相続登記は、亡くなった方(「被相続人」といいます)が所有していた不動産について、法務局に申請し、登記簿上の名義を相続人に変更することです。
相続登記の申請は、必要書類を集めて申請書を作成し、法務局に足を運んで提出するといった作業があり、慣れない方にとっては大きな負担になるかもしれません。そのため、最近では相続登記の手続きを専門家やネットサービスにまとめて任せられる「相続登記サービス」を利用する方も増えています。
この記事では、相続登記サービスの違いとメリット・デメリット、サービスの選び方、具体的な利用の流れ、上手に活用するためのポイントを解説します。
目次
相続登記サービスの違い
相続登記サービスとは、どのようなサービスなのでしょうか。サービスを提供する会社や、サービスの形態ごとに違いを見ていきましょう。
<相続登記サービスの分類>
- サービス提供元の種類による違い
- サービスの形態による違い
サービス提供元の種類による違い
相続登記サービスは、主に司法書士事務所や専門サービス会社が提供しているサービスの総称です。
司法書士事務所が提供するサービスでは、相続登記の手続きに精通している司法書士が直接業務を行うため、相続登記に関する専門性が高いといえます。対面で相談できる場合が多く、個別の事情に応じた柔軟な対応ができるという特徴がありますが、事務所によって費用に幅があることには注意が必要です。
一方、専門サービス会社が提供する相続登記サービスは、オンラインで手軽に申し込めるケースが多く、相談などに直接足を運ぶ手間や時間が軽減されやすいという特徴があります。また、多くのサービスでは料金があらかじめ明確に示され、内容も標準化されていることが多いため、費用面での見通しを立てやすいでしょう。サービス提供元によって、サポート範囲や料金体系は大きく異なるため、数社を比較検討することが大切です。
サービスの形態による違い
主な相続登記サービスの提供形態には、オンライン型サービス、対面型サービス、両方を組み合わせたハイブリッド型サービスがあります。
オンライン型サービスは、インターネットを介して申込み、必要書類のやりとりを郵送やオンラインで行う形態です。スマートフォン(スマホ)やパソコンがあれば自宅から申込みできるため、忙しい方や、近隣に司法書士事務所がない方でも利用しやすいといえます。
対面型サービスは、司法書士事務所などに直接訪問し、相談や必要書類のやりとりを進める形態です。顔を合わせて相談できる安心感があり、複雑な事情がある場合や細かい点をその場で確認したい場合に向いています。
ハイブリッド型サービスは、オンライン型と対面型を組み合わせたサービスで、最初の相談はオンライン型、詳細の打ち合わせは対面型など、状況に応じて柔軟に対応できることが特徴です。
相続登記サービスを利用するメリット・デメリット
相続登記サービスを利用する最大のメリットは、相続登記に関する手続きの負担を大きく軽減できることです。必要書類の取得サポート、申請書類の作成、法務局への提出、補正対応などをサービス側が担ってくれるため、ご自身で一から調べる必要がなくなります。サービス提供元によっては、相続登記だけでなく、戸籍収集や遺産分割協議書の作成補助など、行政書士が行うような相続手続きのサポートも可能です。オンライン型サービスを利用すれば、自宅からやりとりを完結させることも可能で、時間の節約にもつながります。
相続登記サービスを利用するデメリットは、サービス利用料や専門家への報酬が発生することです。また、サービス提供元によってサービス内容や料金が異なるため、比較検討に時間がかかる場合もあるでしょう。ただし、ご自身で手続きした場合に発生しがちなミスややり直しのリスクを考えると、費用をかけてでも安心して任せたい方にとっては有力な選択肢になります。
相続登記サービス選びのポイント
相続登記サービスの内容・料金は、提供会社やプランによってさまざまです。ここでは、ご自身に合ったサービスを選ぶためのポイントを紹介します。
<相続登記サービス選びの主なポイント>
- 相続登記サービスの内容を比較検討する
- 専門家の資格と実績を確認する
- 簡単に依頼できるかを確認する
相続登記サービスの内容を比較検討する
相続登記サービスを選ぶ際には、まず料金体系とサービス内容を比較検討することが重要です。相続登記の申請だけを代行するシンプルなプランもあれば、必要書類の取得サポートや、相続手続き全般の相談をまとめて受けられるプランもあります。どこまでの範囲を任せたいのかを整理し、ご自身の希望に合うサービスかどうかを確認しましょう。
例えば、「必要書類は自分で集められるので申請部分だけ任せたい」のか、「申請だけでなく、必要書類の収集や遺産分割協議書の作成補助などを一括でサポートしてほしい」のかによって、適したサービスは変わります。公式のウェブサイトや資料で「基本料金に含まれる内容」と「追加料金が必要な内容」をよく確認し、総額のイメージを持っておくことが大切です。
専門家の資格と実績を確認する
司法書士事務所に依頼する場合は、まず資料で相続登記の手続きに豊富な実績があるかを確認することをおすすめします。過去の事例や利用者の声が掲載されていれば、サービスの雰囲気をつかむ参考になります。さらに初回面談では、相続登記に関する疑問や不安に丁寧に答えてくれるか、手続きの流れや必要書類をわかりやすく説明してくれるかをチェックしましょう。
専門サービス会社に依頼する場合は、内部で誰が業務を担当しているのかを確認することが重要です。相続登記の代理申請を行える専門家は、司法書士と弁護士に限られます。そのため、これらの資格を持つ専門家が在籍しているか、相続登記の案件実績が豊富かといった点について、相続登記サービスの公式のウェブサイトや資料から確認することをおすすめします。
簡単に依頼できるかを確認する
相続登記サービスを選ぶときには、「どれだけ簡単に依頼できるか」も大切なポイントです。オンライン型サービスの場合、申込みフォームや必要書類の案内がわかりやすいかといったことを確認してください。フォームの入力や書類準備の手順が複雑な場合、結果的に依頼者の負担が大きくなってしまうおそれがあります。
相続登記は専門用語も多く、慣れない方にとってはサービス同士を比較すること自体が難しいかもしれません。その場合は、できるだけ手続きがシンプルに設計されているサービスを選ぶと安心です。
オンライン型サービスであれば、スマホで簡単に相続登記の依頼ができ、定額制で料金が明確な「そうぞくドットコム」のようなサービスがわかりやすいでしょう。
相続登記サービス利用の流れ
相続登記サービスを実際に利用する際の大まかな流れを知っておくと、利用する際にスムーズです。ここでは、オンライン型・対面型に共通する基本的なステップを紹介します。
STEP1:サービス問い合わせ
相続登記サービスを利用する際は、まずサービス提供元の司法書士事務所や専門サービス会社に問い合わせや資料請求を行いましょう。オンライン型サービスの場合は、公式のウェブサイトの問い合わせフォームや申込みフォームに必要事項を入力し、送信します。対面型サービスの場合は、電話やメールで相談予約を取ってから事務所を訪問する流れが一般的です。
問い合わせ・申込みの際には、不動産の所在地や種類、現在の名義人、被相続人と相続人の関係、相続人の人数など、基本的な情報を伝える必要があります。ここで伝えた内容をもとに、サービス提供元が見積もり作成や手続きの提案を行います。
STEP2:見積もり確認と依頼
サービス提供元から見積もりを受け取ったら、費用やサービス内容をしっかりと確認することが大切です。手続き完了後に想定外の費用が発生しないよう、疑問点は事前に質問しましょう。
<見積もりの際に確認する主なポイント>
- 見積もり総額(基本料金と追加料金の内訳)
- 料金に含まれる作業範囲
- 追加料金が発生する条件や範囲
- 依頼から登記完了までの目安期間
STEP3:必要書類を準備して提出
サービス提供元への依頼が完了したら、案内に沿って準備した必要書類を提出します。必要書類には、不動産の権利証あるいは登記識別情報通知書(法務局が発行する、不動産の所有者であることを証明する通知書)、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の住民票や印鑑証明書などが含まれます。サービスによっては、戸籍収集など一部の書類取得を代行してくれる場合もあるため、ご自身で用意する書類と代行してもらえる書類を事前に確認しましょう。
オンライン型サービスの場合は、書類の原本を郵送するほか、スキャンした書類データをインターネット経由で送付するケースもあります。郵送が必要な書類については、送付先や締め切り日を確認し、紛失防止のために追跡可能な方法で送ると安心です。
STEP4:サービス提供元が作成した書類の確認
サービス提供元は、預かった情報と書類をもとに登記申請書などの必要書類を作成します。作成が完了した段階で、内容の確認を依頼者に行うのが一般的です。住所や氏名の漢字、相続分の記載などに誤りがないかをしっかり確認し、修正があればこのタイミングで伝えます。
内容の確認が済んだら、サービス提供元が法務局に申請書類を提出します。法務局での審査の結果、書類に不備があり補正を求められた場合には、サービス提供元が補正書類の作成や提出を代行することがほとんどです。依頼者側は、必要に応じて追加の情報提供や書類の用意を行うだけで済むケースが多いでしょう。
STEP5:登記の完了を確認
登記が完了すると、サービス提供元経由で登記完了証や登記識別情報通知書などの書類が届きます。登記完了証は保存する義務はありませんが、登記識別情報通知書は従来の権利証にあたる重要な書類であるため、紛失しないよう大切に保管する必要があります。
登記完了後は、固定資産税の納税義務者変更など、市区町村への手続きが必要になる場合があります。これらの手続きについても、サービス提供元が案内やサポートをしてくれることがあるため、必要に応じて相談するといいでしょう。
相続登記サービスを上手に利用するためのポイント
最後に、相続登記サービスを賢く活用するためのポイントを紹介します。
<相続登記サービス活用のために知っておきたいこと>
- 料金を抑えるコツ
- スムーズに進めるコツ
料金を抑えるコツ
相続登記サービスの料金は、不動産の件数や相続人の人数、依頼する作業範囲によって大きく変わります。そのため、まずは複数のサービス提供元から見積もりを取り、料金の相場感をつかむことが大切です。基本料金に加えて、戸籍収集や書類の追加作成などで追加料金がかかる場合もあるため、料金体系を確認し、総額を把握しておきましょう。
オンラインで申込みができ、必要書類を郵送でやりとりできるネットサービスは、対面中心のサービスと比べて料金が比較的安い傾向があります。また、必要書類をご自身で準備できる場合は、書類取得サポートが不要なプランを選ぶことで費用を抑えられます。資料請求や事前相談で割引が適用されるキャンペーンがあるサービスもあるため、公式のウェブサイトなどで特典情報を確認するのがおすすめです。
スムーズに進めるコツ
相続登記サービスをスムーズに利用するためには、依頼前の準備と依頼後の対応が重要です。見積もりをいくつも取ってしまうと比較に時間がかかってしまうため、「対面でしっかり相談したいか」「オンラインで時短したいか」といった軸を決めて絞り込むと選びやすくなります。対面でじっくり相談したい場合は司法書士事務所などの専門家、時短で手間を軽減したい場合はオンライン型サービスを優先的に検討するといいでしょう。
サービスを利用する前に、不動産の登記事項証明書や戸籍の控えなど、手元にある資料を整理しておくと、ヒアリングや書類作成がスムーズに進みます。申請書類の内容に問題がある場合は、サービス提供元から連絡があった際に、追加情報の提供や書類の再提出をできるだけ早く行うことも大切です。補正が必要になった場合は、補正の期限を守って対応し、やりとりの内容をメールや書面で残しておくと、万が一のトラブル防止にも役立ちます。
情報を整理して、ご自身に合った相続登記サービスを見つけよう
相続登記サービスは、司法書士事務所や専門サービス会社が提供する、相続登記の手続きを代行・サポートしてくれるサービスです。
ご自身に合った相続登記サービスを選ぶには、料金体系やサービス内容、専門家の資格・実績、依頼のしやすさなどを確認することが大切といえます。
対面で細かく相談しながら進めたい方は司法書士事務所などの専門家に、時短でネット上から手軽に進めたい方はオンライン型の相続登記サービスに依頼するのがおすすめです。特に、スマホで簡単に名義変更手続きができ、定額制で料金が一律の「そうぞくドットコム」のようなサービスは、費用面と手間の両方を抑えながら相続登記を進めたい方にとって心強い選択肢といえるでしょう。
よくある質問(FAQ)
相続登記サービスとはどのようなサービスですか?
相続登記サービスとは、亡くなった方(被相続人)が持っていた不動産を相続人名義に変更する「相続登記」の手続きを、司法書士事務所や専門サービス会社が代行・サポートしてくれるサービスのことです。必要書類の取得サポート、登記申請書の作成、法務局への申請、補正が必要になった場合の対応などを依頼できます。相続登記サービスを利用することで、ご自身で一から調べて書類を作成する必要がなくなるため、相続登記にかかる時間と手間を大きく減らしつつ、ミスの少ない形で手続きを進められる点が大きな特徴です。
相続登記サービスは司法書士事務所と専門サービス会社のどちらを選ぶべきですか?
相続登記サービスを提供しているのは主に司法書士事務所と専門サービス会社ですが、どちらかを選ぶ場合のポイントは「どのように相談したいか」「どれくらいの手軽さを求めるか」といったことです。
司法書士事務所は、司法書士が直接業務を行うため専門性が高く、対面でじっくり相談しながら進めたい方や、相続関係が複雑な方に向いています。一方、専門サービス会社が提供する相続登記サービスは、オンラインで手軽に申し込めるケースが多く、料金があらかじめ明確に示され、サービス内容も標準化されていることが多いという特徴があります。
複雑な事情がある場合は司法書士事務所を、比較的シンプルなケースで時短を重視したい場合はオンライン型サービスを選ぶといいでしょう。
オンライン型の相続登記サービスでも問題なく手続きできますか?
必要な情報や書類がそろっていれば、オンライン型の相続登記サービスでも問題なく手続きを進められます。多くのサービスでは、スマホやパソコンから質問に答える形で必要事項を入力し、案内に沿って書類を郵送するだけで手続きが進むよう設計されています。対面での相談が不要な方や、平日に事務所へ足を運ぶ時間が取りにくい方にとって、負担が少ないのはオンライン型でしょう。特に、スマホで名義変更手続きができ、定額制で料金が一律の「そうぞくドットコム」のようなオンライン型サービスであれば、手軽さと安心感の両方を重視したい方にも利用しやすいといえます。

