土地の贈与税の計算方法は?課税方式・評価額・かからないケース

土地の贈与税 生前対策
この記事を監修した専門家は、

財産を贈与されると贈与税がかかるため、土地の贈与を受けた場合も贈与税の課税対象になります。

贈与税がどれくらいかかり、申告・納税の手続きをいつまでに終えなければならないのか、土地の贈与では贈与税の仕組みを理解しておくことが大切です。

そこで、この記事では贈与税の計算方法や申告手続き、節税方法など、土地の贈与を受ける人に欠かせない「贈与税に関する知識」を解説していきます。

土地の贈与でかかる税金

土地の贈与でかかる税金

親や兄弟、知人から土地の贈与を受ける場合、さまざまな税金を考慮に入れる必要があります。

この記事では贈与税を中心に解説しますが、まずは贈与税以外の税金も含めて、土地の贈与で一体どんな税金がかかるのかを確認しておきましょう。

贈与税

個人から財産をもらったときに、贈与額が一定額以上の場合に課されるのが贈与税です。

土地のような高額な財産の贈与を受けると、多くのケースで贈与税の申告や納税が必要になります。

なお、夫婦間で土地を贈与した場合や親子間で土地の購入資金を贈与した場合は、後述する特例制度を使えて贈与税が無税になることもありますが、その場合でも申告の手続きは必要です。

不動産取得税・登録免許税

不動産取得税は、土地や住宅を購入したり贈与によって取得した人にかかる税金です。

税額は、課税標準(固定資産税評価額)に税率3%を掛けて計算しますが、宅地の場合は税額が2分の1に軽減されたり特例適用によって税負担がさらに軽くなる場合があります。

 

登録免許税は、土地を取得して所有権を登記する際に納付する税金です。

税額は、課税標準(固定資産税評価額)に税率2%を掛けて計算します。

固定資産税

固定資産税は、土地や家屋を所有している人に毎年かかる税金です。

1月1日に土地等を所有している人に課税されるため、土地を贈与されたのが1年の途中であれば、贈与された年に贈与された人にはかかりません。

ただし、贈与する人・贈与される人(贈与者・受贈者)の間で、土地等の贈与契約を結ぶ際に特段の定めをしていた場合は別です。

たとえば、「贈与した年の分の固定資産税は、その年の土地の所有期間に応じて贈与者・受贈者で按分する」と決めた場合は、贈与された年にも実質的に固定資産税の一部を負担することになります。

贈与税の課税方式

贈与税の課税方式

土地を贈与されると贈与税の課税対象になりますが、贈与税の課税方式には2種類あります。

一般的に適用されるのは暦年課税制度で、相続時精算課税制度を使うには一定の要件を満たした上で申請の手続きを行う必要があります。

暦年課税制度

1月1日~12月31日の1年間の贈与額を基準にして税額を計算するのが「暦年課税制度」です。

その年ごとに贈与税を計算して、申告や納税の有無も各年ごとに判断します。

次に紹介する「相続時精算課税制度」を適用するには手続きが必要で、その手続きをしていない人に適用されるのが暦年課税制度です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から20歳以上の子又は孫に対して財産を贈与した場合に選択できる制度です。

当制度を利用して贈与を行うと、一定額の贈与までは贈与税がかかりません。

ただし、贈与者が亡くなった際に、当制度を利用した贈与財産の金額を含めて相続税を計算します。

相続時精算課税制度は、納税タイミングを相続まで先送りするだけで節税にならない場合もあるので、実際に利用する場合には慎重な検討が必要です。

「暦年課税制度」による贈与税の計算方法

「暦年課税制度」による贈与税の計算方法

2種類ある贈与税の課税方式のうち、まずは「暦年課税制度」による計算方法を紹介していきましょう。

ここでは、暦年課税制度によって贈与税を計算する場合の計算式や税率、土地の評価額の計算方法を解説していきます。

計算式

暦年課税では、1年間に受けた贈与の金額を合計して、以下の式で税額を計算します。

  • 贈与税の税額 = (1年間に贈与された財産の総額 - 基礎控除額110万円) × 税率 - 控除額

税率

贈与税の税率には、「特例税率」と「一般税率」の2種類があります。

特例税率

  • 直系尊属(祖父母や父母など)から20歳以上の者(子や孫など)に贈与された財産(特例贈与財産)に適用される贈与税の税率
特例税率

一般税率

特例贈与財産以外の贈与財産(一般贈与財産)に適用される贈与税の税率

一般税率

出典:贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁ホームページ)

たとえば、兄弟間の贈与や夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などには、一般税率が適用されます。

土地の評価額の計算方法

贈与税の計算で使う土地の価格とは、「路線価方式」または「倍率方式」によって計算した評価額です。

  • 路線価方式:路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算する方式

なお、路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことです。

路線価方式は、路線価が定められている地域で適用される方式で、主に市街地などで使われます。

  • 倍率方式:その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算する方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域で適用されます。

「相続時精算課税制度」による贈与税の計算方法

「相続時精算課税制度」による贈与税の計算方法

2種類ある贈与税の課税方式のうち、今度は相続時精算課税制度による計算方法を解説しましょう。

2,500万円の贈与まで贈与税がかからない

相続時精算課税制度では、2,500万円の贈与までは贈与税がかかりません。

また、2,500円を超える部分の贈与には、一律20%の税率で贈与税がかかります。

2,500万円の控除の適用は1年限りではなく、相続開始までに受けた贈与に対して適用が可能です。

なお、暦年課税制度に代えて相続時精算課税制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日の間に贈与税の申告書と相続時精算課税制度選択届出書を提出する必要があります。

贈与財産の価格は相続税計算に含まれる

贈与者が亡くなって相続税を計算する際、相続時精算課税制度を利用して生前に贈与した財産の金額を、相続財産の金額に加えて税額を計算します。

2,500万円の贈与まで贈与税はかかりませんが、相続税がかかる場合がある点に注意が必要です。

土地の贈与でかかる税金を節税する方法

土地の贈与でかかる税金を節税する方法

贈与税は、贈与された財産の金額が大きいほど税率が高くなる累進課税制度になっています。

土地のような高額な財産の贈与を受けると、高い税率が適用されて贈与税も高額になることが少なくありません。

ただ、土地の贈与では、贈与税の仕組みをうまく活用すると税負担を節税できる場合があります。

ここでは、贈与税の節税方法として次の3つを紹介するので、実際に使える制度がないかどうか、土地の贈与を検討している方は確認してみてください。

土地の贈与でかかる税金を節税する方法
  • 贈与税の配偶者控除の特例制度
  • 相続時精算課税制度
  • 住宅取得等資金の贈与の非課税制度

方法①:贈与税の配偶者控除の特例制度

贈与税の配偶者控除の特例制度とは、次のような制度です。

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産の取得資金を贈与した場合に、贈与税の基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できる制度

この特例制度を利用するには一定の要件を満たす必要があり、主な要件は次のとおりです。

要件
  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
  • 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、受贈者が現実に住んでおり、その後も住む見込みであること

ここで、仮に当特例制度を使わずに夫婦間で2,000万円の土地を贈与した場合を考えてみましょう。

この場合にかかる贈与税は、次のように計算できます。

  • 贈与税 = (土地2,000万円 ー 基礎控除額110万円) × 税率50% ー 控除額250万円 = 695万円

逆に、配偶者控除の特例制度を使えば贈与税がかからずに済むので、695万円分の節税になることがわかります。

なお、この特例制度を適用した結果として贈与税が無税になる場合でも申告は必要です。

制度を利用する場合には忘れずに申告の手続きを行いましょう。

方法②:相続時精算課税制度

相続時精算課税制度を使えば、2,500万円の贈与まで贈与税がかかりません。

たとえば、土地2,000万円を贈与すると暦年課税(一般税率)では695万円の贈与税がかかることを「方法①」で紹介しましたが、相続時精算課税制度を使えれば695万円分の節税になります。

ただし、贈与した財産の金額は相続税の計算に含まれるので、相続税の節税にはなりません。

 

また、相続時精算課税制度を使って生前に土地を贈与すると、小規模宅地等の特例という相続税の特例制度が使えなくなる点にも注意が必要です。

小規模宅地等の特例を使うには一定の要件を満たす必要がありますが、この特例を使えると土地の価格を最大80%減額してから相続税を計算できます。

つまり、相続時精算課税制度を使ったために小規模宅地等の特例を使えなくなると、逆に相続税が高くなる場合があるということです。

そのため、相続時精算課税制度を使うほうが相続時の相続税まで含めて節税になるかどうかは、個別に判断が必要になります。

 

贈与税や相続税のシミュレーションをする必要があるので、相続時精算課税制度の利用を検討する場合には、贈与税や相続税に詳しい税理士に相談したほうが良いでしょう。

方法③:住宅取得等資金の贈与の非課税制度

住宅取得等資金の贈与の非課税制度とは、次のような制度です。

直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合に、一定の要件を満たすと最大3,000万円まで贈与税が非課税になる制度

制度の名称のとおり、基本的には「住宅用の家屋」の新築、取得又は増改築を対象とした制度です。

ただし、住宅用家屋の新築・取得・増改築に際してその敷地の用に供される土地を購入する資金の贈与でも、制度の対象として非課税枠を使える場合があります。

そのため、家を建てたりそのための土地を購入する資金の贈与を受ける場合には、この非課税制度の利用を検討してみると良いでしょう。

なお、制度を使える人の要件は細かく決まっていて、たとえば次の要件を満たすことが必要です。

要件
  • 贈与を受けた年の1月1日において、贈与を受けた人(以下受贈者)が20歳以上である
  • 贈与を受けた年の受贈者の年間合計所得金額が2,000万円以下である
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれる

こちらの国税庁ホームページ(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)で詳細を確認するか、贈与税や相続税に詳しい税理士に相談するようにしましょう。

土地の贈与を受けた場合の贈与税申告

土地の贈与を受けた場合の贈与税申告

財産を贈与されて贈与税の申告や納税の義務が生じた場合には、贈与を受けた人は決められた申告期間内に手続きをしなければなりません。

土地の贈与では多くのケースで申告や納税が必要になるので、贈与税の申告・納税の手続き方法についても確認しておきましょう。

申告が必要なケース

贈与税がかかるのは、1月1日~12月31日の1年間に受けた贈与の金額が110万円を超える場合です。

また、贈与税の特例制度を適用すると贈与税がかからない場合でも、次の特例制度を適用する場合には申告手続きが必要になります。