後のお別れを行います。

副葬品があればこの際に棺に入れるようにし、その後棺に蓋がされ小窓から最後のお別れを行います。

 

また、僧侶が同行しているのであれば、野辺送り(のべおくり)の読経とともに祭壇前で焼香をし、それらが一通り終われば実際に火葬が執り行われます。

なお、通例として火葬のボタンは喪主が押すことになっており、火葬炉の施錠した鍵も喪主が保管するようになっています。

手順③:火葬後は慣習に従い収骨する

火葬後は骨上げを行い、骨壷に収める儀式(拾骨・収骨)を執り行います。

骨上げでは、喪主から関係の深いに順に2人1組で行うようになっており、竹製と木製の箸をそれぞれ1本を1組として使用します。

なぜこのように骨上げを行うかは理由は定かではありませんが、この世からあの世への橋渡しという意味合いや、神道的なハレとケ(通常の逆を行うような行為)の概念が影響していると考えられます。

 

また、骨上げの際に「男女1組で行う」「男性は左、女性は右から行う」などのルールの他に、

  • 骨壷の中で立った姿になるように、足→頭蓋と上体に向かうように骨上げを行う
  • のど仏だけを拾って骨壺に納める

といったように、地域性による違いもあります。

 

いずれにせよ、骨上げは慣習に従うようになっています。

火葬場の職員などの指示に従うようにすると良いでしょう。

手順④:精進落としを行う場合は葬儀場へ戻る

仏教では、親族が亡くなると四十九日の忌明けまで肉や魚などを断ち、それまでは精進料理を食するのが一般的でした。

しかし、時代の流れの中で精進落としは、徐々に「初七日法要後」→「繰り上げ初七日法要」(葬儀とともに行われる法要)などに変化し、本来の肉や魚などを断つ意味から僧侶や親族をねぎらうための場へ変わってきています。

 

通常、精進落としは葬儀後の繰上げ初七日法要後に行うことになっていますが、地域によっては火葬中に行うケースなどもあります。

その場合、火葬場からいったん葬儀場へ戻る必要があります。

また、精進落としの際にはねぎらいの意味合いの他に、お清めとしてお酒が振る舞われることが一般的です。

喪主の挨拶後に、故人に捧げる意味合いで献杯を行うようになっています。

火葬中の過ごし方

火葬場

火葬が終わるのを待つ時間は、意外と長く感じます。

特に、火葬は葬儀後に執り行われるため、なおさら長く感じることでしょう。

そのため、火葬中の合間に失礼がないように、あらかじめどのように過ごすのがマナーなのか知っておくことが重要です。

目安の時間

最新の火葬炉であれば、およそ1時間ほどで終わると言われています。

ただ、

  • 火葬炉の設備
  • ご遺体の状況
  • 副葬品

などの状況によって火葬時間は異なるため、1時間から2時間半ほどかかると考えた方が良いでしょう。

 

このうち、ご遺体の状況に関しては性別(女性の方が脂肪が多いため時間が掛かる)や年齢などが影響し、副葬品なども火葬時間の長さに影響します。

特に、結婚指輪などをしているご遺体の場合、そもそも燃焼されず冷却する時間が必要になるため、比較的長くなる傾向があります。

控え室で過ごす

葬儀の参列者は、火葬中は控室で待つことになります。

火葬場に併設された場所であるため遠くまで移動する必要はなく、お手洗いや喫煙スペースなども設けられていることが一般的です。

 

また、火葬が終了すると館内放送でお骨上げを行うことが放送されます。

そのタイミングで再び火葬炉の前に移動することとなります。

軽い食事やお菓子を食べて過ごす

火葬中は、控室において参列者に対して軽い食事やお菓子が振る舞われることもあります。

お菓子やお茶などは、火葬場のスタッフが用意しれくれます。

そのため、ご遺族が慌ただしくする必要はないため、親族と故人との思い出を語らうと良いでしょう。

 

また、地域によっては火葬中に精進落としを行い、その際に料理とともにお酒が提供されます。

あまりにたくさん飲んでしまいその後の骨上げにも影響すると良くないため、たしなむ程度にしておく方が無難です。

火葬の際に棺の中に入れて良いもの

棺桶

最後のお別れの際には、棺の中に故人が大事にしていたものや別れを惜しむための品といった副葬品を入れることができます。

しかし、土葬とは異なり火葬をするとなると、棺の中に入れてると火葬場のスタッフに断られることがあります。

では、火葬をする際に副葬品として棺の中に入れることができるものはどのようなものがあるのでしょうか?

入れて良いもの①:手紙や寄せ書き

故人に対して別れを惜しむ副葬品として一般的なものが手紙や寄せ書きです。

紙なので火葬に影響を与える心配がなく、思いが伝わる品なので棺の中に入れる副葬品としておすすめできます。

 

あくまでも気持ちが大事なので特にルール等はありませんが、最後のお別れなので伝えきれなかった思いを綴ると自分の心残りもなくすことができるかも知れません。

また、寄せ書きに関しては、友人・知人が副葬品として棺に入れると思いますが、ご遺族の許可を得た上で入れることがマナーです。

入れて良いもの②:故人やペットの写真

火葬の際に棺の中に入れる副葬品として選ばれるものとして、故人やペットの写真なども代表的です。

旅行の際の写真や元気なころの笑顔の写真は、故人自身が懐かしむための副葬品になるため供養にもなるでしょう。

 

また、すでに亡くなられた故人の写真なども問題なく火葬の際に棺の中に入れることができます。

ご夫婦で故人のパートナーが先に旅立たれているのであれば、棺の中に写真を入れてあげるとあの世で会った際の姿を想像できるので、残されたご遺族の気持ちもいくぶん軽くなります。

ペットとの写真は縁起が悪いとされないため生死を問わず入れることができますので、かわいがっていたペットがいるのであれば、れてあげると良いでしょう。

 

加えて、車やバイクなど大きいものは副葬品として入れることは叶いませんが、写真であれば可能です。

故人の趣味などに合わせて写真を用意してあげることも一つの方法です。

入れて良いもの③:手帳

普段から手帳などを愛用していたのであれば、火葬の際に副葬品として棺の中に入れてあげることも供養になります。

ただし、革やビニールといった素材のものは断られる場合もあるため、紙でできている手帳にした方が良いでしょう。

 

また、日記なども可能ですが、10年日記など分厚いものは燃えにくいため断られる場合があります。

どうしても副葬品として棺に入れたい場合は、あらかじめ葬儀社のスタッフに確認しておくことをおすすめします。

入れて良いもの④:故人が身につけていた洋服や着物

火葬の際に棺の中に入れる副葬品として、故人が生前に着ていた洋服や着物などもおすすめすることができます。

ただし、棺の中に複数枚入れることは断られるケースが多いので、薄手でかさばらないものが推奨されます。

また、素材に関しても綿や絹、麻などといった燃えやすい素材は問題ありませんが、化学繊維のものは断られる場合があります。

火葬の際に棺の中に入れてはいけないもの

STOP

火葬の際に棺の中に入れられる副葬品は基本的に燃えやすいものとなっています。

そのため、燃えにくい素材などは入れることができません。

例えば、次のような素材は副葬品として断られる可能性があります。

  • 金属製品
  • ガラス製品
  • ビニール製品
  • 発泡スチロール類

また、副葬品として断られる具体的なものとしては以下のものが挙げられます。

入れてはいけないもの①:メガネや入れ歯

火葬の際に棺の中に入れる副葬品は、故人が普段身につけていたものなどが選ばれます。

しかし、入れ歯やメガネは金属やガラス類に含まれ、燃えにくい素材なので断られます。

また、腕時計、指輪などの貴金属類も同様で、結婚指輪もNGとなっています。

 

人生最後のセレモニーなので少々寂しく感じるかも知れませんね。

ただ、故人が普段身につけていたものであるのならば、むしろ火葬後に骨壷に入れてあげる方が良いでしょう。

なお、火葬中に破裂するおそれがあるため、ペースメーカーが体内にある場合は、事前に火葬場のスタッフに申告しておく必要があります。

入れてはいけないもの②:現金

古くから副葬品として知られている冥銭(いわゆる三途の川の渡し賃)などは、火葬の際に棺の中に入れることができません。

硬貨はもちろんのこと、紙幣を含めた現金は燃やすことが法律で禁止されています。

入れてはいけないもの③:分厚い本や折り鶴

副葬品は燃えやすいものが推奨されるため、本などは大丈夫なように感じるかもしれません。

しかし、火葬の際に棺の中に入れなれない場合があるため注意が必要です。

 

特に、分厚い本やハードカバーの書籍は意外と燃えにくいため、断られる可能性があります。

場合によっては火葬することができる可能性もあるので、あらかじめ葬儀社のスタッフに聞いておくと良いでしょう。

入れてはいけないもの④:生きている人の写真

写真は火葬の際に棺の中に入れる副葬品として推奨されていますが、生きている人の写真は避けた方が無難です。

なぜなら、生きている人の写真は不燃物でないものの、友引に葬儀を避けるのと同様に、故人とともにあの世に連れていかれるという迷信があり縁起が悪いからです。

 

ご遺族に相談した場合、生きている人の写真を入れても構いません。

ただ、友人や知人などが写っており、同意が得られていない場合はNGです。

まとめ

火葬中にご遺体の様子を見ることができるのかなどの俗説に加え、昨今の火葬事情について解説してきました。

今回お伝えしたことの要点をまとめると次のとおりです。

  • 火葬炉は台車式が主流で炉内温度は800度以上
  • 火葬中にご遺体の様子を見ることができるのは火葬技師だけ
  • 火葬の流れは「火葬場到着」→「最後のお別れ」→「火葬」→「収骨の順」でトータル1時間~2時間半
  • 火葬が終わるまでは参列者は控室で軽食などをして過ごす
  • 火葬の副葬品として中に入れられるものは燃えやすいもの

また、気になることがある場合は、葬儀社のスタッフにあらかじめ聞いておくと良いですよ。

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