お彼岸の時期になると、お墓参りや仏壇にお供え物をして、亡くなった人の魂を敬います。
しかし、故人が亡くなって初めてのお彼岸を迎える際に、「何か特別なことをしなければならないのでは?」と疑問を持つ方も多いことでしょう。
そこで今回は、初彼岸の迎え方や時期・初彼岸の香典・服装について、具体例を交えながら詳しく解説します。
目次
初彼岸とは

初彼岸とは、故人が亡くなって初めて迎えるお彼岸のことです。
仏教では、春分と秋分の時期にあの世との距離が近くなると考えられています。
このことから、死後の世界である「彼岸」を感じる時期としてお彼岸が始まり、現世に生きる人達が悟りへ近づける大切な行事として、長く日本に伝わってきました。
故人が亡くなって初めて迎えるお彼岸は、大切な人を亡くして間もない遺族にとって、気持ちが落ち着いた頃に改めて故人と敬う大切な日です。
初彼岸の過ごし方や作法を学び、良い初彼岸が迎えられるよう準備をしましょう。
初彼岸の時期はいつ?

お彼岸の時期については、春と秋の2回と知っている人も多いことと思いますが、具体的な日付や「初彼岸の時期」といわれると迷う人も少なくありません。
故人の初彼岸の時期を知るためには、忌明けをしているかどうかで判断することが大切です。
では、初彼岸の時期はいつになるのか、具体的な日にちをお伝えしましょう。
忌明けして初めて迎える3月17日〜23日
初彼岸は、故人の命日から数えて忌明けをしているかどうかで日程が決まります。
仏教では49日をもって忌明けをしますから、四十九日法要後に初めて迎えるお彼岸が「初彼岸」です。
つまり、春のお彼岸の場合、日程自体は3月17日〜23日ですが、もしこの期間にまだ忌明けをしていないのであれば初彼岸ではありません。
故人が亡くなって初めて春の彼岸を迎えたときは、必ず忌明けしているかどうかを確認してから準備しましょう。
忌明けして初めて迎える9月20日〜26日
秋のお彼岸も、春と同様に忌明けしているかどうかで判断します。
秋のお彼岸の時期は9月20日〜26日ですが、もしこの時期に忌明けをしていないのであれば初彼岸ではありません。
故人が亡くなって初めて秋のお彼岸を迎えたときは、まず忌明けをしているかどうかを判断してから準備をしましょう。
初彼岸でやるべきこと

初彼岸では、毎年のお彼岸よりも少し手間を掛けた供養やお供え物をします。
ここでは、初彼岸でやるべきことを詳しく解説しましょう。
- お墓参りをする
- 仏壇を綺麗にする
- お供え物をする
- 彼岸法要を行う
お墓参りをする
初彼岸では、毎年のお彼岸と同じようにお墓参りを行います。
お墓の草むしりや墓石を磨く柔らかいスポンジ、墓石を拭きあげるタオルなどを用意して、お墓を掃除してからお参りしましょう。
お墓参りに必要なものは次のとおりです。
- 蝋燭
- 線香
- マッチ・ライター
- お供え用の綺麗な水
- お供え物
- お花
特に初彼岸では、亡くなった故人の好物や好きなものを用意し、遺族や親戚とともにお墓参りをすると喜ばれることでしょう。
仏壇を綺麗にする
初彼岸を迎える際は、仏壇も綺麗にして供養します。
仏壇周りや仏具も丁寧に磨き、新しいお花を供えて初彼岸の準備をしてください。
初彼岸では、親戚だけではなく故人の友人・知人が訪れお供え物をすることもあります。
そのため、仏壇だけではなくその周りも整え、いただいた品物を供えられるようにしておきましょう。
お供え物をする
初彼岸のお供え物は、普段よりもやや豪華な品物を用意します。
精進料理の煮物やそうめん、炊き立てのご飯といった仏飯の他に、故人の好物も用意して仏前に備えると良いでしょう。
さらに、お彼岸の際に用意されるのが「ぼた餅」「おはぎ」です。
呼び方は時期によって異なりますが、春のお彼岸ではぼた餅、秋のお彼岸ではおはぎをお供えします。
この他にも、果物などを用意して初彼岸を迎えましょう。
彼岸法要を行う
初彼岸では、彼岸会や彼岸法要と呼ばれる法要を行うこともあります。
形式はさまざまですが、寺院での営まれる彼岸会・彼岸法要の参列したり、僧侶にお願いして自宅で行ったりすることが一般的です。
寺院の法要に参列する場合は、事前に彼岸会・彼岸法要が行われる時間を確認し、法要にふさわしい服装で参列しましょう。
自宅で行う場合は、まず僧侶に相談して来てもらえる日を決め、それから初彼岸の準備をしてください。
初彼岸の香典

初彼岸で故人の自宅を訪れる際は、香典を準備して仏前にお供えします。
ここでは、初彼岸で用意する香典の金額や、使用するのし袋・表書きの書き方をお伝えしましょう。
初彼岸の香典の金額:3,000円〜5,000円
初彼岸で用意する香典の平均金額は、3,000円〜5,000円です。
初彼岸の供養はごく親しい身内で行うことが多いため、故人や遺族との関係も踏まえて、少なすぎず多すぎない金額を包むようにしてください。
個人的にもう少し何かお供えしたい場合は、香典の他に供花や選考といった品物を用意すると良いでしょう。
初彼岸で使用する不祝儀袋
初彼岸で使用するのは、弔事用の不祝儀袋です。
黒白・双銀の水引はもちろん、地域によっては黄白の水引の不祝儀袋もありますので、地域の慣習に合った不祝儀袋を用意してください。
初彼岸の香典の表書き
初彼岸は四十九日法要の後に行われますので、表書きには濃墨の筆ペンを用意します。
まずは、袋の表面上部中央、水引がかからない位置に「お香典」「御仏前」と書きましょう。
次に、袋の表面下部中央、水引がかからない位置に送る人の名前を書きます。
水引、上部、下部のバランスをよく確認して記載してください。
表面を書き終わったら、裏面の左側中央から、金額・住所・氏名を記載します。
香典の金額は、大字と呼ばれる旧字体の漢数字で書かなければなりません。
下記の表を見ながら、正しい漢数字で書くようにしてください。
一般的な漢数字 | 大字(旧字体の漢数字) |
---|---|
一 | 壱 |
二 | 弐 |
三 | 参 |
五 | 伍 |
六 | 陸 |
七 | 漆 |
八 | 捌 |
十 | 拾 |
千 | 仟または阡 |
万 | 萬 |
円 | 圓 |
初彼岸の服装

初彼岸の服装は、暗めの色・落ち着いた色であれば平服で問題ありません。
男性の場合は、黒・濃紺・ダークグレー・ダークブラウンのズボンやシャツ、女性なら黒・濃紺・ダークグレー・ダークブラウンのワンピースなどが良いでしょう。
子供の場合は、キャラクター物や派手な模様を避け、落ち着いた色合いと清潔さを意識した服装にしてください。
忌日法要・年忌法要に比べると比較的緩やかな服装ですが、初彼岸も大切な供養であることを意識して洋服を準備しましょう。
初彼岸にふさわしい香典返し

初彼岸に香典を受け取った場合、遺族は香典返しの品物を用意してお返しします。
忌明けの香典返しよりも負担は少ないですが、目安となる金額やふさわしい品物を知っておくと準備もスムーズです。
では、初彼岸にふさわしい香典返しとはどのような品物なのか、金額の目安や具体的な品物をお伝えしましょう。
目安の金額:頂いた香典の半額〜3分の1
初彼岸の香典返しの目安となる金額は、頂いた香典の半額〜3分の1です。
たとえば、頂いた香典が3,000円なら1,000円〜1,500円、5,000円なら2,000円〜2,500円を目安にします。
香典を頂いた人数が多いようなら、2,000円〜2,500円を目安にして同一の品物を用意しても良いでしょう。
初彼岸で1万円を超える香典を頂いた場合は、ふさわしい金額の香典返しを個別に送るようにしてください。
初彼岸の香典返しにふさわしい品物
初彼岸の香典返しは、その他の法事と同じく「消えもの」「軽いもの」が喜ばれます。
具体的な例は次のとおりですので、実際に初彼岸の香典返を選ぶ際の参考にしてみましょう。
- お茶
- 海苔
- 日持ちするお菓子
- スティックタイプのコーヒー・紅茶
- ハンカチ・タオル
お茶
お茶の詰め合わせは、法事でもよく選ばれる品物です。
袋入りのお茶セットをはじめ、高い物だと缶入りの茶葉、手軽な物だとティーバッグタイプなどがあります。
お茶は食後に日常的に飲まれるので、香典を頂いた人の年齢・性別を問わず人気です。
予算と相談しながら、好みに合ったお茶のセットを選んでみましょう。
海苔
海苔の詰め合わせも、初彼岸の香典返しとしてよく目にする品物です。
食卓用の味付け海苔から手巻き寿司用の海苔、大きな一枚海苔のセットなどもあり、予算に合わせてさまざまな種類から選ぶことができます。
海苔は朝食に添えたりおにぎりを巻いたりと使用頻度が高いので、初彼岸の香典返しとして喜ばれることでしょう。
日持ちするお菓子
おせんべいやクッキーといった日持ちするお菓子は、消費期限が長いため初彼岸の香典返しに最適です。
子供のおやつや休憩のお茶菓子にも最適なことから、老若男女問わず人気があります。
最近では洋風の日持ちするお菓子も人気で、多くの種類から選べるようになりました。
香典を頂いた人の好みに合わせて、これはと思うお菓子を用意してみましょう。
スティックタイプのコーヒー・紅茶
日常的にコーヒーや紅茶を飲む人が多くなったことから、スティックタイプのコーヒー・紅茶を初彼岸の香典返しに選ぶ人も増えてきました。
気軽に楽しめるスティックタイプは、自宅だけではなく職場にも気軽に持ち込めるので、多くの人に喜ばれています。
香典返しを送る人がコーヒー・紅茶を好むのであれば、スティックタイプのものを検討してみましょう。
ハンカチ・タオル
消えものではありませんが、ハンカチやタオルのセットも人気がある品物です。
男性でも使用できるシックなものから、女性に好まれるフェミニンなセットまで種類も豊富なので、予算に合わせて好みに合ったものを用意できます。
弔事用には「派手でないもの」「おとなしいデザイン」が好まれます。
そのため、どんなハンカチやタオルが良いが悩むようでしたら、ギフトショップで相談してふさわしい品物を選んでみましょう。
まとめ
初彼岸は、故人の49日を過ぎて初めて迎えるお彼岸です。
基本は普段の供養と変わりませんが、少し手の込んだお供え物などを用意したり、僧侶による法要を行ったりします。
さらに、初彼岸で故人宅を訪れる時には香典を用意し、頂いた香典のお返しもしなければなりません。
初彼岸にふさわしい過ごし方・準備の仕方を知って、良いお彼岸が迎えられるようにしましょう。