銀行口座は死亡後そのままでも良い?必要な手続きの流れと注意すべきポイント

銀行口座死亡後そのまま 預貯金
この記事を監修した専門家は、

家族の死亡で起こる相続の手続きは、何から手を付けて良いやらわからずに、そのまま放置しておきたいと考えてしまう人も少なくないでしょう。

故人名義の銀行口座について、死亡後すぐにしなければいけない手続きはあるのでしょうか?

また、そのままにしておくと困ることはあるのかなども、解説していきましょう。

銀行口座の名義人が死亡した際に必要な手続きの流れ

銀行口座

まずは、銀行口座の名義人が死亡した際の手続きの流れを順を追って解説していきましょう。

提出する申請書類の書式や記入事項などは銀行によって異なったり、同じ銀行でも地域や支店によって取り扱いが違うこともあります。

実際の手続き方法はお取引のあった銀行に問い合わせるようにしてください。

ステップ①:銀行に連絡する

方法は、まずは電話が考えられます。

通帳やキャッシュカードに記載の電話番号にかければ、担当の部署につないでくれます。

ネット相談窓口を設けている銀行もあります。

自宅から近い銀行なら窓口に足を運べば、次の手続きの説明も受けやすでしょう。

 

銀行は、主に遺族から連絡を受けることによって口座名義人の死亡を知ります。

企業経営者などの場合は、取引のあった営業担当が新聞の死亡欄でたまたま見て知る、葬儀場の前を通りかかって知るなどということもありますが、一般的な個人の死亡であれば、銀行は家族などからの連絡があって初めて知ることになります。

ステップ②:必要書類を準備する

必要書類は、口座名義人の死亡により起こる相続の方法と関連して、また遺言書の有無や相続人全員の遺産分割協議が済んでいるかどうかなどによって異なります。

書類の種類としては、

  • 死亡した口座名義人の除籍謄本や戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書

などであり、さらに戸籍をたどる必要が出てきたときは

  • 原戸籍
  • 遺産分割協議書
  • 遺言書

などがあります。

なお、2017年から法務局による法定相続情報証明制度が開始され、銀行によっては法務局発行の法定相続情報一覧図を提出することで煩雑な戸籍の提出が不要の場合があります。

こうした公的な書類のほか、各銀行指定の手続き依頼の書式への必要事項の記入、相続に関連する複数の人の署名・捺印が必要になることもあります。

ステップ③:必要書類を提出する

ステップ②で準備した書類を、取引のあった支店に提出します。

取引支店が遠方の場合は同銀行の近くの支店を通じての提出でも大丈夫なことも多いですし、書留など到着が確認できる方法での提出も可能です。

ステップ④:預金の払い戻し

書類の不足がなく手続きが進めば、2週間ほどで預金の払い戻しがされるのが通常です。

ただ、場合によっては1ヶ月ほどの時間がかかることもあります。

 

また、貸金庫を利用していた場合など、開けて中に入っているものを確認するために直接取り扱い支店に行かなければならないなど、郵送などではできない手続きが発生することがあります。

サポートや代行サービスを利用する

忙しくて、必要書類を揃えたりする時間がとれない方や、預金額が大きいので相続とからめての手続きが大変そうなどと感じたら、まずは銀行内に準備しているサポートサービス窓口に相談しましょう。

そのアドバイスのもと、費用こそかかりますが、代行サービスを利用することも検討すると良いでしょう。

 

また、弁護士、司法書士、税理士などの専門家に相続手続き一環の中に預金の相続も含めて依頼することもできます。

銀行口座の手続き単独で依頼するより、割安になることもあります。

銀行口座をそのままにしておいても良い?

休眠口座

ここまで手続きの流れを読み進めてきて、銀行口座の名義人が死亡したときの手続きは「面倒だな」という感想をお持ちになったというのが正直なところでしょう。

実際、預金が少額だったり取引がほとんどなかったりする口座や、遺族にその存在が伝わらずに忘れられてしまった口座などは、届け出がされずそのまま放置されているケースが多いです。

 

口座名義人の死亡を銀行に届け出なかったことによる直接の罰則や罰金が発生するということはないため、「しばらくはそのままにしておいても良いのでは?」と考えられがちです。

ところが、例えば放置している間にふりこめ詐欺の振込先などの犯罪に利用されてしまう可能性もあります。

そこまでの悪用はないにしても、親族間の相続を争続にしないためには、なるべく早いうちに銀行への連絡はしておくべきと言えるでしょう。

死亡後すぐに引き出せなくなる?

複数の口座

銀行に口座名義人の死亡を知らせた時点で、その口座を通じた取り引きは一切できなくなります。

いわゆる「口座凍結」です。

口座残高からの引き出しや預け入れはもちろん、振込みの受取や引き落としもできなくなりますので、家賃収入や報酬などの受け取り予定がある場合や、固定費などの引き落とし口座に指定している場合は注意しなければなりません。

もし振込みや引き落としの予定がある口座であるなら、その予定日より前に先方に連絡をして振込先を変更したり、引き落とし口座の変更手続きを取るなどの対応が必要になります。

相続手続きをしなくても預金を引き出すための方法

ATM

銀行に口座名義人の死亡を届け出て口座凍結がされると、先ほどお伝えしたような変更では対処できない困りごともあります。

例えば、死亡した本人のお葬式費用を預金から引き出しそうと思って窓口へ行ったのに、その場で凍結になってしまったとうケースがあります。

他にも故人の名義の口座にある預金で、残された家族が生活している場合など、預金凍結によって普段の生活が成り立たなくなってしまうことがあります。

遺産分割などのトラブルの防止の目的には口座凍結は理にかなった方法なのですが、このような困った事態を防ぐためにできることはあるのでしょうか?

方法①:死亡前に引き出しておく

口座名義人が死亡前に病気や療養で入院していたり介護を受けていたりした場合は、遺族はその支払いに備えて亡くなる直前の時期に本人の口座からある程度の金額を引き出しておいたということもあるでしょう。

また、そうしておきたいと考える方もいますよね。

口座名義人が生きているときに、本人に依頼された人がお金を引き出し本人のために使う目的ならば、何ら問題はないはずですが、その直後に亡くなったなどという場合は注意が必要です。

 

税務署は、死亡の3年ほど前までさかのぼって相続財産の調査をすることがあります。

そのため、死亡直前の預金からの引き出しは、本当に本人の意思によるものかどうかがわかるようにしておくことが重要です。

常日頃、親や兄弟などから依頼を受け、預金の引き出しやそのお金で買い物や支払いを頼まれるようなことがある場合は、いつ不測の事態がおきても良いように、面倒でも記録をつけることを習慣化することをおすすめします。

 

税務署以外にも、他の相続人から使い込みと指摘されてしまうことももあります。

支払い先からの領収書や内容の明細、購入したときのレシートなどはすべて保存しておき、さらに出納帳に収支を記載しておくようにすれば安心です。

方法②:死亡後引き出す

口座名義人が死亡しても、銀行に届け出をするまでの間、暗証番号を知っていれば実質キャッシュカードで預金からの引き出しは可能です。

しかしながら、これは他の相続人とのトラブルの元になります。

相続人全員の書面による同意を揃えている場合以外は、死亡後は預金の引き出しはしないようにしましょう。

方法③:相続預金の仮払い制度を使う

口座の凍結により遺族がお金に困る事態を解決するために、2018年の民法改正では遺産分割前の相続預金から一定額の仮払いができる制度が新設され、2019年7月から施行されています。

この預金の仮払い制度は、口座凍結後でも亡くなった本人が入院していたときの支払いや葬儀費用に充てるためであったり、相続人である遺族の当面の生活費にするといった目的であったりすれば、遺産分割協議が整う前でも、また他の相続人の合意がなくても、相続人単独で法定相続分を算定基準とした一定の上限まで、引き出しが可能とするものです。

この制度には2種類の方法があります。

  1. 家庭裁判所に申し立てて、利用目的や金額の判断を受ける方法
  2. 家庭裁判所の判断がなくても、金融機関への手続きで引き出せる方法

どちらの方法を利用するのかは、必要としている金額や手続きにかかる期間をどれくらい待てるかなどに照らし合わせて選ぶことになります。

2種類の方法の特徴

  1. 預貯金に対する相続人の法定相続分に当たる全額を仮払いで引き出すことができます。ただ、申し立ての手間や日数が比較的多くかかり、費用も発生します。
  2. 裁判所での手続きが不要で金融機関への手続きだけなので、手間も日数も比較的少なくて済みます。費用もほとんどかかりません。ただ、当面の生活費など必要な金額を仮払いする制度ですので、1金融機関当たりの引き出せる金額に上限があります。

2種類の方法を並べてみると、一般的には2.の金融機関の手続きでできる方法が利用しやすいように思えます。

複数の銀行口座預金があれば、それぞれから上限の金額を引き出せますので、故人のために使う費用や当面の遺族の生活費に充てる目的のためならば、間に合わせられるのではないでしょうか。

銀行口座をそのままにしておいた方が良いケース

使用されない銀行口座

ここまでは、死亡した家族の銀行口座に関して遺族がいかに手続きをするかという視点で考えてきました。

逆に、口座の解約や引き出しなどの手続きはせずに、そのままにしておいた方が良いケースもあるので紹介しましょう。

ケース①:相続放棄するとき

相続するのは、プラスの遺産だけでなくマイナスの遺産も対象です。

相続放棄とは、亡くなった人の相続人がマイナスの遺産はもちろん、プラスの遺産も含めすべての相続を放棄するということです。

預金を含めて残された資産の残高より借金の金額の方が大きいことがわかっている場合や、相続人との関係性などにより、相続放棄を検討している状態なのであれば、手続きはしないでおきましょう。

 

預金から仮払いで引き出すような手続きや口座解約の手続きなど、なにかしらの手続きをするということは、相続の承認に当たると考えられてしまう可能性があるからです。

銀行に死亡の連絡だけはしておくなら、相続放棄を考えているので手続きはしない旨を伝えると良いでしょう。

ケース②:残高が少額のとき

遺族が死亡の届け出をせずに、銀行も口座名義人の死亡を知る機会のないまま、口座が凍結もされずに放置されたままになってしまうことがあります。

解約の手続きにかかる煩雑さや、交通費、書類の取得費などと天びんにかけたとき、残高がそれに見合わないほど少額だったら、解約の手続きをせずにそのままにしておくのが一番良いかもしれません。

 

最後の取引から10年経過した口座の預金は「休眠預金」と呼ばれます。

2016年に休眠預金等活用法が成立したことにより、休眠預金は民間公益活動に活用されることになりました。

 

休眠預金扱いになった後でも、預金者からの請求があればいつでも引き出しが可能です。

口座名義人死亡により放置した預金を民間公益活動に活用する寄付をしたと考えれば、良い選択肢かもしれません。

まとめ

口座名義人の死亡による銀行口座の手続きは、もししないとしても他人には迷惑がかかるものでもなく、罰則もありません。

逆に、放置しておいた方が良い場合もあることを解説しました。

 

しかし、相続に関するトラブルや詐欺事件に利用されてしまうなど、放置してしまったことによって起きる可能性のあるさまざまな不利益があります。

時間がたつにつれて、相続に関係する人の変化によって手続きが難しくなっていくこともあります。

銀行口座や相続に関連する一連の手続きは面倒ですが、少々お金がかかっても代行サービスや専門家に依頼するなどして、なるべく早い時期、相続発生から3ヶ月ほどを目安に済ませることを目指すと良いでしょう。

 

また、銀行口座の手続きの問題は、相続人としての立場からだけでなく、ご自身が亡くなった時の残された家族にもいつか降りかかることです。

自分名義の使用していないまま放置している金融機関の口座があれば整理しておくようにしましょう。

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