相続登記のオンライン申請とは?手続きの流れと注意点を解説

手続き
この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後、独立し司法書士法人グラティアスの代表を務める。

相続登記のオンライン申請とは?手続きの流れと注意点を解説

相続登記は、亡くなった方(「被相続人」といいます)が持っていた不動産の名義を相続人の名義に変える手続きです。

この手続きは、従来は平日に法務局に足を運ぶ必要がありましたが、現在では条件を満たせばオンラインで申請することができ、法務局へ行かずに手続きを完了できる場合があります。

この記事では、相続登記のオンライン申請の概要と必要な準備、具体的な手続きの流れ、起こりがちなトラブルと対処法、オンライン申請が難しい場合の選択肢について解説します。

相続登記のオンライン申請とは

相続登記のオンライン申請とは、法務局への相続登記申請をインターネット経由で行える制度です。

2011年2月から運用開始された「登記・供託オンライン申請システム」の一部として、相続登記についてもオンライン申請が可能になりました。申請から登記完了まで、原則として法務局へ足を運ぶことなく手続きを進められる点が大きな特徴です。オンライン申請に対応している相続登記であれば、登記完了証などもPDFで交付されるため、自宅にいながら手続きを完結させることもできます。

「登記・供託オンライン申請システム」は、月曜日~金曜日の8時30分~21時(国民の祝日・休日、12月29日~1月3日の年末年始を除く)に利用できます。

登記の申請として受け付けられる時間は8時30分~17時15分で、それ以降の時間帯に送信した申請は翌営業日の申請として取り扱われることに注意が必要です。

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相続登記のオンライン申請に必要な準備

相続登記をオンラインで申請するには、事前にいくつかの準備が必要です。ここでは、パソコンやソフトウェアなどの環境、電子証明書、ICカードリーダライタ、必要書類について確認します。


パソコンとインターネット環境

オンライン申請を行うためには、パソコンとインターネット環境が必要です。あらかじめ「登記・供託オンライン申請システム」で、オンライン申請を行うのに適した動作環境を確認しておきましょう。

オンライン申請では、同ウェブサイトからダウンロードできる「申請用総合ソフト」と呼ばれる専用ソフトを利用します。また、申請書類を作成するためにPDF作成ソフトや画像編集ソフトが必要になる場合があります。不動産の権利証や登記識別情報通知書(法務局が発行する、不動産の所有者であることを証明する通知書)をスキャンするため、スキャナーまたはスマートフォン(スマホ)のカメラも用意してください。

電子証明書

オンライン申請では、申請データに電子署名を付与するための電子証明書が必要となります。電子証明書とは、データの作成者が誰であるかを電子的に証明するものです。

個人が相続登記を申請する場合は、マイナンバーカードに付与された電子証明書が利用可能です。法人の場合は、別途ファイル形式の電子証明書を取得して利用します。

電子証明書付きのマイナンバーカードを利用するには、住民登録をしている市区町村で電子証明書付きのマイナンバーカードの交付を受ける必要があります。すでに持っているマイナンバーカードに電子証明書が付与されていない場合は、市区町村窓口で付与手続きをしてもらわなければなりません。

ICカードリーダライタ

マイナンバーカードに搭載された電子証明書を利用するためには、マイナンバーカードに対応したICカードリーダライタが必要です。家電量販店やオンラインショップで購入する際は、「公的個人認証サービス」対応の機種を選び、対応OSや推奨環境も確認しましょう。

ICカードリーダライタを利用するには、機器に対応したドライバーやクライアントソフトのインストールも必要です。オンライン申請の直前ではなく、余裕を持って接続テストを行っておくと、手続き当日にあわてずに済みます。

必要書類

相続登記のオンライン申請に必要な書類は、紙で申請する場合と同様に以下の書類が必要です。オンライン申請では、これらの書類をスキャンしてPDF形式や画像ファイル形式に変換し、申請データに添付します。

<オンライン申請に必要な書類>

  • 不動産の権利証または登記識別情報通知書の原本(必要な場合)
  • 相続関係を証明する書類(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本など)
  • 相続人全員の身分証明書類(住民票や印鑑証明書など)
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オンライン申請の手続きの流れ

相続登記の申請の流れは、大まかに次のとおりです。

<相続登記の申請の流れ>

  • STEP1:申請書類の作成
  • STEP2:申請書類の提出
  • STEP3:登記完了

紙で申請してもオンラインで申請してもこの流れは同様ですが、詳細な手順は異なります。ここでは、オンライン申請の手続きの概要を見ていきましょう。

STEP1:申請書類の作成

「登記・供託オンライン申請システム」で申請者情報を登録すると、オンライン申請に必要なIDやパスワードが発行されます。また、「登記・供託オンライン申請システム」から申請用総合ソフトをダウンロードし、パソコンにインストールする作業が必要です。

次に、ダウンロードした申請用総合ソフト上で申請書類を作成します。不動産の所在地・種類、登記目的、原因、被相続人や相続人の氏名・住所といった情報を入力するとともに、必要に応じて、登記識別情報を添付してください。

STEP2:申請書類の提出

申請用総合ソフト上で申請書類の作成が完了したら、内容をよく確認した上で電子署名を付与し、送信しましょう。なお、戸籍謄本などの書類原本は法務局に直接出向いて提出するか、郵送します。

申請後は、法務局側で申請書類の審査が行われ、内容に不備がある場合は補正を求められます。補正の通知は申請用総合ソフトに届くため、定期的に確認し、指示があればすみやかに対応してください。

法務局から補正を求められた場合は、補正書類や追加資料を申請用総合ソフトで送信します。補正の内容をよく読み、どの部分をどのように修正する必要があるのかを把握して対応することが大切です。補正が複数回発生する場合や、指示内容がわかりにくい場合には、担当の法務局に電話で問い合わせて、具体的な対応方法を確認しましょう。

STEP3:登記完了

補正が完了し、審査が問題なく進むと、登記が完了します。オンライン申請の場合、登記完了証(PDF)がオンラインで交付されます(書面交付を希望した場合は書面で受け取ります)。登記完了証は保管の義務はありませんが、再発行はされないことに注意が必要です。

登記が完了したあとは、固定資産税の納税義務者変更など、市区町村での手続きが必要になる場合があります。オンライン申請の記録は法務省のシステム上で一定期間保存されるため、後から申請内容を確認したいときにも役立ちます。オンライン申請であっても、登記完了後の税金や届出の手続きは別途必要になる点を押さえておきましょう。

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オンライン申請時に起こりがちなミスやトラブル

オンライン申請は便利な一方で、パソコンの操作ミスやシステムの仕様に起因するトラブルが起こりやすい面もあります。ここでは、代表的なケースと対処のポイントを紹介します。

<オンライン申請における主なトラブル>

  • 申請書類の入力ミス
  • 電子証明書の有効期限切れ
  • スキャンが不鮮明
  • システムの不具合

申請書類の入力ミス

オンライン申請でよく見られるのが、申請書類の入力ミスです。氏名の漢字や住所の番地、不動産の家屋番号、地番などを誤って入力すると、補正が必要になり、登記完了までにかかる時間が延びてしまいます。

添付書類の種類を間違えたり、不足があったりする場合も、再提出を求められることがあります。

入力ミスを防ぐためには、申請書類を送信する前に、入力内容を何度も確認することが大切です。特に、被相続人や相続人の氏名・住所、不動産の登記事項など、間違えると影響が大きい部分は、戸籍謄本や全部事項証明書(登記事項証明書)を横に置き、照合して確認するとよいでしょう。また、申請書類の作成前に、必要書類を整理して一覧にしておくと、抜け漏れの防止にもつながります。

電子証明書の有効期限切れ

電子証明書の有効期限が切れていることに気づかず、オンライン申請の直前になってエラーが出てしまうケースも少なくありません。マイナンバーカードに付与される電子証明書の更新は、有効期限が切れる前であれば無料で行えますが、有効期限切れ後の再発行には手数料が発生する場合があります。有効期限はマイナンバーカードに印字されていないので、不安な場合は市区町村の窓口で確認しておきましょう。

また、マイナンバーカードの暗証番号を複数回誤入力するとロックがかかるため、暗証番号を忘れている場合はあらかじめ市区町村窓口で再設定しておく必要があります。ICカードリーダライタの不具合によって読み取りがうまくいかないケースもあるため、事前の動作確認も重要です。

スキャンが不鮮明

遺言書や戸籍謄本などをスキャンした際に、画像が不鮮明で文字が読み取りにくいと、法務局から再提出を求められる可能性があります。特に、スマホのカメラで撮影した場合、光の反射や影によって一部が読みにくくなることがあります。

スキャンを行うときは、解像度を高く設定し、白と黒のコントラストがはっきり出るように調整しましょう。スマホのカメラを利用する場合は、明るい場所で書類を平らな状態に置き、文字がはっきり見える角度から撮影することが大切です。撮影後は、パソコンの画面で拡大表示し、氏名や住所、日付などの細かい部分まで読み取れるかどうかを確認しておくと安心です。

システムの不具合

オンライン申請では、システムの不具合やネットワーク障害によって送信がうまくいかない場合もあります。サーバーが混み合っている時間帯には、申請データの送信に時間がかかったり、タイムアウトになったりするかもしれません。自宅のインターネット回線の不調によって、途中で接続が切れてしまうケースもあります。

システムの不具合が発生した場合は、時間を置いてから再度申請を試みるとともに、法務省のウェブサイトでメンテナンス情報や障害情報が出ていないかを確認しましょう。ネットワーク障害が疑われる場合は、ルーターの再起動や回線の切り替えなどを試し、できるだけ安定した環境で申請を行うことが大切です。どうしてもエラーが解消しないときは、法務局の登記・供託オンライン申請システム操作サポートデスクに相談することもできます。

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オンライン申請が難しい場合は?

ここまで見てきたように、オンライン申請には多くのメリットがある一方で、パソコン操作や事前準備に負担を感じる方も少なくありません。

オンライン申請の準備が難しい場合は、従来どおり紙で申請書を作成し、法務局の窓口や郵送で提出する方法があります。紙の申請であれば、電子証明書やICカードリーダライタを用意する必要はありません。一方で、ご自身で進める場合は正確な記載などが難しく、時間がかかってしまうことがあります。

ご自身で手続きを進めることに不安がある方には、専門家への代行依頼やネットサービスの利用という選択肢もあります。申請代行を依頼できる専門家は、司法書士と弁護士です。また、ネットサービスは時間を選ばずインターネットで依頼できます。これらを利用した場合、専門家への報酬やネットサービスの利用料はかかりますが、書類のミスを防ぎ、手続きをスムーズに進められる上に、ご自身で行う場合と比べて時間や手間を大きく省ける点が大きなメリットです。

相続の内容が複雑で、対面での相談を希望する場合は司法書士などの専門家に依頼すると安心です。相続の内容がシンプルで、できるだけ時間を使いたくない場合はネットサービスの利用を検討するとよいでしょう。例えば、手軽に進めたい方には、スマホで簡単に名義変更ができ、料金も一律でわかりやすい「そうぞくドットコム」のようなサービスがおすすめです。


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相続登記のオンライン申請には、事前の準備と慎重な確認が大切

相続登記のオンライン申請は、法務局への登記申請をインターネット経由で行える制度であり、原則として法務局に足を運ぶことなく手続きを進められる便利な方法です。

一方で、オンライン申請には、電子証明書やICカードリーダライタの準備、申請用総合ソフトのインストール、書類のスキャンとPDF化などの手間がかかります。申請書類の入力ミスやスキャン画像の不鮮明さ、システムの不具合などが原因で、補正や再提出が必要になることもあるため、事前の準備と慎重な確認が大切です。

オンライン申請が難しい場合は、従来の紙での申請方法のほかに、司法書士などの専門家への代行依頼、ネットサービスの利用といった選択肢があります。オンラインで手軽に進めたい方は、スマホで名義変更手続きができる「そうぞくドットコム」のようなサービスも検討してはいかがでしょうか。


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よくある質問(FAQ)

相続登記をオンラインで申請するために必要な準備は?

相続登記をオンラインで申請するには、パソコンと安定したインターネット環境、申請用総合ソフト、マイナンバーカードに搭載された電子証明書、ICカードリーダライタが必要です。さらに、必要に応じて戸籍謄本などの書類をスキャンし、PDF形式などのデータとして用意する必要があります。オンライン申請をスムーズに進めるためには、これらの環境や書類を事前にそろえておくことが大切です。

相続登記のオンライン申請は、いつでも利用できる?

相続登記のオンライン申請に利用する「登記・供託オンライン申請システム」は、原則として月曜日~金曜日の8時30分~21時に利用できます(国民の祝日・休日、12月29日~1月3日の年末年始を除く)。ただし、登記の申請として当日分として受け付けてもらえるのは8時30分~17時15分で、それ以降の時間帯に送信した申請は翌営業日の申請として扱われます。

夜の時間帯に申請データを作成して送信し、翌営業日に受付してもらえる点は、オンライン申請ならではの利便性といえるでしょう。

相続登記のオンライン申請が難しい場合は?

オンライン申請の準備や操作に不安がある場合は、無理にオンライン申請にこだわる必要はありません。紙で申請書を作成し、法務局の窓口や郵送で提出する方法もありますし、司法書士に代行を依頼することも可能です。ネットサービスを利用すれば、スマホやパソコンから必要事項を入力し、案内に沿って書類を送るだけで手続きを進められるケースもあります。費用と手間のバランスを考えながら、ご自身にとって負担の少ない方法を選ぶといいでしょう。

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2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後、独立し司法書士法人グラティアスの代表を務める。