四十九日法要では、僧侶から読経や法話を頂くため、法要を主催する側はお布施を準備することがマナーですが、このお布施にはいくら包めば良いのか頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
そこで、ここでは四十九日法要を行う際のお布施の相場を説明しながら、「金額が高くなる状況」「その他に必要なお金」「渡す際のマナー・注意点」などを解説します。
お布施の金額がわからないため寺院へ問い合わせを行っても、「お気持ちだけで結構ですよ」と言われる場合も多く、これでは疑問の解決にはなりません。
この記事では、四十九日法要に必要なお布施やそれ以外の金額相場を解説しているため、法要を主催する喪主にとっては非常に役立つ内容となっています。
お布施を含めた法要全体の費用が気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
お布施とは

ほとんどの忌事には僧侶が立ち会うものですが、その際にはお布施が不可欠です。
ここでは、お布施の金額に触れる前に、このお布施とは何なのかを宗教的な視点から解説します。
私たちが良く知るお布施とは、葬儀や法要で読経を頂いた僧侶への謝礼として渡す金銭を指しますが、これは本来のお布施の意味とは異なり、現在の葬儀様式が生んだお布施の概念です。
本来のお布施は自分が持っているものを他人に無条件で施す仏道修行を意味し、仏教の教義ではこの行為は次の3つの行いで構成されています。
- 財施(ざいせ):ご自身の金銭や品々を分け与える行為
- 法施(ほうぜ):僧侶が仏教の教えを広める行為
- 無畏施(むいぜ):人々が恐れないように安心させる行為
いずれの行為も仏の教えに触れることで人々が救われるためのもので、本来のお布施が仏教の修行の中の1つであったことが伺えます。
お布施は本尊に捧げるもの
お布施を渡を相手は直接的には僧侶ですが、実際には菩提寺に祀られている本尊、つまり仏様にお布施は捧げられています。
そのため、僧侶がこのお布施を自身の自由にすることはなく主に次の用途に活用されています。
- 寺院の修繕費
- 寺院の管理費
- 寺院開催の行事費用
- 「僧侶」「僧侶の家族」「事務員」の生活の糧
四十九日法要のお布施の相場は3万円~5万円

ここからは、四十九日法要のお布施相場について解説します。
お布施はあくまでも僧侶に対する感謝の気持ちを表すための手段であるため、全国一律の金額を出すことは困難です。
しかし、おおよその相場となる金額を算出することは可能です。
四十九日法要のお布施相場は、葬儀全体で渡すお布施の10%から20%を目安に渡す傾向にあります。
葬儀規模や僧侶との付き合い方によってもこの金額は異なりますが、葬儀全体のお布施の相場は30万円程度が相場です。
さまざまな事情により、これより高額なお布施を包む場合もあるため50万円を上限と考えれば、四十九日法要の一般的なお布施の相場は3万円から5万円ほどです。
ここで紹介した四十九日法要のお布施の算出方法は、一般的な形式とは異なる葬儀を行った場合も同様です。
そのため、さまざまな形式の葬儀を行う中で四十九日法要のお布施に迷った際には、3万円から5万円をお布施として包めば礼を逸することはありません。
ただし、この考え方はあくまでも基本的な考え方のため、次で紹介する状況によってはお布施は高額となる場合があります。
相場には地域差がある
同じ仏教でありながらもに「通夜」「葬儀」「告別式」「法要」のいわゆる忌事の行い方には地域差が存在し、これは四十九日法要のお布施も例外ではありません。
そのため、先程ご紹介した3万円から5万円のお布施相場は、あくまでも全国平均の相場とお考えください。
一般的にお布施費用は都心部より地方の方が安くなる傾向にあるため、地域別の四十九日法要のお布施相場には次のような違いがあります。
- 東北地方:3万円ほど
- 関東地方:5万円ほど
- 関西地方:4万5,000円ほど
お布施の金額に迷った際には、ここでご紹介した地域差を意識することで周囲の方と同程度のお布施を包むことができるでしょう。
相場には宗派による違いもある
同じ仏教の中でも、宗派によってはお布施相場に違いができる場合があります。
寺院はお布施や寄進によって維持管理されているため、門徒が少ない宗派では必然的に葬儀件数も少なくなり、少ない葬儀から寺院の維持管理費を捻出するためお布施相場は高額傾向にあります。
また、多くの門徒を抱える宗派であっても、その宗派特有の法要のやり方よって、お布施金額が高額となる場合もあります。
例えば、日蓮宗では読経一回あたりのお布施は5万円と決められていますし、曹洞宗では法要に参加する僧侶は複数となりお布施は最高で10万円ほどを包む場合もあります。
また、浄土真宗などの場合は年収の1%をお布施とするという考えがあるため、年収800万円の方は相場を超える8万円をお布施として包みます。
ご自身がどの宗派に属しているのかということを念頭に置くことで、より正確なお布施相場を知ることができるでしょう。
四十九日法要のお布施が高くなる状況

四十九日法要のお布施は、先程紹介した地域差や宗派によって相場が異なりますが、これ以外にもここで解説する状況によっては金額が高くなる場合があります。
それぞれの状況を詳しく紹介していきましょう。
寺院の「格」が高い
寺院にはその寺院ごとに「格」があり、この格は「寺格」とも呼ばれます。
よく耳にする「総本山」「大本山」「本山」などの言葉はこの寺院の格を表す言葉で、寺格は次のように定義されています。
- 総本山:各宗派において本山を取りまとめる寺院
- 大本山:総本山の下に位置し一番格が低い「末寺」を管轄する寺院
- 本山:大本山の下に位置し一宗一派をまとめる寺院
- 末寺:本山に従属する寺院を指し全国にあるほとんどの寺院はこの末寺に該当する
このように寺院は格という言葉で明確に序列が分けられており、お住いの地域にこの格が高いお寺ばかりがあると、お布施の相場は高額になる傾向にあります。
普段から相場以上にお布施を包んでいる
普段の寺院との関係はその家ごとに異なりますが、おおよそ次の3種類に分けることができるのではないでしょうか?
- 先祖何代にも渡って親密な関係にあり過去に何度も寄進を行っている
- 昔は親密な付き合いがあったが今では年に数回のお墓参りで合う程度
- 自分の家がどこの寺院とお付き合いがあるのかわからない
この中で一番上に該当する方は、四十九日法要のお布施が高額になる傾向にあります。
また、このように寺院と親密な関係にある家は経済的に裕福な家庭であることが多く、この場合もお布施は相場より多く包む傾向にあります。
これとは反対に、四十九日法要を一度お願いするだけで継続的なお付き合いをするつもりがないと考える場合は、お布施相場の下限を包めば問題はないでしょう。
四十九日法要でお布施以外に必要なお金

四十九日法要では、法要を行う状況によってお布施以外のお金が必要になる場合があります。
ここでは、お布施以外のお金として次の費用とその金額を解説します。
- お車代:5,000円~1万円
- 御膳料:5,000円~1万円
- 開眼供養・納骨式のお布施:1万円~5万円
お車代:5,000円~1万円
お車代とは、僧侶に法要会場まで足を運んでいただくための費用で、5,000円から1万円が費用相場となります。
近場であれば最低でも5,000円、少し距離が遠いと感じるのであれば1万円ほどを包みましょう。
なお、四十九日法要を菩提寺で行う場合は、僧侶の移動は不要のためお車代はかかりません。
また、喪主側が僧侶の移動に際して予めタクシーなどの交通手段を手配してその費用を負担するのであれば、この場合もお車代は不要となります。
御膳料:5,000円~1万円
御膳料とは、僧侶が精進落としの席を欠席する際に渡す費用で、この費用相場は5,000円から1万円程となります。
近年では火葬後に繰り上げ初七日法要を行い、その後の会食で精進落としを行うことが多くなってきましたが、この精進落としは四十九日法要後に行うのが本来の姿です。
会食の席には僧侶が出席する場合と出席しない場合があります。
一般的には喪主との関係が深いほど僧侶は精進落としに出席しますが、会食を欠席することは珍しいことではありません。
その際には、食事にかかる費用を現金で渡すという意味合いで御膳料を渡します。
なお、会食には1人3,000円から2万円ほどの金額がかかりますが、特別な事情がない限りは5,000円から1万円の間で御膳料を包めば問題はないでしょう。
必ずしも会食にかかった金額を渡すのではなく、上限を1万円として区切りの良い金額を包みます。
開眼供養・納骨式のお布施:1万円~5万円
四十九日法要を行う際には、同日に開眼供養や納骨式の法要を営む場合があります。
この開眼供養とは、新しいお墓に先祖の魂を込める儀式、納骨式はお墓に遺骨を納めるための儀式で、お布施の相場は1万円から5万円ほどです。
これらの儀式を四十九日法要と同日に行う際には、初めに法要会場にて四十九日法要を行い、その後にお墓に移動して開眼供養ならびに納骨式を行います。
なお、四十九日法要までにお墓の準備が間に合わない場合は、開眼供養や納骨式を行う必要がないためお布施も必要ありません。
このような場合は、一周忌法要を目途にお墓を準備し、その際に開眼供養や納骨式を行うのが一般的です。
四十九日法要のお布施の包み方

四十九日法要で包むお布施にはさまざまなマナーがあります。
このマナーを知らないままお布施を渡してしまえば、ご自身が恥をかくばかりではなく僧侶へ不快な思いをさせてしまします。
今後も僧侶や寺院と良好な関係を続けていけるよう、ここではお布施の包み方に関するマナーを解説します。
- お布施袋は奉書紙もしくは白封筒を使用
- 水引は原則不要
- お布施袋の表書きの書き方
- お布施袋の裏書の書き方
お布施袋は奉書紙もしくは白封筒を使用
四十九日法要のお布施を包む袋は、奉書紙もしくは白封筒を使用します。
この奉書紙とは楮(こうぞ)を原料に作られる高級和紙で、お布施はこの奉書紙に包むのが正式なマナーです。
ただし、現在ではこの奉書紙を使用する方はあまり多くはなく、白封筒の使用が一般的となっています。
奉書紙も白封筒も文具店やインターネットなどで簡単に入手することが可能ですが、白封筒の中には郵便番号の枠がプリントされている種類もあるため、こちらはお布施袋としての使用はできません。
購入の際には注意してください。
水引は原則不要
お布施袋として使用する奉書紙や白封筒には、原則水引をかける必要はありません。
これは、四十九日法要が法事ではあっても、お布施自体が故人に捧げるためのものではないため、忌事には該当しないと考えられているためです。
とは言っても、お布施という行為が忌事に関連していることに変わりありません。
このような解釈から、水引がついた封筒の使用も間違いとはなりません。
地域によっては白黒の淡路結び
先ほど紹介した、「お布施自体は忌事ではないが忌事に深く関連している」という考えが根強い地域では、お布施にも水引がかけられます。
この場合使用する水引は白黒の結び切り、もしくは淡路結びにしてある水引の2種類が選ばれ、二つ結びの水引を使用することはありません。
この2種類の水引には次の願いがこめられています。
- 結び切りの水引:忌事を2度と繰り返したくないという願い
- 淡路結びの水引:寺院と家の結びつきが硬い縁で結ばれるようにとの願い
なお、お布施袋に水引を使用する地域の中では水引の色が黒白ではなく「黄白」や「双銀」が選ばれることがあります。
お布施を包む際には、周囲の方へ確認することをおすすめします。
お布施袋の表書きの書き方
お布施袋の目録となる表書きは、「お布施」もしくは「御布施」と記載します。
これ以外の表書きとしては、「御読経料(おどくきょうりょう)」「「御回向料(ごえこうりょう)」と記載することもありますが、この表書きは一般的ではありません。
なお、表書きの下には表書きの文字と同じ大きさで氏名を記載します。
お布施袋の裏書の書き方
お布施袋には中袋があるタイプと中袋がないタイプの2種類がありますが、中袋がないタイプのお布施には、次の内容をお布施袋の裏面に記載する必要があります。
- 金額:裏面の右側にやや大きめの文字で縦書きでお布施金額を記載
- 住所:裏面の左側に金額よりも小さめの文字で縦書きで郵便番号から住所を記載
- 名前:住所の左下に住所と同じ大きさの文字で名前を記載
- 電話番号:住所と名前の左側に電話番号を縦書きで記載
金額は大字で記載する
香典袋に記載する金額は縦書きとなることが一般的のため、この際に使用する漢数字は、「大字(だいじ)」と呼ばれる漢数字の旧字体を使用します。
この大字は契約書などに使用されている文字で、その構造の複雑さから金額の改ざんが難しいため、高額な金額を包むお布施ではこの文字を使用するのがルールです。
お布施として使用するお金の注意点

お布施に関するマナーは、お金の包み方だけではありません。
ここでは、奉書紙や白無地封筒にお金を入れる際の注意点を解説します。
奉書紙へのお金の包み方
奉書紙を使用してお布施を包む方法は、最も丁寧なお布施の包み方と言われています。
この際の包み方は、初めにお金を半紙か中袋にお金を入れて、その袋を奉書紙で包みます。
お金を入れる向き
お布施として使用する紙幣は、お札に印刷してある肖像画がお布施袋の表側に来るようにそろえます。
また、その肖像画が上向きになるようすべての紙幣をそろえなくてはなりません。
新札の使用の可否
四十九日法要で使用する紙幣は、新札でも旧札でもどちらでも構いません。
香典などは旧札を使用するのがマナーとされています。
これは、新札を使用することであらかじめ不幸事があることを予想していたとの憶測を避けるためのマナーです。
そのため、僧侶への感謝の気持ちとして渡すお布施は香典とは意味がまったく異なるため、あえて旧札を使用する必要はありません。
ただし、使用する旧札があまりにも汚れていたり一部が破れている場合は、一般常識として使用は控えるべきでしょう。
新札であることにこしたことはありませんが、旧札を使用する場合ではできる限り状態のよい紙幣を使用するよう心がけてください。
四十九日法要でのお布施の渡し方・タイミング

ここまで、お布施の包み方や使用する紙幣の入れ方などを解説してきました。
最後に、お布施の渡し方とそのタイミングについてお伝えしましょう。
葬儀中は契約した葬儀業者がお布施を渡すタイミングを教えてくれますが、四十九日法要時は葬儀業者へ依頼して行うことはありません。
そこで、ここではお布施の渡し方とそのタイミングはもちろん、お布施を包む袱紗(ふくさ)やその注意点も解説します。
お布施は袱紗に包んで渡す
僧侶へ渡すお布施は、法要の種類に関わらず袱紗に包んでその袱紗から取出し渡すのがマナーです。
くれぐれも裸のお布施袋を、直接僧侶へ渡してはいけません。
お布施の正式な渡し方の手順は次のとおりです。
袱紗を使ったお布施の渡し方の手順
- 袱紗からお布施を取り出す
- 袱紗を広げて「右」「下」「上」「左」順番で端を中央に向けてたたむ
- 折りたたんだ袱紗の上にお布施を置く
- お布施の向きを僧侶からみて正面になるように直し、両手で僧侶へ差し出す
- 渡す際には状況に応じたお礼の言葉を述べる
お布施を渡す際の挨拶の文例
法要前にお布施を渡す場合は次の挨拶が良いでしょう。
本日の法要は○○(故人の名前)の四十九日法要につき大変お世話になります
どうぞよろしくお願いいたします
こちらをお納めください
法要後にお布施を渡す場合は次の挨拶が良いでしょう。
本日はお心のこもったおつとめをいただき誠にありがとうございました
今後ともよろしくお願いいたします
こちらどうぞお納めください
使用する袱紗の注意点
袱紗は慶事・弔事のどちらの場面でも使用しますが、色によって使い分けるのがマナーとなっています。
お布施を包むことができる袱紗は、黒色や青色などの寒色系または落ち着いた色味が使用可能です。
また、この中で紫色だけは慶事・弔事のどちらにも使用することが可能なため、袱紗の最初の一枚を購入する場合は紫色の袱紗を購入することをおすすめします。
お布施以外のお金は別々に包む
お布施以外に必要なお金である「お車代」「御膳料」「開眼法要・納骨式のお布施」は、お布施とは別の封筒にそれぞれ包むのがマナーですが、渡すタイミングはお布施と同じです。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡す渡すタイミングは法要前が良いのか、法要後が良いのか意見が分かれますが、実際には法要後に渡す方が多いようです。
ただし、これは法要の状況によっても異なります。
そのため、法要前に僧侶と話す機会がある場合は法要前に、法要前にあまり時間が取れない場合は法要後に渡すといった判断で良いでしょう。
なお、法要後に会食を行いその会食に僧侶が参加する場合は僧侶と話す時間が十分に取れるため、お布施を渡すタイミングは法要後となることが一般的です。
まとめ

お布施は僧侶のお勤めに対する感謝の気持ちを表す行為のため、一律の金額が設定してあるわけではありません。
このような事情から、その金額を寺院に問い合わせも明確な返答を得られるわけではないため、お布施の金額はご自身で調べた相場に応じて包む場合がほとんどです。
お布施相場を考える際には、その算出方法はもちろんのこと、お住いの地域の状況やご自身の家が寺院とどのような関係であるのかも加味することで、より具体的なお布施金額がわかるでしょう。