法事のあとの食事で知っておきたいマナーとは?場所・席順・挨拶と注意点

法事の食事一般知識・マナー

故人の法事が行われたあと、僧侶や遺族、参列者で食事を摂る機会があります。

法事は故人を供養するための静粛な儀式ですが、そのあとに摂る食事にもさまざまな意味が込められているので、一般的な会食とは違ったマナーが必要です。

 

では、法事の食事の種類やマナーには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?

今回は、法事のあとに摂る食事の内容や準備の仕方、食事を摂るときのマナーについて詳しく解説していきます。

法事のあとに摂る食事の意味

懐石料理

法事のあとの食事は「お斎(とき)」とも呼ばれます。

これは仏教用語である「斎食(さいじき)」からきたものと考えられており、決まった時間や法事のあとに食事を摂ることを意味しています。

 

現代では遺族が感謝の気持ちを込めて用意するものへと変化し、供養を行った僧侶や参列者へ食事を振る舞うことが一般的となりました。

つまり、法事のあとの食事は、遺族の心遣いをいただきながら故人を偲ぶ、もう一つの供養とも言えるのです。

忙しい人の中には食事を遠慮する人もいいますが、できれば一口でも良いので遺族の心遣いをいただき、食事を通した供養に参加しましょう。

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法事別の食事の内容

懐石料理の仕出し弁当

法事の食事は精進料理だけだと思う人も多いのですが、故人の法要によってその内容には違いが出てききます。

では、法要に合わせた食事となどのようなものなのでしょうか?

法事別に、用意するべき食事の内容を詳しく解説していきましょう。

お通夜

お通夜は故人が亡くなってから1日経たないうちに行われる法要で、遺族も忌中に入ったばかりです。

したがって、殺生につながる食材は可能な限り避け、身を清める食事を用意しなければなりません。

 

お通夜で用意される食事は、魚を使用していない巻き寿司やいなり寿司、山の幸だけで作られた煮物がメインです。

お通夜の食事は、人数分の席を個別に設けるのであれば一人あたりの食事代は3,000円ほど、参列者の人数が分からないときは、お通夜用のオードブルを業者と相談しながら注文すると良いでしょう。

初七日

初七日は故人が三途の川にたどり着く日で、遺族は故人が無事に渡れるよう法要を行います。

初七日の法要後も食事を用意しますが、現在では葬儀や火葬後に初七日を繰り上げ、「精進落とし」と呼ばれる食事を用意することも増えてきました。

 

精進落としの料理では海鮮ネタを使ったお寿司を振る舞うこともありますが、基本的には忌中になるので殺生に繋がる内容の食事は用意しません。

初七日の食事は、一人あたりの食事代が3,000円から5,000円の精進料理か懐石料理、もしくは一人3,000円の仕出し弁当を目安に用意してみましょう。

四十九日

四十九日は故人が仏様の元へ無事に辿り着く日で、法要をもって故人は仏様となり遺族が忌明けします。

四十九日を境に普通の食事に戻るため、海鮮ネタのお寿司やお刺身、お肉を使った料理も振る舞われることが一般的です。

 

用意する食事としては会席料理や仕出し弁当が一番多く、食事代は一人4,000円から7,000円、故人の社会的地位が高ければ1万円を超えることも少なくありません。

食事代は食事するお店や料理によっても異なるので、食事の内容と食事する場所をよく検討してから決めるようにしましょう。

回忌法要

回忌法要は故人の祥月命日に行われる法要で、一回忌、三回忌、七回忌というように決まった没年数ごとに行われます。

一回忌までは親族が集まる機会が多いのですが、三回忌以降になると本当に親しい身内の人たちだけで行われることが多く、食事も少しくだけた感じになります。

 

例えば、馴染みのレストランでちょっと良いコースをお願いしたり、行きつけの料理屋で和洋折衷のお膳を用意するといった具合です。

一回忌の法要で用意されるお食事の食事代は一人4,000円から6,000円ほどが目安です。

三回忌以降になると参加する人の好みに合わせたり、少し豪華な仕出し弁当を頼むこともあるため、事前にお願いするお店と相談して決めるようにしましょう。

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法事で食事する場所

会席の準備がされた会場

法事の食事は「ここでやらなければならない」という決まりはなく、状況によってさまざまな場所で行われています。

では、具体的にどのような場所で法事の食事が行われているのか、その内容を詳しく解説していきます。

自宅

故人の法要が行われたあと、自宅で食事を振る舞うケースも少なくありません。

一昔前は自宅葬が一般的だったため、お通夜や葬儀のあとにお膳を広げ一緒に食事をしながら故人の思い出を語り合う光景がよく見られました。

 

昔ながらの自宅葬ではありませんが、最近では小規模な家族葬が行われることも増えたため、参列者が少ないときには自宅で食事を振る舞うこともあります。

自宅で食事を振る舞う場合も、あらかじめ人数分の仕出し弁当を頼んでおけばあとは食事をするだけなので、気兼ねせずにゆっくりと語り合えることが魅力的です。

お寺の会場を借りる

法事をお寺の本堂で行う場合、お寺に隣接する会場を借りて食事を行うこともあります。

大きなお寺になると、ある程度の広さがある会場が用意されお茶なども入れられるため、事前に人数分の仕出し弁当を頼んで会場に届けてもらい、遺族が接待する形式で食事会が催されます。

 

お寺の会場を借りる上で一番大きなメリットは、移動する時間がないので参列者も遺族も楽に過ごせるという点です。

会場は予約制になっていることがほとんどなので、もし檀家となっているお寺に会場があり利用を考えるときには、法要の相談と一緒に会場利用について尋ねてみましょう。

料理店に出向く

法事の食事で一番多いのは、料理店に出向いて食事会を行うケースです。

法事といえば日本料理店が主流でしたが、最近ではホテルのレストランや旅館の一室を貸し切って行われることも多く、遺族の選択肢も増えてきました。

 

格式を重んじる場合は伝統的な日本料理店が良いですが、参列者に年配の人が多く正座が難しいようならホテルを利用したり、故人が好きだった料理店に出向いて店主に挨拶しながら、思い出とともに食事を摂るのも良い供養です。

法要の場所によっては移動が難しい場合もありますが、法事の食事は遺族の最大のおもてなしなので、参列者に満足してもらえるお店選びをしてみましょう。

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法事の食事での席順

座敷の会場

法事の食事では、着座する席順も気をつけなければならないポイントです。

本来ならおもてなしする側の喪主が上座近くに座ったり、喪主から離れた場所に遺族が座ったりなど、一般的な席順とは違う部分が多くあります。

では、法事の食事における正しい席順とはどのようなものなのか、着座する席順とその理由も交えて詳しく解説します。

最上席・上座には僧侶

法事の食事では、最上席と呼ばれる一番奥の一人席や入り口から遠い上座に、まず僧侶に座っていただきます。

法要を行ってくれた僧侶は、遺族にとって故人を供養してくれるありがたい存在であり、故人に近い存在と考えるため最上席や上座に案内するのです。

ただし、僧侶が食事を摂らない場合は、上座になるのは「故人との血縁が遠い人」「故人との関係性が遠い人」です。

僧侶の隣に喪主

僧侶が着座したら、その隣に喪主が座るようにします。

喪主の役割はおもてなしをすることなので、僧侶が食事しやすいよう気を配ったり会話を聞き逃さないような位置に座ったりしなければなりません。

 

もし喪主が高齢でお世話をすることが難しいようなら、喪主の隣に故人の近親者が着座し、二人以上で僧侶のおもてなしをして失礼のないように気を配りましょう。

僧侶が食事を摂らない場合は、喪主は上座に座らなくても大丈夫です。

次席から順に参列者

僧侶と喪主の席が決まったら、次席から順番に参列者が着席します。

この場合の参列者とは「親族ではない人」で、具体的に次のような人たちです。

  • 故人の友人関係者
  • 故人の仕事関係者
  • 近所に住む人たち
  • 遺族の友人関係者
  • 遺族の会社関係者

面識がないとなかなか把握しづらいかも知れませんが、友人関係者や仕事関係者はそれぞれ顔を見知っていることもありますので、奥の席へうながして席自体は参列者に決めてもらうと良いでしょう。

空席があると後で席を埋めにくくなるので、様子を見ながら詰めていただくよう声を掛けるようにしてください。

遺族は下座に着座

一般参列者が着座したら遺族が下座につきますが、このときにも考えなければならないのが「故人のと血縁の近さ」です。

例えば、80代の父親が亡くなった場合、近しい遺族となるのは「妻」「子」「子の配偶者」「孫」です。

 

若くして夫が亡くなった場合、近しい遺族となるのは「妻」「子」「夫の親兄弟」です。

若くして妻が亡くなった場合、近しい遺族となるのは「夫」「子」「妻の兄弟」です。

結婚していない子供が亡くなった場合、近しい遺族となるのは「親兄弟」です。

 

故人と近しい遺族であるほど下座に座るのが理想的なので、叔父や叔母・従兄弟といった親族にはできるだけ奥に座ってもらいましょう。

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法事の食事の場における挨拶例文

懐石料理

法事の食事では、食事の始まりと終わりに喪主の挨拶があります。

法事では「くれぐれ」「しばしば」といった重ね言葉や、「続く」「繰り返す」といった忌み言葉を使うことはマナー違反ですが、それは食事の挨拶でも変わりません。

 

しかし、自分で挨拶を考えるとなると、なかなか言葉が出てこなくて難しいですよね。

ここでは、法事の食事における挨拶の例文を解説していきます。

喪主の挨拶

法事の食事では、食事の始まりと終わりの二回喪主が挨拶をする機会があります。

法要のように長く話す必要はありませんが、参列者への感謝を述べる重要な機会なので、その点を踏まえて挨拶をします。

 

食事の前の挨拶例文は以下の通りです。

本日はお忙しい中、亡き〇〇(続柄・故人の名前)の法要にご参列を賜りまして、誠にありがとうございます。皆様のおかげで無事法要を終えられましたことに、心より感謝申し上げます。ささやかではございますがお食事を用意いたしましたので、召し上がりながら故人の思い出をお聞かせ頂ければと思います。

法事の食事の最後も、喪主が挨拶で締めると場が解けやすくなります。

みなさんの食事の進み具合や場の雰囲気を見計らって、良い頃合に締めの挨拶をしましょう。

食事の終わりの挨拶例文はつぎのとおりです。

本日はお忙しい中、亡き〇〇(続柄・故人の名前)の法要にご参列を賜りまして、誠にありがとうございました。皆様からの思い出話を聞いていると、まるで昨日のように故人の様子が思い浮かび暖かい気持ちになりました。本当にありがとうございました。以上をもってお開きとさせて頂きます。どうぞお足元に気をつけてお帰りください。

献杯の挨拶

献杯とは故人に捧げる盃のことで、弔事のときに行われます。

グラスに飲み物を入れて手に持ち少し上げて捧げる仕草をするのですが、その前に行われるのが献杯の挨拶です。

挨拶があると献杯もしやすくなりますので、次の挨拶例文を参考にして、その場にあった挨拶をしてみましょう。

本日はお忙しい中、故〇〇(続柄・故人の名前)の法要にご参列を賜りまして、誠にありがとうございます。無事に法要を終えることができて、〇〇(続柄・故人の名前)も喜んでいることと思います。本日は皆様と一緒に故人の思い出を語り合い、冥福を祈りたいと思います。それでは献杯いたしますのでご唱和をお願いします。献杯。

献杯は喪主以外でも良い

献杯をするときは、喪主が挨拶の流れで献杯をすることもありますが、献杯だけほかの遺族にお願いしても問題ありません。

例えば、喪主が女性だったりまだ若い人の場合、献杯だけ場に慣れている人にお願いするとスムーズに食事へ移行できます。

もし献杯の挨拶を喪主以外の人がするときには、次のような自己紹介を入れてから挨拶をするようにしましょう。

献杯の前にひとことご挨拶申し上げます、△△(自分の名前)と申します。私は故人の〇〇(続柄)にあたりまして、生前は大変仲良くさせて頂きました。(以下上記の献杯挨拶例文へ繋げる)

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法事の食事における注意点・マナー

指でバツを作る男性

最後に、法事の食事に参加するときの注意点やマナーを解説していきます。

法事の食事は法要後に行われるため、参加する人の多くはすでにふさわしい格好をしています。

 

しかし、食事ではお酒は入ったり遺族のお手伝いをすることもあるため、参加するときにはそれなりの準備が必要です。

では、法事の食事に参加するときにはどのような点に注意すれば良いのか、守るべきマナーもふくめて詳しくお伝えしていきます。

注意点・マナー①:服装

法事の食事に参加する服装は、喪服か喪服に準ずる服装です。

 

男性なら正喪服・黒やダークグレーのスーツに黒のネクタイで、エナメル質でなく金具がついていない黒の革靴で参加するようにしましょう。

食事でお酒を飲み暑くなったときは上着を脱いでもいいですが、ネクタイを緩めたりワイシャツのボタンを外すようなことはせず、節度を守った服装を保つようにしてください。

 

女性なら正喪服・黒やダークグレーのワンピースやツーピース・濃紺の洋服で、エナメル質でなく金具がついていないパンプスを履いて参加します。

肌を露出することも相応しくないので、ノースリーブやタンクトップのようなシャツは避け、透け感のないジャケットやカーディガンを羽織るようにしましょう。

もし法事の食事でお手伝いをすることがあるようなら、事前に黒に近い色の上着を用意しておき、食事の前に服を着替えておくと良いでしょう。

 

子どもも一緒に参加するときは、黒・濃紺・ダークグレーで洋服を選ぶようにし、派手な飾りや模様が入っていないもの選びましょう。

注意点・マナー②:髪型

男性の場合は、髪の毛を整えて清潔感が出るように心がけ、フケなどが落ちないように注意してください。

 

女性の場合は、髪が長い人はまとめ上げるか耳より下で縛っておき、食事の邪魔にならないようにします。

髪の毛の色も脱色しすぎているとマナー違反になりますので、法事の前に暗めの色に変えて参加するようにしましょう。

 

子どもの髪型も清潔感が一番なので、長い髪はまとめて束ねるか、前に落ちてこないようにピンで留めるようにしましょう。

注意点・マナー③:アクセサリー

法事で許されるアクセサリーは、一連の真珠のネックレスや真珠の指輪・真珠のイヤリング・真珠のピアスです。

食事は法事の後に行われるため、法事のときのアクセサリー類であれば基本的に問題ありません。

 

ただし、気をつけなければならないのが、指輪やブレスレットです。

特に、パワーストーンなどのアクセサリーの場合、たとえ真珠であっても食事をする際に邪魔になったり、お手伝いをするときに食器にひっかかり迷惑を掛けることもあります。

 

もし法事の食事でお手伝いをすることがあるようなら、手や手首についているアクセサリー類は外してから手伝うようにしましょう。

注意点・マナー④話の内容に気をつける

法事の食事ではさまざまな人と会話をする機会がありますが、相手が気分を損ねるような話や争い事になる話をしてはなりません。

例えば、「故人にお金を貸していて返してもらっていない」「故人に騙されて酷い目に遭った」というような話は、聞いている人もどうして良いか困りますし、遺族も対応に悩みます。

 

この他にも、お酒が入ったことで気持ちが大きくなり、ギャンブルや風俗などの下世話な話をして場の空気を悪くする例もあります。

故人の供養という大切な儀式後の食事なので、話の内容には気をつけて場の空気を壊さないように心掛けましょう。

注意点・マナー⑤:はめを外さない

法事の食事で一番トラブルになるケースが、お酒を飲みすぎてはめを外すことです。

故人の思い出話を重ねるうちについお酒が進みすぎてしまい、大声で怒鳴ったり大騒ぎをしたり、無理やりお酒を飲ませようとして迷惑を掛ける人は少なくありません。

 

また、お酒を飲んで気分が良くなった人が、女性の腰や肩に手を回して離さないなどの行為もセクハラになり、最悪の場合訴えられる可能性もあります。

法事の食事は故人を偲んで静かに語らう場所であることをよく念頭に置き、はめを外さないよう心がけて出席するようにしましょう。

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まとめ

天ぷらの盛り合わせ

今回は、法事の食事の基本的な知識から注意点やマナーまで、幅広く解説してきました。

 

法事のあとの食事は、遺族の感謝の気持ちを頂きながら故人を偲ぶ大切な機会です。

きちんとしたいと思うからこそ、法事の食事を準備するのが難しいと感じてしまいますが、それぞれの法要の意味がわかっていればスムーズに準備を整えられます。

心のこもった食事を用意して、故人を偲ぶ温かな時間を過ごしましょう。

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