喪中はがきを出すタイミングには最適な時期がありますが、初めて喪中はがきを出す方にとってはいつまでに出すのか、マナーはこれであっているのかなどさまざまな疑問や不安があるものです。
そこで、ここでは喪中はがきはいつまでに出すべきかという疑問に答えながら、「はがきを出す範囲」「書き方の手順」「文例」などについて紹介します。
喪中はがきは基本的には挨拶状のため、それ程難しい言い回しや書き方は必要ありません。
ここで解説する内容を盛り込めば、誰でも簡単に喪中はがきを書くことができます。
目次
喪中はがきとは

それではまず、喪中はがきについて説明しましょう。
私たちが普段から「喪中はがき」と呼んでいるものは、正式名称は「年賀欠礼挨拶状」と言い、身近に不幸事があり喪に服すため年賀状を控えたり受け取ることができない旨を伝えるためのハガキです。
喪中の中で慎ましく生活しているため、用件を儀礼的に伝える書き方が基本となるため、文字数もそれ程多くなく用件を端的に述べる文体が特徴です。
喪中はがきは誰に送るのか?
喪中はがきを送る範囲は、年賀状のやり取りをしていた方全員です。
故人の葬儀で喪主を務めた場合は、故人と年賀状をやり取りしていた方も対象となります。
喪中であることを知っている親族には送らないこともありますが、喪中はがきを送ることがマナー違反になるわけではありません。
なお、会社関係者として年賀状のやり取りをしている場合では、相手に気を使わせないように喪中はがきを送らない場合もあります。
喪中はがきはいつまでに出すべき?期間の目安とは

喪中はがきを出す時期は、11月中かどんなに遅くても12月の中旬までに相手届くように出すのがマナーです。
喪中はがきは「喪中であることを知らせるため」ではなく、「新年の挨拶を控えさせて頂くことを知らせる」意味で送るため、相手が年賀状の準備に取り掛かる前に送る必要があるのです。
早く出しても良い?
相手が年賀状を準備する前に送らなければ意味のない喪中はがきですが、あまりにも早い時期に出すのはおすすめできません。
年賀状の準備までにまだ時間があるタイミングで喪中はがきを受け取っても、実際に年賀状を準備する段階で喪中はがきの存在を忘れてしまう可能性があるためです。
万全を期して早めに送ったはずの喪中はがきが、相手の方に恥をかかせてしまう原因となる可能性を考えれば、やはり11月から遅くても12月中旬までがベストなタイミングと言えるでしょう。
間に合わない場合の対処方法
何らかの事情で喪中はがきの投函が遅れてしまった場合は、「寒中見舞い」を送りましょう。
寒中見舞いとは松の内(1月7日)から節分(2月2日)までの間に送る挨拶状です。
喪中はがきを送ることができずに訃報を寒中見舞いで伝える場合は、喪中のため新年の挨拶がでないことや遅れたことに対するお詫びの内容を記載します。
なお、寒中見舞いの文例は次のとおりです。
寒中見舞いの文例
寒中お見舞い申し上げます
喪中のため年頭のご挨拶を控えさせていただきました
本来ならば旧年中にお知らせ申し上げるべきところ
年を越してしまいました非礼を深謝いたします
寒さ厳しき折 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
令和〇年〇月
喪中はがきを出す親族の範囲

喪中はがきを出す親族の範囲は、故人との関わり方やはがきを出す方の気持ちによって対応は異なりますが、二親等までの親族が亡くなった場合に出すことが一般的です。
しかし、最近では一親等(両親・配偶者・子・配偶者の両親)と二親等の兄弟姉妹までは出すが、二親等であっても祖父母の場合は出さない方が増えています。
この判断は、亡くなった方と同居しているのかどうかで対応を変えている方が多く、その他にもお住いの地域の事情やしきたりなども関係しているため、一概に範囲を定めることが難しいのが現状です。
地域の年長者、お葬式でお世話になった葬儀会社の方などに相談することをおすすめします。
なお、二親等の中でも配偶者の祖父母や配偶者の兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者などの「姻族」に関しても決まった対応方法はありません。
喪中はがきを作成する際に、家族間で話し合いを持って対応方法を検討します。
喪中はがきを出す範囲の目安
ここでは、これらの状況を踏まえて喪中はがきを出す範囲を一覧で表しています。
ただし、この表はあくまでも一般的な対応方法です。
お住いの地域によっては状況が異なるため、あくまでも目安としてお考えください。

喪中はがきを出す相手

ここでは、喪中はがきを出す相手はどのような方なのかを解説します。
個人的な付き合いがある方に関してはほとんどの場合喪中はがきを出しますが、仕事上の付き合いがある方に関しては判断が分かれる場合があります。
個人的な付き合いがある
個人として付き合いがある相手とは次のような人物です。
- 毎年年賀状をやり取りしている相手(友人・同僚・上司など)
- 毎年年賀状を出している相手(友人・同僚・上司など)
- 本来であれば年賀状を出したいと考えるその年にお世話になった人物
- ご自身が喪主を務めた場合は故人が年賀状をやり取りしていた方
- ご自身が喪主を務めた場合は故人の葬儀に参列してくださった方
これらの人物には喪中はがきを出すのがマナーです。
なお、先ほどお伝えしたとおり2親等以上の親族には喪中はがきは不要ですが、個人的な付き合いがありながらも故人の訃報を知らない遠い親戚には、喪中はがきを出す場合もあります。
仕事上の付き合いがある
仕事上の付き合いがある方や取引先などには、「身内の死を知らせることで相手に気をつかわせてしまう」「個人的な事柄と仕事を混同したくない」という判断から、喪中はがきを送らずに例年通り年賀状を出す方は多くいます。
喪中はがきを書く際の手順

ここからは喪中はがきを作成する際の手順について説明します。
初めての方にとっては敷居が高く感じがちな喪中はがきですが、手順を踏みながら内容を一つひとつ理解すれば難しくはありません。
喪中はがきは儀礼的な挨拶状のため、本文のほとんどは定型文で構成されています。
この点を踏まえて書くことができれば、どなたでもきちんとした喪中はがきを書くことができます。
書き出しと結びを記載する
書き出しや結びには頭語や結語は用いません。
ちなみに、頭語と結語とは一般的な手紙に使われる挨拶にあたる言葉の組み合わせです。
「拝啓」に対する「敬具」や「前略」に対する「草々」などがこれに該当しますが、喪中はがきはこれらを全て省略して本文から書き出すのがマナーです。
冒頭で喪中であることを記載する
最も伝えたい内容の「喪中であること」は文章の冒頭部分に記載します。
冒頭で喪中であることを伝えるには次のような書き出しが最適です。
- 喪中につき新年の挨拶をご遠慮させていただきます
- 喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
誰の喪に服しているのかを明確に記載する
ご自身は喪に服しているため新年の挨拶は遠慮する旨を伝えましたが、相手にとっては誰の喪に服しているのかわからないため、この情報だけではかえって相手を混乱させてしまいます。
誰がいつ亡くなった件で喪に服しているのかを正確に伝え、さらにご自身と亡くなった方の続柄を書き添えましょう。
不幸事を明確に記載することによって、相手の方は不幸事の内容を理解して年賀欠礼であっても致し方ない事情を把握するのです。
日頃のお付き合いに対する感謝の言葉を記載する
日頃の感謝の言葉の文面は状況によっても若干異なりますが、次のような主旨の文章を記載するのが一般的です。
- 旧年中にお世話になったことに対するお礼の言葉
- 変わらぬ支援を願う言葉
これらの主旨の言葉は次のような表現で記載すると良いでしょう。
- 本年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
- 平素のご厚情に深く感謝申し上げます
新年に関する挨拶の言葉を記載する
新年に関する挨拶も状況によって異なりますが、次のような主旨の文章を記載するのが一般的です。
- 変わらぬお付き合いを願う言葉
- 変わらぬ支援を願う言葉
これらの主旨の文章は次のような表現で記載すると良いでしょう。
- 来る年も変わらぬご指導のほど宜しくお願い申しあげます
- 明年も変わらぬご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます
喪中はがきを作成した際の年月日などを記載する
喪中はがきの最後には次の内容を記載します。
- 年月日などの日付(旧年中に出す場合は「令和○○年十二月」となります)
- 喪主の住所(会社を代表する場合は会社の住所・電話番号・FAX番号)
- 喪主の氏名(家族一同とする場合や家族の名前を並べて書く場合もある)
喪中はがきの注意点

喪中はがきは私製はがきと官製はがきのどちらも使用できますが、普通の手紙にはない注意点があります。
ここでは、喪中はがきに関する注意点を説明しながら正しい書き方を解説します。
- 前文は書略する
- 句読店入れない・行頭の1字下げは行わない
- 年賀欠礼以外については書かない
- 数字は漢数字を使用する
- 文章色とフォントについて
- 夫婦連名で出す際の続柄
- 使用するはがきと切手
注意点①:前文は書略する
先ほどお伝えしたとおり、喪中はがきでは「前略」などの頭語や「草々」などの結語は用いません。
冒頭文は主文から書き出しましょう。
なお、この書き方は会葬礼状なども同様で、弔事にまつわる手紙では主文から書き始めるのがマナーです。
注意点②:句読店入れない・行頭の1字下げは行わない
文中では句読点は使用せず行頭の1字下げも行いません。
なお、会葬礼状においても同様のマナーです。
注意点③:年賀欠礼以外については書かない
本文には、「喪中につき新年の挨拶をご遠慮させていただきます」などと述べた後に、「誰が」「いつ」「何歳で亡くなったのか」を記述します。
文末ではこれまでのお付き合いに対する感謝と今後のお付き合いのお願い、相手の方の無事を願う内容で締めくくるため、年賀欠礼以外の内容を記述することはありません。
年賀欠礼以外の内容を盛り込む場合は、喪中はがきとは別に近況報告を知らせる手紙を送るのが一般的です。
注意点④:数字は漢数字を使用する
喪中はがきは縦書きになるため、亡くなった方の年齢や命日の表記は漢数字で記載します。
注意点⑤:文章色とフォントについて
本来のマナーでは文字は薄墨色とされていましたが、現在では黒色の文字を用いてもマナー違反とはなりません。
なお、スマートフォンやパソコンで喪中はがきを作成する際には、文字のフォントは楷書体や明朝体が一般的です。
また、使用するはがきは派手なデザインを避け、落ち着いた雰囲気の色と色数を抑えたものを選びましょう。
注意点⑥:夫婦連名で出す際の続柄
夫婦連名で喪中はがきを出す際の続柄は、夫から見た続柄を書くのがマナーのため矛盾があったとしても問題はありません。
これは、昔からの男尊女卑に関連した考えの名残が、現在でも慣習化してしまったためと考えられています。
ただし、義父や義母という書き方は夫の父の再婚者のように捉えられる可能性があることから、好ましくないと考える方もいます。
そのため、妻の父が亡くなった場合は次のような書き方をします。
- 「岳父(がくふ)○○(故人の氏名)」
- 「△△(妻の名前)の父○○(故人の氏名」
- 「妻の父○○(故人の氏名)」
親子連盟の場合
夫婦連名はありますが、親子連名はありません。
そのため、親と付き合いのある方への喪中はがきは親の名前を、子と付き合いがある方への喪中はがきは子の名前だけを書いて送りましょう。
なお、家族ぐるみでの付き合いがある方への喪中はがきでも、連盟にすることはなく代表者の名前だけで送ります。
注意点⑦:使用するはがきと切手
官製はがきの定番は、料額印面が胡蝶蘭のものが喪中の定番です。
図柄がすでに印刷されている市販のはがき(私製はがき)に切手を貼って投函する場合は、「弔事用63円普通切手」を使用します。
喪中はがきの文例

ここからは喪中はがきの文例を、個人と仕事上の付き合いのある方の2種類に分けてご紹介します。
なお、使用する喪中はがきは近年イラスト入りのデザインが増えていますが、蓮の花や葉をあしらったはがきは仏教以外には使うことができないため注意しましょう。
個人の場合
喪中につき新年のご挨拶をご遠慮させて頂きます祖母 ○○(八十歳)去る○○(命日)に永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます来る年も変わらぬおつき合いのほど宜しくお願い申し上げます令和○○年十二月〒□□□−□□□□ (住所)△△(喪中はがきを出した方の氏名)
この内容は次のような構成になっています。
- 冒頭で喪中はがきであることを伝える
- 誰の死亡により喪に服しているのかを伝える
- 日頃のお付き合いに感謝する言葉を伝える
- 今後の変わらないお付き合いをお願いする
仕事上のお付き合いや取引先あての場合
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮させて頂きます弊社 元代表取締役会長こと父 ○○(八十歳)去る○○(命日)に永眠いたしました平素のご厚情に深く感謝申し上げますとともに 明くる年が皆様にとりまして良き年でありますようお祈り申し上げます令和○○年十二月〒□□□−□□□□ (会社の住所)○○物産株式会社 (会社名)電話番号○○FAX番号○○
代表取締役社長 △△(喪中はがきを出した方の氏名)
この喪中はがきは、先ほどお伝えした個人で出す喪中はがきと同じ構成で書かれていますが、現在の会社の代表者が先代の代表者の喪に服していることを伝える内容です。
喪中はがきを受け取った際の対応方法と文例

喪中はがきを受け取った際の対応方法や書き方は、受け取った状況によっても異なります。
ここでは、次の2種類の状況に分けて対応方法と返事の書き方を解説します。
喪中はがきで初めて訃報を知った場合
喪中はがきが届いて初めて訃報を知るケースは少なくありません。
受け取った際には、ご挨拶状を受け取ったお礼と不幸事があったことを知らずにいた失礼を詫びる手紙を送りましょう。
この際の手紙の文例は次のとおりです。
文例
この度はご丁寧なご挨拶状をありがとうございました
ご挨拶状を拝見して初めて〇〇様ご逝去を知りました
存じ上げず 失礼いたしましたことをお許しください
遅ればせながら謹んでご冥福をお祈り申し上げます
〇〇様にはご生前大変お世話になり 心から感謝しております
お寂しい毎日をお過ごしのことと存じますが、どうぞお体を大事に新しい年をお迎えになられますよう心よりお祈り申し上げます
喪中はがきに対する返事も、喪中はがきや会葬礼状と同様に句点をつけないのがマナーです。
訃報は既に知っていて喪中はがきを受け取った場合
訃報をすでに知っている場合は、年賀状を控え寒中見舞いで返事を出すことが一般的です。
この際の文例は次の通りです。
文例
このたびは ご丁寧なご挨拶を頂きありがとうございました
〇〇様がお亡くなりになられてから〇ヶ月 お寂しい年の瀬をお過ごしのことと
お察し申し上げます
喪中でいらっしゃいますので新年の挨拶は控えさせていただきます
どうぞお体には気をつけてお元気に新しい年をお迎えくださいませ
品物をを添えて寒中見舞いを贈る場合
寒中見舞いを贈る際には、品物と一緒に送る場合があります。
この際の文例は次のとおりです。
文例
年賀欠礼のお知らせをいただき、家族一同大変驚いております
○○様のご冥福を心よりお祈り申し上げます
心ばかりのものでございますが ○○を送らせていただきますのでお供えくださいますれば幸いです
寒さが一段と厳しくなりますので 皆様 どうぞお体を大切に新しい年をお迎えになられますよう心よりお祈り申し上げます
喪中はがきの販売場所・販売時期・金額一覧
ここでは、喪中はがきが販売される「場所」「印刷サービス受付時期」「販売時期」「金額」を表中に記載します。
お住いの地域によっては販売時期は異なるため、表中の内容は目安としてお考えください。

なお、喪中はがきの金額相場についてはモノクロデザインの最安値の金額を表記しています。
カラーデザインを希望する場合は、相場料金+2,000円程度です。
まとめ

身内に不幸事があった際に出す喪中はがきですが、この意味は不幸事を知らせるためではなく、「今年は年賀状を送ることができない」と年賀状をやり取りしている相手を気遣う挨拶状です。
相手が年賀状を用意する前の11月中に送りたいものですが、間に合わない場合や出し忘れた場合は、年明けに寒中見舞いを送ることで年賀状が出せなかった状況を理解してもらえます。
沢山のマナーがある喪中はがきですが、はがきを受け取る方を気遣う気持ちと故人を偲ぶ思いがあれば、周囲の方とも今後のお付き合いを円滑に行うことができるでしょう。