非嫡出子であっても、嫡出子と同じ割合の相続財産を受け取ることができる。

法定相続
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結婚していない男女の間の子である非嫡出子

相続の際、被相続人に非嫡出子が居た場合、相続財産を受け取る権利があるのでしょうか?

非嫡出子の相続について解説します。

1.嫡出子でも非嫡出子でも相続割合は同じ

嫡出子、非嫡出子とは

まずは嫡出子非嫡出子の違いについて確認します。

嫡出子

嫡出子は、法律上の婚姻関係にある男女、つまり夫婦の間に生まれた子のことをいいます。婚姻中に授かった子はもちろん、他にも下記のような条件にあてはまると、嫡出子と判断されます。

1.婚姻中に懐胎した子
2.婚姻の成立から200日を経過した後に生まれた子
3.婚姻の解消、もしくは取り消しの日から300日以内に生まれた子
4.婚姻前に生まれ、その後父が認知し、父母が婚姻した子
5.婚姻前に生まれ、父母が結婚、その後認知された子
6.養子縁組をした子

ちなみに、上記のうち、1〜3については、確固たる理由があれば、父親(男性)が否認できます。

非嫡出子

非嫡出子とは、法的な婚姻関係にない男女の間に生まれた子をいいます。民法では、非嫡出子という言葉は使わず「嫡出でない子」という表現を使っています。

嫡出子と非嫡出子の相続割合について

平成25年に民法が改正される以前は、非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の2分の1と定められていました。しかし、これが、日本国憲法の定める法の下の平等に違反するという意見が挙がり、裁判が開かれました。

その結果、この状態は違憲であるとの判決がくだされ、嫡出子であろうと非嫡出子であろうと、同じだけの相続分を受け取れるようになったのです。

2.非嫡出子が相続できないケース

平成25年に民法が改正により、非嫡出子は嫡出子と平等な扱いを受けられるようになったわけですが、場合によっては相続が難しいケースもあります。

以下に、非嫡出子が相続できなくなるケースを記載します。

ケース1:認知されていない場合

父親による認知が行われていないと、その子は、「父親不明」の子とされ、戸籍の父の欄も空欄になります。つまり、認知されていない子とは、法的な親子関係が認められないのです。

これを防ぐには、父である人物の生前に認知しておいてもらう、もしくは、遺言書に認知する旨を記載してもらうという方法があります。

遺言書に記してもらう場合、手続きを行うのは遺言執行人になり、任命されてから10日以内に遺言執行人は、遺言を書いた父または子の本籍地か、遺言執行人本人の住所地の役所に届け出をします。

届け出のとき、子が成人していれば、子本人の、子がまだ胎児ならば母の承諾証が必要になります。

また、相続のときにまだ生まれていない子であっても相続権を持っており、これは、非嫡出子についても同様です。

ケース2:相続廃除されている場合

相続廃除とは、相続させたくない人物を相続人から外す行為のことで、被相続人にはこの権利があります。生前に裁判所に請求する、または遺言書に記しておき、それが認められれば成立ということになります。

もちろん、誰も彼も相続廃除できるわけではありません。対象となるには、次のような条件が定められています。

● 推定相続人(被相続人が亡くなったときに相続人となる人)である
● 被相続人に虐待をしたり、重大な侮辱をしたりした
● 明らかな違法行為など、著しい非行がある

具体的には、暴力、暴言、度重なる金の無心や金銭トラブル、犯罪行為など、被相続人が大きく害を被ったと考えられる場合には、相続廃除が認められる可能性が出てきます。

さらに付け加えておくと、相続廃除されなくとも、相続権を失うケースがあります。

相続を有利に進めたいがために他の相続人を死にいたらしめようとしたり、遺言書の内容を操作、改ざんしようとしたりといった行為があった場合です。

これを、相続の欠格といい、財産を受け取る権利を失うことになります。

相続廃除が行われたり、相続の欠格をした場合、その人は遺留分を含めた全ての相続財産に関する権利を失います。

※遺留分について詳しくはコチラ

ケース3:相続放棄する場合

これはその人自身の判断になります。相続は権利であって義務ではないので、自ら相続放棄をすることがきます。

期限は、被相続人が亡くなったとき、および、自分が相続人だと知ったときから、3ヶ月。

それまでに家庭裁判所に申請することによって、遺留分やマイナス分も含めた全ての相続に関する権利を失います。

ひとつ注意したいのが、相続放棄すると、代襲相続の権利も失われるということです。

自分が亡くなった場合、自分の子が次の相続人となります(代襲相続)が、自分の代で放棄してしまうと、当然次の世代にも権利は受け継がれなくなります。

自分はいらないけれど子に権利は遺したいというような場合には、放棄しない方法を考える必要があります。

3.非嫡出子の受け取る財産が減るケース

2章では、非嫡出子が相続できなくなるケースについてお伝えしてきました。

3章では、相続できない訳では無いが、受け取る財産が減るケースについて記載します。

もしあなたが非嫡出子に相続させたくないという立場の方なら、どんな方法を用いることが有効か。

もしあなたが非嫡出子に該当する立場なら、どのような事で自分の財産が減る可能性があるのか。

それぞれ確認してみましょう。

ケース1:遺言書に記されている場合

遺言書に、非嫡出子の相続分が他の相続人よりも少なくなるように記載されていた場合です。

遺言書が残っており、それが民法で定められた形式に則ったものであると認められる場合には、その内容を優先的に考慮して相続内容を決めるのが通例となっております。

そのため、この場合は、非嫡出子の相続分は通常よりも少なくなるということになります。

ただし、相続には、法で保障された遺留分が存在します。

これを著しく侵害していると考えられる場合には、不服を申し立てて、遺産分割協議を行うこともできます。

ケース2:嫡出子に生前贈与が行われている場合

嫡出子に対する生前贈与によって、あらかじめ財産が減っている場合です。

生前贈与には、その課税方法によって大きく2つにわけられます。

暦年贈与

一般的な生前贈与の方法です。

贈与を受けた分には贈与税が課せられますが、1月1日から12月31日までの1年間で110万円以内であれば全額非課税となります。この110万円とは、受け取る側が1年でもらった財産の合計になります。

複数人からもらっている場合に超えてしまわないように気をつけましょう。

ただし、これには3年内加算ルールがついてきます。

これは、被相続人が亡くなる3年以内に贈与された分についてはなかったことにされてしまうというものです。元気なうちから贈与を進めておかなければ、無に帰してしまうこともあるのです。

相続時精算課税制度

相続時生産課税制度とは、一定額までの贈与された財産に贈与税が課されないという制度です。

その代わり、被相続人が亡くなった後、相続した財産と合わせて、相続税がかけられるのです。

この説明を見るだけだと、暦年贈与の方が優れているように見えますが、相続時精算課税制度では、1人当たり2500万円までの控除があります。

また、この制度には、「60歳以上の父母または祖母から、20歳以上の子または孫に対し財産を贈与した場合において選択できる」という原則があります。

まとめ

法の下の平等に支えられて改正された、非嫡出子の相続分。しかし、これが思わぬ禍根を生むことがあるのも事実です。

非嫡出子としても、配偶者をはじめとする相続人としても、無用な争いは避けたいはず。

どんなところに注意すればより納得のいく形で決着をつけられるのか、また、ぶつかり合う場合にはどんな戦略を立てればいいのか、少し知識をつけておくだけで相続はずっと楽になるはずです。

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