身近な人が亡くなったとき、その葬儀に参列する人は会社や学校も忌引き休暇を申し入れます。
忌引きは公的に休むことを認められた期間ですが、その際には会社や学校の規定にしたがって連絡しなければなりません。
しかし、故人が亡くなった時間帯や連絡する相手によって、忌引きの連絡方法は異なります。
では、会社や学校に忌引きの連絡をするときには、どのような連絡方法や伝え方があるのでしょうか?
今回は、忌引きの連絡方法や注意点・マナーについて、連絡先別に詳しく紹介します。
目次
忌引きとは

忌引きとは、故人を弔うために会社や学校を休み喪に服する期間のことです。
日本では古くから「死を穢れを周囲の人に近づけさせない」という考えのもと、忌引きをして表に出ないという習慣があります。
これに基づき生まれたのが「忌引き休暇」で、多くの会社や学校でこの制度が取り入れられるようになりました。
ただし、忌引き休暇は法律で定められている休暇ではないため、会社が学校の規定によって休める日数や範囲は異なります。
忌引きを休暇を取る際には、勤めている会社や学校の規定を事前に確認し、それぞれの規定に合わせて忌引き休暇を取るようにしましょう。
忌引きの範囲・日数

会社や学校を忌引きできる人の範囲や日数は、故人との血縁関係の近さによって変わります。
さらに各会社の規定や学校の規則によって、休める人の範囲や日数もまちまちです。
ただし、一般的な忌引きの範囲・日数の目安はありますので、「忌引きの範囲や日数はある程度把握しておきたい」という人は次の例を参考にしてみましょう。
- 故人の配偶者:10日
- 故人の両親:1週間~10日
- 故人の子供:5日
- 故人の孫:1日
- 故人の祖父母:1日~3日
- 故人の叔父叔母:1日
- 故人の配偶者の両親:3日
- 故人の配偶者の祖父母・兄弟姉妹:1日
忌引きの連絡方法

忌引きの連絡をする場合、最初に考えなければならないのは「確実に相手に伝わる方法で連絡すること」です。
しかし、故人が亡くなった時間帯によっては相手の都合も考え、状況に合わせて連絡方法を変えなければなりません。
では、どのような連絡方法で忌引きを伝えれば良いのか、状況別に紹介しましょう。
基本は電話連絡
忌引きの連絡は、「故人の逝去」と「忌引きで休むこと」を確実に伝えることが大切です。
したがって、基本となるのは電話での連絡方法です。
ただし、状況によっては相手が電話に出られず、留守電につながることもあることでしょう。
そのような場合は、いったん留守電に短く状況を伝えたメッセージを残しておき、後から改めて電話をし直して詳細を伝えるようにしてください。
時間外・夜中などの場合はメールで第一報を伝える
故人が亡くなった時間帯が深夜だったり、会社や学校が開いていない時間帯だった場合は、メールで第一報を伝えるようにします。
メールでもできる限り詳細を伝え、読んだ相手がわかるようにしておくと良いでしょう。
しかし、メールでの連絡は相手が気付くのが遅れたり、その他のメールに紛れて確認してもらえないこともあります。
メールでの連絡はあくまで第一報と考え、相手に連絡しても失礼ではない時間帯になったら、改めて電話連絡するようにしてください。
忌引きの連絡をする方法:会社の場合

忌引きの連絡は、「忌引き休暇を申請する人が直接関わっている人」か、「規定によって定められた部署」に連絡しなければなりません。
さらに、時間帯によって連絡方法も変え、相手に失礼がないよう配慮することが大切です。
では、もし会社に連絡をする場合はどのような方法を取れば良いのか、具体的な連絡方法を時間帯・状況別に解説しましょう。
稼働時間内なら直属の上司に電話連絡する
忌引きの連絡は、会社の稼働時間内なら直属の上司宛に、直接電話連絡するのが一番良い方法です。
直属の上司であれば、仕事の引き継ぎやスケジュールについても相談しやすいですし、勤め先の規定によっては忌引きの申請をしてもらえることもあります。
直属の上司に電話連絡した後、その後の手続きについて具体的な指示が出されるようでしたら、それにしたがって連絡するようにしてください。
会社で規定がある場所は指定先へ連絡する
会社の規則を確認したとき、忌引きの連絡について詳細な規定があるようなら、それにしたがって連絡するようにしましょう。
こちらの場合も基本は電話連絡になりますが、もし営業時間外でつながらないようでしたらメールで第一報を入れてください。
ただし、この場合は「会社の規定に合わせた忌引きの連絡」なので、仕事関係者への直接連絡には入りません。
したがって、できれば指定先へ電話連絡した後に直属の上司にも連絡を入れ、忌引き休暇を取ることを伝えて業務の引き継ぎができるようにしておきましょう。
深夜・早朝の場合はメールで第一報を出す
故人の亡くなった時間帯によっては、直属の上司や会社への連絡が不可能なことがあります。
その場合は、まず第一報としてメールで連絡し、その後タイミングを見計らって電話を入れるようにしてください。
業務連絡用のグループチャットがあるようなら、そちらに第一報を入れても大丈夫です。
こちらもあくまで仮連絡になりますので、後ほど必ず電話で連絡するようにしてください。
忌引きの連絡をする方法:学校の場合

学校に忌引きの連絡をする場合も、会社に連絡するのと同様に、時間帯に合わせて連絡方法を変えなければなりません。
しかし、学校は特定の誰かに連絡することが難しいことも多いため、臨機応変に「直接話ができる人」を探す必要があります。
では、学校に忌引きの連絡をする場合にはどのような方法があるのか、具体的な例を紹介しましょう。
学校が開いている時間なら代表番号に電話する
学校が開いている時間帯に忌引きの連絡をする場合は、学校の代表番号へ電話を掛けて故人の訃報と忌引きを伝えます。
その際、学校を休むのは子供になりますので、「子供から見た故人の続柄」を伝えなければなりません。
たとえば、故人が子供から見て祖父にあたる場合は、「〇〇(子供の名前)の祖父が亡くなりましたので忌引きでお休みします」という感じです。
まずは代表番号に掛けて担任への取り次をお願いし、授業中などで無理な場合は伝言をお願いしておきましょう。
学校が開いてない時は担任へ直接電話する
学校が開いていない時間帯に忌引きの連絡をしたい場合は、担任の携帯へ直接電話する方法があります。
最近では、学校支給の携帯電話を担任が所持していることもありますので、担任直通の電話番号を知っている場合は直接電話をして、訃報と子供の忌引きを伝えるようにしてください。
深夜・早朝の場合の場合は担任へメールする
故人の亡くなった時間帯によっては、深夜や早朝にしか連絡できないこともあります。
そのような場合は、担任のメールアドレスに第一報を入れておくのも一つの方法です。
もちろん後から電話で詳細を伝えるようにしますが、メールは文字として情報が残るため、担任が情報を取り違える可能性も低くなります。
もし日中の電話連絡が繋がらず、担任のメールアドレスを知っているようであれば、メールで忌引きの第一報を伝えておきましょう。
学校・担任に連絡がつかない時の対処法
もし学校や担任に連絡がつかない場合は、学校関係者へ連絡して伝言を頼む方法もあります。
ここでは、学校や担任に連絡がつかない時の具体的な対処法を紹介しますので、いざというときの参考にしてください。
対処法①:PTAの役員に連絡してみる
PTAの役員は、学校の先生方と密に連絡を取り業務を行っています。
したがって、すぐに連絡が取れるよう個人の電話番号を知っていることも多く、いざという時に連絡を取れる可能性があるのです。
もし学校にも担任にも連絡が取れず、せめて伝言だけでも頼みたいという場合は、PTAの役員に連絡してみるのも良いでしょう。
対処法②:クラス代表の保護者に連絡してみる
クラス代表の保護者は、学校行事の関係で担任と連絡を取る機会も少なくありません。
そのため、担任が直接連絡できる電話番号を教えていることもあり、伝言をお願いできることもあります。
クラス代表の保護者と親しい場合は、事情を話して伝言をお願いしてみましょう。
対処法③:部活動の顧問に連絡してみる
子供と直接関わる先生の中に、部活動の顧問の先生がいます。
部活動は子供と密接に関わるつながりなので、部活動の顧問の先生が連絡先を教えているケースも多いことでしょう。
忌引きの間は子供も部活には参加できませんし、もし顧問の先生の連絡先を知っているようならそちらに第一報として連絡をしておき、担任に伝言をお願いしてみましょう。
忌引きの連絡で伝えるべき内容

忌引きの連絡は、ポイントを押さえて情報を伝えることでスムーズに話が伝わります。
そのため、事前に伝えるべき内容をまとめ、わかりやすいように準備をすることが大切です。
では、忌引きの連絡ではどのような内容を伝えるべきなのか、具体的な例を紹介しましょう。
忌引きを取る人からみて誰が亡くなったのかを伝える
忌引きの連絡では、忌引き休暇を取る人から見て誰が亡くなったのかを伝えることが大切です。
したがって、連絡する前には「〇〇の祖父」「〇〇の母」というように、休む人から見た故人の続柄を確認しておきましょう。
連絡をする際、故人を亡くしたショックで気が動転し続柄が出てこないこともありますので、うまく言えない場合はメモをするようにしてください。
葬儀日程と時間・場所を伝える
忌引きの連絡をしたとき、会社や学校から故人の葬儀日程と時間・場所を尋ねられることがあります。
これは、故人の葬儀日程に合わせてお通夜やお葬式に参列したり、供物や供花を送るために必要な情報で、ほとんどの学校や会社から尋ねられます。
忌引きの連絡をする段階で、故人の葬儀日程と時間・場所が決まっているようでしたら、それらの内容をメモにして確実に伝えられるように準備しましょう。
いつまで休むのかを伝える
忌引きで休める日数は、会社や学校によって決まりがあります。
しかし、状況によっては規定以上の日数を休まなければならないことも多く、「3日までは忌引き、それ以上の休みは有給」というように休むケースもあるのです。
さらに、会社の場合は仕事の関係もあるため、出来るだけくわしく休む日数を伝えなければなりません。
忌引きの連絡をする時は、「〇日間休みます」という伝え方よりも、「〇月〇日まで休みます」というように伝えてみましょう。
忌引きの連絡をする際の文例

忌引きの連絡で伝えなければいけない内容は把握していても、実際に電話で伝えようとすると上手く言えないという人も多いことでしょう。
そこで、ここでは忌引きの連絡をする際の文例をケース別に紹介します。
伝えるべき文章をまとめる際の参考にしてみましょう。
会社関係へ連絡する際の文例
会社関係へ連絡する際には、「自分にとって誰が亡くなったか」「葬儀はいつどこで行われるか」「いつまで休むか」を伝えなければなりません。
具体的な例は以下のようになりますので、こちらを参考に文章を考えてみましょう。
お疲れ様です、〇〇です。
実は昨晩祖母が亡くなりまして、忌引きを頂きたくご連絡いたしました。
お通夜が○月○日、お葬式が○月○日の予定ですが、お手伝いをする関係で○月○日までお休みを頂きたいと思っております。葬儀会場は〇〇斎場です。
急なことで申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
学校関係へ連絡する際の文例
学校関係への連絡も、会社の時と同様に「休む人からみて誰が亡くなったか」「葬儀日程」「いつまで休むか」を伝えるようにします。
基本となる文例は次のとおりですので、こちらを参考にして文章を考えてみましょう。
お世話になっております、〇〇の母です。
実は昨晩〇〇の祖母が亡くなりまして、〇〇の忌引きを頂きたくご連絡いたしました。
お通夜は○月○日、お葬式は○月○で、△△県の〇〇葬儀場で葬儀を行います。
葬儀後のお手伝いまで含めると規定の忌引き日数よりも長く、○月○日までお休みすることになるかと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
忌引きを取る際の注意点

忌引き休暇を取る際には、注意するべき点があります。
では、具体的にどのようなことに気をつけなければならないのか、連絡する際の注意点を3つ紹介しましょう。
- 必ず規定・規則を確認する
- できるだけ早く連絡する
- 忌引きの届出に必要な書類を用意する
注意点①:必ず規定・規則を確認する
忌引き休暇の日数は、各会社や学校の規定・規則によって定められています。
したがって、連絡をする際には規定・規則を事前に確認し、葬儀日程と照らし合わせて「いつまで休むか」を伝えなければなりません。
規定や規則は、会社の就業規則や生徒手帳に記載されていますので、そちらをよく確認してから休む日程を組み、詳細を伝えるようにしてください。
注意点②:できるだけ早く連絡する
忌引きの連絡を受けた会社や学校は、規定や規則にのっとって手続きを行います。
特に、会社の場合は休んでいる間の仕事のフォローやシフトの組み替えなどもありますので、できるだけ早く連絡しなければなりません。
本来なら葬儀日程まで伝えるべきですが、もし会社や学校へ連絡する時点で日程がはっきりしていなくても、できるだけ早い段階で連絡をして業務に支障が出ないようにしましょう。
注意点③:忌引きの届出に必要な書類を用意する
忌引きで会社や学校を休んだ場合は、それを証明するための書類が必要です。
これは「本当に葬儀が行われたこと」を示すために用意するもので、一般的には以下のような書類が認められます。
- 故人の死亡診断書
- 火葬許可証
- 葬儀の施行証明書
- 会葬礼状
死亡診断書や火葬許可証は、原本ではなくコピーでも問題ありません。
葬儀の施行証明書は、葬儀社に依頼して用意してもらいましょう。
忌引きの連絡をする際のマナー

忌引きの連絡は、連絡する相手の立場や状況を考えて行うのがマナーです。
ここでは、忌引きの連絡をする際に気をつけるべきマナーを3つ紹介しますので、こちらを参考にして忌引きの連絡を行いましょう。
- できるだけ電話連絡を優先する
- 時間帯によって連絡方法を使い分ける
- 伝える内容を簡潔にまとめておく
マナー①:できるだけ電話連絡を優先する
忌引きの連絡は、相手が情報を取り違えないよう、できるだけ自分の言葉で伝えることが大切です。
できれば対面で伝えたいところですが、状況によっては直接顔を合わせることも難しいでしょう。
したがって、対面の次に直接言葉で伝えられる電話連絡を優先し、誠意を持って忌引きの連絡を入れるようにしてください。
マナー②:時間帯によって連絡方法を使い分ける
故人の亡くなった時間帯によっては、連絡を入れる時間が相手に失礼になる可能性があります。
できるだけ早く連絡をすることも大切ですが、相手の都合も考えなければなりません。
会社の就業時間や学校が開いている時間は電話、電話連絡が失礼になる時間はメールというように、時間帯によって連絡方法を使い分けましょう。
マナー③:伝える内容を簡潔にまとめておく
忌引きの連絡では、伝えるべきポイントが決まっています。
しかし、故人を亡くしたばかりの遺族は心身ともにショックを受けているため、いざ連絡をしようとすると言葉が出ないというケースも少なくありません。
忌引きの連絡をする前には、伝えるべき内容を簡潔にまとめておき、スムーズに伝えられるよう準備をしておきましょう。
まとめ

忌引きの連絡は、相手の状況や時間帯に合わせて連絡方法を変え、伝えるべき内容を確実に伝えることが大切です。
まずはしっかり内容をまとめておき、電話連絡を優先しながら状況を見て、メールや伝言をお願いするなどの対処法を取るようにしましょう。