喪中の期間を過ごす遺族や親族は、新年の挨拶ができないため「喪中はがき」を相手に送り、挨拶を控えることと近況を伝えます。
しかし、実際に喪中はがきを受け取ってみると、どのように返事を返すべきか悩む人も多いことでしょう。
そこで、今回は喪中はがきの返事の種類や喪中はがきの返事を出すタイミングと共に、具体的な例文と喪中はがきの返事を出す際の注意点を詳しくご紹介します。
目次
喪中はがきとは

喪中はがきとは、故人が亡くなり喪中の期間を過ごしている遺族や親族が、新年のご挨拶を控えることを伝えるはがきのことです。
喪中はがきを出すことで、例年年賀状を出していた人へご挨拶を控えることを伝えられますし、年賀状の準備にも配慮できます。
また、何かしらの理由で故人が亡くなったことを知らなかった場合、喪中はがきを受け取ることで故人の逝去を知ることも少なくありません。
喪中はがきは、出す側だけではなく受け取る側にとっても、お互いの状況を伝える大切な連絡手段と言えるでしょう。
喪中はがきには返事を出すべき?

喪中はがきには、「故人が亡くなったこと」と「喪中期間なので新年の挨拶を控える」という旨が記載されています。
一般的なお手紙やはがきを受け取った場合は、送った相手に返事を出すことがほとんどです。
しかし、喪中はがきは遺族にとっても悲しいお知らせですから、返事を出した方が良いのか迷いますよね。
喪中はがきの返事は、遺族との親密度や状況によって返事を出すかどうかを判断します。
ここでは、喪中はがきに返事を出すべき人と遠慮をした方が良い人について、具体的な例を挙げて解説していきましょう。
遺族と近しい関係なら返事を出す
遺族と近しい関係とは、「遠方に住む親族」や「親しい友人・知人」といった立場の人です。
特に、故人や遺族と生前から仲良くしていた人は、喪中はがきを受け取ったのに何も返事をしないと落ち着き悪く感じるかもしれません。
遺族と近しい関係にある人は、喪中はがきを受け取ったら返事を出して、遺族に労いの言葉を届けてみましょう。
知り合い程度なら返事を控える
故人や遺族の仕事関係者や学校の知り合いで、生前から一般的なご挨拶程度のお付き合いをしていた人は、喪中はがきの返事を控えましょう。
もともと喪中期間は、遺族が積極的に人と関わる時期ではありません。
しかし、毎年新年のご挨拶をしていた人に失礼のないよう、事前にご挨拶を控えることを伝えるのが喪中はがきです。
したがって、故人や遺族と知り合い程度のお付き合いをしている人は、喪中はがきの返事を控えて遺族の負担にならないようにしましょう。
年賀状の投函後に届いた場合は返事を出す
喪中はがきは、遅くても12月中旬には届くように出されます。
しかし、タイミングによっては年賀状の投函後に喪中はがきを受け取り、どうしたら良いか困る人も少なくありません。
このような場合は、故人や遺族とのお付き合いの深さに関係なく、喪中はがきに返事を出して年賀状を出してしまったことをお詫びしましょう。
喪中はがきの返事の方法

喪中はがきの返事は、受け取った人の状況によって返事の方法が変わります。
では、喪中はがきの返事にはどのような方法があるのか、具体的な内容についてみていきましょう。
喪中見舞い
喪中見舞いは、年内に喪中はがきのお返事を出すときの方法です。
喪中見舞いでお返事を出すケースには、次のような人が当てはまります。
- 故人が亡くなったことを喪中はがきで初めて知った人
- 故人や遺族と近しい関係にあった人
- 年賀状を投函した後に喪中はがきを受け取った人
喪中はがきは、遺族が年賀状を失礼することを詫びるものですから、できれば年内にお返事をした方が良いです。
特に、喪中はがきで故人が亡くなったことを知ったり、年賀状をすでに投函してしまっている人は、できるだけ早く喪中見舞いを出して遺族にお悔やみの気持ちを伝えましょう。
寒中見舞い
喪中はがきを受け取っても、仕事で留守がちだったり家庭の事情で忙しいと、なかなか返事を出すことができません。
このような状態に当てはまる人が、年末年始の忙しさが落ち着いた頃に返事を出す方法が寒中見舞いです。
寒中見舞いは、一般的に松の内を過ぎてお正月らしさがなくなった頃に届けられるものなので、慶事を控える遺族にも失礼になりません。
喪中はがきの返事を出せずに年末年始が過ぎてしまった人は、寒中見舞いで喪中はがきの返事を出してみましょう。
年始状
年始状は、相手を気遣ってお祝いの言葉を使いたくない場合に、新年の挨拶状として出すはがきです。
もともと、年始状は震災や台風被害などを受けた人を気遣い、お祝いの言葉を使用せずご挨拶するものとして生まれました。
現在では、被災地へ送られる年賀状の代わりとしてだけでなく、喪中はがきの返事としても多くの人が利用しています。
喪中はがきに返事を出したいものの、喪中見舞いや寒中見舞いは少し難しいと感じる人は、年始状で喪中はがきの返事を出してみましょう。
喪中はがきの返事の基本的な文例

喪中はがきの返事は、基本的な流れを押さえておくと、遺族にも失礼にならい文章が書けます。
ここでは、喪中はがきの返事の基本的な文例を、返事の種類に分けて紹介していきますので、実際に喪中はがきの返事を書く時の参考にしてみてください。
文例①:喪中見舞いの場合
喪中見舞いは、一般的な郵便はがきを用意し、次の点に注意して文章を書きます。
- 句読点を使わない
- 拝啓・敬具などの頭語を使わない
- 時候の挨拶を入れない
- 慶びやお祝いの言葉を入れない
- 自分の近況や楽しい文章を書かない
喪中見舞いの文章は、遺族の悲しみを思いやり、労う言葉を添えて綴ってみましょう。
喪中見舞いの基本的な文例は以下のとおりです。
喪中お見舞い申し上げます
この度はご丁寧なご挨拶状をいただきまして有り難うございます
〇〇様(故人の名前・続柄)が亡くなられ
いまだ悲しみが癒えぬままなのではと存じます
どうかお身体をご自愛いただき
新しい年を静かに迎えられますよう心よりお祈りいたします
文例②:寒中見舞いの場合
寒中見舞いは、一般的な郵便はがきを用意し、次の点に注意して文章を書きます。
- 拝啓・敬具などの頭語を使わない
- 慶びやお祝いの言葉を入れない
- 自分の近況や楽しい話を書かない
寒中見舞いは、喪中見舞いと同じく遺族を気遣い、労う言葉で文章を綴ります。
寒中見舞いの具体的な例文は以下のとおりです。
寒中お見舞い申し上げます
ご服喪中と存じましたので新年のご挨拶は遠慮させていただきましたが
いかがお過ごしでしょうか。
〇〇様(故人の名前・続柄)がお亡くなりになられ、皆様さぞお寂しい
思いで毎日を過ごされていることとお察しいたします。
まだまだ寒い日が続きますが、皆様お身体に気をつけてお過ごしください。
文例③:年始状の場合
年始状は、「お祝いの言葉を使わない挨拶状」なので、喪中見舞いや寒中見舞いに比べると文章もやわらかくシンプルです。
年始をイメージしたイラストのはがきもありますが、喪中はがきの返事として年始状を出すのであれば、ワンポイントや淡い色のお花などの絵柄を用意しましょう。
年始状の具体的な例文は次のとおりです。
謹んで新年のご挨拶を申し上げます
旧年中は大変お世話になりました。
新しい年が皆様にとって実りあるものになりますことを
心よりお祈り申し上げます
文例④:年賀状の投函後の場合
年賀状の投函後に喪中はがきを受け取り、その返事を出さなければならない場合は、年賀状をすでに出してしまったこともお詫びしなければなりません。
したがって、どの方法で喪中はがきの返事を出す場合でも、次のような文章を必ず入れるようにしましょう。
実は〇〇様のご逝去を存じ上げず、賀状を投函致しました。
まだ皆様の悲しみが癒えない中、届いた賀状が皆様の悲しみを深くするのではと、大変申し訳なく思っております。
誠に申し訳ございません。
喪中はがきの返事を出すタイミング

喪中はがきの返事は、どのような方法をとるかによって出すタイミングが変わってきます。
ここでは、喪中はがきの返事を出すタイミングについて、返事の方法別に分けて詳しく解説します。
喪中見舞いは12月中
喪中はがきの返事を喪中見舞いで出す時は、12月中に相手に届くタイミングで出します。
遺族からの喪中はがきは、故人の亡くなった年の11月中旬〜12月中旬までに届くことが一般的です。
したがって、喪中見舞いも受け取ってからできるだけ早く、遅くても12月中には遺族に届くよう投函しましょう。
年末年始は、郵便局の窓口も開業時間が変則的になります。
喪中見舞いを準備するのが12月下旬に掛かるようなら、郵便局の窓口で到着予定日を確認してから出すようにしてください。
寒中見舞いは松の内明けから節分の間
寒中見舞いは、松の内明けから節分までの間に届くタイミングで出すようにします。
松の内とはお正月の飾りを飾る期間のことで、一般的には1月1日〜7日までのことを指します。
しかし、これは関東を中心にした松の内の考え方です。
地方に行くと小正月の1月15日までを松の内としていたり、地域によっては7日までと15日までが混在した形で残っているケースも少なくありません。
つまり、自分の基準では松の内を過ぎていても、相手の地域ではまだ松の内が開けていないこともあるのです。
喪中はがきの返事を寒中見舞いで出す場合は、できれば遺族の地域の松の内明けがいつになるのかも調べておき、相手の風習に合わせたタイミングで寒中見舞いが届くようにしましょう。
年始状は元旦から松の内の間
年始状は、年賀状の代わりに出すものなので、元旦から松の内の間に届くタイミングで出すようにします。
ただし、もし仕事先のお付き合い関係で年始状を出す場合は、仕事始めに相手と顔を合わせる機会も考えて、少なくとも1月3日までには届くように出した方が良いでしょう。
タイミング的に年始状を出すことが難しい場合は無理をせず、寒中見舞いでお返事をするなど臨機応変に対応してください。
喪中の挨拶をメールやLINE(ライン)で受けた場合の対処

携帯やスマートフォンが普及してきた現代では、喪中の挨拶をメールやLINE(ライン)で受け取る人も多いことでしょう。
メールやLINEは、多くの人に早く連絡できる便利なツールではありますが、喪中の挨拶の返事を返信する際のマナーやルールは気になりますよね。
では、喪中の挨拶をメールやLINEで受けた場合はどうするべきなのか、具体的な対処法を紹介します。
返事はメールやLINEで返して良い
喪中の挨拶をメールやLINEで受けた場合、その返事もメールやLINEで返して問題ありません。
ただし、メールやLINEで喪中の挨拶を受け取ると、その内容が既読されたかどうかが送った相手にもわかります。
つまり、メールやLINEで喪中の挨拶を読んだら、できるだけ早く返信をしないと相手に失礼になるのです。
喪中の挨拶をメールやLINEで送る人の中には、文章中に「返信不要です」と書いている人もいますが、喪中の挨拶に関しては必ず返信した方が無難です。
メールやLINEで連絡いただいたことへのお礼とお悔やみの言葉を簡潔な文章にまとめ、早めに返信するよう心掛けましょう。
グループチャットでは返信しない
喪中の挨拶をメールやLINEで送る場合、グループチャットを利用して一斉に送信されるケースもあります。
しかし、グループチャットを通しているからといって、喪中の挨拶に対する返信をグループチャットで行なってはなりません。
グループチャットは、複数人が一斉に読める便利な機能ではありますが、喪中というデリケートな話題を複数人でやり取りするのはマナー違反です。
喪中の挨拶をメールやLINEで受け取った際は、たとえグループチャットを通して一斉に知らされたとしても、必ず個別に返信してください。
喪中はがきの返信でよくある疑問

喪中はがきを受け取ると、返信に関してさまざまな疑問がよく挙げられます。
そこでこの章では、喪中はがきの返信に関してよくある疑問に注目し、その疑問について解説していきましょう。
疑問①:返信は必ずした方が良い?
喪中はがきの返信は、一般的には返信をしないケースが多いです。
しかし、故人や遺族との付き合いの深さや状況によっては、返信をしない方が失礼にあたります。
特に、故人や遺族と近しい関係であったり、年賀状の投函後に喪中はがきを受け取った人は、必ず返信するよう気をつけましょう。
疑問②:香典や贈り物も送った方が良い?
喪中はがきの返信をする時、香典や何かしらの贈り物もした方が良いか、悩む人も少なくありません。
確かに、喪中はがきが届くのは年末近いですし、お歳暮の時期でもあるので一緒に考えてしまうことでしょう。
実際のところ、香典や贈り物をするかどうかは受け取った人の状況次第になります。
具体的な例を紹介しますので、自分のケースに当てはめて判断してみましょう。
基本は香典も贈り物もしない
基本的な考えとしては、喪中はがきの返信には香典も贈り物も必要ありません。
喪中はがきは、「遺族が新年の挨拶を控えます」というお知らせなので、何も用意する必要はないのです。
喪中はがきが届く前から故人の逝去を知っており、何かしらの形でお悔やみを伝えているのであれば、喪中はがきの返信のみを行うようにしましょう。
喪中はがきで訃報を知った場合は送る
もし故人の逝去を知らず、喪中はがきを受け取って初めて訃報を知った場合は、返信と一緒に香典や贈り物をすることもあります。
この場合には、喪中はがきの返信の手紙と一緒に香典を包んで送ったり、喪中お見舞いや寒中見舞いの文末に「供物をお送りしましたのでお供えください」と書き、品物を贈るようにしましょう。
お歳暮なら送っても大丈夫
喪中はがきの返信と一緒に、何かしら品物を送りたいという場合は、お歳暮という形で送っても大丈夫です。
お歳暮は日本の慣習であり、お世話になりましたというご挨拶の品物なので、喪中の人に送っても失礼にはなりません。
ただし、お歳暮につけるのし紙はお祝いのものなので、のし紙は付けず無地の奉書紙や白短冊をつけましょう。
疑問③:喪中はがきの返事をメールでしても良い?
喪中はがきを受け取った場合は、返事も文書で返さなければなりません。
喪中はがきを受け取った人の中には、「遺族とやり取りしてるから」という理由でメールやLINEで返事をする人もいますが、これは失礼な行為です。
喪中はがきで喪中の挨拶を受け取ったら、きちんと文書で返事をするようにしましょう。
喪中はがきの返事を出す際の注意点

喪中はがきの返事を出す際には注意しなければならないことがあります。
では、具体的にどのような点に気をつけるべきなのか、喪中はがきの返事を出す際の注意点を紹介しましょう。
- 使ってはいけない言葉を確認する
- 適切な時期に届くようにする
- 遺族の負担を考えて送る
注意点①:使ってはいけない言葉を確認する
喪中はがきでは、次のような言葉を使ってはいけません。
- 「謹賀」「慶」「賀正」といったお祝いの言葉
- 「重ね重ね」「重々」「再度」「度々」といった繰り返しの言葉
- 「死ぬ」「亡くなる」「病」といった死につながる言葉
喪中はがきの文章自体は短いですが、紹介した言葉は意外と気づかず使ってしまうことが多いため、気をつけて綴るようにしましょう。
注意点②:適切な時期に届くようにする
喪中はがきの返事には、「喪中見舞い「寒中見舞い」「年始状」という3つの方法がありますが、届くべきタイミングはそれぞれ違います。
喪中はがきの返事をする際は、返事の方法と一緒に届くべき適切な時期を調べ、それに合わせたタイミングで出すようにしましょう。
注意点③:遺族の負担を考えて送る
喪中はがきの返事は、遺族に対する思いやりやお悔やみの気持ちを込めたものですが、受け取った遺族の状態によっては負担になることもあります。
特に、喪中はがきの返事と一緒に香典や贈り物をいただいた場合、さらにお返しを考えて悩むケースも少なくありません。
喪中はがきの返事は遺族の負担にならないよう簡潔な文章でまとめ、香典や贈り物も遺族が負担にならない程度の品物を送りましょう。
まとめ

喪中はがきへの返事は、受け取った時期や受け取った人の状況・立場によって返事の仕方が変わります。
喪中はがきを受け取ったら、故人や遺族とのお付き合いの程度や受け取った時期などを考慮して、適切な方法を選んで返事をするようにしましょう。