【2024】相続手続きを依頼する「専門家」の選び方は?ポイントをわかりやすく解説

相続手続きを依頼する専門家手続き
この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。

インターネットで「相続手続き」などと検索すると、さまざまなホームページが表示されます。その運営者も、弁護士、司法書士、税理士、行政書士などさまざまです。

では、相続手続きは、どの専門家へ依頼すれば良いのでしょうか?今回は、相続手続きを依頼する専門家の選び方や、専門家の特徴などについてくわしく解説します。

相続手続きを依頼できる専門家ごとの特徴

相続手続きを依頼できる専門家には、主に次の者が存在します。はじめに、それぞれの専門家について特徴や専門性を見ていきましょう。

弁護士

弁護士は、法律職の最高峰です。広範囲かつ深い法律知識を保有し、紛争の解決や紛争の予防などを行っています。

法的紛争の解決や仲裁は、弁護士の独占業務です。

税理士

税理士は、税に関する専門家です。相続税の申告や節税などに関する、心強い相談相手となることでしょう。

ただし、すべての税理士が相続税にくわしいわけではなく、相続税申告をほとんど取り扱っていない事務所も存在します。そのため、相続について税理士に相談する場合には、その税理士が相続税に強いかどうかを確認することが必要です。

司法書士

司法書士は、登記手続きや裁判手続きの専門家です。相続の場面では、主に相続登記手続きを依頼することが多いでしょう。

相続登記は、司法書士の独占業務です。他に、相続放棄手続きや、自筆証書遺言があった場合における遺言書の検認などの裁判手続きを依頼することも可能です。

行政書士

行政書士は、官公署に提出する書類や権利義務に関連する書類作成の専門家です。相続の場面では、自動車の名義変更や預貯金の解約手続きなど、他の資格者の独占業務とはされていない業務を行います。

また、行政書士の業務範囲は非常に幅広く、取り扱っている業務が事務所によって大きく異なる点も特徴です。事務所によっては、相続手続きに関する業務をほとんど取り扱っていない場合もありますので、あらかじめ確認すると良いでしょう。

金融機関

銀行や信託銀行など金融機関によっては、相続手続きに力を入れている場合があります。

ただし、基本的には金融機関自体が手続きを行うわけではなく、提携先の専門家へつなぐ役割を担っています。その金融機関との付き合いを強化したい場合や自分では専門家を探せないなど何らかの理由がある場合には、選択肢の一つとなるでしょう。

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【お困りごと別】相続の相談すべき専門家

相続の相談をする専門家は、主に相談をしたい内容から選ぶと良いでしょう。困りごと別の主な相談先は、次のとおりです。

相続争いが起きている場合や遺産分割協議を仲裁して欲しい場合

すでに相続争いが起きてしまっている場合や、遺産分けの話し合いである遺産分割協議の仲裁をして欲しい場合の相談先は、弁護士となります。

たとえば、同じ遺産を複数の相続人が取得したいと主張して埒が明かない場合や一部の相続人が遺産を着服した可能性がある場合、一部の相続人が他の相続人に不利な遺産分割協議を勝手に推し進めようとしている場合などです。

このような法的紛争の解決は弁護士の独占業務であり、弁護士以外の者が行うことはできません。

遺言書を無効にしたい場合や遺留分侵害額請求をしたい場合

遺っていた遺言書を無効にしたい場合や遺留分侵害額請求をしたい場合の相談先は、弁護士となります。遺言書を無効にしたい場合とは、たとえば遺言書が作成された日づけや筆跡、内容などから見て、偽造や変造の疑いが強い場合などです。

また、遺留分侵害額請求とは、遺留分(配偶者や子など一部の相続人に最低限保証された相続での取り分)を侵害された相続人が、遺言書などで遺産を多く受け取った相手に対して、侵害された遺留分相当の金銭を支払うよう請求することを指します。

上で解説をしたとおり、このような法的紛争の解決は弁護士の独占業務であり、原則として弁護士以外の者が行うことはできません。そのため、この場合の相談先は、弁護士が適切です。

なお、遺留分侵害額請求には侵害を知ってから1年という期限がありますので、できるだけ早期の相談をおすすめします。

不動産の名義変更を依頼したい場合

亡くなった人(「被相続人」といいます)が持っていた不動産の名義を相続人などの名義へと変えたい場合の相談先は、司法書士となります。相続登記は司法書士の独占業務であり、司法書士でない者が行うことはできません。

また、登記に必要となる遺産分割協議書の作成や被相続人の戸籍謄本など必要書類の取得についても、司法書士へまとめて依頼することが可能です。

なお、2024年4月1日からは相続登記が義務化され、「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」という期限が設けられることになっています。そのため、この期限を意識しつつ、早期に相談されることをおすすめします。

相続税申告を依頼したい場合

相続税申告について依頼したい場合や、相続税がかかるかどうかを知りたい場合には、税理士へ相談しましょう。相続税とは、遺産などに対してかかる税金です。

遺産総額と被相続人が行った過去の一定の贈与の合計額が次の基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要となります。

  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税の申告は、「被相続人が死亡したことを知った日(通常は、被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内」に行わなければなりません。そのため、相続税申告が必要となりそうな場合には、早めに税理士へ相談しておきましょう。

相続放棄をしたい場合

相続放棄の手続きは、弁護士もしくは司法書士へ依頼することが可能です。相続放棄とは、家庭裁判所へ申述することにより、はじめから相続人ではなかったこととする手続きです。

被相続人と生前から疎遠となっており相続にできるだけかかわりたくない場合や、被相続人に多額の借金があり借金を引き継いでしまったら困るという場合などに行うことが多いでしょう。

なお、相続放棄に関する相談や相続放棄に必要な書類の作成などは、弁護士と司法書士のいずれであっても対応できます。一方で、相続放棄の手続きを代理までをすることができるのは、弁護士のみとされています。

相続放棄の手続きは、「自己のために相続の開始があったことを知った時(通常は、被相続人が亡くなった日)から3か月以内」に行わなければなりません。また、遺産の一部を処分するなど単純承認をしたとみなされてしまえば、その後相続放棄はできなくなってしまいます。

そのため、相続放棄を検討している場合にはできるだけ早期に相談してください。

金融機関の手続きを代行してほしい場合

相続が起きると、故人の銀行口座などをそのまま使い続けることはできません。原則として口座を解約し、遺産分割協議書の記載などに従って相続人へ払い戻す手続きが必要となります。

この手続きは、法律上どの専門家であっても対応することが可能ですが、主に弁護士、司法書士、行政書士が取り扱っていることが多いでしょう。ただし、金融機関の手続きまで行っているかどうかは事務所によってことなりますので、ご希望の場合にはあらかじめ依頼を検討している先の専門家へ確認することをおすすめします。

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相続手続きを相談する専門家選びのポイント

相続手続きについて相談する専門家を選ぶ際には、どのような点に着目して選べば良いのでしょうか?専門家選びの主なポイントは、次のとおりです。

  • 専門性を確認する
  • 他の専門家との連携を確認する
  • 相性を確認する
  • 料金を確認する

専門性を確認する

相続手続きについて専門家へ相談する際は、相手の資格のみならず、専門性も確認しましょう。たとえ資格を保有していても、相続手続きを取り扱っていない場合があるためです。

特に、税理士は法人税や所得税などを専門としていることが多く、相続税の申告はほとんど行っていないという事務所も少なくありません。また、行政書士も取り扱い業務の幅が広く、相続手続きを手掛けていない事務所も多く存在します。

他の専門家との連携を確認する

相続手続きの多くは、一人の専門家のみでは解決できるものではありません。たとえば、税理士の独占業務である相続税申告が必要であるとともに、司法書士の独占業務である相続登記も必要となるケースなどは少なくないでしょう。

このような場合に備え、相続手続きに力を入れている事務所であれば、日頃から他の専門家と連携を取って動いていることが一般的です。そのため、相続手続きについて専門家へ相談する際は、他の専門家との連携状況を確認されるとよいでしょう。

相性を確認する

相続手続きにおいては、非常にプライベートに関わる話をすべき場面が少なくありません。そのため、専門家との相性で選ぶことも1つでしょう。

料金を確認する

相続手続きを依頼する際には、サポート料金も重要なポイントとなるでしょう。報酬額の他、報酬の他にかかる費用があれば何がどの程度かかるのか、報酬にどこまでのサポートが含まれているのかなど、あらかじめしっかりと確認しておきましょう。

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相続手続きを専門家に依頼するメリット

相続手続きを専門家へ依頼すれば、依頼した内容に応じて専門家報酬が必要です。では、報酬を支払ってでも専門家へ相続手続きを依頼することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットは、次のとおりです。

メリット
  • 時間と手間を節約できる
  • 平日の日中に何度も時間を取らなくて済む
  • 自分で悩む必要がなくなる
  • 手続きのミスや漏れを防ぐことができる

時間と手間を節約できる

自分ですべての相続手続きを完了させることは、容易ではありません。慣れない手続きを行うためには、1つずつ自分で調べながら書類を作成したり、何度も法務局などの手続き先に相談へ出向いたりする必要が生じるためです。

特に、不動産登記や相続税申告などまで自分で行うことはハードルが高く、多大な労力と時間を要してしまうことでしょう。専門家へ依頼することで、自分でかける手間や時間を大きく節約することが可能となります。

平日の日中に何度も時間を取らなくて済む

自分で相続手続きを行うためには、平日の日中に何度も時間を取らなければなりません。法務局や税務署、金融機関など相続手続き先の窓口や、相続手続きに必要となる書類のうち多くの取り寄せ先である市区町村役場は、原則として平日の日中のみの開庁であるためです。

また、自分で手続きを完了させるためには、申請の際のみならず、事前の相談などで複数回手続き先へ出向く必要が生じることも多いでしょう。一方、専門家へ相続手続きを依頼した場合には、自分で何度も平日の日中に動く必要はありません。

自分で悩む必要がなくなる

自分で相続手続きをしようとすれば、手続きの進め方や必要書類などに悩んでしまう場面が多いでしょう。また、手続きが無事に完了したとしても、「手続きの漏れはなかったか、手続きに誤りはなかったか」などと悩んでしまう場合もあるかと思います。

一方、専門家に相続手続きを依頼した場合には、自分でいろいろと悩む必要はありません。

手続きのミスや漏れを防ぐことができる

自分で相続手続きをした場合には、どうしても手続きのミスや漏れが生じやすくなります。たとえば、相続税申告を自分で行えば、遺産の評価を誤って相続税を払いすぎてしまうリスクや、反対に申告漏れを税務署から指摘されるリスクなどが高くなります。

また、相続登記を自分で行えば、私道など非課税の財産の相続登記を漏らしてしまうリスクなどもあるでしょう。専門家へ相続手続きを依頼することで、このような手続き漏れや手続きのミスを防ぐことが可能となります。

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まとめ

相続手続きを代行している専門家は、司法書士や税理士などさまざまです。それぞれの専門家によって特徴がありますので、依頼したい相続手続きの内容や困りごとの内容に応じて、相談先の専門家を検討すると良いでしょう。

しかし、すべての相続手続きを専門家へ依頼していては、費用も多くかかってしまいます。そのため、できる部分は自分で行いつつ、料金を抑えたいという方も少なくないのではないでしょうか?

たとえば、相続登記に必要となる書類の取得のみを専門家へ依頼して、その他の相続登記手続きは自分で行うことなどが考えられます。そこで、当サイト「そうぞくドットコム」では、相続登記に必要となる戸籍謄本などの書類をまとめて代行取得しております。

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呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。