火葬式とはどんな葬儀?他の葬式との違いと流れ・費用相場

火葬式火葬式

火葬式(直葬)とは

葬儀社

火葬式とは、一般的な葬儀とは異なり火葬のみで故人を見送るため、通常2日ほど必要な葬儀日程を1日に短縮した非常にシンプルな葬儀です。

この火葬式では通夜や告別式が執り行われずに、病院や施設などのご逝去先から直接火葬場へ遺体を運搬することから「直葬式」とも呼ばれます。

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火葬式と他の葬儀の違い

お葬式の様子

一般的な葬儀とは異なる「火葬式」ですが、ここではその他の葬儀との違いについて解説していきます。

  • 一般葬との違い
  • 家族葬との違い
  • 一日葬との違い
  • 無宗教葬との違い

一般葬との違い

一般葬とは、故人が生前にお付き合いがあった方々を広く呼び、大規模に執り行う葬儀です。

そのため、葬儀参列者が100名を超えるような葬儀も珍しくありません。

私たちが普段経験する葬儀はこの一般葬が多いため、従来型の葬儀と言うこともできるでしょう。

 

一般葬では、次のものをを2日間にわたって執り行います。

  • 通夜
  • 通夜振る舞い
  • 葬儀
  • 火葬
  • 精進落とし

一方で、火葬式では遺族を中心に小人数しか参加せず、また火葬しか執り行いわないため。葬儀日程が1日で終わります。

そのため、葬儀にかかる費用や時間を抑えられ、葬儀に参列する方への気遣いも少なくて済みます。

家族葬との違い

家族葬とは遺族や親族、もしくは非常に近い間柄のかたのみが参列する葬儀です。

そのため、一般の弔問をお断りして執り行われるため、非常に小規模の葬儀です。

 

しかし、規模が小さいだけで葬儀の流れは一般葬と変わらず、

  • 通夜
  • 通夜振る舞い
  • 葬儀
  • 火葬
  • 精進落とし

はおこなうため、葬儀日程は2日間を要します。

一日葬との違い

一日葬とは、一般葬から「通夜」を除いた比較的小規模な葬儀です。

火葬の前夜の通夜を省略して、火葬当日に

  • 葬儀
  • 火葬
  • 精進落とし

と進行していくため、葬儀は1日で終えることができます。

 

しかし、通夜を省略するとはいえ葬儀自体は執り行います。

そのため、葬儀に必要な祭壇などが必要で準備費用はかかります。

 

火葬式の場合は、葬儀を執り行わないため祭壇の準備も必要がありません。

そのため、葬儀準備費用も1日葬よりもずっと安く抑えられます。

無宗教葬との違い

無宗教葬とは、「特定の宗教の教えにのっとった葬儀を執り行わない」葬儀方法です。

そのため、上記3種類の葬儀とは異なり、葬儀の流れにきまった形式はなく、喪主となる方の意向で葬儀の仕方が大きくかわります。

また、宗教者(僧侶)を呼んで葬儀を執り行うこともなく、お布施に対する負担がないことが大きな特徴と言えるでしょう。

 

しかし、火葬式では僧侶を読んで火葬場での読経を行うことも可能で、この判断については喪主次第です。

このように考えると、お布施が必要のない無宗教葬は火葬式よりも金銭的な負担が少ない葬儀となる場合があります。

ただし、無宗教葬は金銭的な負担を軽くするための葬儀ではありません。

あくまで、宗教上の理由で一般の葬儀とことなるだけで、喪主の意向次第では一般葬以上に高額となる場合もあります。

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火葬式までの流れ

花と空

これまで解説したとおり、火葬式では通夜と告別式は執り行わないため、逝去から火葬式までの流れも一般的な葬儀とは異なります。

ここでは、火葬式を執り行う場合の流れを逝去から順を追って解説していきます。

流れ①:逝去

病院で臨終を迎えると、遺体は看護婦さんに末後の水をいただき、体を拭いてもらいます。

病院に長い時間遺体を安置することはできないため、遺族はその間に葬儀会社に連絡を入れて、ご遺体の安置場所を確保します。

流れ②:安置

遺体を安置する場所が決まったら、葬儀会社が遺体を安置場所まで運搬します。

流れ③:葬儀業者との打ち合わせ

遺体の安置場所に家族が集まり、今後の葬儀について葬儀会社との打ち合わせを行います。

火葬式の場合は、臨終の次の日かその次の日には葬儀を執り行う事が一般的です。

日本の法律では死後24時間はご遺体を安置することが法律で定められ、お亡くなりになった当日の火葬はできません。

流れ④:納棺・出棺

遺体を棺におさめる「出棺」は火葬の前日から直前に執り行われます。

故人の身の回りが整えられ、故人の生前の思い出の品や、花々が棺の中に遺族の手によっておさめられていきます。

 

火葬場へ出発する「出棺」の前には遺族で故人とお別れをする時間があります。

またこの時間に僧侶を呼んで読経をおこなう場合もあります。

流れ⑤:火葬式

火葬場に到着したら、火葬炉の前で遺族と最後のお別れをして火入れです。

このtき、出棺と同様に僧侶を呼び読経を執り行うこともできます。

 

火葬には通常1時間から1時間半程度の時間がかかり、火葬が終了したら遺族で遺骨を骨壺におさめる「収骨」を執り行い火葬式は終了です。

火葬式が終わったあとは、喪主の意向で食事の席(精進落とし)を設ける場合もありますので、その流れに従いましょう。

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火葬式を執り行う際の費用相場

お葬式の費用

通夜や告別式を執り行わない火葬式の相場費用は19万円ほどです。

一般的な葬儀では全国平均で約200万円が費用相場と言われていることを考えると、火葬式がどれほど安価に執り行うことができるのか、おわかりいただけるでしょう。

 

ただし、この火葬式でもその内容によっては金額は変わります。

ここでは、火葬式の費用が変わる要素を含め、それぞれ10万円台の葬儀と30万円を超える葬儀について解説していきます。

10万円代での葬儀が可能

故人が生前から、「とにかく葬儀費用を抑えて遺族の金銭的な負担を減らしたい」と周囲に伝えていた場合は、この意向に従い安価な火葬式をさらに安くすることが可能です。

そのため、次の方法を行うことで葬儀費用を10万円代に抑えることができるでしょう。

  • 棺や骨壺などのランクにはこだわらない
  • 僧侶の読経は行わない
  • ご遺体の安置場所は自宅を選択し葬儀業者の施設は利用しない
  • 精進落としなどの食事は行わない
  • 公営火葬場を利用しかつ無料の地域に住んでいる

30万円以上かかる場合もある

火葬式の細部にこだわった場合、いくら安価な火葬式でも葬儀費用が30万円以上になることは珍しくはありません。

次のような場合は、火葬式の葬儀費用は30万円を超えるでしょう。

  • 棺や骨壺は上位クラスのものを使用する
  • 僧侶の読経を行う
  • ご遺体の安置場所は民間の施設を利用する
  • 精進落としなどの食事をとる
  • 火葬場が有料な地域に住んでいる、または民営の火葬場を利用する

「火葬式」と「家族葬」の料金を比較

「家族葬」は一般の弔問客を呼ばないため、火葬式と同じく小規模でつつましやかな葬儀です。

ただし、一般葬と同様に

  • 通夜
  • 通夜振る舞い
  • 葬儀
  • 火葬
  • 精進落とし

を行うため、費用相場は110万円と言われています。

この金額は火葬式の費用相場である19万円と比較するとずいぶん高いように感じますがこれには理由があります。

 

家族葬では基本的に葬儀の最中に僧侶を呼び、読経をおこないます。

お住いの地域や宗派にもよりますが、2日間の葬儀の間に多くて6回ほど読経があることもあり、お布施として30万円から50万円が必要です。

 

このお布施が葬儀代金に追加され、結果的には葬儀費用の合計が100万円を超えるのです。

火葬式が安価に執り行うことができるのは、僧侶を必要としない葬儀方法のため、お布施が必要ないという理由が大きく影響しているのです。

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火葬式の4つのメリット

メリット

火葬式は略式な葬儀のため、遺族にはさまざまなメリットがあります。

メリット4つについて解説しましょう。

  1. 葬儀参列者への気遣いが不要
  2. 香典返しが不要
  3. 葬儀費用が抑えられる
  4. 葬儀時間がかからない

メリット①:葬儀参列者への気遣いが不要

一般葬などは、故人と縁があった方を招き葬儀を執り行うため、弔問客は多く遺族はその対応に追われ、故人を落ち着いた気持ちで弔うことができません。

また、喪主にいたっては弔問客への挨拶があり、故人のことを考える暇はなく、葬儀中は多忙を極めることになるでしょう。

 

一方で、火葬式では、葬儀参列者は家族を中心に10名程度で執り行うことが一般的です。

挨拶や弔問客への気遣いが不要のため、落ち着いた気持ちで故人との最後のお別れをすることができます。

メリット②:香典返しが不要

原則的として、火葬式では香典は不要です。

そのため、遺族が用意する香典返しも必要ありません。

メリット③:葬儀費用が抑えられる

火葬式を執り行う一番のメリットは、この葬儀費用を抑えることができる点です。

火葬式は現在ある葬儀様式の中で、一番葬儀費用がかからない葬儀の一つです。

金銭的な負担を葬儀にかけられない方にとって、火葬式はベストな葬儀方法と言えるでしょう。

メリット④:葬儀時間がかからない

一般葬では、葬儀にかかる時間は短くても1日半程度で、通常は2日かかることが一般的です。

遠方から葬儀に参列する方や、仕事の合間をぬって葬儀に参列する方にとっては、これはかなり厳しい日程でしょう。

 

しかし、火葬式であれば、葬儀は1日ですべての日程が終了します。

このように、葬儀にかかる時間も、葬儀様式の中では火葬式が一番短いのです。

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火葬式の3つのデメリット

デメリット

火葬式は、メリットばかりではありません。

当然デメリットもありますので、しっかりと把握しておきましょう。

  1. お別れまでの時間が短く心残りとなる場合がある
  2. 周りからの理解を得られない場合がある
  3. 葬儀後に弔問客が家に来る場合がある

デメリット①:お別れまでの時間が短く心残りとなる場合がある

これまで紹介してきた葬儀の中で、火葬式は故人とのお別れの時間が一番短い葬儀です。

火葬場でお別れが行われることを考えると、火葬場の日程上の都合もあり、その時間は長くても15分程度です。

デメリット②:周りからの理解を得られない場合がある

家族を中心に最小の人数で執り行われる火葬式では、葬儀に参列したいと希望する方から、反感をかうこともしばしば起こります。

喪主は故人と生前の関係があった方々を把握し、特にお世話になった方については、しっかりと対応しなければいけません。

 

また、通夜と告別式を執り行わないため、本来の葬儀様式や伝統こだわりがあるかたにとっては、理解してもらうことが難しい場合もあるでしょう。

経済的な理由や、故人の遺志で火葬式を選択するしかなかった事情などを事前に話し、周囲の方からの理解をできるだけ得る必要があります。

デメリット③:葬儀後に弔問客が家に来る場合がある

葬儀に参列できなかった方が、後日あらためて家に弔問に訪れる場合があります。

先ほども触れたように、火葬式では香典は原則として不要ですが、このとき弔問客から香典をいただく場合があります。

 

遺族は香典を頂くことは想定していないため、とうぜん香典返しも用意していません。

このような状況にならないためにも、弔問の意向を伝えられたら香典は不要である旨を弔問客に伝えなくてはなりません。

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火葬式を執り行う際の注意点

悩んでいる女性

火葬式は伝統的な葬儀とは異なるため、金銭的、時間的な負担から遺族は解放されます。

しかし、この葬儀様式は簡易的な要素が強いため、特有の注意点があります。

では、火葬式における注意点について解説していきますね。

  1. 遺体安置所が必要となる
  2. 役所からの埋葬料が支給されない場合がある
  3. 寺院とのトラブルになる場合がある

注意点①:遺体安置所が必要となる

お亡くなりなった方を、ただちに火葬場へ運搬し火葬式を執り行うことはできません。

これは、法律で死後24時間は火葬ができないと定められているためです。

そのため、通夜と告別式を省略する火葬式では、最低1日ほど遺体を安置する場所が必要です。

 

ご自宅にご遺体を安置するスペースがある場合はそれほど困りませんが、そうでない場合は葬儀会社が運営する安置所やセレモニーホールを借りて安置することが一般的でしょう。

また、遺体を数日間安置する場合はドライアイスをつかった処置も必要となるため、遺族はある程度の専門知識が必要となります。

注意点②:役所からの埋葬料が支給されない場合がある

葬儀には故人が生前加入していた保険により、「埋葬料」などの名目で葬儀費用の一部を保険組合や自治体が負担してくれる制度があります。

しかし、火葬式の場合はこの制度の申請要項を満たしていないと判断され、負担金が支払われないケースがあります。

 

この判断は申請する保険組合や自治体により判断が分かれます。

葬儀責任者は、事前に負担金の内容を関係窓口に確認するようにしましょう。

注意点③:寺院とのトラブルになる場合がある

故人に菩提寺やお世話になっているお寺がある場合、事前に火葬式についての相談がなされていないと納骨を断られる場合があります。

火葬式は僧侶による読経もなく、いわば無宗教に近い形で執り行われることも珍しくありません。

 

そのため、菩提寺に相談なく火葬式を執り行った場合、宗教上の教えを軽視したと捉えられトラブルに発展することがあります。

このようないざこざを回避するためにも、火葬式についてはお寺の承諾を得てから執り行うことをおすすめします。

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火葬式のよくある疑問点

悩みごとのある女性

葬儀の中での形式を限界まで省略した火葬式ですが、その簡略化した葬儀様式ゆえの疑問点が出てくるものです。

ここでは、実際に火葬式を執り行う際に直面する、葬儀をする上での疑問点について解説していきます。

僧侶は呼ぶべき?

葬儀会社などが提案している火葬式の内容には、この僧侶による読経は含まれないことが一般的です。

そのため、お布施が必要なく葬儀費用を安価に抑えることができるのが火葬式の特長でもあります。

 

ただし、葬儀を執り行う遺族側からすると、あまりにも宗教色が無い火葬式は本当に故人が安心してあの世に旅立てることができるのか心配になるものです。

そのため、葬儀会社では僧侶による読経をオプションとして取り入れています。

 

僧侶は火葬炉の前で遺族が見守るなか読経を行い個人を弔いますが、この場合のお布施は3万円から10万円と言われています。

金額的な負担が許せば僧侶に読経を依頼するのは喪主の判断ですが、今後の菩提寺との健全な関係を考慮して読経をお願いすることもあります。

精進落としは行うべき?

火葬式では僧侶による読経と同じく、火葬後に葬儀に参列した方やお世話になった僧侶に食事を振る舞う「精進落とし」を行わないことが一般的です。

ただし、こちらも喪主の判断に委ねられているため、喪主が必要と判断した場合は、火葬場の控え室などを利用して精進落としが行われる場合もあります。

葬儀にはどもまで呼ぶべき?

火葬式は、葬儀を簡略化して小規模ながらも心のこもった葬儀を執り行うことを旨としています。

そのため、葬儀は家族を中心に執り行われることが一般的です。

ただし、先ほども触れたように、故人が生前特別にお世話になった方がいる場合は、この方も葬儀に参加してもらっても問題はないでしょう。

 

このように、故人の生前の人間関係を把握することは、葬儀に参加していただく方の選定に非常に重要です。

特に、小規模な葬儀である火葬式ではその重要性は高いと言えます。

火葬式で戒名をつけてもらうことはできないのか?

火葬式では亡くなった方への戒名はつけないことが一般的ですが、遺族が戒名を望むのであれば戒名はいただくことができます。

ちなみに、戒名をいただくには、お布施として最低でも10万円から15万円は必要と言われています。

また、この戒名はお布施の額によりその階級が異なり、お布施が高額になるほど立派な戒名がいただけます。

お別れの時間を長くすることはできないのか?

通夜と告別式を省略している火葬式では、故人とお別れする時間が限られています。

お別れの時間は、納棺するわずかな時間や火葬する際に設けられるのお別れの儀の10分ほどです。

そのため遺族の中には、十分なお別れができなかったと不満を感じる方がいることも事実です。

 

このような心残りが起きないよう、「出棺式」を設けて故人とのお別れの時間を少しでも長く取る方法があります。

この「出棺式」について解説しますね。

出棺式とは

出棺式とはお別れの時間を十分に取るため、火葬場へ出発する前にご自宅で簡易的な祭壇を設けて、お別れのセレモニーを1時間ほどかけて行う儀式です。

火葬式で出棺式を執り行うことは基本的にはありませんが、先ほどお伝えしたように故人とのお別れの時間に不満がある場合は、葬儀会社によってはオプションとして執り行うことが可能です。

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まとめ

新緑

近年の宗教観の変化や社会構造の変化に伴い、人生の最後の式典でもある葬儀も柔軟になりつつあります。

本来では宗教の教えに基づき絶対とされた葬儀様式ですが、今回紹介した「火葬式」のような簡易的な葬儀は、今日(こんにち)では都市部を中心に増加しています。

金銭的にも時間的にも、遺族の負担が少ない火葬式が増える傾向は理解できます。

 

ただし、忘れてはならないことは、これまでの葬儀の価値観や仕様を引き継いで、これまでどおりに葬儀を執り行いたいと願う方も大勢いるということです。

あまりにも葬儀内容を省略して宗教的要素が少ない火葬式では、このような考えの方から大きな反発が起こり得ます。

喪主はこのような考えの方に十分な説得を持って火葬式を執り行わなければいけません。

 

そのため、火葬式については、話し合いの場を設けて、葬儀参列者全員からの了承を得なければならないでしょう。

このように、家族間でよく話しあいながら葬儀内容を決定していくことは、後悔しない葬儀を執り行う上で不可欠です。

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この記事を監修したのは、
マガジン 編集部
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