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お葬式に送るお花「供花」とは

お葬式にまつわる言葉は聞きなれない物も多く、葬儀で使う「供花」もその中の一つでしょう。
この記事では、あまり聞きなれない「供花」について、手配方法・種類・注意点・平均相場価格・お礼などさまざまな視点から解説します。
また、お葬式で使う供花以外のお花についても合わせて紹介していきます。
読み方
供花は「きょうか」または「くげ」と読みます。
読み方はお住まいの地域により異なりますが、どちらの読み方をしても意味は伝わるでしょう。
送る理由
供花は、亡くなった故人の霊を慰め会場を花で飾り、悲しみに暮れる遺族の心を慰めるという理由から送られます。
特に、故人と生前関係が深かった・友人・職場の関係者・遺族などが、故人の冥福を祈る気持ちを込め、供花を手配する場合が多いです。
また、葬儀会場が遠方にあるなどの理由により、葬儀に参列することができない方が、お悔やみの気持ちを込めた弔意として供花を送ります。
供花の手配方法

お葬式に送るお花である供花は、誰でも自由に手配することが可能ですが、一般的には故人と関係が深かった・兄弟・子供・孫が供花を贈るケースが多いです。
また、これ以外にも
- 故人の友人
- 故人の会社関係者
- 遺族の会社関係者
などが、供花を送る場合もあります。
供花を手配する際には、直接喪主に連絡を入れ葬儀について尋ねることはマナー違反です。
葬儀前の喪主は準備が多く慌ただしいため、葬儀参列者に対し個別に応答する余裕はありません。
そのため、ここでは供花を実際に手配する方法として、葬儀業者を通して手配する方法とご自身で用意する2つの方法を解説します。
方法①:葬儀業者へ依頼する
供花は、一般的には葬儀業者を通して手配されます。
葬儀業者を通じて手配することで、時間的な余裕がなくても、会場の雰囲気・宗教・宗派にあった最適な供花を送ってもらえます。
葬儀業者へ依頼する際は、葬儀会場へ連絡を入れ葬儀日程と喪主の名前を伝え、担当する葬儀業者の名前を教えてもらいましょう。
その後、担当葬儀業者へ連絡を入れ供花を注文します。
方法②:自分で花屋に依頼する
ご自身で供花を選びたいと考える方は、花屋へ依頼して手配することも可能です。
また、最近ではインターネットを介して供花を手配することも可能になりました。
しかし、この際、事前に会場の雰囲気・宗教・宗派を把握して、この条件に合致した供花を選ばなくてはなりません。
また、あまりにも大きな供花、ご自身の趣味を反映した派手な供花は、会場の統一感を壊すと理由から飾られないケースも考えられます。
まれに、他店で購入した供花の利用を制限している葬儀業者もあるため、注意が必要です。
宗教別の相応しい供花の種類

お葬式に送るお花である供花は、宗教や宗派によって相応しい花の種類に違いがあります。
ここでは私達に馴染み深い・仏教・神道・キリスト教を例に、その宗教に相応しい供花を紹介します。
仏教の場合
仏式の葬儀では、花籠の供花が用いられます。
また、これ以外では葬儀会場入口などに飾れるスタンドタイプの供花を送ることもあります。
花の色は白を基調とし・菊・蘭・カーネーション・百合・胡蝶蘭で構成した供花が多いことが特徴です。
白色の花をメインに、他の色の花を飾る際にも華美になりすぎることがないように調整し、白色や黒のリボンや水引をかける場合もあります。
反対に、トゲのある花やバラの様な派手な花を使用することはないため、ご自身で供花をアレンジして送る方は注意が必要です。
神道の場合
神式の葬儀でも、仏教同様に花籠やスタンドタイプの供花が用いられます。
一昔前は榊を送る事もありましたが、現在では榊は喪主が準備するようになり、葬儀参列者は供花を送るようになりました。
使用する花は、仏教同様に白色の落ち着いた色合いの・菊・蘭・カーネーション・百合で、差し色として菊の花を使って構成する特徴がありますが、仏式で稀に使われる胡蝶蘭を使うことはありません。
また、菊以外の差し色としては百合も好まれ傾向があります。
仏式同様にトゲがある花や派手な花を使用することはありません。
キリスト教の場合
キリスト教式の葬儀には、スタンドフラワーや花輪タイプの供花を用いることはなく、花籠の供花が用いられます。
供花は自宅に送られ、仏式や神式の様に葬儀会場に供花を送ることはありません。
そのため、葬儀会場となる教会まで持ち運びしやすい、花籠の供花が用いられるようになりました。
また、また稀にハート型や十字架の形にアレンジされた供花を送る場合もあります。
キリスト教式で使用する供花は、すべて生花が使用されていて、造花でできた供花を送ることはマナー違反です。
使用する花はカーネーションや百合が好まれ、仏式や神式の葬儀で多く用いられる菊を使用することはほとんどありません。
供花を葬儀会場へ送る際の注意点

葬儀に供花を送る際にはマナーがあります。
このマナーを守って供花を送らないと、葬儀を運営する側にとって迷惑だったり失礼にあたったりする行為となってしまいます。
葬儀の訃報は突然知らされるため、時間がない中大急ぎで準備するものです。
初めて供花を送る場合、事前に注意点を把握することで短時間で不備なく供花を送ることができます。
注意点①:遺族へ確認を取る
供花を送る場合は、必ず遺族へ事前確認を取りましょう。
特に、近年では小規模な家族葬で故人を弔うケースも多く、喪主が供花の受け取りを辞退しているケースも多く見受けられます。
喪主が供花を辞退している葬儀会場へ供花を送る事はマナー違反です。
最悪の場合、せっかく送った供花が送り返される場合もあるため、遺族への確認は必須となります。
注意点②:喪葬儀業者へ確認を取る
葬儀を運営する葬儀業者への事前確認も必要です。
先に触れたように、葬儀業者の中には自社で用意した供花以外、受け付けないという業者も稀に存在します。
この場合、他社からの供花とわかればその供花が葬儀会場に飾られることはありません。
供花を葬儀会場へ送るタイミング

供花を送る際にはタイミングが重要です。
供花は葬儀会場へ飾るものなので、葬儀会場の設営準備に間に合うよう通夜当日の午前中、どんなに遅くとも通夜開始時間の3時間前までに届くように手配します。
葬儀の知らせが届くのが遅く、供花が通夜に間に合わせることができない場合は、自宅に飾る供花として贈ります。
その際は、49日法要までを目安として供花を送りましょう。
四十九日が終わると、遺族側が頂いた香典や供花のお礼を送る作業に入るためです。
この四十九日を超えて供花を送ってしまうと、香典返しや供花のお礼の準備を終えた遺族の負担となってしまいます。
【立場別】供花に添える札名の書き方・注意点

札名とは、葬儀会場に飾られる供花が誰に送ってもらったものか示すための木製の名札に書かれる名前です。
この札名は供花を送る方の立場、送る人数によって書き方に違いがあり、厳密なルールのもと正確に表記する必要があります。
札名は供花に添えられる形で葬儀会場に飾られ、葬儀参列者はその札名を見ることで、故人と親交のあった人物や生前の勤め先などを知ることができるのです。
このように大変注目を集める札名ですが、この札名が正しい書き方で記載されていない場合、供花を手配した方は大変な恥をかいてしまいます。
そうならないためにも、ここでは立場別に名札の正しい書き方について解説します。
会社で送る場合
供花を会社として送る際、会社の代表者が送る場合と社員一同で送る場合で、名札の表記方法は異なります。
会社の代表者が贈る場合
会社が供花を送る場合は、その会社の正式名称・役職名・代表者名を札名に表記します。
この場合「○○(会社名)株式会社代表取締役〇〇(代表者名)」のような形になります。
あまりにも会社名が長い場合は、株式会社を(株)、有限会社を(有)と略式で表記することも可能ですが、会社名は正式名称で表記する方が良いでしょう。
社員一同が贈る場合
会社の社員、もしくは同僚が供花を贈る場合は連名表記で送ります。
この際、連名として名前を表記するのは3人まで、「名札の右側に一番立場の高い方を表記する」という決まりもあります。
この決まりを知らず上司を左端に表記してしまうと、葬儀ではとても失礼な行為とされていますので気をつけましょう。
大勢で贈る場合は「○○株式会社一同」、部署単位で贈る場合は「○○株式会社〇〇部署(部署名)一同」という表記になります。
これ以外では、「有志一同」という表記方法もありますが、この「有志一同」とは「その集団に属している人の中の一部」という表記方法です。
そのため「○○株式会社有志一同」という表記では、その会社の中の一部の方が供花を送ったという意味になります。
夫婦の場合
夫婦で供花を送る場合は、夫の名前だけを表記します。
くれぐれも、妻の名前まで書いてしまわないように注意しましょう。
万が一間違って夫の名前と妻の名前を書いてしまうと、2人が離婚もしくは別居中であると捉えられてしまいます。
子供・兄弟・親戚などの連名の場合
子供・兄弟・親戚が供花を送る場合は「○○家一同」、もしくは「○○家子供一同」「○○家孫一同」の様に続柄で分けて贈ります。
この際、家族や親族の人数が3名程度で、それぞれの名前を名札にかけるとしても、個人名を表記することはありません。
この場合は必ず「一同」で表記しましょう。
友人の連名の場合
友人が供花を送る場合は、連名で「友人一同」としてまとめて送ります。
これは、友人が1人1つずつ供花を送ってしまうと数が膨大になり、会場に入りきらずに遺族の手を煩わせるという理由からです。
この他、個人との関係性によって「○○大学一同」「○○高校同級生一同」などの表記方法もあります。
外国人の場合
名札は縦書きなので、中国名や韓国名はそのまま漢字を使って表記することができます。
それ以外の、漢字が使えない名前に関してはカタカナに直して表記します。
この際、供花の名札については事前に喪主に相談し、カタカナ表記の許可を得ておきましょう。
供花の平均価格相場

続いては、お葬式に送るお花である供花の平均的な費用相場について解説します。
ただし、費用相場はお住まいの地域や季節によって異なります。
金額は、あくまで目安として参考にしてください。
料金の精算方法は、葬儀業者の窓口か担当者に支払うのが一般的です。
祭壇の左右に飾る供花
祭壇の左右に飾られる供花は、故人と生前の関係が深く、特に親交が多かった方の供花が飾られる場所です。
この場所に飾られる供花の費用相場は、1万円から5万円ほどです。
供花は1つを一基(いっき)と数え、これが2つになると一対(いっつい)と呼ばれます。
祭壇の左右に飾り付けられる供花は「一対」となるため、「一基」の倍の価格です。
この場所は参列者の目に触れる機会が多いため、豪華な内容の供花が多くそのぶん費用も高額になります。
祭壇から離れた場所に飾る供花
祭壇から離れ、葬儀会場の脇などに飾られる供花は、会社関係者が出す供花が飾られる場所です。
この場所に飾られる供花の費用相場は、7千円から1万円ほどです。
この場合の供花は、左右に飾る一対タイプの供花ではなく単独の一基タイプの供花となり、そのぶん金額も安くなります。
また、造花でできた供花を贈る場合はの費用相場は5千円ほどです。
供花のお礼に関するマナー

供花を頂いたお礼は、必ずしもお返しをしなければならないという決まりはありません。
しかし、きちんとお礼を伝えたいと考えるなら、お礼状として手紙やはがきなの書面で出すことが正式なマナーです。
このお礼状は、葬儀終了から一週間を目途に出すようにしましょう。
お礼状の文例は次のとおりです。
この度は、○○(故人名)葬儀に際し、立派な供花を賜り誠にありがとうございます。謹んでお受けいたし、霊前に飾らせて頂きました。別格のご高配と生前のご厚誼に重ねて深くお礼申し上げます。
お陰様を持ちまして、葬儀も滞りなく終えることができました。早速拝趨の上ご挨拶申し上げるべきところ略儀ながら、書中をもって謹んで御礼申し上げます。
お葬式に用いられる供花以外のお花

ここまで、お葬式に用いる供花について解説してまいりましたが、葬儀用の花は供花だけではありません。
ここでは、この供花以外の「花輪」「献花」「枕花」について解説します。
種類①:花輪
花輪は葬儀会場の入り口に飾られる供花の一種で、故人を偲んで親族や友人が贈るものです。
大型の花輪ともなれば、お花部分の直径は1.8メートル、高さは基礎部分を含め3メートル以上にもなり、造花で作ることが一般的です。
あまりにも大きい花輪は、葬儀会場のスペースに限りがある都市部ではむしろ避けられる傾向にあるため、花輪を贈る際には喪主への確認は必須です。
このようにとても大きな花輪ですが、実はこれは葬儀業者からのレンタル品です。
価格は通常の大きさであれば1万5千円ほど、最大の大きさでも2万円ほどでレンタルすることができます。
種類②:献花
仏式や神式以外のお通夜や告別式において、お焼香の代わりに献花を行う場合があります。
この献花は、参列者が一人ずつ祭壇に向き合い、手にした花をささげることで故人の冥福をお祈りする行為です。
主にキリスト教式の葬儀や、無宗教式で行われる献花ですが、使用されるお花は葬儀会場に用意されているものを使用します。
参列者が勝手にお花を持ち込んでしまうと、葬儀業者や遺族に迷惑がかかってしまいます。
葬儀業者が手配する献花ですが、一輪挿しのカーネーションが多く、値段も一輪あたり数百円ほどです。
種類③:枕花
枕花は、訃報を知らされた方が故人に対する弔意を表し、遺族の悲しさを和らげるために送られるお花です。
ここまで紹介してきた「供花」と混同する方もいますが、供花は葬儀会場に飾るもので、「枕花」はご遺体の傍らに飾るお花のため、まったく異なるものです。
枕花に使用されるお花は、「カーネーション」「百合」「胡蝶蘭」などが一般的で、派手な色のお花やトゲのあるお花を贈ることはありません。
料金は、5千円から2万円ほどが相場で、メッセージカードを添えてお通夜までに送ることがマナーです。
メッセージカードの文例はつぎの通りです。
謹んでお悔やみ申し上げます。心ばかりのお花を送らせて頂きました。御霊前にお供えください。
まとめ

お葬式に送る供花は、故人を偲び哀悼の意を表すため、故人と親しい方が送るものです。
しかし、送る花の種類や札名への名前の記入方法などには決まりがあり、それを知らないと大勢の弔問客が一斉に集う葬儀会場で恥をかいてしまいます。
葬儀の訃報は突然です。
限られた時間の中で不手際なく供花を準備できるよう、今回お伝えした内容を事前に把握しておくことが重要です。
迅速に滞りなく供花が準備できれば、落ち着いた気持ちで故人と最後のお別れができ、悔いのない葬儀を送ることができるでしょう。