小規模宅地等の特例とは?利用できる要件と計算方法

相続税
この記事を監修した専門家は、
三浦哲郎
行政書士
大学卒業後、オーストラリア・フィリピンへ留学。その後、世界5大陸30ヵ国100都市以上へのバックパッカー旅へ出発。帰国後、千葉県に「行政書士三浦国際事務所」を設立。行政書士・総合旅行業務取扱管理者。行政書士登録番号 第18100898号

 

小規模宅地等の特例という言葉を聞いた事がある方は少ないかもしれません。しかしこの特例は、相続税対策を考える上でとても重要な特例になります。

この特例は、被相続人が自宅や事務所等で使用していた宅地を相続する際に、最大8割引の評価額で相続を行えるというものです。

評価額が8割引になると言うのは、相続税が「80%割引になる!」と言い換えることもでき、節税対策としては非常に強力です。

本項では、小規模宅地等の特例について、基本的な説明、利用対象者などについて説明します。

※尚、本項では 1.事業の用に供されていた宅地 2.居住の用に供されていた宅地、のうち、多くの方に当てはまるであろう「居住の用に供されていた宅地等」をメインに解説致します。

1.小規模宅地等の特例とは

前述の通り、小規模宅地等の特例は、相続税が最大8割引となる制度ですが、なぜこれほどまで優遇されているのでしょうか。これは、残された相続人を保護するためだと考えられています。

相続人の中には、被相続人の資金力に頼り、生活している方もいらっしゃいます。そのような相続人に対して多額の税金を課してしまうと、相続人の生活が不安定になる、可能性があります。そのような事態を防ぐために、上記特例が存在しているのです。

また、非常に便利な制度ですが、どのような建物でも使用できるのではなく、以下の条件があります。

330平米(100坪)まで

「小規模宅地等の」ということから広さの制限があり、330平米(100坪)までと決められています。

しかし、100坪をオーバーしている住宅は特例の対象外なのかというとそうではありません。その場合、100坪までが8割引、それを超える部分については通常の課税というかたちになります。

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2.利用できる要件について

この特例は、最大8割引で相続を行えるとあって、大変利用価値の高い特例ですが、それだけ利用対象者に厳しい条件があり、特例を使える人が決まっています。逆に言うと、特例が使える人に対して相続しないと「8割引が使えない」と言うことになり兼ねないので要注意です!

さて、気になる利用対象者の条件ですが、こちらの特例を利用できる人は、

  1. 配偶者
  2. 同居親族
  3. 別居親族

となります。

①は分かりやすいですが、②と③は「結局どっちなの?」となりますよね。それぞれ解説していきます。

配偶者

配偶者は、無条件で特例を利用することができます。配偶者とは、被相続人と婚姻関係にある人物のことです。夫が亡くなった場合の、妻。妻が亡くなった場合の、夫です。なので、配偶者に自宅を相続すれば、確実にこの特例が使えることが多いです。

が、ご存知のように配偶者は配偶者控除が利用できるので、他にこの特例を利用できる人物がいるのであれば、配偶者以外に自宅を相続した方がトータルでお得になる可能性もあります。

同居親族

同居家族とは、被相続人が亡くなった際に、同居していた親族のことです。同居をしていた親族が自宅を相続をした場合、その住んでいた自宅評価額は8割引で計算されることになります。

同居と言うのは、何を持って判断されるの?

と言う疑問を持った方が多いかもしれません。

が、この判断は税務調査の担当などにもよって変わるので、非常に見解が難しいところではあります。

表面上の同居事実を作ってもバレます

例えば「同居の事実がない」のにも関わらず、同居していたとして特例を利用しようとすると、税務調査で必ずバレると思った方が良いでしょう。

例えば、住民票などを操作し、表面上、同居しているように見せるなどの対策は、絶対にお勧めしません。相続税が8割引になる特例ですから、税務署もそこまで甘くはありません。

すると「同居の実態は無いが、介護などでほとんど毎日通っていた」と言う場合はどうでしょう。これは非常に難しいですが「通っていた」と言うことは「同居してる訳ではない」と判断されることもあるので、利用できない可能性が高いです。

確かな実態があれば利用できる

上記の通り、嘘を付いたり、通いだったり、同居には至らないケースは特例は利用できません。しかし、少しの期間でも良いので「同居の確かな実態」がある場合は、この特例は利用することできます。

極端な話し、被相続人が死亡する1週間前に同居を開始した場合でも、同居の確かな実態があれば、こちらの特例は利用することができます。この場合、例え住民票が別であっても、実態が認められれば、特例を利用することができる可能性があるのです。

10ヶ月間はそこに住む必要がある!

この特例を利用するために「被相続人と同居する」と言うのは、生前対策の正しい1つの選択だと思います。しかし、気を付けるべきポイントがあります。小規模宅地等の特例が無事に認められた場合、被相続人の死亡後、10ヶ月間はその自宅に住む必要があると言う条件があります。なので、この特例を利用するためだけに同居を行う場合は「そのあと10ヶ月間はそこに住み続けなければならない」と言うことを考慮した上で、行動するようにしましょう。

別居親族

最後に、別居親族(但し、3年以上持家がない親族に限る)について解説します。

「同居じゃなくても使えるのかい!」と思った方も多いかもしれませんが、先に挙げた、配偶者、同居親族と比べて、別居親族がこの特例を利用できるケースは実は非常に少ないです。

理由は2つあります。

1. 配偶者、同居親族が居ない場合だけ

別居家族がこの特例を利用できるのは、先ほど挙げた、①配偶者、②同居親族 がいない場合のみになります。

被相続人に配偶者が居ない、同居家族も居ない、つまり被相続人が1人暮らしをしている場合、初めて別居親族の条件が1つクリアになると言うことです。

高齢者が1人暮らしをすると言うケースは非常に少ないため、その点で別居親族がこの特例を使用できるケースは少ないです

2. 3年以上持ち家が無い親族

別居家族がこの特例を利用するには、3年以上持ち家がないことが利用条件とされています。

「持ち家がない」と言うのは、例えば賃貸に住んでいる方や、社宅や寮などに住んでいる方が挙げられます。仮に、被相続人が1人暮らしをして居て、「1.配偶者、同居親族が居ない場合だけ」の条件をクリアして居ても、対象となる別居親族が持ち家を持っている場合は、この特例は使えないのです。

また、例えばあなたが被相続人の子供で、別居親族だとした時に、仮にあなたが「持ち家がない」としても、あなたの配偶者が「持ち家あり」の場合にはあなたも「持ち家あり」と判断されてしまいます。そのような厳しい条件があるため、別居親族がこの特例を利用できるケースは非常に少ないと言われています。

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3.特殊なケース

最後に、特例を使う場合の少し特殊なケースとして代表的な2つの例をご紹介します。

被相続人の死亡時、空き家だった場合

被相続人が老人ホーム等に入居している場合は、どのような扱いとなるのでしょうか。被相続人が死亡前、老人ホームで生活をしているということは、少なくないと思います。つまり、被相続人が死亡する前から住居が空き家状態になっているということです。

原則的には、上記特例の適用の有無は、被相続人が住居地として使用していなくてはなりません。そのため、原則、小規模宅地等の特例は適用されないことになります。

しかし、

● 要介護認定等を受けている
● 老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に入居している

など、個別のケースにより、特別に特例が適用されることもあります。

詳しくは専門家に状況の説明を踏まえて相談するのが良いでしょう。

二世帯住宅

近年、お互いに協力できる二世帯住宅に住む方も少なくありません。その際、上記特例が適用されるかにおいて、重要なのが「登記内容」となります。

例えば、1人暮らしの父が土地を所有して居たとします。その土地に、二世帯住宅を建て、息子夫婦と同居したと仮定します。

この場合、被相続人の父が亡くなった際、特例が適用されるかの判断は、登記内容をもとに判断されます。具体的には、共有登記をしていた場合には、特例が適用されます。

しかし、区分登記で生計を共にしていた場合、息子の土地、敷地のみ特例が適用されます。そして、生計が別々の場合には、特例を利用する事ができないので注意しましょう。

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まとめ

冒頭でも述べましたが、小規模宅地等の特例は「8割引で相続できるかもしれない」と言う、とても利用価値の高い制度です。特例を利用できるかの有無で、数千万円の違いが生じてしまうことも少なくありません。そのため事前に制度をしっかりと理解しておき、対策を練っておくことは非常に重要です。

また本項では「居住の用に供されていた宅地」、つまり自宅を例にして解説してきましたが、自宅だけでなくても事業用の宅地でも特例を利用することが可能です。上記は個々のケースにより状況が異なるかと思われますので、税理士などの専門家に依頼することが最善の選択肢かもしれません。

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