【2024】繰上げ法要とは?香典・お布施等のマナーとメリット・デメリット

お葬式の祭壇一般知識・マナー

故人の葬儀を終えた後、最初に行われるのが「初七日の法要」ですが、これを別日に行わず葬儀の日と合わせて行うことを「繰り上げ法要」と呼びます。

葬儀の日に行う初七日の繰り上げ法要は、なかなか休みが取れなかったり遠方から駆けつける人にとってありがたいものですが、一方で「法要なのに繰り上げて良いの?」という疑問を持つ人も少なくありません。

そこで今回は、繰り上げ法要の種類や流れ、繰り上げ法要を行う時に気をつけなければならないことについて詳しく紹介していきます。

繰り上げ法要とは

骨壷を持つ男性

繰り上げ法要とは、故人が亡くなって最初に行われる初七日の法要を、葬儀の日に繰り上げて行うことです。

遺族は故人の命日から七日ごとに法要を行い、故人が仏様のもとへ無事に辿り着けるよう祈りますが、初七日とは故人が三途の川を無事に渡りきり、最初の審判を受ける場所に辿り着く日です。

 

本来、故人の命日を1日目として数えて7日目に法要が行われてきました。

しかし、近年では核家族化が進んだため何度も集まることが難しくなり、葬儀の日に繰り上げて初七日の法要が行われるケースが増えてきました。

さらに、仕事先や学校の関係で休みが取りにくい人も増えてきたため、初七日の法要を繰り上げて少しでも多くの遺族が参列できるように変化してきたという背景もあります。

初七日の繰り上げ法要は、現代の忙しい生活の中でも昔ながらの法要を大切にしたいと思う気持ちの現れと言えるでしょう。

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繰り上げ法要の種類

初七日に繰り上げ法要には、「式中初七日」と「戻り初七日」の2種類があります。

どちらも葬儀の日に行われますが、繰り上げ法要のやり方が異なるので区別しなければなりません。

では、式中初七日と戻り初七日ではどのような違いがあるのか、それぞれに分けて紹介しましょう。

式中初七日

式中初七日とは、葬儀の流れの中で初七日の法要を行う方法です。

故人の葬儀を行った後続けて初七日の法要を行い、その後に出棺、火葬という流れです。

葬儀の流れの中で初七日の繰り上げ法要すれば、あらためて初七日の会場を用意する必要がなく、式の流れも葬儀社に相談できることから、初七日の法要をしたくても遺族だけでは手が回らないという人にはありがたい法要です。

戻り初七日

戻り初七日とは、葬儀から火葬までを一般的な流れで終えた後、火葬が終わったご遺骨と一緒に葬儀会場へ戻り、あらためて初七日の法要を行う方法です。

葬儀場と火葬場を行き来することになりますが、火葬の間に葬儀場が法要や会食の準備を行なってくれるため、遺族の負担が少なく遠方の親族にとっても参列しやすいという点で選ばれている方法です。

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繰り上げ法要の流れ

花が飾られた祭壇

初七日の繰り上げ法要は、式中初七日と戻り初七日で法要の流れに違いがあります。

では、具体的にどのような点が違うのか、それぞれの繰り上げ法要の流れを紹介していきましょう。

式中初七日の場合

式中初七日の場合は、故人の葬儀全体の流れに初七日法要を組み込む形で行われるため「繰り込み法要」とも呼ばれます。

具体的な流れは次のとおりなので、順序をよく確認してから遺族や僧侶、葬儀場の人と詳細を話し合ってみましょう。

式中初七日の流れ
  • 故人の葬儀
  • 故人の初七日法要
  • 火葬
  • 会食

ステップ①:故人の葬儀

最初に行われる故人の葬儀は、一般的な葬儀と同じく読経から始まり、参列者にお参りいただいた後に喪主の挨拶までが行われます。

葬儀場によっては、読経と参列者のお参りが終わってから弔電を読み上げた後、そのまま初七日の法要という流れの場合もありますが、この点は葬儀場や遺族の意向によって流れが異なるところです。

もう少し詳しく流れを知りたい場合は、葬儀場との打ち合わせをしっかりと行い、疑問点がないように準備してください。

ステップ②:故人の初七日法要

故人への読経とお参り、弔電の紹介などが済んだら、そのまま故人の初七日法要が行われます。

初七日法要でも読経が行われ、司会者の案内に従ってもう一度参列者がお参りするのが一般的です。

ただし、読経を頼んだ僧侶によっては式中初七日に難色を示されることもあります。

もし初七日を式中初七日の形式で行いたい場合には、事前に僧侶とよく話し合って決めるようにしてください。

ステップ③:火葬

葬儀場で式中初七日まで終えたら、故人の遺体を火葬場へ送り出して火葬します。

一般参列者は、葬儀場で出棺を見送った後に解散になりますが、遺族や近しい親戚は火葬場まで移動して最期のお別れをしてください。

ステップ④:会食

骨壺に納めたら、火葬場から会食の会場へと移動します。

この会食が精進落としになりますが、場合によっては火葬場の控え室にお食事を用意して、火葬の間に会食を行うケースも少なくありません。

会食は、参加する人数によっても形式が変わるため、事前に遺族や親戚にお声がけして人数にあった形式で会食の準備をしましょう。

戻り初七日の場合

戻り初七日の場合は、故人の火葬が行われてからもう一度会場へ集まり、あらためて初七日の法要が行われます。

火葬するところまでは一般的な葬儀と変わりませんが、火葬後の流れに違いがあるため注意しましょう。

戻り初七日の流れは、次のとおりです。

戻り初七日の流れ
  • 故人の葬儀
  • 故人の火葬
  • 葬儀場に戻り初七日法要
  • 会食

ステップ①:故人の葬儀

一般的な葬儀と同様に、故人への読経から出棺の見送りまでを、一般参列者を交えて行います。

ここまでは一般的な葬儀と変わらないため、出棺を見送った後は一般参列者が帰宅しても問題ありません。

遺族や近しい親族は、故人のご遺体を乗せた霊柩車とともに火葬場まで移動しましょう。

ステップ②:故人の火葬

火葬場についたら、遺族と親族は最期のお別れをして故人のご遺体を火葬します。

場合によっては、火葬の最中に火葬場の控え室で初七日の法要を行うこともありますが、地域や寺院の考えによっては火葬場で法要を行えないかもしれません。

もし火葬中に初七日の法要を行いたい場合は、事前に僧侶にお伺いを立てて話し合ってから決めるようにしましょう。

ステップ③:葬儀場に戻り初七日法要

火葬が終わったらご遺骨と一緒に葬儀場に戻り、初七日法要を行います。

戻り初七日法要の場合は、会食を別の場所に設けているのならそちらに移動することもありますが、葬儀社と相談して葬儀会場で行うことが多いです。

ただし、僧侶が忙しく時間が取れない場合は、同じ僧侶に火葬の間待機して頂くことも難しいので、戻り初七日を検討するときは必ず僧侶にお伺いを立てるようにしてください。

ステップ④:会食

戻り初七日の法要が済んだら、遺族と親族で精進落としの会食が行われます。

実際に戻り初七日の法要を行った人のケースでは、ご遺骨と一緒に葬儀会場へ戻って法要を行った後、葬儀会場をセッティングし直して仕出し弁当や料理を用意することが多いです。

火葬の後に法要と会食が行われるので、1日のスケジュールを考えると一般的な葬儀よりも時間が掛かりますが、あらためて集まり直すことが難しい場合はこのような形式を選んでも良いでしょう。

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繰り上げ法要のメリット

祭壇に手を合わせる女の子

初七日の繰り上げ法要は、忙しい生活の中でもきちんとご供養したいと考える人にとって、メリットのある選択肢です。

ここでは、初七日の繰り上げ法要を行うメリットについて、具体的な例を挙げて解説します。

メリット
  • 何度も集まらなくて良い
  • 仕事や学校を休まなくて良い

メリット①:何度も集まらなくて良い

初七日の法要は、故人が亡くなった命日を1日として7日目に行われる法要です。

したがって、故人の二親等以内の遺族は初七日法要に参列するのが一般的ですし、故人と特に親しい親戚や知人も参列することがあります。

ひと昔前は、家族や親族が近い距離内で暮らすことが多かったため簡単に集まれましたが、現代では遺族同士であっても遠方に住むケースが増えたため、葬儀から短期間に何度も集まることが難しくなってしまいました。

初七日の繰り上げ法要は、こうした現代の家族・親族の事情を考えて行われるようになったのです。

たとえ集まりたいという気持ちがあっても、短期間に何度も長距離を移動するのは時間的にも金銭的にも難しいですから、何度も集まらなくて良いというのは重要なメリットと言えるでしょう。

メリット②:仕事や学校を休まなくて良い

故人の一親等内の遺族は、仕事や学校の忌引きが長めに取れるため、葬儀と別の日に初七日の法要を行うことも可能です。

しかし、故人の二親等以上の遺族は仕事や学校の忌引きが短めになるので、葬儀と別の日に初七日法要が行われるときはあらためて休暇を取らなければなりません。

法事で休暇を取ること自体は問題ありませんが、短い期間で何度も仕事や学校を休むのは気が引けるという人も多く、実際に休むことが難しいため初七日の法要を欠席するというケースもあります。

初七日の繰り上げ法要は、葬儀の日に初七日の法要が行われるのであらためて休暇を取る必要がなく、仕事先や学校に気を使う必要がありません。

仕事や学校の関係で出席が難しく、故人や遺族に申し訳ないと思う人にとっても、初七日の繰り上げ法要は心からお参りができるメリットといえます。

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繰り上げ法要のデメリット

遺族や親族にとってメリットのある初七日の繰り上げ法要ですが、その一方で知っておくべきデメリットも存在します。

では、初七日の繰り上げ法要にはどんなデメリットがあるのか、その内容をご紹介しますので確認してみましょう。

デメリット
  • 周囲に理解されない可能性がある
  • スケジュールが詰まる

デメリット①:周囲に理解されない可能性がある

実は、初七日の繰り上げ法要は、住む地域によって理解度に差があります。

例えば、歴史的に開拓地であった北海道では、厳しい自然環境と労働の忙しさから別日に初七日をすることが難しかったため、もともと繰り上げ法要を行うことが一般的でした。

しかし、本州から九州にかけての地域はこのような背景がないため、仏教の教えにしたがって別日に初七日の法要を行うことが一般的で、現代でも繰り上げ法要が理解されないケースも少なくありません。

このような考え方の違いは、住んでいる地域だけではなく生活様式によっても出てきますので、周囲に理解されない可能性があることを心に留めておきましょう。

デメリット②:スケジュールが詰まる

初七日の繰り上げ法要は、1日のうちに葬儀から初七日法要まで行うため、どうしてもスケジュールがタイトになる可能性があります。

例えば、一般的な例を挙げると故人の葬儀から火葬が約4時間、別日で行う初七日法要が会食まで含めて3時間から4時間ほどかかりますから、単純に計算しても長丁場になるのがわかりますよね。

現在では、葬儀社から繰り上げ法要を含めた葬儀プランも提案されていますが、それでも5時間は掛かることも少なくありませんから、スケジュール的にはかなり詰まる可能性があります。

故人を見送る遺族は、ただでさえ精神的負担が大きい状態ですから、スケジュール的に無理がないかもよく検討するようにしましょう。

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繰り上げ法要の宗教的見解

山寺

時代の変化にともない受け入れられてきた繰り上げ法要ですが、実は寺院によっては受け入れられず繰り上げ法要に難色を示されることもあります。

ここでは、繰り上げ法要に対する本来の意味合いとともに、宗教的にみた繰り上げ法要の理解のされ方についてご紹介します。

戻り初七日は受け入れられやすい

そもそも、初七日は葬儀でお別れをしてご遺骨となった故人が最初の審判を受ける大切な日ですから、お骨が収骨された後に行われる法要です。

戻り初七日の場合、葬儀→火葬→収骨→初七日という流れに沿っているため、たとえ葬儀日と一緒の日でも受け入れられやすく、寺院も時代の流れとしてとらえる傾向があります。

式中初七日は仏教的に考えにくい

式中初七日は、火葬の前に初七日の法要が行われるので、本来の宗教的考えに沿っていないという意見を持つ僧侶もいらっしゃるようです。

もちろん、現代の忙しさに理解を示して柔軟に考えてくださる寺院もありますが、信心深い人には仏教的に考えにくいと難色を示されるケースもあります。

事前に菩提寺や親戚とよく相談した方が良いでしょう。

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繰り上げ法要のお布施と香典

用意されたお布施

初七日の繰り上げ抱擁は葬儀の日に行われるので、お布施と香典をどのように用意すれば良いのか気になりますよね。

では、繰り上げ法要が行われるときのお布施と香典について、それぞれの用意の仕方を紹介しましょう。

お布施

初七日を繰り上げ法要で行う場合は、お布施を葬儀の法要の中に含める形でお包みします。

全国的な平均金額としては、法要を一回お願いするごとに3万円〜5万円をお布施としてお包みしますが、繰り上げ法要を合わせてお願いするなら5万円〜7万円を用意してお包みしてみましょう。

もし菩提寺の方である程度の目安がわかっていたり、檀家同士や地域で決まりがあるようでしたらそちらにしたがった金額をお包みしてください。

香典

繰り上げ法要に参列する場合も、香典を個別に用意する必要はありません。

基本的には一般の葬儀に参列する時の目安で香典を用意し、もし繰り上げ法要後の会食にも出席するのでしたら、お食事代として5千円〜1万円ほど多く包んで渡すようにしましょう。

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繰り上げ法要をする時のマナー・注意点

初七日の繰り上げ法要は、行う人が多くなってきたものの地域によっては馴染みが薄い形式なので、気をつけなければならない点があります。

では、繰り上げ法要をする時にはどのようなことに注意するべきなのか、具体的な例を挙げて詳しく解説しましょう。

マナー・注意点
  • 必ず親族や周囲と相談
  • 事前に僧侶にお伺いを立てる
  • 地域の慣習も尋ねておく
  • 葬儀社と打ち合わせをしておく

マナー・注意点①:必ず親族や周囲と相談

繰り上げ法要は、理解を示す人が増えてきた反面受け入れられない人もいるため、参列する親族や周囲の人に相談することをおすすめします。

もともと初七日の法要は、遺族と親族の少人数で集まって行うものですから、周囲の人の状況や理解度もよく考慮して、お互いが納得いく形で話をまとめていきましょう。

マナー・注意点②:事前に僧侶にお伺いを立てる

初七日の法要は、仏教の教えに則った重要な法要です。

そのため、現代の生活に合わせて変化をさせた繰り上げ法要を行う場合は、事前に僧侶にお伺いを立てて理解を得なければなりません。

最初から繰り上げ法要をすると決めてからお伺いをすると、寺院や僧侶に受け入れてもらえない可能性もあります。

まずは「繰り上げ法要にしたい」という内容をお伝えし、理解を得てから葬儀社へ正式に依頼するようにしましょう。

マナー・注意点③:地域の慣習も尋ねておく

地域によっては、初七日の繰り上げ法要をあまり良いことと受け取らない可能性もあるため、住んでいる地域の慣習も尋ねておく方が良いでしょう。

その際、合わせて地域の慣しも尋ねておくと、住んでいる地域の方に失礼にならない対応ができます。

初七日の繰り上げ法要を考えている場合には、必ず地域の慣習も調べるようにしてください。

マナー・注意点④:葬儀社と打ち合わせをしておく

初七日の繰り上げ法要は、葬儀社によってその対応が異なります。

特に式中初七日の場合、一般的な葬儀の流れと違った流れで進めていかなければなりません。

そのため、葬儀社の人とできるだけ細かく打ち合わせをして、つつがなく葬儀の繰り上げ法要が行えるよう準備するようにしましょう。

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まとめ

骨壷が置かれた祭壇

初七日の繰り上げ法要は、現代のライフスタイルに合わせて行われるようになってきた、新しい形式の法要です。

遺族にとってはメリットが多いですが、地域によって理解度が変わり寺院や僧侶の受け入れられ方にも違いがあります。

事前に周囲の人や寺院・僧侶とよく相談してから判断するようにしましょう。

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この記事を監修したのは、
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