不動産の相続手続きである相続登記は、難しいとの印象があるかもしれません。
では、不動産の相続手続きを自分ですることはできるのでしょうか。また、不動産の相続手続きをするにはどのような書類が必要で、どの程度の費用が掛かるのでしょうか?
今回は、不動産の相続手続きを自分でやる方法などについてくわしく解説します。
目次
不動産の相続手続きは自分でできる?
家族が亡くなり相続が開始すると、死亡届の提出や遺産の相続手続きなどさまざまな手続きが必要になります。さらに、遺産に家や土地などの不動産が含まれる場合は、不動産の名義を亡くなった人から相続する人に変更するための登記が必要です。
また、不動産のような高額な財産を相続するケースでは、相続税がかかることが多く、相続税がかかる場合には税務署に対して申告を行う必要があります。そもそも登記と相続税の申告は、専門家に依頼しなくても自分でできるのか、まずはこの点について解説していきましょう。
相続登記は自分でできる
相続登記は、不動産の名義を故人から相続人に変えるために法務局で行う手続きです。ここで、人によってはそもそも法務局に行ったことがなく、「法務局で行う手続き」と聞いて難しい手続きをイメージする人もいるかもしれません。
ただ、相続登記は専門家である司法書士でなくてもできますし、登記に必要な書類をあらかじめ確認して漏れなくそろえれば、自分でも手続きは進められます。
また、手続きをする際に法務局に提出する登記申請書についても、記載例が法務局ホームーページに掲載されているので、記載例を見ながら作成すれば特に問題はありません。もちろん、慣れない人が自分で手続きをすれば、専門家がやる場合に比べて時間がかかる可能性はあります。
ただ、司法書士に必ずしも依頼する必要はないので、この後に紹介する手続き方法を確認して自分でできそうであれば、わざわざ司法書士に依頼せず自分で手続きをしてしまっても良いでしょう。
相続税の申告は一般的に税理士に依頼する
相続税の計算では専門的な知識が必要になり、一般の人が自分で相続税を計算することは容易ではありません。相続税の計算や申告書の作成・提出は、自分でやらずに税理士に依頼するのが一般的です。
特に、遺産に家や土地などの不動産が含まれる場合には、特例の適用可否など難しい判断が必要になるケースが少なくありません。相続税に強い税理士に依頼しないと、税負担の軽減につながる各種特例を適切に適用できず、税額が高く算出されて余計な税金を払ってしまう場合があります。
税額を高く計算して余計な税金を払ったり、逆に誤って過少に計算して後から罰金を科されたりすることがないよう、相続税の申告は税理士に依頼したほうが良いでしょう。
不動産の相続手続きを自分で行う場合の全体の流れ
不動産の相続手続きを自分で行う場合、全体の流れは次のとおりです。ただし、下記はあくまでも一般的なケースです。状況によっては、これら以外の手続きが必要となったり順番が前後したりすることもありますので、参考としてご確認ください。
- 相続人が誰なのか確認する
- 遺産の全体像を確認する
- 不動産を誰が相続するかを決める
- 必要書類を準備する
- 登記申請をする
相続人が誰なのか確認する
はじめに、亡くなった人(「被相続人」といいます)の相続人が誰なのかを確認します。配偶者と、その配偶者との間の子が相続人になるケースなどでは、相続人の把握は難しくないでしょう。
一方、兄弟姉妹や甥姪などが相続人となるケースや、被相続人が再婚であり前妻との間に子がいるケースなどでは、相続人の把握に時間と手間がかかる場合もあります。自分で調べることが難しい場合には、司法書士や行政書士などの専門家へ依頼して調査してもらいましょう。
遺産の全体像を確認する
相続人の確認とあわせて、遺産の全体像の確認を行います。遺産の全体像がわからなければ、次で解説する遺産分割協議を行うことが難しいためです。
不動産を誰が相続するかを決める
次に、遺産分割協議を行い、不動産を誰が相続するのかを決めます。遺産分割協議とは、相続人全員で行う遺産分けの話し合いのことです。
相続人が1人でも漏れた場合、遺産分割協議は無効となりますので注意しましょう。遺産分割協議の成立には、原則として相続人全員の合意が必要です。相続人同士で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で行う話し合いである「調停」や、裁判所に分け方を決めてもらう「審判」へと移行します。
なお、被相続人が有効な遺言書を残していた場合には、原則として遺産分割協議は必要ありません。この場合には、遺言書に従って遺産を相続することとなります。
必要書類を準備する
遺産分割協議が成立したら、不動産の相続手続きに必要となる書類を準備しましょう。必要書類については、後ほど詳しく解説します。
登記申請をする
必要書類の準備ができたら、相続登記を申請します。相続登記の申請方法には、次の3つの方法があります。
- 法務局の窓口へ持ち込んで申請する
- 郵送で申請する
- オンラインで申請する
自分で相続登記をする場合には、できるだけ窓口へ持ち込んで申請をすると安心です。なぜなら、軽微な不備であれば、その場で指摘がされすぐに修正できる可能性が高いためです。法務局が遠方であるなど出向くことが難しい場合には、郵送で申請しましょう。
なお、オンラインでの申請には、機器の設定など事前の準備が必要です。そのため、自分や家族の登記を数回程度申請するのみであれば、おすすめできません。
相続登記のポイント
相続登記の具体的な手続き方法を解説していく前に、まずは相続登記のポイントを確認しておきましょう。相続登記のポイントは次の2つです。
- 法務局で手続きが必要
- 登録免許税などの費用がかかる
法務局で手続きが必要
家や土地などの不動産が誰のものなのか、名義は登記簿に記載されています。登記簿は法務局で管理されている書類です。
相続によって不動産の所有者が故人から相続人に変わるのであれば、名義変更の手続きである登記を法務局で行う必要があります。家や土地の所有者が亡くなった後に、法務局で管理されている登記簿上の名義人が自動的に書き換えられるわけではありません。
自治体に死亡届を提出すると、法務局にも情報が伝わったり名義変更がされたりするわけではなく、不動産を相続する人による登記が必要です。手続きは不動産がある地域の法務局で行う必要があり、一般的には窓口で直接書類を提出して申請するか、書類を郵送して申請します。
相続する人が不動産の所在地から遠い地域で生活している場合、法務局に行って手続きするのであれば、わざわざ不動産のある地域の法務局に行く必要があり、手間や時間がかかることがあります。
登録免許税などの費用がかかる
不動産の名義変更の手続きである登記は、無料でできるわけではない点には注意が必要です。相続登記ではある程度の費用がかかるので、費用の支払いに充てるお金を準備しておかなければなりません。
費用の支払いに充てられる現預金が遺産に含まれる場合は問題ありませんが、不動産を相続する人が自分で資金を準備する場合は、いくら費用がかかるのかを事前に確認した方が良いでしょう。自分で相続登記をする場合には、主に次のような費用がかかります。
- 登録免許税
- 必要書類の発行費用
登録免許税は、登記をするときに納める税金で、税額は固定資産評価証明書に記載されている不動産の価格(固定資産税評価額)に税率0.4%をかけて求めた金額です。たとえば、3,000万円の不動産を相続するのであれば、相続登記の際に12万円の登録免許税がかかります。
不動産を相続するパターンは3種類
家族が亡くなると相続人が遺産を相続しますが、相続は大きく分けると次の3パターンがあります。
- 遺言による相続
- 遺産分割協議による相続
- 法定相続による相続
いずれのケースに該当するかによって、相続開始後の手続きの流れや不動産の相続手続きで必要になる書類が変わります。まずは、それぞれが一体どのような相続なのかを押さえるようにしましょう。
①遺言による相続
財産を遺す人が生前に遺言を残している場合には、その内容に従って遺産を分けることになり、遺言書で指定された人が不動産を相続します。相続人の間で遺産の分け方について話し合う必要は基本的にありません。
不動産を相続する人は、遺言書など一定の書類をそろえた上で、法務局で登記の手続きを行います。
なお、遺言書を作成していることや保管場所を本人から生前に聞いていればすぐに見つけられますが、遺言書を作っているのかどうかを本人から聞いていない場合もあります。この場合には、遺言書が遺されているのかどうか、相続開始後に相続人が確認しなければなりません。
遺言書が保管されている可能性がある場所はいくつか考えられますが、例えば次のような場所で保管されていることがあります。
- 自宅の神棚や箪笥の中などで自筆証書遺言や秘密証書遺言が保管されている
- 公証役場で公正証書遺言が保管されている
- 法務局で自筆証書遺言が保管されている
そのため、亡くなった方の自宅で遺品整理を行って遺言書がないか探し、公証役場や法務局で保管されていないか、照会手続きを行いましょう。自宅などで遺言書が見つかった場合は「検認」が必要になるので、見つかった遺言書は開封せずに家庭裁判所に持ち込んで検認を受けるようにしてください。
②遺産分割協議による相続
遺言書が遺されていない場合や、遺言書で一部の遺産の分け方しか指定されていない場合、相続人が2人以上いれば遺産の分け方を話し合う必要があります。遺産をどのように分けるのかを相続人同士で話し合うのが遺産分割協議です。
遺産分割協議を通して誰が不動産を相続するのかが決まったら、その人が遺産分割協議書など一定の書類を揃えた上で、法務局で登記の手続きを行います。
なお、遺産分割協議にはすべての相続人が参加しなければならず、一人でも欠けた状態で行った場合は無効です。相続開始後には、故人の出生から死亡までのすべての戸籍を取り寄せて相続人調査を行いますが、その中で判明した相続人が全員遺産分割協議に参加しなければなりません。
なお、遺産分割協議は直接集まって開催しても、電話やメールなどで意見を交換して行っても構いません。そして、誰がどの遺産を相続するのかが決まったら、合意した内容を遺産分割協議書としてまとめて、参加者全員が記名押印します。遺産分割協議書は、参加者の人数分作成して、各自が1通ずつ保管することが一般的です。
③法定相続による相続
どの相続人がどれだけの遺産を相続する権利を持つのか、相続権の割合として法定相続分が法律で決まっています。法定相続による相続とは、相続人が2人以上いる場合に、不動産を法定相続分に基づいて各相続人が相続する方法です。
たとえば、遺産分割協議を行っても話し合いがつかない場合に、とりあえず各自の法定相続分に基づいて相続して、不動産を相続人全員の共有状態にする場合があります。相続登記の手続きは、必要書類さえ準備できていれば全員で行う必要はなく、不動産を相続する人の誰か一人が手続きをしても構いません。
なお、各相続人が法定相続分に基づいて相続した家や土地を売却する場合には、共有しているすべての相続人の同意が必要になります。法定相続による相続自体が不動産の有効活用の妨げになるケースも多いので、相続の仕方としてはあまりおすすめできない方法です。
自分で相続登記をするときの手続きの流れ
不動産を相続する人として遺言書で指定された人や、遺産分割協議によって不動産を相続することになった人は、不動産の名義を亡くなった方から自分に変更する登記を行います。土地や家の相続登記を行うときの手続きの流れは次のとおりです。
- 手続き書類を集める
- 登記申請書を作成する
- 法務局に書類を提出する
- 登記完了予定日以降に書類を受け取る
手続き書類を集める
相続登記で必要な書類の種類は、「遺言に基づく相続登記」「遺産分割協議に基づく相続登記」「法定相続分に基づく相続登記」のいずれに該当するかで異なります。住民票や固定資産評価証明書など、共通して必要になる書類もありますが、自分がどのケースに該当するのかを確認した上で、必要な書類を漏れなくそろえるようにしてください。
また、以下では一般的に各ケースで必要になる書類の一覧を紹介しますが、追加で書類が必要になる場合があります。そのため、実際に手続きをするにあたっては、法務局に直接確認した方が良いでしょう。
遺言に基づく相続登記で必要な書類
遺言に基づく相続登記では、一般的に次の書類が必要になります。
- 固定資産評価証明書
- 遺言書(検認を受けた場合は検認済証明書も必要)
- 被相続人の死亡時の戸籍謄本、住民票の除票
- 不動産を相続する人の戸籍謄本と住民票
遺言に基づいて不動産を相続する場合は、この後に紹介する2つのケースと異なり、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本は死亡時のものだけで構いません。上記で記載した書類を役場で取得して揃えるようにしてください。
遺産分割協議に基づく相続登記で必要な書類
遺産分割協議に基づく相続登記では、一般的に次の書類が必要になります。
- 固定資産評価証明書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票
- すべての相続人の戸籍謄本と印鑑証明書
- 不動産を相続する相続人の住民票
遺産分割協議に基づいて不動産を相続する場合は、そもそも誰が相続人で遺産分割協議の対象者だったのか、法務局が確認する必要があります。そのため、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本については、出生から死亡まですべての戸籍謄本が必要です。
上記で記載した書類を役場で取得して揃えるようにしてください。
法定相続分に基づく相続登記で必要な書類
法定相続分に基づく相続登記では、一般的に次の書類が必要になります。
- 固定資産評価証明書
- 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票
- すべての相続人の戸籍謄本、住民票
法定相続分に基づいて不動産を相続する場合も、誰が相続人なのかを法務局が確認する必要があります。そのため、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本については、出生から死亡まですべての戸籍謄本が必要です。
上記で記載した書類を役場で取得して揃えるようにしてください。
登記申請書を作成する
相続登記の手続きでは、登記申請書を作成して、さきほど紹介した必要書類とともに提出する必要があります。登記申請書とは次のような書類で、不動産を相続する人や登記対象となる不動産に関する情報、登録免許税の税額などを記載する書類です。
出典:不動産登記の申請書様式について(法務局ホームーページ)
登記申請書の用紙は、次のサイトからダウンロードできます。遺言・遺産分割協議・法定相続それぞれのケースに対応した雛形が掲載されていて、記載例も掲載されているので、記載例を確認しながら申請書を作成するようにしてください。
- 不動産登記の申請書様式について(法務局ホームーページ)
なお、登記申請書に記載する不動産に関する情報(不動産の表示)は、登記事項証明書の内容を書き移すことになります。登記事項証明書は法務局で申請すれば発行できるので、手元にない場合にはまずは登記事項証明書の発行手続きを行ってください。
法務局に書類を提出する
必要書類をそろえて登記申請書を作成できたら、法務局に提出します。提出先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。
一般的には、法務局の窓口に書類を持参して直接提出するか、郵送で提出します。なお、窓口で提出する場合は、法務局が開いている時間が平日の午前8時30分から午後5時15分までである点に注意してください。
登記完了予定日以降に書類を受け取る
書類に不備などがなく問題が特になければ、一般的に法務局に書類を提出してから1週間から10日ほどで登記が完了します。登記が完了すると登記完了証と登記識別情報通知書が発行されるので、登記完了予定日以降に法務局に行って受け取るか、郵送してもらって受け取りましょう。
自分で相続登記をする際にかかる費用
不動産の相続手続きである相続登記を自分で行うには、どの程度の費用がかかるのでしょうか?かかる費用と金額の目安は、それぞれ次のとおりです。
なお、これらの費用は、相続登記を司法書士へ依頼した場合も自分で行う場合も、同様にかかります。
必要書類の取得費用
不動産の相続手続きである相続登記をするためには、次で解説をするように、非常に多くの書類が必要となります。自分で相続登記をする際には、原則としてこれらの書類も自分で集めなければなりません。
必要書類の取得にかかる費用は、相続人の数は被相続人の生前の状況などによって異なりますが、おおむね5,000円から15,000円程度となることが多いでしょう。ただし、被相続人の兄弟姉妹や甥姪が相続人となる場合には取得すべき書類が増えるため、これよりも1万円ほど高くなることが多い印象です。
登録免許税
不動産の相続手続きである相続登記をする際には、「登録免許税」という税金を支払わなければなりません。登録免許税の金額は、原則として次の式で算定されます。
- 登録免許税額(相続)=不動産の固定資産税評価額×1,000分の4
※不動産の固定資産税評価額は1,000円未満切捨て、登録免許税額は100円未満切捨て。算出された額が1,000円未満となる場合には、1,000円。
たとえば、固定資産税評価額が2,000万円である不動産の相続登記をする際にかかる登録免許税額は、8万円になるということです。
不動産の相続手続きは自分でやる?専門家に依頼する?
不動産の相続手続きを、自分でやるのか専門家に依頼するのか、判断に迷う場合もあるでしょう。これらを検討する際のポイントは、次のとおりです。
自分でやると費用は抑えられるが手間がかかる
相続登記を自分でやれば、専門家報酬がかからない分、費用を抑えることが可能となります。
ただし、相続登記は決して簡単なものではなく、自分でやるためには相当の手間と時間を要してしまいかねません。また、法務局に事前相談などへ出向こうとしても、法務局は平日の日中しか開いていないため、平日の日中に時間を割くことが難しい方にとっては、ハードルが高いといえます。
そのうえ、慣れない手続きを自分で行えば不備が生じる可能性が高く、補正(修正)への対応が必要となったり、完了までに時間がかかったりする傾向にあるでしょう。
専門家に依頼すれば手続き負担がかからずスムーズに終わる
専門家へ相続登記を依頼すれば、自分で行う場合にかかる費用に加えて、専門家報酬の支払いも必要となります。専門家報酬は依頼先の事務所や相続の状況、依頼する業務内容などによって異なりますが、おおむね7万円から15万円程度であることが多いでしょう。
その一方で、専門家へ依頼した場合には手続きがスムーズに進行します。自分で相続登記について調べたり、慣れない書類を自分で作成したりする必要はありません。また、自分で行うよりも早く、確実に手続きが完了するでしょう。
相続登記の必要書類
相続登記には、数多くの書類が必要となります。ここでは、遺産分割協議による相続登記で、一般的に必要となる書類を解説します。
ただし、状況によっては別の書類が必要となる場合もあるため、不動産の相続手続きを自分で行う場合には、あらかじめ必要書類について管轄の法務局に相談をすると良いでしょう。
登記申請書
登記申請書は、相続登記のメインとなる書類です。原則としてここに記載したとおりに登記がされますので、誤りのないよう正確に記載してください。
法務局のホームページに記載例がありますので、こちらを参考にすると良いでしょう。
遺産分割協議書
遺産分割協議書は、遺産分割協議の結果をまとめた書類です。相続登記をしようとする不動産を誰が取得することになったのかがわかるよう、明確に作成しましょう。
協議内容に相続人全員が合意していることの証拠として、相続人全員の実印での捺印が必要です。
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書に押した印が実印であることの証明として、相続人全員の印鑑証明書が必要です。住所地の市区町村役場などで、200円から400円程度で取得できます。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
被相続人の相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本が必要です。それぞれ、その時点で被相続人が本籍地を置いていた市区町村役場で取得できます。
手数料は、戸籍謄本であれば1通450円、除籍謄本と原戸籍謄本は1通750円です。
被相続人の除票
登記されている名義人と被相続人が同一人物であることを証するため、被相続人の除票が必要です。除票は、被相続人の最後の住所地の市区町村役場にて、200円から400円程度で取得できます。
相続人全員の戸籍謄本
相続人が存命であることを証するため、相続人全員の戸籍謄本が必要です。それぞれ本籍地の市区町村役場で、1通450円で取得できます。
不動産を相続する人の住民票
新たに所有者となる人の情報を正しく登記するため、不動産を相続する人の住民票が必要です。住民票は、住所地の市区町村役場で200円から400円程度で取得できます。
不動産の固定資産税評価証明書または評価通知書
先ほど解説した登録免許税を正しく算定するため、相続登記をする不動産の固定資産税評価証明書または評価通知書が必要です。いずれも、その不動産の所在地を管轄する市区町村役場で取得できます。
取得に要する手数料は、評価証明書が1通300円程度、評価通知書は無料です。
相続登記に関するよくある疑問
最後に、相続登記に関するよくある疑問に回答します。
相続登記に期限はあるの?
相続登記に、期限はあるのでしょうか?
記事執筆時点である令和4年12月時点においては、相続登記に期限はありません。しかし、これが相続登記をしないままで放置され、もはや現在の所有者がわからなくなってしまった「所有者不明土地」が増加した原因になっているとして、社会問題となっています。
そこで、相続登記などについて定めている不動産登記法が改正され、相続登記に期限が設けられることとなりました。この改正法は、2024年(令和6年)4月1日から施行されることとなっています。
改正法の施行後は、原則として相続で不動産を取得したことを知ってから3年以内に相続登記をしなければなりません。
相続登記に権利書は必要?
相続登記をする際に、その不動産の権利書は必要なのでしょうか?
実は、相続登記では原則として権利書は必要ありません。ただし、所有者として登記されている被相続人の住所と除票で確認できる被相続人の住所が異なる場合などには、例外的に権利書が必要となります。
まとめ
不動産の相続登記は自分でもできるので、手続きで必要な書類を確認して漏れなく揃えた上で、登記申請書とともに法務局に提出しましょう。一方、相続税の申告については、一般の方が自分で税額を計算したり申告書を作成したりすることは難しく、相続税に強い税理士に依頼することをおすすめします。
また、相続登記についても、自分でやる以外に専門家に依頼する方法もあります。手続きを自分で進める自信がない場合や、確実に手続きを完了させたい場合などには、司法書士に相談すると良いでしょう。
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