弔辞とはどんな意味を持つ?例文・書き方・読む際の流れ

弔辞 一般知識・マナー

古くからの友人や会社の上司や部下が亡くなった際には、葬儀でまであと数日というタイミングで、突然遺族から弔辞を依頼されることがあります。

初めて弔辞を読む方にとっては、大勢の弔問客を前にした不安から悲しみと緊張が入り乱れてしまい、いつも通りの振る舞いができない場面は珍しくありません。

そこで、ここでは弔辞の内容を文例と共に説明しながら、「書き方」「文章構成」「マナー・注意点」などについて解説します。

告別式で自信を持って弔辞を読み上げるためにも疑問点を解消し、故人との最後の会話に悔いを残さないよう立派な弔辞を読み上げましょう。

弔辞とは

お辞儀をする男性

初めに、弔辞の基本を解説しておきましょう。

「弔辞」の読み方

「弔辞」の読み方は「ちょうじ」です。

葬儀の内容によっては、別名「お別れの言葉」とも呼ばれますがこれらは同じ意味で使われます。

弔辞の意味は「故人へ手向ける言葉」

弔辞とは、故人に手向ける言葉です。

この言葉には「故人へ贈る最後の言葉」という意味合いから、通夜で読まれるケースは稀で、通常は葬儀や告別式で読まれます。

なお、この弔辞が読まれる葬儀や告別式は次のように定義されているため、一連の流れの中でこの二つの儀式を行った場合でも次のように明確に区分されています。

弔辞は「最後の言葉」という意味があるため、葬儀の後で行う告別式で読まれることが一般的です。

弔辞の内容は故人への語り掛け

葬儀における挨拶の内容は、次のように故人の周囲の人物に対して行います。

これに対して、弔辞は故人に対して行う挨拶です。

挨拶をする際の呼びかける言葉は故人の名前となり、故人との関係性によっては呼び捨てで呼ばれる場面もしばしば見られます。

 

葬儀の挨拶というと堅苦しい口調を想像しますが、弔辞では口語調の言葉で故人に語りかる文体が特徴です。

これは、弔辞が故人との思い出をふんだんに盛り込みながら、生前の故人との関係を強く打ち出した内容となるためです。

弔辞を行わない葬儀・告別式もある

有名人などの告別式がテレビで放送される際には、弔辞を読む場面がクローズアップされますが、一般的な葬儀においては弔事を読む葬儀はそれほど多くはありません。

葬儀・告別式の規模が大きくなれば弔辞が読まれることも多くなりますが、反対に小規模な葬儀・告別式で弔辞が読まれないわけではないいため、弔事を読むのか読まないのかについての明確な区分はないと言えるでしょう。

ただし、会社組織が中心となって行う社葬では、公営性が強くなることから弔辞を読み上げることが一般的です。

弔辞を頼む人物

墓前に手を合わせる男女

弔辞をお願いする人物は、あらかじめ遺族が依頼します。

故人と特に深い仲であった友人や、会社の直属の上司や同僚に依頼することが一般的です。

頼まれた際の対応

弔辞を依頼されるということは、故人や遺族にとって大切な人物であることの証です。

そのため、依頼された場合は原則として引き受けることがマナーとされています。

ただし、病気を患っていて入院中のため葬儀に参列できるかどうかわからないような状況の場合は断っても構いません。

このように弔辞の依頼を断る場合は早めに事情を説明して、遺族が次の依頼者を探す時間を確保できるよう配慮します。

弔辞の読み上げは立候補することも可能

故人と特に深い関係を築いた方の中には、ご自身で弔辞を読みたいと立候補する方もいます。

この場合は、訃報を受けた時点からなるべく早いタイミングで弔辞を読みたい旨を遺族側に伝えましょう。

ただし、弔辞は先着順で決まるものではないため、誰もが読めるわけではありません。

また、故人や遺族が葬儀に弔辞は不要と考えている場合は断られる場合もあります。

弔辞のマナーと注意点

数珠を手にする女性

弔辞を読み上げる際には、気をつけなければならないマナーと注意点があります。

それぞれを詳しくお伝えしましょう。

弔辞のマナーと注意点
  • 3分程度にまとめる
  • 忌み言葉を使用しない

マナー・注意点①:3分程度にまとめる

弔辞は長ければ良いというわけではなく、3分程度にまとめることが重要です。

心を込めて比較的ゆっくりとした口調で読み上げるため、1分あたりに読み上げる文字数は300字程度、全体で800文字~900文字程度の内容が最適です。

読み上げる際に感情が高ぶり言葉に詰まってしまう場面もあるため、ある程度は時間的な余裕を持って読み上げましょう。

 

とはいえ、弔辞は時間制限を設けて読み上げるものではありません。

時間に神経質になりすぎて早口で読み上げるのはあまり印象は良くないため、丁寧でゆっくりとした口調を心掛けてください。

マナー・注意点②:忌み言葉を使用しない

葬儀の場では、使ってはならない「忌み言葉」と呼ばれる言葉があります。

この言葉は、弔辞は勿論、遺族との挨拶でも使用は厳禁です。

忌み言葉は次には次の3種類があり、それぞれの具体例は次のとおりです。

忌み言葉①:不幸が重なることを連想させる言葉

忌み言葉②:直接的な表現で生死を表す言葉

死亡原因などに触れるのもマナー違反です。

忌み言葉③:宗教によって使用しない言葉

忌み言葉の中には、宗教よっては使ってはいけない言葉があります。

各宗教ごとの忌み言葉は次の通りです。

複数の方が弔辞を読む際の注意点

大きな葬儀・告別式や社葬では、複数の人物が弔辞を読むことは珍しくありません。

この場合、ごく稀に弔辞の内容が重複してしまう場合があります。

できれば内容の重複は避けたいため、弔辞の内容は遺族から確認してもらったり、他に弔辞を読む方と故人との関係性を確認するなどの対応が必要です。

弔辞を行う際の流れ

豪華な祭壇

弔事を読む際には、次のような流れとなります。

弔辞を行う際の流れ
  1. 祭壇の前に進み一礼する
  2. 弔辞を読む
  3. 祭壇に備える

流れ①:祭壇の前に進み一礼する

  1. 名前を呼ばれたら、僧侶、遺族、参列者に一例をして祭壇の前に進む。
  2. 遺影に向かって一礼する。

流れ②:弔辞を読む

  1. 左手で弔辞の包みを持つ
  2. 弔辞を取り出して、上包みをたたんで左手に持ち右手で弔事を開く
  3. 弔辞を胸の高さで持ち、はっきりとした声でゆっくり読み上げる

流れ③:祭壇に備える

読み終わったら弔辞をたたみ、元のように奉書紙に包んで表書きを祭壇に向けて供えて一礼して席に戻る

弔辞を行う葬儀・告別式の流れ

なお、弔辞を読む葬儀・告別式の流れは次のとおりです。

流れを確認して弔辞を読むタイミングを把握しておきましょう。

  1. 弔問客着席
  2. 僧侶入場
  3. 読経
  4. お焼香
  5. 弔電と弔辞の紹介・読み上げ
  6. 僧侶退場
  7. 棺へのお花入れ
  8. 喪主挨拶
  9. 出棺

弔辞の書き方・文章構成

白紙に文章を書く女性

弔辞を書く際の文章構成は、次の4つのポイントを意識します。

弔辞の文章構成のポイント
  • 故人の訃報を聞き、どれだけ驚き悲しんでいるかを伝え哀悼の意を表す
  • 遺族や他の参列者と故人を失った悲しみを共有し弔辞に共感してもらうため、故人との関係性が分かるように記載する
  • 故人との関係の中でおきた具体的なエピソードを盛り込みながら故人の人柄を伝え、一般参列者が故人の人となりを想像できるようにする
  • 故人との別れの言葉で弔辞を締めくくる

弔辞の例文

奉書紙に包まれた弔辞

ここでは、友人への弔辞、会社の上司への弔辞の2パターンの例文を紹介します。

例文①:友人への弔辞

友人への弔辞は、故人の生前の呼び名で読んでも構いません。

故人の生前のエピソードを交えながら、若干の笑いの要素があっても良いでしょう。

○○(故人の名前)、今私はあなたにお別れを告げようとしています。

つい先月、一緒に食事に出かけた時はあんなに元気だったのに、突然帰らぬ人になろうとは誰が予想できたでしょうか。

振り返ってみれば○○との出会いは、高校の入学式でした。

偶然に座った席が隣になった事がきっかけで、同じサッカーサークルに入り4年間夢中になって過ごしました。

就職してからもなんだかんだ理由をつけては毎月のように酒を飲み、住まいが近いこともあって家族ぐるみのつきあいが続きましたね。

○○はあの18歳の時からずっと変わらず誠実な友人でいてくれました。

私にとって○○は、家族以上の存在としていつも自分を見守っていてくれる、いつもそんな思いで生きてきました。

○○、どうぞ安らかに眠ってください。また、天国であなたとお会いできる日までお別れです。

○○、本当に心よりありがとう。

例文②:上司への弔辞

上司の会社でのエピソードは、遺族でも初めて聞く内容が多いため具体的に述べます

専門的な用語は控え誰もがわかる表現で、仕事の功績と人柄を称える内容が良いでしょう。

○○部長のご霊前に謹んでお別れの言葉を申し上げます。

部長というお立場でありながら堅苦しさを嫌い、親しみをもって○○さん、と呼ばせて頂いておりました。

今日はいつも通り、○○さんと呼ばせていただきます。

皆でお見舞いに伺った時に○○さん自ら、このような日が来るだろうからその時の覚悟を固めよという言葉を頂きましたが、今はまだこの現実を正面から受け止めることはできない思いがしております。

○○さんは創業者である先代の社長に誘われて、○○株式会社に入社され、その行動力で会社の成長に尽力をされました。

現在、多くの自社製品を生み出すことができるのも、我が社が業界をリードし続けることができたのは○○さんの先見性のおかげです。

また、部下の能力と適性を見極めて、長所を活かす指示を出してくださることで、それぞれの役割を十分に果たすことができるようになったと思います。

○○さんのお言葉ひとつひとつが私達の活動の基盤です。

社員一丸となってご遺志を受け継ぎ、その類い稀な営業力を社内外に示し続けてまいります。

○○さん、本当にありがとうございました。

ご冥福を心からお祈り申し上げます。

弔辞の扱い方

黒板を指す人形

弔辞は読むだけではなく、扱う際のマナーも重要です。

ここでは、弔辞を書く際に用いる紙の種類と読んだ後のたたみ方と包み方を解説します。

弔辞は大判の奉書紙(ほうしょがみ)か巻紙に書く

弔辞を書く際に用いられる紙の種類は、大判の奉書紙か巻紙です。

奉書紙とは日本に古くからある和紙の一つで、楮(こうぞ)を原料に手すきで作られ、昔から公文書を記載するために用いられてきた耐久性の高い紙です。

現代ではこの奉書紙よりも高品質な紙は沢山あるため、必ずしも奉書紙を使う必要はありませんが、昔からの伝統を重んじる葬儀の場においては弔辞を書いたり包む紙として使われています。

弔辞を書く際の文字

本来の弔辞は、薄墨を使用して楷書を毛筆で書くのが正式なマナーです。

しかし、現代の日本人に「奉書紙か巻物に薄墨を使用して毛筆で楷書の弔辞を書く」という行為は、よほど専門的な知識がある方でなければ難しい作業です。

これらの事情を考慮して、現在では白い便箋にペンで書いても問題はないとされています。

書きやすいように罫線を引いた弔辞専用の紙も売られているため、これを使っても問題はありません。

弔辞のたたみ方と包み方

マナーとしてつい忘れがちになってしまいますが、弔辞は読んだ後のたたみ方と包み方も重要です。

ここでは、紙の種類別にたたみ方と包み方の手順を解説します。

奉書紙のたたみ方

奉書紙のたたみ方と包み方の手順は次のとおりです。

奉書紙のたたみ方
  1. 横長に置いた奉書紙の左右を合わせて半分に折る
  2. 同じ方向へ3つ折りにする
  3. 最後は上下を合わせて半分に折って完成

巻紙のたたみ方

巻紙は横に長いため、徐々に読めるように折っていきます。

文章の最後から最初の方向に向けてたたみます。

なお、巻紙を使用する際にはあらかじめ蛇腹に折ってある弔辞用の巻紙が文房具店などで販売されています。

包み紙とセット販売されているためおすすめです。

弔辞の包み方

弔辞は裸で持ち歩くことはマナー違反です。

そのため、奉書紙でも巻紙でも包紙か封筒に包む必要があります。

正式なマナーでは奉書紙を使用して包むのがマナーですが、準備が難しい場合は白地の紙を利用しても良いでしょう。

この際の包み方の手順は次のとおりです。

弔辞の包み方
  1. 弔辞を包み紙の真ん中より右に置く
  2. 包み紙の「右」「左」「上」「下」の順番で内側に折る
  3. 包み紙を裏返して表面に弔辞と記載する

弔辞を読んでくれた方へのお礼

弔辞の贈物

弔辞を読むという行為は、よほど経験がある方でなければ精神的な負担を感じる行為です。

そのため、弔辞を読んでくれた方にはお礼をすることがマナーです。

ここでは、このお礼の仕方やお礼の品の金額相場を解説します。

品物を贈る

弔辞を読んでくれた方には、お礼の品を贈ることがマナーです。

贈り方は直接足を運んで挨拶を交わして手渡しで贈るのが作法ですが、遠方にお住いの方や仕事などで都合がつかない方に対しては、郵送でお礼の品を送っても問題はありません。

お礼をする期間について正確な区切りはありませんが、告別式から一週間以内を目安にお礼をした方が良いでしょう。

お礼の品の金額相場

お礼の品は菓子折りなどが一般的で、金額相場は2,000円~3,000円です。

現金でのお礼はNG

弔辞を読んでくれた方に対して、現金や商品券などを贈るのは好ましくありません。

弔辞は故人に対する弔意の表れのため、その行為に対して対価を払うのは失礼と考えられているためです。

なお、「御車代」に関しても同様の理由から渡すことはありません。

ただし、遠方から駆けつけて弔辞を読んでくれた方に対しては、移動にかかる費用や宿泊費を出した方が良いでしょう。

お礼には挨拶状を添える

お礼の品には挨拶状を添えるのがマナーです。

挨拶状は短くても構いません。

感謝の気持ちを伝えることを念頭に置いて丁寧な文体を心掛けてください。

挨拶状の例文は次のとおりです。

挨拶状の例文

謹啓
亡母○○(故人の名前)の葬儀の際にはご鄭重なるご弔辞を賜り、誠にありがたく厚く御礼申し上げます。

お世話になった○○様(弔辞を読んだ方の名前)にお別れの言葉をいただき、母もさぞ喜んでいることと思います。

またその温かなお言葉に親族一同大いに慰められました。

亡き母にいただきましたご厚情に心より御礼申し上げます。

○○様のご健康とご多幸をお祈りし、略儀ながら書中でのお礼とさせていただきます。

敬白

まとめ

祭壇に飾られたユリ

葬儀の場で滞りなく弔辞を読むためには、忌み言葉や読み上げる時間配分など守らなければならないマナーや注意するポイントはたくさんあります。

しかし、遺族や参列者の心に残る弔辞は、これらのマナーや注意点をわきまえれば作成できるものではありません。

あまり堅苦しい表現や言葉を控え、故人とのエピソードをもとにご自身の言葉で素直な気持ちをつづり、悔いが残らない弔辞で故人と最後のお別れを行いましょう。

この記事を監修したのは、