【2021】樹木葬の種類・埋葬方法は?メリット&デメリットと選び方

樹木葬 お墓

少子高齢化やライフスタイルの変化などに伴い、お墓の承継者不足が深刻な問題となった近年、新しい供養の方法として「樹木葬」が注目されるようになりました。

自然葬の一つである樹木葬は、お墓にまつわる問題の解決策としてメリットが多い一方、思わぬデメリットで悩むケースも少なくありません。

そこで今回は、樹木葬の具体的な供養方法や費用・メリット・デメリットと共に、樹木葬を選ぶ際のポイントについて解説します。

樹木葬とは

樹木葬とは、故人の遺骨を樹木の根元に埋葬し、自然に還るように供養する自然葬の一つです。

樹木葬が許可されている墓地・霊園の一画に遺骨を埋葬した後、その上に樹木を植えて供養します。

 

日本で初めて樹木葬を行ったのは、岩手県にある永倉山知勝院です。

埋葬してある遺骨のそばに低木を植えていき、里山のように緑化する形式でした。

 

現在の樹木葬は、墓石の代わりにシンボルツリーを植え、その周りや根元に遺骨を埋葬するのが一般的です。

さらに、公園のように整地されたガーデニング風の樹木葬なども行われるようになり、選択肢の幅も広がってきました。

まだ日本での歴史が浅い樹木葬ですが、新たな供養方法として多くの人に受け入れられています。

樹木葬の種類

霊園の参道

樹木葬には、主に「霊園タイプ」と「里山タイプ」の2種類があります。

どちらを選ぶかによって、最終的な景観や供養方法が変わります。

では、それぞれにどのような特徴があるのか、霊園タイプと里山タイプの特徴を紹介しましょう。

霊園タイプ

霊園タイプの樹木葬は、一言で例えるなら「整備された公園風」です。

一般的なお墓と同じように区画整理されており、希望者がその区画を申し込んで遺骨を埋葬します。

低木のシンボルツリーを区画に植えたり、周囲を季節の草花で満たした墓地・霊園は、よく手入れされており庭園のような雰囲気です。

さらに、公園タイプの樹木葬は、一見すると墓地・霊園には見えないことから都心部にあることも多く、お墓参りに行きやすいというメリットで人気があります。

墓地・霊園ごとに趣向を凝らし、和風・ガーデニング風などさまざまなデザインがあるため、自分や遺族の好みに合わせて選べることも特徴です。

里山タイプ

里山タイプの樹木葬は、できるだけ自然回帰に近い形で埋葬することを目的とした供養方法です。

そのため、霊園タイプに比べると墓地の区画整地も最小限で、最終的に樹木の力があふれるように埋葬します。

里山タイプの樹木葬は自然な森に埋葬するような形式なので、どうしても広大な土地が必要です。

したがって、都心部から離れた場所に霊園を構えることがほとんどで、一般的なお墓参りのように通うことは難しいでしょう。

しかし、「故人の魂を自然に還す」という考えは輪廻転生にも通じるため、里山タイプの埋葬を希望する人も少なくありません。

里山タイプの樹木葬ができる墓地・霊園は、その性質上あまり数多くありませんので、事前によく調べてから申し込みましょう。

樹木葬の埋葬方法

樹木葬には、墓地・霊園のタイプ以外にも、埋葬方法に違いがあります。

どのような方法で埋葬するかによって、供養を続ける遺族にメリット・デメリットが発生するため、事前によく確認することが大切です。

ここでは、樹木葬の埋葬方法を種類別に解説しますので、実際に検討する際の参考にしてください。

樹木葬の埋葬方法
  • 個別埋葬
  • 共同埋葬
  • 合祀埋葬

個別埋葬

個別埋葬とは、故人の遺骨を骨壷や骨袋に納骨し、それぞれの区画へ個別に埋葬する方法です。

モニュメントとなる樹木は一つですが、埋葬されている区画に小さな墓標などが建てられますので、一般的なお墓と同じようにお墓参りができます。

さらに、もし何かしらの事情で遺族が遺骨を引き上げたい場合も、他家と混じらないため悩む必要がありません。

区画が決められているぶん少し費用は掛かりますが、お墓の改葬や分骨の可能性がある場合には、個別埋葬の樹木葬がおすすめです。

共同埋葬

共同埋葬とは、一つのモニュメントに大きなカロート(納骨する部屋)がついており、他家の遺骨と一緒に埋葬される方法です。

カロート部分は一緒ですが、収められる遺骨は独立したままなので、他家の遺骨と混じる心配はありません。

さらに、個別区画がないぶん費用が掛からないため、「金額面が不安だけれど、後々遺骨を取り出せるようにしたい」と考えている人にはおすすめの埋葬方法です。

合祀埋葬

合祀埋葬とは、遺骨を骨壷や骨袋に納めず、他家の遺骨と一緒に一つのスペースへ埋葬する方法です。

遺骨を合わせて一緒に祀ることから「合祀(ごうし)」と呼ばれており、樹木葬の中では一番費用が掛かりません。

ただし、合祀埋葬は他家の遺骨と完全に混じってしまうため、後から遺骨を取り出して埋葬し直すことは不可能です。

したがって、樹木葬で合同埋葬による供養を検討する場合には、「二度と遺骨を取り出せない」「個別にお参りできない」という点を十分理解し、周囲の人も納得した上で申し込みましょう。

樹木葬の費用相場

電卓とお金

樹木葬の費用相場は、全体的に見ると30万円〜70万円と大変幅広いため、「なぜこんなに相場の開きがあるの?」と疑問に思う人も多いことでしょう。

実は、樹木葬は埋葬方法によって金額が変わるため、全体的な費用相場で見るとどうしても金額に幅が出てしまうのです。

例えば、一番費用が掛からない合祀埋葬による樹木葬の場合、10万円〜20万円ほどで供養できます。

遺骨を個別に骨壷に納め、一つのスペースに埋葬する共同埋葬の場合は、遺骨が混じらないよう管理しなければならないため、費用相場は30万円〜50万円です。

個別埋葬による樹木葬になると、モニュメントとなる樹木も納骨するカロートもすべて独立していますから、70万円〜100万円ほどの費用を用意しなければなりません。

つまり、樹木葬は一般的なお墓と比較すれば費用や安いものの、埋葬方法によってはそれなりの金額が必要なのです。

費用の安さで樹木葬を検討している人は、埋葬方法まで理解した上で費用を確認してください。

樹木葬のメリット

樹木葬による供養は、一般的なお墓を持つことが難しい人にとって、魅力的なメリットがあります。

ここでは、樹木葬で得られる3つのメリットを紹介しましょう。

メリット
  • 費用が安い
  • 承継者の問題がない
  • 寺院の檀家にならなくて良い

メリット①:費用が安い

墓石を建てて供養する一般的なお墓の場合、一つのお墓を建てるために掛かる費用は全国平均で約200万円です。

地域によってはそれ以上掛かることもあるため、費用の面で悩む人も少なくありません。

樹木葬の場合、合祀埋葬で約10万円〜20万円、個別埋葬でも約70万円〜100万円が平均費用ですから、一般的なお墓よりも安くできるというメリットがあります。

さらに、樹木葬は永代供養にあたるため管理費が掛からない墓地・霊園も多く、継続した費用が掛からないことも魅力です。

メリット②:承継者の問題がない

樹木葬では、埋葬した遺骨を一定の期間供養した後、最後の弔い上げまで行ってもらえます。

つまり、故人の法要まで墓地・霊園が請け負うため、承継者がいなくても問題ありません。

近年樹木葬が注目されるようになった理由の一つに、「承継者がおらず、お墓が放置されている」といった「無縁仏問題」が挙げられています。

本来弔い上げまで行うべき承継者がいなければ、お墓に納められた遺骨はそのままになってしまうのです。

「独り身でお墓を守る人がいない」「承継者がおらずお墓を建てることができない」などの問題を抱える人にとって、承継者を必要としない樹木葬は大きなメリットと言えるでしょう。

メリット③:寺院の檀家にならなくて良い

樹木葬は「遺骨を埋葬する供養方法」なので、法律で定められた場所に埋葬しなければなりません。

埋葬ができるのは墓地・霊園ですが、管理する団体は主に「公営墓地」「民営墓地」「寺院墓地」に分かれています。

樹木葬は無宗教の供養方法なので、基本的にはどこの寺院の檀家にもならなくて大丈夫です。

これは「寺院墓地」も同様で、樹木葬を受け入れている寺院墓地でも「一代限りの檀家」「宗教・宗派を問わない」というところが少なくありません。

申し込みたい樹木葬の墓地が「寺院墓地」の場合、「入檀しなくてはいけないのでは」と不安になる人も多いですが、樹木葬においては入檀を問わないというのは嬉しいメリットです。

その一方で、寺院によっては樹木葬の契約条件に「入檀」を挙げているところもありますので、検討する際には事前によく確認すると良いでしょう。

樹木葬のデメリット

深い森

魅力的なメリットのある樹木葬ですが、気をつけて契約しないと思わぬデメリットで困ることがあります。

では、具体的にどのような点が問題となるのか、樹木葬のデメリット3つを紹介しましょう。

デメリット
  • 個別埋葬だと費用が高くなる
  • 埋葬人数に制限がある
  • 後から遺骨を取り出せない可能性がある

デメリット①:個別埋葬だと費用が高くなる

樹木葬のメリットの一つに費用の安さが挙げていますが、樹木葬を個別埋葬で行うと、思ったよりも費用が高くなる可能性があります。

個別埋葬の場合は、供養の形式がほぼ墓石のお墓を建てる場合と変わらないため、申し込みの前に詳しく調べておかないと思わぬ出費になりかねません。

樹木葬であっても、個別埋葬だと費用が高くなることを念頭に置いておき、埋葬方法と費用をよく理解してから申し込みましょう。

デメリット②:埋葬人数に制限がある

樹木葬には、「夫婦2人だけ」「家族6人用」といった埋葬人数の制限があり、契約した人数を満たした場合はそれ以上入ることができません。

これは、樹木葬が永代供養であることと関係しており、最後の人が埋葬された後定められた契約期間内は法要し、最後の人を弔い上げしたら終了という形式を取るためです。

したがって、継承されていく一般のお墓のように、後から遺骨を納めることはできません。

埋葬人数を設けず、代々受け継ぐ形で供養したいと考えている人は、埋葬人数の制限がデメリットになることを理解しておきましょう。

デメリット③:後から遺骨を取り出せない可能性がある

樹木葬は、埋葬方法によっては後から遺骨を取り出せない可能性があります。

例えば、遺骨を骨壷に納めて個別に管理していれば、遺骨はそのままなので、取り出しても問題ありません。

しかし、遺骨を最初から他家と一緒に埋葬したり、個別埋葬であっても直接土に触れる形式だったりした場合は、遺骨が土に還ってしまい物理的に取り出せなくなるのです。

樹木葬による供養を検討する際、もし少しでも遺骨を取り出す可能性があるのであれば、事前に埋葬方法をよく確認してデメリットを回避しましょう。

樹木葬の選ぶ際の確認ポイント

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より自分に合った樹木葬を選ぶためには、事前に確認するべきポイントがあります。

では、具体的にどのような事をチェックしておけば良いのか、樹木葬の確認ポイントを紹介しましょう。

樹木葬の選ぶ際の確認ポイント
  • 埋葬方法
  • 年間を通した景観
  • 埋葬できる人数
  • 管理料の有無
  • 墓地・霊園までのアクセス方法

埋葬方法

先にお伝えしたように、樹木葬には「個別埋葬」「共同埋葬」「合祀埋葬」という3つの埋葬方法があり、どれを選ぶかによって費用や遺骨管理の形式が変わります。

さらに、遺骨の管理方法によっては後から取り出せないかもしれません。

埋葬方法の違いでメリット・デメリットも変わってきますので、必ず長期的な目で見極め判断しましょう。

年間を通した景観

樹木葬と聞いたとき、パンフレットなどを見て綺麗な空間をイメージし、「いつ訪れても自然にあふれている」と考える人も多いことでしょう。

しかし、樹木葬は自然に近い状態で埋葬する供養方法なので、当然季節によって墓地・霊園の景観も変わります。

例えば、下見に訪れた季節が春でそのときの景観が良く契約をしたとしても、秋から冬に掛けて寂しい雰囲気を感じてしまい残念に思ったり後悔したりする人も少なくありません。

後悔することを避けるために、樹木葬を選ぶ際には、必ず年間を通した景観も確認しておきましょう。

埋葬できる人数

樹木葬は永代供養で、継承される形式のお墓ではないので、埋葬できる人数はあらかじめ決まっています。

そのため、最初から夫婦2人だけのつもりなら2人、両親と子供2人なら4人というように、埋葬できる人数をよく確認してから契約しましょう。

管理料の有無

樹木葬の場合は、最初の契約時に管理料をまとめて支払うケースがほとんどです。

しかし、墓地・霊園によっては毎月の管理料が必要な場合もあり、説明を受けなければ管理料の有無ははっきりしません。

樹木葬を検討する際は、パンフレットだけではなく管理指定る墓地・霊園の説明を受け、管理料について確認しましょう。

墓地・霊園までのアクセス方法

樹木葬で埋葬された場合も、残された遺族がお参りに訪れることと思います。

その際に、もし墓地・霊園までのアクセスが悪ければ、なかなか足繁く通うことができません。

特に、高齢者の場合は、駅から遠かったり車でしか行けない墓地・霊園にしてしまうと、年に数回のお参りすら難しくなります。

樹木葬で墓地・霊園を選ぶ時は、アクセス方法までよく調べてから検討しましょう。

樹木葬でよくある疑問点

遺産放棄とは

社会的に広く認知されてきた樹木葬ですが、身近に感じ始めたからこそ疑問を持つ人も多くいます。

ここでは、樹木葬でよくある疑問点を紹介し、それぞれにお答えしましょう。

よくある疑問点
  • 樹木葬は散骨なの?
  • 樹木葬ならペットと一緒のお墓に入れる?
  • 樹木葬でも改葬できる?
  • トラブルは起こらない?

疑問①:樹木葬は散骨なの?

樹木葬も散骨も自然葬ですが、樹木葬は遺骨を土に埋葬するため、散骨ではありません。

散骨とは、遺骨をパウダー状になるまで粉砕し、それを許可された場所に撒いて自然に還す供養方法です。

これに対し、樹木葬は法律で定められた墓地・霊園に埋葬します。

樹木葬と散骨はまったく違うものなので、混同しないように気をつけてください。

疑問②:樹木葬ならペットと一緒のお墓に入れる?

樹木葬は比較的自由なので、ペットと一緒に埋葬してもらえる墓地・霊園もあります。

ただし、これは各墓地・霊園によって異なるため、樹木葬だからといって必ずペットと一緒のお墓に入れるわけではありません。

ペットと同じ場所で埋葬されることを希望する場合は、樹木葬を検討するときにペット埋葬も許可している墓地・霊園を選びましょう。

疑問③:樹木葬でも改葬できる?

改葬を行うためには、埋葬された遺骨を取り出さなければなりません。

遺骨が骨壷に納められ、個別埋葬による樹木葬をされているなら、遺骨を取り出して改葬することは可能です。

しかし、遺骨を直接土に触れるよう埋葬していたり、合祀埋葬で他家の遺骨と混じってしまっている場合は取り出せません。

疑問④:トラブルは起こらない?

残念ながら、樹木葬を選ぶ際によく理解をしておらず、トラブルになったというケースはあります。

「パンフレットのイメージ写真と景観が違う」「安いからお願いしたのに管理費が掛かる」「納骨したい人が増えたのに人数制限で断られた」といった事例がよく聞かれますが、これらのトラブルは契約前の事前調査や説明を受ければ回避可能です。

トラブルを起こさないためにも、樹木葬のデメリットをきちんと把握した上でよく吟味し、疑問点を墓地・霊園に尋ねながら選ぶようにしましょう。

まとめ

霊園の桜並木

樹木葬は、少子高齢化やライフスタイルの変化で注目され始めた新しい形の供養方法です。

しかし、樹木葬のメリットばかりを気にして墓地・霊園を選んでしまうと、思わぬトラブルで不満を持つ可能性があります。

樹木葬による供養を検討する時には、メリットとデメリットをよく比較して吟味し、長期的な視点を持って判断するようにしましょう。

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