【2024】相続登記費用の相場はいくら?計算方法と安く抑えるポイント

相続登記費用不動産
この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。

土地や建物を相続した場合には、名義変更の手続きにあたる「相続登記」の手続きを行います。

不動産の相続登記にはそれなりに費用がかかるので、必要な資金をあらかじめ用意しておかなければなりません。

実際に手続きを進めるときになってから慌てないためにも、相続登記にどれくらいの費用がかかるのかを確認しておきましょう。

相続登記に必要な費用

必要な費用の計算とお金

不動産の相続登記では、主に次の費用がかかります。

不動産の相続登記に必要となる主な費用
  • 登録免許税
  • 固定資産評価証明書の取得費用
  • 戸籍謄本等の取得費用
  • 専門家に依頼した場合の支払報酬

それぞれどれくらいの費用がかかるのか、詳しく解説していきましょう。

登録免許税

不動産の登記をするときには、登録免許税という税金を支払わなければいけません。

  • 登録免許税の税額 = 課税標準 × 税率

登録免許税の税率は次のとおりです。

登録免許税の税率
  • 相続の場合:0.4%
  • 遺贈(遺言書で財産を渡す方法)場合:2%

計算方法はこの後の「登録免許税の計算事例」で詳しく解説しますが、たとえば課税標準が1,000万円の土地であれば0.4パーセントは4万円になります。

なお、不動産に関する税金には不動産取得税もありますが、相続人の方が相続や遺贈によって不動産を取得した場合は、不動産取得税はかかりません。

固定資産評価証明書の取得費用

登録免許税の計算式の中に出てきた「課税標準」を知るためには、固定資産評価証明書が必要です。

固定資産評価証明書は、不動産の所在地を管轄する市区町村役場で取得できますが、発行費用は自治体ごとに異なります。

戸籍謄本等の取得費用

不動産の相続登記では被相続人の戸籍謄本や相続人の住民票が必要になり、被相続人の住民票の除票も原則必要です。

遺産分割協議を行った場合や、不動産を法定相続分で相続する場合は、相続登記で被相続人(遺産を残して亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

一般的な発行費用は、戸籍謄本が1通450円、除籍謄本や改製原戸籍謄本が1通750円です。

戸籍謄本が何通も必要になることが多く、費用として意外とかさむことがあります。

 

なお、ケースによっては印鑑証明書も提出しなければなりません。

市区町村役場でこれらの書類を取得する場合は、1通あたり200円から400円ほどの費用がかかります。

また、遠くの地域の役所に書類の発行申請をする場合は、郵送費用も必要です。

必要書類を漏れなくそろえるのは一般の方にとって簡単ではないため、最後の登記の手続きだけでなく書類の取得・収集の段階から専門家に依頼することをおすすめします。

専門家に依頼した場合の支払報酬

相続登記は自分で手続きすることもできますが、司法書士などの専門家に依頼することが一般的です。

専門家に依頼した場合の詳しい費用相場については後でお伝えしますが、相続登記を司法書士に依頼すると6万円から8万円ほどの費用がかかります。

司法書士の場合は戸籍取得費用などの実費を別途請求されることもありますが、そうぞくドットコムの場合は戸籍取得費用や郵送費も含めて定額で相続登記を行っています。

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登録免許税の計算例

税金の計算

登録免許税は「課税標準×税率」で計算することはすでに紹介しましたが、計算する際の細かいルールは次のようになります。

登録免許税計算の際のルール
  • 課税標準は固定資産税評価額の1,000円未満を切り捨てた金額とする
  • 計算した登録免許税に100円未満の端数がある場合は切り捨てる
  • 複数の不動産の登録免許税を一括して計算する場合は、最初に固定資産税評価額を合計する

ここでは登録免許税の実際の計算例を紹介するので、上記の計算ルールに沿って税額を計算してみましょう。

相続登記でかかる費用額を具体的にイメージできるので、ご自身のケースにも当てはめて実際に計算してみてください。

【計算例】土地と自宅を相続する場合

たとえば、土地と自宅(建物)を相続してまとめて登記する場合で、固定資産税評価額がそれぞれ次のケースを考えてみましょう。

  • 土地:1,600万1,500円
  • 建物:930万3,650円
  1. 固定資産税評価額 = 1,600万1,500円 + 930万3,650円 = 2,530万5,150円
  2. 1,000円未満の端数切捨後の金額 = 2,530万5,000円
  3. 登録免許税の税額 = 2,530万5,000円 × 0.4% = 10万1,220円
  4. 100円未満の端数切捨後の金額 = 10万1,200円
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相続登記を専門家に依頼した場合の費用相場

専門家に相談してコンサルティングを受けている

相続登記は多くの方にとって馴染みが薄く、自分で手続きをすることは簡単ではありません。

相続に伴って不動産を取得する場合は、一般的に専門家に登記を依頼します。

そして、登記の手続きをできる主な士業には弁護士と司法書士がいますが、特に登記に詳しい専門家が司法書士です。

相続登記の相談や依頼は司法書士にするのが一般的なので、ここでは相続登記を司法書士に依頼した場合の費用相場について紹介します。

司法書士に支払う報酬相場は6万円~8万円

司法書士は報酬額を自由に決められるため、相続登記を依頼した際の報酬は事務所ごとに異なります。

ただ、報酬相場としては6万円~8万円と設定している司法書士が多く、高い場合でも10万円以内には収まると考えて良いでしょう。

また、登記対象の不動産の件数が多ければ費用は増えますが、2件目以降は割引を適用してくれる司法書士もいます。

追加料金がかかる場合もある

先ほど紹介した報酬相場6万円~8万円は、あくまで基本料金です。

基本料金に何のサービスが含まれるかは司法書士ごとに異なり、別途費用がかかる場合があります。

たとえば、よくあるのは土地や建物のある場所に直接出向く実地調査を行ったり、手続きのために司法書士が役所に行ったときに、日当や交通費として追加料金が請求されるケースです。

後になってから高額な請求を受けて驚かないためにも、最初に提示された料金に一体どんなサービスが含まれるのか、しっかり確認するようにしてください。

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相続登記に必要となる書類

相続登記をするには、次のような書類が必要となります。ただし、下記はあくまでも一般な相続登記での必要書類です。状況によってはこれらの他、その不動産の権利書や上申書などの書類が必要となることがあります。

また、被相続人が遺言書を残していた場合には遺言書の添付が必要となる代わりに、遺産分割協議書など一部の書類が不要です。

このように必要書類は状況によって異なる場合があるため、実際に相続登記を申請する際には、あらかじめ管轄の法務局へ確認すると良いでしょう。

相続登記に必要となる書類
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 被相続人の除票
  • 不動産を相続する人の住民票
  • 固定資産税評価証明書

登記申請書

登記申請書とは、相続登記のメインとなる書類です。金融機関などの相続手続き書類等とは異なり、所定の場所に必要事項を書き込むようなものではなく、原則として自分で一から作成しなければなりません。

書き方の例は法務局のホームページに掲載されていますので、参考にすると良いでしょう。

原則として、この登記申請書に記載したとおりに登記がされることとなりますので、不動産の情報や新たな名義人の情報など、誤りのないよう正確に作成してください。

遺産分割協議書

相続で不動産の名義を変えるためには、その前提条件として、相続人間で誰がその不動産を取得するかの話し合いがまとまっている必要があります。

この相続人全員での話し合いのことを、「遺産分割協議」といいます。そして、遺産分割協議の結果をまとめた書類が、遺産分割協議書です。

誰がその不動産を取得することになったのかがわかるよう、明確に記載しましょう。遺産分割協議書には、相続人全員が協議内容に同意していることの証明として、相続人全員の実印での捺印が必要となります。

相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書に押した印が実印であることの証明として、相続人全員の印鑑証明書が必要です。印鑑証明書を代理で取得するには原則として印鑑カードを預かる必要がありますので、印鑑証明書は各相続人に取得してもらうと良いでしょう。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等

相続人を確定するため、被相続人の死亡から出生までさかのぼるすべての戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本が必要です。それぞれ、その時点で被相続人が本籍を置いていた市区町村役場で取得します。

なお、相続人が兄弟姉妹や甥姪である場合には、被相続人の父母それぞれの死亡から出生までさかのぼるすべての戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本も取得しなければなりません。

相続人全員の戸籍謄本

相続人が存命であることを確認するため、相続人全員の戸籍謄本が必要です。それぞれ、相続人の本籍地である市区町村の役場で取得しましょう。

被相続人の除票

被相続人と登記の名義人が同一人物であることを示すため、被相続人の除票が必要です。

除票は、被相続人の最後の住所地を管轄する市区町村役場で取得できます。

不動産を相続する人の住民票

新たな名義人の情報を正しく登記するため、不動産を相続する相続人の住民票が必要です。

その相続人の住所地の市区町村役場で取得しましょう。

固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書とは、不動産の固定資産税評価額を証明する書類です。不動産の所在地を管轄する市区町村役場で取得することができます。

相続登記をする際には、先ほど解説したように、登録免許税を納めなければなりません。

登録免許税は固定資産税評価額をもとに計算することから、登録免許税を正確に算定するために、固定遺産税評価証明書が必要なのです。

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相続登記を自分で行う際の注意点

相続登記を自分で行うことで、相続登記の費用をおさえることができます。しかし、自分で相続登記をする際には、次の点に注意しましょう。

法務局は前提の相談には乗ってくれない

法務局では、登記に必要な書類の書き方や必要書類の相談には乗ってくれます。一方、登記の前提となる相続の相談には乗ってくれません。

たとえば、特に揉めていない相続において、今後のことを考えた際に被相続人の配偶者である母名義にすべきか、長男である自分名義にすべきかなど悩む場合もあるかと思います。

しかし、一般的に法務局ではこのような相談はできないことを知っておきましょう。

平日の日中に何度も時間を取る必要がある

自分で相続登記をする場合には、平日の日中に何度も時間を取らなければなりません。なぜなら、相続登記の申請先である法務局は、平日の日中にしか開いていないためです。

当然、法務局の事前相談や申請後の修正である補正をする場合にも、平日の日中の対応が必要となります。

また、相続登記に必要となる書類のうち多くは市区町村役場で取得することとなりますが、こちらも原則として平日日中のみの開庁となります。そのため、平日の日中に何度も時間を取ることが難しい場合には、相続登記をすべて自分で完了させることは難しいでしょう。

相続登記の完了までの時間がかかりやすい

自分で相続登記をする場合には、一つずつ調べたり法務局の事前相談を活用したりしながら手続きを進めていかなければなりません。また、申請後に補正(修正)が必要となる場合も多いでしょう。

そのため、自分で相続登記をした場合には、専門家へ依頼した場合と比べて、相続登記の完了までに時間がかかりやすいといえます。

必要な手続きを見落とすリスクがある

相続登記をする際には、周辺の必要な手続きを見落とさないよう注意しなければなりません。たとえば、固定資産税が非課税となっている私道などは、登記手続きが漏れやすいものの一つであるといえます。

なぜなら、固定資産税が非課税である不動産は、市区町村役場から毎年送付される固定資産税課税明細書には記載がされないためです。

また、すでに完済しているローンについて、抵当権(土地や建物につける担保)の登記が残ったままとなっている場合もあります。これを消す登記も、相続登記の際に併せて行っておくとスムーズですが、自分で相続登記をした場合には、気づけない可能性が高いでしょう。

このように、自分で相続登記をした場合には、必要な手続きが漏れてしまうリスクがあります。

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相続登記を専門家に依頼した方が良いケース

ポイントを伝える男性

相続登記を専門家に依頼すると費用がかかるため、自分で手続きをしたいと思う人もいるはずです。

ただ、たとえば次のようなケースでは、費用をかけてでも専門家に依頼したほうがメリットが大きくなります。

専門家に依頼した方が良いケース
  1. 不動産が遠方にある場合
  2. 不動産や相続人の数が多い場合
  3. 平日に手続きをする時間が取れない場合
  4. すぐに登記を終えたい場合

それぞれのケースを確認して、もしもご自身が該当する場合には専門家にすぐに相談するようにしましょう。

そうぞくドットコムであれば、土日祝日でも夜10時まで受け付けているため、気軽に相談いただけます。

不動産が遠方にある場合

相続登記の手続きを行う場所は、対象となる不動産がある地域の法務局です。

しかし、財産を相続する方が遠方に住んでいて、その地域の法務局に直接行くことが難しいケースも少なくありません。

たとえば、田舎に住む親が亡くなって土地や家を子が相続する場合、子が遠方に住んでいてその地域の法務局にわざわざ出向くことが難しいような場合があります。

このときに、司法書士に依頼すればわざわざ本人が行く必要がなくなり手続きをミスなく進められるため安心です。

不動産や相続人の数が多い場合

相続登記の対象となる不動産が多い場合や相続人の数が多い場合も、専門家に依頼した方が良いケースです。

たとえば、複数の地域の不動産を相続する場合、各地域の法務局にわざわざ行かなければならず手間がかかります。

相続人の数が多くて戸籍収集に時間がかかる場合、自分でやるよりも専門家にすべて依頼した方が明らかに手間がかからないためおすすめです。

また、登記対象の不動産の数が多い場合、司法書士では件数に応じて費用が増えることが一般的ですが、そうぞくドットコムであれば不動産や相続人の数に関係なく定額でサービスを受けられます。

平日に手続きをする時間が取れない場合

法務局は土日や祝日には開いておらず、平日でないと手続きができません。

平日でも休みが取りやすい職業スタイルの方であれば問題ありませんが、会社員の方などは平日の手続きは難しい場合も多いはずです。

会社員が相続登記の手続きをしようとすると、わざわざ平日に休暇を取得して会社を休んで法務局に行く必要があります。

しかも、一般の方が自分で相続登記の手続きをすると、手続きミスをして何度も法務局に足を運ぶことになり、その度に休暇を取ることにもなりかねません。

司法書士などの専門家に相続登記を依頼すれば余計な手間や労力をかけずに済むため、費用をかけてでも専門家にすべてを任せてしまった方が良いでしょう。

すぐに登記を終えたい場合

相続した不動産を売却する場合でも、まずは相続登記が必要になります。

迅速に売却を進めるために相続登記を早く終えたい場合には、費用をかけてでも専門家に依頼した方が良いでしょう。

せっかく買い手が見つかったのに登記の手続きが完了せず売却できなくなっては大変ですが、相続登記に慣れている専門家に任せれば手続きがスムーズに進みます。

そうぞくドットコム 不動産

まとめ

不動産の相続登記では、登録免許税や各種必要書類を取得するための費用がかかります。

登録免許税の金額は課税標準に0.4%の税率をかければ計算できるため、相続登記にかかる費用のおよその金額の見当を付けて必要な資金を準備しておきましょう。

また、相続登記を専門家に依頼すると費用がさらにかかりますが、ミスなくスムーズに手続きを終えるためにも、司法書士などの専門家に依頼することを検討してみてください。

なお、そうぞくドットコム不動産では、相続登記に必要な書類の取得代行から法務局への書類提出代行までサポートを行っています。

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この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。