死亡後に発生する、年金の手続きについて解説!

年金・保険
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人は生活の中で様々な公的な制度を利用しています。代表的なものの1つに「年金」があります。

これは人がなくなった際に、「喪失の手続き」を行うことが必要です。また、喪失だけでなく、条件次第では引き続き年金を受けることができるものもあります。

故人が利用していた制度や申請者の属性によって、条件や手続き内容などが微妙に異なるため、本稿では、それらについてまとめました。

生前の備えとしてはもちろん、実際に手続きを行うことになったときにもぜひ役立ててください。

1.遺族年金とは

遺族年金は、生計を支えていた人が亡くなったとき、その家族の生活を支えるために支給される公的年金です。

遺族年金には、国民年金の被保険者の遺族に支払われる「遺族基礎年金」と、厚生年金の被保険者の遺族に支払われる「遺族厚生年金」の2つがあり、故人の年金の納付状況によって、どちらかまたは両方が支給されます。

また、国民年金には、夫を亡くした妻が受け取れる「寡婦年金」や、遺族基礎年金を受けられない遺族のための「死亡一時金」という制度もあります。これらは厳密には遺族年金には含まれません。

しかし、生計を支えていた人が亡くなったときにその家族に支給されるという点は同じなので、4つを合わせて遺族年金と呼ぶことも多いようです。

これらを受給するには、市区町村の役場か年金事務所、年金相談センターのいずれかで申請を行います。

2.国民年金の遺族年金

遺族基礎年金

・請求期限:死亡から5年

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者が亡くなったとき、その人によって生計を支えられていた「子」、もしくは「子」のいる配偶者に支給される年金です。ここでいう「子」とは、次の条件に当てはまる人を指します。

  • 18歳になった年度の3月31日までの間にある(被保険者が死亡した当時、胎児であった子も出生以降に対象となる)
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある
  • 婚姻していないこと

また、その他の受給資格は以下の通りです。

  • 故人が国民年金の被保険者、もしくは故人の老齢基礎年金の受給資格期間※が25年以上
  • 故人の保険料納付済期間(免除期間を含む)が年金加入期間の3分の2以上
  • ただし、2026年4月1日までは、死亡日に故人が65歳未満であれば、その前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ受給できる

※老齢基礎年金の受給資格期間

保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合などの加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した期間

遺族基礎年金の申請に必要な書類

  • 年金請求書(申請場所で取得)
  • 故人の年金手帳
  • 故人と請求者の続柄がわかる戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者の収入が証明できるもの(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
  • 子の収入が証明できるもの(義務教育終了前は不要)
  • 子が高等学校在学中の場合は在学証明書または学生証
  • 死亡診断書または死体検案書
  • 受取先の金融機関の通帳もしくはキャッシュカード(受取人本人の名義)
  • 印鑑(認印でも可)

支給される金額

遺族基礎年金の額は、

「77万9,300円+子の加算」

となります。
子の加算は以下の通りです。

  • 第1子・第2子:22万4,300円
  • 第3子以降:7万4,800円

寡婦年金

・請求期限:死亡から2年

寡婦年金は、生計を支えていた夫を亡くした妻が60歳から65歳の間、年金受給までのつなぎとして支給されるものです。寡「婦」年金という名のとおり、妻を亡くした夫は、たとえ専業主夫であっても受け取れません。
受給資格は以下の通りです。

  • 遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給資格がない、もしくは受給しない
  • 死亡一時金を受給しない
  • 故人が第1号被保険者(国民年金の被保険者)として10年以上保険料を納めている(免除期間を含む)
  • 死亡の時点で10年以上婚姻関係にある
  • 故人が障害基礎年金の受給権者でない
  • 故人が老齢基礎年金を受給したことがない
  • 妻が老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていない

寡婦年金の受給申請に必要な書類

  • 年金請求書(申請場所で取得)
  • 故人の年金手帳
  • 故人と請求者の続柄がわかる戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者の収入が証明できるもの(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
  • 受取先の金融機関の通帳もしくはキャッシュカード(受取人本人の名義)
  • 年金証書(公的年金から年金を受けているとき)
  • 印鑑(認印でも可)

支給される金額

寡婦年金で支給される額は、夫が第1号被保険者だった期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3となります。

死亡一時金

・請求期限:死亡から2年

死亡一時金は、年金ではなく、遺族基礎年金を受け取れない遺族に対し、一度だけ支給されるものです。

ただし、故人と生計を同じくしていた遺族なら誰でも受け取れるわけではありません。以下のように優先順位が決められており、優先順位が最も高い人のみが受給できます。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹

死亡一時金の受給資格は以下の通りです。

  • 遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給資格がない
  • 寡婦年金を受給しない
  • 故人が第1号被保険者(国民年金の被保険者)として36か月以上以上保険料を納めている
  • 故人が障害基礎年金を受給したことがない
  • 故人が老齢基礎年金を受給したことがない

死亡一時金の受給申請に必要な書類

  • 死亡一時金請求書(申請場所で取得)
  • 故人の年金手帳
  • 故人と請求者の続柄がわかる戸籍謄本
  • 請求者の世帯全員の住民票の写し
  • 故人の住民票の除票
  • 受取先の金融機関の通帳もしくはキャッシュカード(受取人本人の名義)
  • 印鑑(認印でも可)

支給される金額

死亡一時金の支給額は12万円~32万円で、故人が保険料を納めた月数によって変動します。また、付加保険料を納めた月数が36カ月以上ある場合は、8,500円が加算されます。

3.厚生年金と共済年金の遺族年金

遺族厚生年金

・請求期限:死亡から5年

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者、もしくは被保険者だった人が亡くなったときに、その遺族に対して支払われる年金です。

かつては公務員などが加入する共済年金もありましたが、2015年に厚生年金に統一されました。従って、故人が共済年金に加入していた期間がある場合は、遺族厚生年金の対象になります。

遺族年金を受け取れるのは、以下の順番で優先順位の高い遺族になります。

  1. 配偶者(夫の場合は55歳以上で遺族基礎年金を受け取っていることが条件)
  2. 「子」※
  3. 55歳以上の父母
  4. 「孫」※
  5. 55歳以上の祖父母

夫、父母、祖父母については、受給できるのはその人が60歳になってからです。

ここでいう「子」「孫」は、遺族基礎年金を受給できる「子」と同じ要件を満たす者です。具体的には以下の通りです。

  • 18歳になった年度の3月31日までの間にある(被保険者が死亡した当時、胎児であった子も出生以降に対象となる)
  • 20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある
  • 婚姻していないこと

「子」もしくは「子」を持つ配偶者は、遺族基礎年金も合わせて受給できます。また、30歳未満の子(「子」ではありません)のいない妻は遺族厚生年金を受給できるのは5年間だけとなります。

この他、以下のうちいずれかの条件を満たしていなければなりません。

  • 故人が厚生年金の被保険者だった、もしくは厚生(共済)年金の被保険者だったときの傷病が原因で初診から5年以内に死亡した
    • 故人の保険料納付済期間(免除期間を含む)が年金加入期間の3分の2以上
    • ただし、2026年4月1日までは、死亡日に故人が65歳未満であれば、その前々月までの1年間に保険料の滞納がなければ受給できる
  • 故人の老齢厚生年金の受給資格期間※が25年以上
  • 故人に1級・2級の障害厚生(共済)年金の受給権があった

※※老齢厚生年金の受給資格期間
老齢基礎年金と同じく、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合などの加入期間を含む)国民年金の保険料免除期間などを合算した期間

遺族厚生年金の申請に必要な書類

  • 年金請求書(申請場所で取得)
  • 故人の年金手帳
  • 故人と請求者の続柄がわかる戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し
  • 故人の住民票の除票
  • 請求者の収入が証明できるもの(所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
  • 子の収入が証明できるもの(義務教育終了前は不要)
  • 子が高等学校在学中の場合は在学証明書または学生証
  • 死亡診断書または死体検案書
  • 受取先の金融機関の通帳もしくはキャッシュカード(受取人本人の名義)
  • 印鑑(認印でも可)

支給される金額

遺族厚生年金の支給額は、厚生(共済)年金に加入していた期間と、そのときの給与や賞与の平均から算出します。

4.健康保険によって受け取れる給付金

年金の他に、遺族が受け取れるものとしては、主に葬儀に関する健康保険の給付金があります。

葬祭費

・請求期限:死亡から2年

故人が、国民健康保険、もしくは後期高齢者医療制度に加入していた場合に、葬儀費用の補助として支給されます。支給額は3万円~7万円で、自治体によって異なります。

手続きは死亡届を出した市区町村の役場で、原則、喪主が行います。必要な書類は下記の通りです。

  • 葬祭費支給申請書
  • 故人の国民保険被保険者証または後期高齢者医療被保険者証
  • 葬儀の領収書
  • 喪主の印鑑
  • 喪主の振込先の口座情報(通用やキャッシュカード)

埋葬料・埋葬費

・請求期限:死亡から2年

協会けんぽ(社会保険、組合保険)の被保険者、もしくは被保険者の家族が亡くなった場合に、葬儀費用の補助として支給されます。埋葬料と埋葬費の違いは、次の通りです。

埋葬料:故人によって生計を維持していた遺族に支給される。また、被保険者の家族が亡くなったときには「家族埋葬料」として支給される。支給額は一律で5万円

埋葬費:故人に身寄りがなかった場合に、埋葬を行った人に支給される。支給額は、原則5万円を上限に埋葬費用の実費となる手続きは、基本的に被保険者の勤務先を通じて行います。

必要書類などは組合によって異なる場合があるので、詳しくは被保険者の勤務先に問い合わせましょう。

まとめ

一家の生計を支える人が亡くなったときには、遺族年金が受け取れます。遺族年金の条件に当てはまらない場合でも、寡婦年金や死亡一時金といった給付金が受け取れる場合があります。

また、健康保険の加入者などが亡くなった場合には葬祭費用の給付金が受けられます。

利用できる公的制度や請求期限を把握しておき、必要なときには忘れずに請求申請を行うようにしましょう。

この記事を監修した専門家は、