葬儀を行なったとき、参列してくださった方々に「会葬御礼(読み方:かいそうおんれい)」を渡します。
会葬御礼は、お礼状とちょっとした贈り物がセットになっているため、葬儀のお礼に相応しい品物を選ばなければなりません。
では、会葬御礼を準備する時はどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか?
今回は、会葬御礼に相応しい品物や具体的な準備方法、会葬御礼を準備する際の注意点を詳しく解説します。
目次
会葬御礼とは

会葬御礼とは、故人の葬儀に参列してくださった方々に対し、遺族がお礼の気持ちを形にして表したものです。
会葬礼状・会葬御礼品がセットになっており、受付係がお礼とともに渡すのが一般的です。
会葬礼状には、葬儀の日時・場所・喪主の名前などが記されており、参列者が会社や学校で忌引きを取った際の証明書類にもなります。
会葬御礼品は、足を運んでくださった参列者に対する遺族からのお礼の気持ちが込められており、参列者の負担にならないよう小さくて軽い品物を用意することが多いです。
近年では、新しい葬儀の形式として家族葬などの小規模葬が行われるようになりましたが、会葬御礼はお参りしてくださったことへのお礼なので、参列者の人数に応じてそれに相応しい会葬御礼を準備しましょう。
香典返しとの違い
会葬御礼は、参列者へお礼状と品物を渡すことから、よく「香典返し」と間違えられます。
本来香典返しは、故人の四十九日が済んでから行うものですが、葬儀の当日にお返しする「当日返し」を行うケースもあるため、より混同する人も少なくありません。
しかし、香典返しは、もらった香典に対するお礼なので、会葬御礼が持つ意味合いとはまったく異なります。
「会葬御礼は参列の御礼」「香典返しは香典の御礼」とはっきりと分け、参列者に失礼のないようにしてください。
会葬御礼で準備する物は?

会葬御礼は、お渡しするものが一つの小さな袋にまとめてあるため、具体的にどのようなものを準備するべきか迷う人も多いことと思います。
ここでは、会葬御礼で準備するものについて解説しましょう。
会葬御礼状
会葬御礼状とは、故人の葬儀へ参列してくれたことへの感謝の気持ちを綴った、遺族からのお礼状のことです。
具体的には、次のような内容が書かれています。
- 故人の名前・命日・享年
- 葬儀への参列に対するお礼の言葉
- 葬儀が行われた年月日
- 喪主の住所・氏名
葬儀の最中は、遺族が参列者一人ひとりに挨拶をすることができません。
そのため、会葬御礼状を用意して挨拶に変えさせてもらい、感謝の気持ちを伝えます。
会葬御礼品
会葬御礼品は、葬儀場まで足を運んでくれたことへのお礼の品物です。
故人と最後の別れをするために、時間を割いて駆けつけてくださったことに対する感謝の気持ちを、品物に代えて伝えます。
会葬御礼品は、喪服で訪れる参列者のことも考えて、持ち運びやすい品物を選ぶのが一般的です。
最近では、少しモダンなギフトセットなども用意されていますので、予算を考えながら選んでみましょう。
会葬御礼はどこで用意する?

会葬御礼を用意することはわかっていても、いざ必要となるとどこに頼むべきかわからないという人も少なくありません。
特に、故人が急逝した場合、何の準備もできていないため余計に焦る人もいます。
ここでは、会葬御礼を用意できる具体的な場所をお伝えしましょう。
葬儀社で用意する
ほとんどの葬儀社では、すべてがセットになっている会葬御礼を取り扱っています。
料金によって多少の違いはありますが、カタログの中から会葬御礼状と品物を選んで依頼すれば、後は葬儀社の方で用意をしてくれるため安心です。
参列者の人数がわからない場合でも、足りなければ補充したり多すぎたら引き取ったりと柔軟に対応してくれるため、遺族で用意することが難しい場合は葬儀社に依頼すると良いでしょう。
ギフトショップで用意する
参列者の人数がある程度把握できているのであれば、冠婚葬祭のギフトショップで用意するのも良い方法です。
ギフトショップのカウンターで、「会葬御礼のお礼状と品物を用意したい」と伝えれば、サンプルやカタログから好みのものを選んで用意できます。
自分では選びきれないようでしたら、ショップの人と相談しながら相応しいものを選ぶと良いでしょう。
ただし、ギフトショップは必要数を発注して用意するため、足りなくなってもすぐに用意できるわけではありません。
あらかじめ参列者の人数を把握したり、葬儀社とギフトショップを比較してどちらが良いか検討してから決めましょう。
会葬御礼として相応しい品物

会葬御礼で渡す品物は、参列者の荷物にならないよう、軽くて小さいものが好まれます。
ここでは、会葬御礼として相応しい品物を紹介しますので、迷ったときの参考にしてください。
- お茶
- のり
- ハンカチ・ハンドタオル
- スティックのコーヒー・紅茶
- 軽いお菓子
- クオカード・図書カード
お茶
会葬御礼の品物として定番なのが、緑茶のセットです。
緑茶は日常的に飲むものなので、年齢層を問わず人気があります。
一番多いのは、薄い袋にお茶の葉がパッケージングされているものですが、最近では緑茶のディーバッグセットも見かけるようになりました。
少し上等なお茶だと缶入りがありますが、こちらも二缶ほどのセットなら気にするような大きさではありませんし、茶葉自体が軽いので持ち運びも苦になりません。
どのタイプを選ぶかによって多少料金に差がありますので、参列者の年齢層を考えて選んでみましょう。
のり
食卓でいただくのりのパックも、会葬御礼品としてよく選ばれる商品です。
食べやすい大きさにカットされたのりが、6枚1パックになっているものをイメージすればわかりやすいかと思います。
会葬御礼品では、数袋ののりパックが一つの箱に収められており、入っているのりパックの個数で値段も違ってきます。
少し値段が高くなると、手巻き用の焼きのりが入っていることもありますので、予算に合わせてどののりにするか選ぶと良いでしょう。
ハンカチ・ハンドタオル
上品なハンカチやハンドタオルも、会葬御礼品でよくみられる商品です。
派手な色合いやデザインのものではありませんが、無地に近く落ち着いたハンカチやハンドタオルは、会社や学校でも使えるので人気です。
少し費用に余裕があるときは、有名メーカーのハンカチやハンドタオルを選んでも良いでしょう。
ただし、男女どちらかに偏ったデザインだといただいても使いにくいことがありますので、選ぶ際には性別を意識しないデザインにしてください。
スティックのコーヒー・紅茶
近年では、緑茶を飲む習慣がない人も増えてきたため、スティックのコーヒーや紅茶も人気があります。
コーヒー・紅茶は好みがありますが、いただいた人が飲めない場合も家族に分けやすく、使い切りタイプであることも選ばれる理由の一つです。
参列者の人数がある程度決まっており、相手の好みがわかっているようなら、スティックのコーヒーや紅茶を会葬御礼品にしてみると良いでしょう。
軽いお菓子
クッキーやガレットなどの焼き菓子は、軽くて見栄えも良いことから幅広い年齢層に人気があります。
さらに、焼き菓子は少量でもパッケージが大きくなることから、あまりお金をかけられない人も負担になりません。
最近はニーズに合わせてさまざまなお菓子が選べますので、周囲の人と相談しながら一番良いと思うものを選んでみましょう。
クオカード・図書カード
クオカードや図書カードは、実用性のある会葬御礼品として人気があります。
また、パッケージが小さく薄いため手持ちのカバンに入れられるということも大きなメリットです。
ただし、クオカードや図書カードは金額がわかってしまうため、年齢層の高い人は少し難色を示すかもしれません。
クオカードや図書カードを会葬御礼品として検討する場合は、周囲の人とよく話し合ってから決めるようにしましょう。
会葬御礼にかかる費用

会葬御礼にかかる費用は、平均すると500円〜1,000円です。
少し余裕がある場合は、1,000円〜1,500円ほどで用意します。
もちろんそれ以上のものを用意しても問題ありませんが、あまり立派なものは参列者も恐縮することがありますので、高くても1,500円以内で納めるようにしましょう。
会葬御礼を渡すタイミング

会葬御礼は遺族からの御礼なので、できれば1人ひとりに手渡したいところです。
しかし、葬儀の間は遺族も忙しいため、直接渡すことはできません。
では、会葬御礼はいつ渡すべきなのか、そのタイミングについてご紹介します。
一般葬の場合
一般葬の場合は、受付に会葬御礼を用意しておき、記帳後に参列者へ手渡します。
遅れて参列した方には、後から参列の御礼を述べて渡してください。
一般参列者が多い時は、最初に用意した数では足りないこともあります。
受付にいる人は状況を見て判断し、会葬御礼を補充して渡し損ねがないようにしましょう。
家族葬・小規模葬の場合
家族葬や小規模葬の場合は、参列者も少なく受付がないことも多いため、少しタイミングが難しくなります。
家族葬・小規模葬で受付を設けている場合は、記帳の後に会葬御礼を渡してください。
受付を用意していない場合は、参列者が帰るタイミングで渡すとスムーズです。
宗教者の儀式などがなく、自由に訪れてお別れをする自由葬の場合は、会場の隅に会葬御礼を用意しておき、それぞれの参列者が帰るタイミングで渡すと良いでしょう。
香典辞退した際の会葬御礼

家族葬や小規模層では、遺族が香典辞退をすることがあります。
香典辞退の葬儀を行なった場合、会葬御礼は必要なのでしょうか?
遺族が香典辞退をした場合の会葬御礼について、具体的な例を挙げて解説しましょう。
会葬御礼状だけ用意する
遺族が香典辞退をしており、「お金の関係で葬儀費用を抑えたい」という場合は、会葬御礼状だけを用意して渡しましょう。
会葬御礼状は忌引きの証明にもなりますし、参列者へ感謝の気持ちを伝えられます。
最近では、遺族の意向を組んだオリジナルの会葬御礼状を作成してくれる業者もあります。
「香典は辞退するけど、何かしらお渡しした方が良いのでは?」と悩む人は、会葬御礼状を用意しましょう。
会葬御礼品も用意する
そもそも、会葬御礼品は「参列してくださったことへのお礼」なので、香典辞退とは関係ありません。
したがって、香典辞退をしていても何かしらのお礼をしたいという場合は、会葬御礼品を用意して渡しましょう。
参列者がごく少数の場合は用意しない
参列者が身内のみで、5人〜10人程度の少人数で見送る場合は、事前に会葬御礼状なしにする相談をしておくと、理解を得られやすくなります。
ただし、会葬御礼状を忌引きの証明にすることができません。
必要がある場合は葬儀社に相談し、「葬儀証明書」を発行してもらいましょう。
会葬御礼品を用意する際の注意点

会葬御礼品を用意する際には、気をつけなければならない注意点があります。
具体的な例を紹介しますので、用意をする前の参考にしてください。
- 小さくて軽い品物を選ぶ
- 多めに用意する
- 香典辞退の時は周囲と話し合う
小さくて軽い品物を選ぶ
葬儀に参列する人のほとんどは、喪服やそれに準じた服装です。
特に、仕事帰りにお通夜へ参列してくださる人の場合、手荷物が多いこともあります。
このような場合、会葬御礼が大きいと参列者が持ち帰りにくく負担になりますので、会葬御礼品は軽くて小さいものや嵩(かさ)張らない品物を選びましょう。
多めに用意する
会葬御礼は参列者へ渡すものなので、渡し損なわないよう多めに用意してください。
葬儀社にお願いする場合は、相談すれば調整をしてもらえるため安心です。
参列者の人数がわかっている場合も、後から弔問に訪れた人にお礼として渡せますので、多めに用意をして感謝の気持ちを伝えられるようにしましょう。
香典辞退の時は周囲と話し合う
香典辞退の際は、対応方法に選択肢があるため、まずは周囲と話し合うことが大切です。
例えば、あらかじめ参列者が決まっているのなら会葬御礼をしないことも伝えやすいですし、お互い納得できているので問題ありません。
しかし、同じ小規模葬でも一般参列者や親族が集まるのであれば、会葬御礼がないことに苦言を述べられるかもしれません。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも周囲の人とよく話し合い、自分たちにとって一番良い選択肢を選ぶようにしてください。
まとめ

会葬御礼は、葬儀ではできなかったご挨拶を会葬御礼状で伝え、会葬御礼品で遺族の感謝を表すものです。
会葬御礼に相応しい品物を選んで、参列者に心からのお礼が伝わるようにしましょう。