人が亡くなった時にかかる「費用」は何がある?種類と相場をわかりやすく解説

手続き
この記事を監修した専門家は、
牛腸真司
税理士
立命館大学卒業2011年、税理士登録。税理士登録番号は118275。2012年 東京都港区益本公認会計士事務所(現税理士法人総和)にて資産税対策専任。2015年 千葉県税理士会登録。千葉県税理士会松戸支部広報部員。

相続について気になるのが、なんといってもその費用。かかる費用によって手元に残る金額には大きく差が出ますから、できるだけ低く抑えたいところですよね。

そこで今回は、相続だけでなく、人が亡くなった時に必要な費用をまとめて徹底解説致します。これを読めば、いつ、何に、どのくらいの費用がかかるのか、ばっちりわかるようになっています。ぜひ、参考にしてください。

人が亡くなった時にかかる費用

人が亡くなったときには、葬式やお墓代、相続に関わる費用など、さまざまな出費が発生します。では、どのようなものに、どのくらいのお金がかかるのでしょうか。それぞれにかかる費用について、順番に詳しく解説していきましょう。

葬式費用

誰かが亡くなると、その故人を偲び、送るために葬式が行われます。

葬式とは、お通夜、葬儀、告別式、火葬の一連の儀式を総称した呼び方です。葬式全般にかかる費用の相場は、数十万~200万円程度となっています。内訳を見ていきましょう。

葬儀一式

葬儀一式の費用とは、裁断や棺、人件費や寝台車、霊柩車など、葬儀のために必要となる費用のことです。葬儀社で「○○プラン」といった形で提供されているものにかかる費用だと考えればよいでしょう。

平均120万円程度で、プランの内容によって金額は変わります。葬儀を出すときには、そのプランに何が含まれていて何が含まれていないのか、余計なもの、省ける物はないかなどを吟味することで節約することができます。

葬儀一式の費用に含まれるものとしては、以下のような項目があります。

葬儀一式の費用
  • 祭壇
  • 骨つぼ
  • 生花飾り
  • ドライアイス
  • 遺影写真
  • 人件費
  • 寝台車(遺体の移動で使用)
  • 霊柩車
  • 式場使用料
  • 火葬代、など

飲食接待費

通夜や告別式のときの飲食代、会葬御礼や香典返し、お手伝いしてくれた方へのお心付けなどがこれに当たります。
平均30万円程度で、参列者の人数によって異なります。

寺院費用

寺院や神社、教会など、宗教関係者に支払う費用です。読経料や戒名料として払うお布施のほか、宗教者の食事代としての御膳料、お車代などが含まれます。宗教によっても変わりますが、平均50万円程度かかります。

お墓

新しくお墓を建てる場合、その土地代や墓石の購入費が必要になります。相場は、土地代と墓石工事一式で150~300万円程度となっています。すでにあるお墓に納骨するだけの場合は、数万円~10万円程度かかります。

永代使用料

永代使用料とは、いわゆるお墓の土地代のことです。現在の法律では、個人が勝手に墓地を造ることはできません。

お墓を建てるには、自治体が運営する霊園や寺院の墓地を借りることになります。そのための料金が、永代使用料というわけです。永代とあることからもわかるように、一度これを支払った土地は、後継者がいる限り永代にわたって使うことができます。

ただし、もし管理料が支払えなくなったときには、後継者はいないものとされ、「無縁墓」になってしまいます。永代使用料の相場は地域によって大きく開きがあります。たとえば、東京23区だと160~200万円、23区外では40~60万円となっています。

この他、関東圏だと、神奈川県が40~60万円、埼玉県は30~50万円、千葉県は20~40万円です。有名寺院でさらにアクセスしやすい立地だと、金額はさらに跳ね上がり、1000万円に届くケースもあります。

墓石代

墓石代の平均は100~300万円ほどです。これには、墓石への彫刻費、施工費も含まれます。

年間管理料

この他、管理料として、年間4,000~14,000円ほどかかります。先ほども解説したように、この管理料が支払えなくなると、その土地の使用権はなくなってしまいます。その場合でも、一度支払った永代使用料は戻ってきません。

納骨にかかる費用

今あるお墓にお骨を納める場合は、数万円~10万円程度の費用がかかります。これには、お墓の開け閉めなどの作業費、墓誌に戒名などを彫る場合の彫刻費、宗教関係者へのお布施、法要部屋の使用料などが含まれます。

相続費用

相続費用とは、相続のために用意する書類の発行手数料や、専門家に依頼した場合の報酬のことをいいます。また、相続に際して納めなければいけない税金もこれに含めます。

これらについて、第2章で詳しく見ていきましょう。

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相続でかかる費用

相続と一言でいっても、その手続きにはいろいろなものが含まれます。たとえば、相続財産に不動産が含まれる場合の「登記手続き」「銀行の解約手続き」「相続税の申告」などです。

相続でかかる費用としては、これに際して用意しなければならない書類の発行手数料がまず挙がります。さらに、登記の手続きや相続税の申告などを専門家に依頼する場合はその報酬も必要です。

戸籍等収集

相続の手続きにおいては、以下の書類が必要になります。
後に解説する全ての手続きにおいて必要となるので、手続きに不安がある場合は念のため2組用意しておくと良いかもしれません。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の出生から死亡までの除籍謄本
  • 同じく、改製原戸籍
  • 被相続人の住民票の除票
  • 被相続人の戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 相続人全員の印鑑証明

それぞれについて、取得のためにかかる手数料は次のとおりです。

書類の種類 手数料
戸籍謄本 450円 [/tableRow] [/tableHeadRow]
除籍謄本、改製原戸籍 各750円
住民票、住民票の除票、戸籍の附票、印鑑証明 各300円

被相続人の転籍が多ければそれだけ多くの除籍謄本が必要となります。また、相続人が多ければ必要な費用も当然かさんできます。

銀行口座解約手続き

亡くなった人の銀行口座は解約しなければなりませんが、その前に口座残高の照会をする必要があります。

残高証明の手数料は銀行によって異なりますが、800円前後が相場となっています。ゆうちょ銀行は比較的安価で、510円です。

口座解約自体には手数料を設けていない銀行がほとんどですが、残高を別の口座に移す場合、振込手数料がかかります。これも銀行によって異なりますが、同じ銀行の口座に振り込む場合は500円前後、それ以外は800円前後のところが多いようです。

不動産登記手続き

不動産を相続した場合、その登記の変更手続きを行わなければなりません。登記の書き換えに期限はありませんが、後に権利関係で問題にならないためにも、できるだけ早く済ませておいた方がよいでしょう。

登記手続きは、司法書士に依頼して行います。司法書士によって価格は変わりますが、7万円前後が相場で、10万円程度なら妥当な報酬ラインと言えるようです。これも含めて登記手続きにかかる費用をまとめると、次のようになります。

  • 不動産の固定資産評価証明書:300円程度(自治体によって異なる)
  • 登記簿謄本(登記前、登記後。土地と建物がある場合は両方):各600円
  • 登録免許税:不動産の価額×0.004
  • 司法書士への報酬:7万円前後
ケーススタディ

相続財産:固定資産税評価額5000万円の土地建物

  • 不動産の固定資産評価証明書:300円
  • 登記簿謄本:600円×2(土地と建物)×2(登記前後)=2400円
  • 登録免許税:5000万円×0.004=20万円
  • 司法書士への報酬:7万円

費用の総額:27万2700円

相続税の申告

相続のときに一番大きな出費となり得るのが相続税です。相続財産に不動産が含まれたり、複数の銀行口座があったり、細々としたたくさんの財産があるような場合には、この申告は複雑さを極めます。少しでも不安がある場合は、税理士などの専門家に依頼した方が良いでしょう。

税理士に依頼した場合の費用は、相続財産の価額や内容、相続人の数、または依頼する税理士事務所によっても異なります。相続財産の0.5%~1%に収まれば妥当な金額とされており、具体的な相場はおよそ次のようになっています。

相続財産額 税理士報酬
~4,000万円 20万~40万円
4,000万~7,000万円 30万~50万円
7,000万~1億円 50万~70万円
1億~3億円 70万~120万円
3億~5億円 80万~150万円
5億~10億円 150万~220万円
10億~ 要相談

さらにここに 加算報酬 として、相続人が増えるごとに報酬の10%程がプラスされることが多いです。

また、相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の人数」の基礎控除があります。相続財産の総額がこれよりも少ない場合、相続税はかからないので、申告の義務もなくなります。

※相続税の計算方法について、詳しくはこちらの記事を参照してください。

  • 相続人:配偶者、子ども2人
  • 相続財産:1億円
  • 特例等による控除:なし

相続財産が1億円の場合にかかる費用を70万円、加算報酬の割合を10%とすると、かかる費用は

  • 70万円+70万円×0.1+70万円×0.1=84万円
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その他、専門家に依頼した時にかかる費用

その他、専門家に依頼した際にかかる費用について解説していきましょう。

財産目録の作成

相続をする際に必要となるのが、相続財産の確定です。預貯金や不動産、株式といったプラスの財産、借金や未納金などのマイナスの財産の全てを洗い出さなければいけません

これを税理士や弁護士に依頼すると、5万~10万円程度の費用で、必要書類の収集から財産の調査、財産目録の作成までを行ってくれます。

遺産分割協議書の作成

遺言書がない、内容に不備や不服があるといった場合、遺産分割協議という話し合いで遺産の分け方を決めます。分割の仕方が決まったら、遺産分割協議書という書類を作成し、その詳細を記さなければなりません。

遺産分割協議書の作成は、弁護士に依頼することができます。また、相続税の申告を依頼している場合に限り、税理士もこれを作成できます。

弁護士に依頼した場合の費用は5万~10万円程度で、税理士の場合は、相続税の申告にかかる費用に遺産分割協議書の作成費用も含まれます。

相続放棄

マイナスの財産が多いなど、なんらかの理由で相続を放棄したい場合、家庭裁判所への申立てが必要です。これを弁護士に依頼すると、5万円程度で、必要書類の収集から裁判所に提出する書類の作成、提出、相続放棄受理証明書の取得まで行ってくれます。

遺留分の侵害額請求

遺留分とは、法定相続人に最低限保証されている相続分のことです。法定相続分の約半分は、遺言書の内容に関わらず受け取る権利があると定められています。

遺言書などで自分の遺留分が侵害されている場合、遺留分侵害額請求を行い、相当額の支払いを侵害している相手に求めることができます。

遺留分侵害額請求について、弁護士に依頼した場合、まず着手金として10万~20万円程度かかります。さらに、遺留分相当の金銭が取り戻せた場合は、成功報酬として利益の10%程度を支払うことになります。

争族

相続を巡って争いが起きてしまった場合、遺産分割協議では決着がつかず、遺産分割調停、遺産分割審判にまで発展してしまうことがあります。

弁護士に依頼した場合、着手金として15~30万円程度、成功報酬として、経済的利益の1~10%程度の費用がかかります。成功報酬は受けた利益の割合によっても変動します。

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相続手続きの一般的な流れ

相続手続きをする際には、全体の流れを把握したうえで進めていくことをおすすめします。相続手続き一般的な流れは、次のとおりです。

ただし、財産や相続人などの状況によってはこれら以外の手続きが必要になったり順番が前後したりする場合もありますので、参考例としてご覧ください。

相続手続きの一般的な流れ
  • 遺産の洗い出しをする
  • 遺産分割協議をする
  • 必要書類を収集する
  • 名義変更や解約手続きをする

遺産の洗い出しをする

はじめに、遺産の洗い出しを行います。洗い出した遺産は一覧表などにまとめておくと、次の遺産分割協議の際に参考となる他、手続きの進捗管理がしやすくなるでしょう。

遺産分割協議をする

遺産分割協議とは、相続人全員で行う遺産分けの話し合いのことです。たとえば、「自宅土地建物は配偶者が相続し、A銀行の預金は長男が相続する」というように、個々の財産について誰が引き継ぐのかを決めていきます。

遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員が分割内容に合意しなければなりません。

無事に協議がまとまったら、協議の結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成しましょう。遺産分割協議書には、相続人全員が協議内容に合意していることの証拠として、相続人全員が署名と実印での捺印をします。

必要書類を収集する

遺産分割協議と同時進行で、遺産の名義変更や解約手続きなどに必要となる書類の作成と収集を行います。必要書類は手続き先によって異なりますが、次のような書類が必要となることが一般的です。

  • 手続き先ごとの「相続届」など(手続き先の金融機関などから入手します)
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本等
  • 被相続人の除票
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本

それぞれの収集にかかる費用などは、上で解説をしたとおりです。これらの書類を自分で収集することが難しい場合には、専門家へ収集代行を依頼すると良いでしょう。

名義変更や解約手続きをする

必要書類が揃ったら、不動産の名義変更や預貯金の解約など、各相続手続きを進めます。手続き先によって、窓口へ出向くべきなのか、郵送でも可能なのかなど手続きの方法が異なりますので、あらかじめ手続き先に確認をしておくと良いでしょう。

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お金をかけずに相続を終える方法

サイトに、お金をかけずに相続を終える方法について解説していきましょう。

公共機関を利用する

税金や法律関係のことで困ると、多くの人は税理士や弁護士などの専門家への依頼を検討するでしょう。しかし、そうした専門家に相談をすると、それだけで費用が発生してしまいます。

実は、市区町村の役所などでは、土地の簡易評価や手続きに関する相談会など、無料で相談できる機会を設けています。

また、日本弁護士連合会や日本税理士連合会といった連合会や、法テラスなども無料で相談に応じてくれます。相続に関して困ったら、まずはこうした公共機関で相談できないか調べてみましょう。

安易に紹介を受けない

誰かが亡くなると、葬儀社やその他周囲の人から、様々な専門家を紹介されることがあります。

ただし、相続財産が多くない、特に相続税の対象にならないケースや、相続財産の内容がシンプルな場合、遺言書がきちんと残されている、あるいは相続人間で特に争いにならないといったときには、専門家に依頼するまでもなく、相続を終えられることもあります。

必ずしも専門家の力が必要なわけではないので、こうした紹介に安易に乗らないというのも、相続にかかる費用を節約するためには大切です。

複雑な場合は専門家に依頼する

安易に紹介を受けない方がいいとはいえ、必要なときは専門家に依頼しましょう。たとえば、複数の土地を持っている場合には、それぞれの評価額を調べるために必要書類をそろえる手間がかかります。財産の内容が不明瞭な場合にも、抜け落ちがないように調査するのは簡単ではありません。また、遺産分割で揉めそうなケースもあるでしょう。

こうした場合、素人の力だけで解決しようとすると、膨大な時間と手間がかかり、心的疲労も生じるでしょう。一方、専門家に依頼すれば、書類の収集や作成、調査や協議などの一手を担ってくれるので、時間や手間はかかりませんし、ストレスもありません。結果的に、全体としてのコストは抑えられるのです。

また、申告内容に誤りがあると、非違行為、つまり違法行為とみなされ、税務調査の対象になったり、追加徴税が行われたりする可能性があります。こうした事態を避けるためにも、相続内容が複雑な場合には専門家を頼りましょう。

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まとめ

相続では、必要書類を入手するための手数料や諸般の手続きにかかる費用など、細々とした出費がたくさん出ていきます。その全てを把握しておくのは大変ですが、およそこのくらいという感覚を持っているだけでも、いざというときに慌てることなく対処できるでしょう。

また、専門家に依頼するかどうかによっても、最終的な出費額は大きく変わります。必ずしも専門家の手を借りなければいけないというわけではないので、まずは本当に必要かどうか吟味しましょう。
素人だけでは難しいと思えば、思い切って専門家に依頼します。その方が手間や時間がかからず、金額以外のところでコストが少なくて済むのです。

相続は、故人が遺してくれた財産を受け継ぐ重要なもの。出ていく費用を管理して、できるだけ損のないようにしたいですね。

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この記事を監修した専門家は、
牛腸真司
税理士
立命館大学卒業2011年、税理士登録。税理士登録番号は118275。2012年 東京都港区益本公認会計士事務所(現税理士法人総和)にて資産税対策専任。2015年 千葉県税理士会登録。千葉県税理士会松戸支部広報部員。