生前贈与の注意点、知っておかないと損するルール

生前対策
この記事を監修した専門家は、

 

被相続人が死亡した時に相続人にかかる税金が、相続税です。相続税は、基礎控除を上回る財産をもった人にだけ課税される税金です。基礎控除の金額はこちらの記事で詳しく説明していますが、以下の算式で計算します。

基礎控除=3,000万 + (相続人の数 × 600万)

平成26年までは、基礎控除の金額は、「5,000万 + (相続人の数 × 1,000万)」でした。

しかし税制改革によって基礎控除は40%カットされ、相続税の課税対象が多くなり、これまでより相続対策が不可欠な時代になったと言えます。

税金を支払う資金をいかに用意するか、相続人同士で争わずに相続できるかなども非常に重要ですが、何より大切なのが、支払う税金をいかに節税できるかです。

本稿では、最も有名な生前対策の1つと言える生前贈与について、その概要や注意すべき点について解説致します。

1.なぜ生前贈与なのか

相続税対策として生前贈与を行うと節税になる、というのは、それ(=生前贈与)が相続財産を減らすことに繋がるからです。

冒頭にも書きましたが、相続税は、基礎控除を超えた財産分にかかる税金です。つまり、贈与をすることで基礎控除を超えた財産自体を減らし、相続税を減らせるということです。

もちろん、贈与をするにも、贈与税という税金がかかりますが、これ(=贈与税)にも基礎控除があり、年間110万円以内の贈与であれば、贈与税がかかりません。

年間110万円以内の贈与であれば非課税なので、被相続人は死亡前に、年間110万円以内の贈与を毎年行っていけば、10年間で1,000万円以上の金額が相続税申告の時に非課税にできるということです。

相続税の税率は、財産が増えれば増えるほど税率が高くなる累進課税というルールを取っていますが、最低でも税率が10%なので、贈与をすることで100万円以上のお金を生み出せるということになります。

ただし、ここで気をつけなければいけないことが2つあります。

それは、

  1. 3年内加算ルール
  2. 贈与者、受贈者双方の認知がなければならない

の2つですというものです。

2.気をつけるべきポイント

3年内加算ルール

年間110万以内の贈与であれば非課税というお得なルールの例外があります。

それは、被相続人が死亡する前3年以内に相続人にした生前贈与は、なかったことにされてしまうというものです。

つまり先ほどの例で1年に110万円ずつ計画的に生前贈与を行っていても、被相続人がなくなる前の3年に贈与した330万円については「贈与していない」とされ、相続税の課税対象になってしまいます。

人がいつ亡くなるかというのは、予想できるものでもないですし、考えるのも辛いですが、1つ言えることは、生前贈与は被相続人が元気なうちから行っておくことが重要だということです。

贈与者、受贈者双方の認知が必要

もう一つ気をつけなければならないこと、それは、贈与契約の成立をしっかりさせなければならないということです。

贈与については、あげた側、もらった側の認知・約束が必要です。その約束がされていなければ、贈与があったと認められないことがあります。

例えば、被相続人が生前に子供の通帳を借りてきて、そこにお金を振り込み「贈与を行った」と言っても、それを子供が認知していなければ、贈与契約は成立していないということになります。

これは名義財産(名義だけ他の人(子供)になっており、実際は別の人(被相続人)の財産である状態)の問題として、被相続人の相続財産とされ、相続税の追徴課税がされます。

これらを回避するためには、必ず毎回贈与契約書を作っておくが重要です。

他にも、あえて110万円以上の贈与をして、実際に贈与を受け取って取ったことを税務署へアピールするために贈与税の申告書を提出するというケースもあります。

これは1つの方法ではありますが、この場合も結局は「財産をあげた側」が申告書を提出することは認められず、あくまで、贈与を「受け取った側」の申告書を提出する必要があるので、それならわざと贈与税を払わなくても、110万円内に治る贈与税で、契約書を双方で交わしておくことの方が良いのかもしれません。

どちらにせよ、贈与契約書は必ず締結するようにしておきましょう。

3.相続税と贈与税の違い

最後に、相続税と贈与税についての2つの違いをみていきましょう。

申告時期の違い

相続税は、被相続人が死んでから10ヶ月以内の申告が必要です。

一方で贈与税は、確定申告と同じ時期の2月1日〜3月15日に申告する必要があります。

所得税の確定申告は、2月16日〜3月15日で、申告開始日に多少の違いはありますが、覚え方としては、所得税の確定申告時期と同じで覚えておきましょう。

税率の違い

相続税

相続税の最低税率は10%です。繰り返しになりますが、相続税は累進課税です。遺産額が多ければ多いほど税率が上がっていきます。基礎控除を引いた、被相続人の遺産課税対象額が1,000万以下であれば10%ですが、それを超えて3,000万以下であれば15%、5,000万以下であれば、20%、1億以下であれば30%、2億以下であれば40%、3億以下が45%、6億以下が50%、6億を超えると55%と、上がっていきます。

贈与税

贈与税は、110万円の控除額があり、それを引いた価格が課税価格となります。

贈与を受けた財産額の合計額 ー  基礎控除額(110万円) =  課税価格

その上で、贈与税の税率は2種類あります。

1.特例贈与財産用 / 20歳以上の子供か孫か曾孫に対して生前贈与する場合の税率

2.一般贈与財産用 / 上記以外の人に対して生前贈与する場合の税率

どちらの贈与税が低いかと言うと、1の方です。20歳以上の子供、孫、曾孫に対する贈与税率は優遇されています。しかし、410万円までの生前贈与であれば、1つ目も2つ目も同じ金額になります。

贈与税の詳しい税率を知りたい場合は、国税庁のサイトを見れば理解できますが、お伝えしたいことは「年間500万までの贈与であれば、相続税の最低税率10%を下回る」ということです。

本項では、「年間110万以内の贈与をすることで、贈与税の基礎控除内に抑えた状態で相続遺産を減らし、相続税の節税を行う」という手法をお伝えしてきました。

が、このようにケースによっては贈与税を払ったとしても、その方が相続税より安くできるということもあるのです。

節税対策として無思考に贈与を行うのではなく、財産の総額から、贈与税、相続税などを実施の時期も含めトータル的に考えていくことが重要です。

まとめ

お伝えした通り、贈与税は被相続人が死亡する前3年以内のものは、なかったものとして扱われます。そのため、被相続人が元気なうちから、計画性を持って生前贈与を行うことが重要です。

この記事を監修した専門家は、