【2024】死亡診断書とは?死体検案書・死亡届との違い、発行の料金相場、主な提出先

死亡診断書一般知識・マナー

家族が亡くなった際の対応で、一番最初に取り掛かる死亡診断書の作成は、書類の作成を間違ってしまうとその後の手続きに大きな支障をきたします。

そこで、ここでは死亡診断書の作成方法を説明しながら「必要な場面」「交付方法」「必要な料金」などについて解説します。

死亡診断書の原本を実際に見たことがある方は少数です。

実際に記入する状況で慌てないためにも、記載内容や記載方法を確認しておきましょう。

死亡診断書とは

医師が作成する書類

死亡診断書とは、人の死亡を医学的に証明する書類です。

この書類を作成することができるのは医師や歯科医師のみで、この書類がなければ実際に亡くなっている方であっても火葬や埋葬を行うことはできません。

課税や年金なども継続されるため、法律的にも欠かすことができない書類です。

なお、死亡診断書は死因統計を作成するための貴重な資料として、死因や死亡に至るまでの詳細な内容を医師が記入することが定められています。

死体検案書との違い

死亡診断書は医師の医療管理下で亡くなった方に交付される書類ですが、次のような状況で亡くなった方には医師の検案後、死因に不審な点がないと判断された場合「死体検案書」が交付されます。

死体検案書が交付されるケース
  • 故人が医師の診断を受けずに亡くなった場合
  • 故人が医師の診断を受けていたが死因不明の場合
  • 故人が発病もしくは死亡時の状況に異常が認められる場合
  • 故人が医師の診療中の病気もしくはケガと異なる死因で死亡した場合
  • 「溺死」「焼死」「自殺」「他殺」「転落死」「事故死」などの場合

なお、医師は交付する書類が死亡診断書であっても死体検案書であっても、故人の死亡原因に不審な点があると判断した場合、所轄の警察署に届け出る義務があります。

その際には捜査機関による検視などの結果を踏まえ、遺体は監察医の死体検案書が交付されます。

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死亡診断書が必要な場面

年金手帳を持つ男性

死亡診断書は死亡を証明する書類ですが、この書類はどのような場面で必要で必要になるのでしょうか?

ここでは、死亡診断書を必要とする手続きについて解説します。

死亡届手続き

亡くなった方を火葬して埋葬するためには「死亡届」を提出しなければなりませんが、この死亡届には死亡診断書が必ず必要になります。

なお、死亡届の用紙は死亡診断書(死体検案書)と一対になっています。

記入漏れや記載ミスがないのか、受け取った際には必ず確認しましょう。

それ以外の手続き

死亡診断書は、次の手続きにも必ず必要です。

ここでは、提出期限と提出先も合わせて紹介します。

死亡診断書が必要となる手続き

各種手続きの詳細やその他の手続きについては、「死亡診断書提出後の手続き」の中で解説していますので、そちらをご覧ください。

死亡診断書はあらかじめコピーを取っておく

死亡診断書は死亡届とともに提出するため、手元に残ることはありません。

また、死亡診断書を提出先から返してもらうことはできないため、あらかじめ複数のコピーを取って各種手続きに備える必要があります。

 

なお、死亡診断書は先ほどお伝えした手続き以外にも、故人の携帯電話の解約にも必要です。

手続きの大半は死亡診断書のコピーでも良いとされていますが、原本が必要な場合は医療機関に手数料を支払い再発行することも可能です。

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【状況別】死亡診断書の交付方法

白衣を着た男性医師

遺族は故人がなくなったことを証明するため、できるだけ早く医師から死亡診断書を交付してもらいたいと考えるものです。

ここでは、死亡診断書の交付方法を故人がなくなった状況ごとに解説します。

故人が病院で亡くなった場合

故人が療養中の病院で亡くなった場合は、担当医師から速やかに死亡診断書を交付してもらえます。

故人が自宅で亡くなった場合

自宅で亡くなった場合では、故人が診療を受けているのか否かで交付手続きが異なります。

病院で診療を受けていた場合

故人が病院で診療を受けており、その診療を受けている傷病が原因で死亡したことが判明すれば、担当医師は速やかに死亡診断書を交付します。

病院で診察を受けていない場合

数時間前まで元気だったのに今朝になったら死亡していたようなケースでは、故人は病院での診察を受けていない状態で亡くなったため、遺体の検体を行います。

この場合に交付されるのは、死亡診断書ではなく死体検案書です。

他にも、生前に治療を受けていた傷病以外の原因で亡くなったと判断された場合や、死亡時の状況に何らかの異常が見られた場合も死体検案書が交付されます。

診察から24時間以内に亡くなった場合

生前における最終診断後24時間以内の死亡は、生前に診察を受けていた傷病に関連する死亡と判断できるものあれば、死亡後の診察を受けることなく死亡診断書が交付されます。

状況④:診察から24時間以降に亡くなった場合

診察から24時間以上経過した後に故人が亡くなった場合でも、担当医師が「死後診察」を行い事件性がなければ死亡診断書を交付してもらえます。

状況⑤:事故で亡くなった場合

事故に遭い病院に搬送されて亡くなった場合は、病院で亡くなった場合と同じく速やかに死亡診断書が交付されます。

なお、「即死」「自殺」「不自然な死」の場合は警察の指定医による検案を行い、担当した医師が死体検案書を交付します。

状況⑥:旅先・海外で亡くなった場合

自宅から遠く離れた旅先で亡くなった場合は、現地の医師に死亡検案書を交付してもらいますが、事件性が疑われる場合は警察機関による検視が行われます。

海外で亡くなった場合は、現地の役所もしくは行政官庁で死亡証明書を交付してもらうことが一般的です。

なお、現地の医師が記載した証明書だけでは、日本に搬送して火葬を行う際に書類の不備を指摘される可能性があるため注意が必要です。

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死亡診断書の提出方法・提出先

近代的な造りの役場

医師から受け取った死亡診断書は用紙の半分が死亡診断書、もう半分が死亡届になっています。

死亡届に必要事項を記入し署名・捺印をした上で、死亡診断書とともに、次の市区町村役場に提出しまましょう。

死亡診断書の提出先
  • 故人の死亡地
  • 故人の本籍地
  • 届出人の住所地
  • 届出人の住民登録している住所地

なお、死亡届を記入する人物は次の方に限定されています。

死亡届を記入する人物
  • 遺族
  • 親族
  • 同居人
  • 家主の関係者
  • 後見人
  • 任意後見人 など

記入済みの死亡届の各役所への提出者は、代理であっても問題はないため、葬儀業者が提出を代行することが一般的です。

死亡届の提出期限は死亡事実を知った日から7日以内となっています。

葬儀の準備や僧侶の手配など忙しい時期ではありますが、死亡届の提出を忘れてしまうと、その後の火葬や遺体の埋葬に支障が出てしまうため、作業を分担して確実に行うよう心がけましょう。

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死亡診断書の発行にかかる料金

老人がいつも座っていた椅子

死亡診断書は患者の死亡を公的にも証明する書類ですが、法律で定められた発行料金はありません。

そのため、交付場所によって料金が異なるのが現状です。

ここでは、2種類の医療機関の発行料金の相場と死体検案書にかかる費用を解説します。

なお、死亡診断書は保険診療とは異なるため、公的医療保険制度は適応されず全額自己負担です。

公的医療機関・私立医療機関の場合

国立・公立病院や国立・公立大学の附属病院などの公的医療機関では、3,000円~5,000円が死亡診断書交付料金の目安です。

なお、私立の医療機関の場合は公的医療機関より金額は高く2万円前後が相場となります。

介護老人保健施設の場合

介護老人保健施設でも、医師から死亡診断書を交付してもらうことが可能です。

この際の交付料金は5,000円~1万円が目安です。

施設内で高齢者が亡くなることは珍しくないため、中には規約書の中で死亡診断書作成の料金を明記している場合もあります。

死体検案書の場合

死体検案書は医師による死因の究明が行われるため、交付料金の目安は3万円~10万円です。

中には医師による死因究明では死因が特定できないため、行政解剖や司法解剖を行うケースもありますが、この場合の費用はさらに高額になります。

持病やケガがないのに死亡した場合は、詳しく遺体を調べないと死因を特定することが困難なケースは少なくありません。

高額な料金も致し方ないと言えるでしょう。

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【項目別】死亡診断書の記載内容

複雑な書類と印鑑

死亡診断書と死体検案書は同じ用紙を使用します。

そのため、医師は死亡診断書を作成する際には死体検案書の該当項目を二重線で消し、死体検案書を作成する際には同じく死亡診断書の該当部分を二重線で消します。

この死亡診断書と死体検案書に記載する内容は次のとおりです。

死亡診断書の記載内容
  • 氏名・性別・生年月日
  • 死亡時刻
  • 死亡した場所およびその種別
  • 死亡原因
  • 外因死の追加事項
  • 生後1年未満で病死した場合の追加事項
  • その他の付言する事柄

項目①:氏名・性別・生年月日

故人の「氏名」「性別」「生年月日」が記載され、生後30日以内に亡くなった乳児に関しては出生時刻が記載されます。

項目②:死亡時刻

死亡した年月日と時刻が記載され、時刻は死亡確認時刻ではなく一部不明の場合でも、分かる範囲で故人が確実に死亡した時刻が記載されます。

なお、故人が医師の診断を受けずに死亡し年月日がわからない場合は、不詳と記載されます。

項目③:死亡した場所およびその種別

死亡した場所の種別と住所が記載され、自宅以外で亡くなった場合はその施設名が記載されます。

なお、死亡した場所の種別は次のように分類されています。

死亡した場所の種別
  • 病院
  • 診察所
  • 助産所
  • 介護老人保健施設
  • 自宅 など

項目④:死亡原因

死因に関する手術の有無とその年月日、解剖の有無が記載されます。

項目⑤:外因死の追加事項

「事故死」「自殺」「殺害」で亡くなった場合は、次の項目が追加事項として記載されます。

外因死の追加事項
  • 傷害が発生した場所の種別
  • 傷害が発生した住所
  • 傷害の手段および状況

項目⑥:生後1年未満で病死した場合の追加事項

母子手帳を参考に、次の項目が追加事項として記載されます。

生後1年未満で病死した場合の追加事項
  • 出生時の体重
  • 単体もしくは多胎(双子以上)の別
  • 妊娠周期
  • 妊娠と分娩時の母体の状態
  • 母の生年月日
  • 前回までの妊娠結果

項目⑦:その他の付言する事柄

上記以外に補足するべき内容があれば、この項目に記載します。

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死亡診断書提出後の手続き

役所に提出する書類

死亡診断書を役所に提出した後も、やらなければならない手続きがあります。

それぞれの手続きは先ほどお伝えしたとおり期限が設けられているため、その期限内に確実に行わなくてはなりません。

ここでは、死亡診断書を提出した後の各種手続きの詳細を解説します。

死亡診断書提出後の手続き
  • 世帯主の変更届
  • 健康保険の資格喪失届
  • 年金の資格喪失届
  • 住民票の除票
  • 埋葬費の請求
  • 不動産などの名義変更

世帯主の変更届

世帯主が亡くなった際には、住民票の世帯主の欄を空欄にすることはできないため、世帯主変更手続きを行います。

お住まいの市区町村役場に出向き、世帯異動届を提出しましょう。

なお、世帯主異動届の提出期限は、故人が亡くなってから14日以内と大変短いため、速やかな手続きが必要です。

健康保険の資格喪失届

故人が加入している健康保険は故人の死亡により自動的に被保険者ではなくなりますが、その手続きは家族が行う必要があります。

お住いの地域の年金事務所に出向き、健康保険の資格喪失届を提出し保険証を返還しましょう。

なお、故人が会社の健康保険証に加入していた場合は、会社に保険証を返還します。

残された家族が亡くなった方の扶養に入っていた場合は、新しく会社の健康保険や国民健康保険に加入しなくてはなりません。

こちらの手続きも、故人が亡くなってから14日以内が期限です。

年金の資格喪失届

年金は被保険者の死亡届を提出する必要がありますが、国民年金と厚生年金で手続きが異なります。

国民年金の場合

故人が国民年金加入者の場合はお住いの地域の年金事務所か、住民票がある市区町村役場で手続きが可能です。

なお、死亡した配偶者の扶養に入っていた場合は、国民年金の第3号被保険者から第1号保険者への変更手続きが必要になります。

厚生年金の場合

故人が厚生年金加入者の場合は加入事業所が手続きを行います。

なお、どちらの年金であっても手続きの期限は14日以内です。

住民票の除票

住民票の除票とは、住民票から名前を削除したことを証明する行為のことです。

この手続きは、住民票がある自治体で手続きすることができます。

この手続きは遺族が行うものではありませんが、故人の不動産や預貯金の名義変更などさまざまな手続きで除票が必要です。

自治体が作成した除票の写しを提出することで故人が死亡したことを証明することも可能です。

 

なお、自治体が除票を保管するのは5年間です。

後々になって故人の財産が発覚して除票が必要になる場合もあるため、住民票がある自治体から取り寄せておくことをおすすめします。

埋葬費の請求

国民健康保険加入者が死亡した際には、埋葬費が支給されます。

埋葬費の請求はお住いの地域の市町村役場、もしくは年金事務所です。

金額は自治体によっても異なりますが、手続きはどの自治体でも2年以内と定められています。

 

なお、亡くなった方が会社員だった場合は、会社が加入する健康保険組合から埋葬費の補助金が支給される場合もあるため、確認が必要です。

埋葬費の支給や補助金は、遺族が申告しなければ受け取ることができません。

必要書類も多くはないので確実に申告するよう心がけましょう。

不動産などの名義変更

亡くなった方が不動産を所有していた場合は名義変更が必要です。

名義変更はお住いの地域の法務局で行い、その際には次の書類が必要になります。

必要書類
  • 死亡を証明する住民票の除票
  • 亡くなった方の戸籍・除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続する人の住民票
  • 印鑑証明書
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 相続する不動産の固定資産評価証明書 など

不動産の名義変更には期限はありませんが、はじめてのこの作業を行う方にとってはとてもハードルの高い作業です。

作業に不安を感じるのであれば、司法書士などの専門家に一任すると良いでしょう。

なお、相続税は固定資産税評価証明書に基づいて金額が決まります。

相続税の申告は故人の死後10ヶ月以内に申告と納税を行うため、入念な事前準備が必要です。

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まとめ

老人の手を引く女性の手

身近な方が亡くなった際の親族は、「葬儀の準備」「僧侶への読経依頼」「葬儀参列者への連絡」などを同時進行で行うため多忙を極めますが、死亡診断書はその最中に作成して提出する書類です。

葬儀や告別式を滞りなく行うためにも書類に間違いがあってはなりませんが、はじめて書類を作成する方に不備はつきものです。

そのため、死亡診断書にまつわる作業は親族に一声かけ、書類作成が得意な方を選び葬儀業者の協力を得ながら作業することをおすすめします。

最適だと思う人物に作業を一任した方が、死亡診断書の作成と各種手続きは効率良く進むでしょう。

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この記事を監修したのは、
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