お墓参りや法事の際には、お墓の後ろに建てられた細長い板を目にすることがありますが、この細長い板が「塔婆(とうば)」です。
この塔婆は、故人の追善供養を行う意味で非常に重要な意味を持っていますが、その詳細を正確に知る方は少ないのが現状です。
そこで、ここではこの塔婆の意味を説明しながら「費用相場」「建立する際の注意点」「塔婆の種類」などを解説します。
合わせて寺院へ渡す塔婆料のマナー・包み方についても触れていきますので、これから塔婆の建立を検討しているがマナーに不安がある方や、どのように塔婆供養の準備を進めて良いのかわからない方には、非常に役立つ内容です。
目次
塔婆料とは

塔婆料とは、塔婆に梵字や経文その他の文字を書いていただいた行為に対し、お礼として寺院に支払う金銭です。
塔婆料はあらかじめ金額が決定されているため、前もって寺院に確認することができます。
気になる塔婆料の費用相場は、この後の「塔婆料の費用相場」で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
お布施との違い
先ほどお伝えしたとおり、塔婆料はあらかじめ決まった金額が塔婆1本ごとに設定されています。
一方で、お布施は金額の相場はあっても厳密に金額は指定されているわけではく、費用はあくまでも施主側の判断によって決められます。
このように、同じ寺院側に金銭を渡す行為でも「塔婆料」と「お布施」はその性質がまったく異なると考えましょう。
塔婆の意味

ここでは、塔婆を立てる宗教的な意味やその起源、書かれている文字について解説します。
まずは、塔婆の詳細を知り塔婆についての理解を深めましょう。
塔婆は卒塔婆(そとば)ともよばれ、墓石の周りに建てられた細長い板状のもので、板の表面と裏面には宗教上重要な言葉が記載されています。
立てる理由
塔婆を立てる理由は、故人やご先祖様の冥福を祈り供養するためです。
塔婆を立てる行為は仏教の教義上良い行いとされており、塔婆を立てることで生きている人間が善を積み、その行為が故人やご先祖様の冥福につながると考えられています。
作成時期と立てる本数
塔婆は「納骨」「法要」「お盆」「彼岸」などの時期に建てられます。
そのため、最初に塔婆を立てる時期は納骨の際となることが一般的です。
塔婆を立てる本数に決まりはありませんが、個人で1本の塔婆を立てる場合や、「兄弟一同」「家族一同」などの単位で1本の塔婆を立てることもあります。
ただし、お墓の大きさによっては建てられる塔婆の本数が決まっている場合も多く、小さなお墓の場合は1本から2本程度の塔婆しか立てることができない場合もあります。
このような事情により複数の方から塔婆を建てたいと要望があっても、お墓の大きさによって沢山塔婆を立てられない場合は、施主が要望を聞き1本の塔婆にまとめるなどの対策が必要となります。
起源
塔婆は正式名称を卒塔婆(そとば)と言い、この言葉の語源は仏教発祥の地インドの「ストゥーバ」という古代の言葉が起源とされています。
ちなみに、このストゥーバとはお釈迦様が亡くなったときにその遺骨を納めた仏塔のことで、この際の仏塔が日本の五重塔の由来となったと考えられています。
書かれている文字の意味
塔婆に書かれている文字は、「寺院」「宗派」「お住まいの地域」などで異なりますので、ここで解説するのはあくまでもその一例とお考えください。
塔婆に書かれている文字は次のとおりです。
- 梵字
- 戒名
- 年忌
- 種子
- 梵字
- 建立年月日
- 施主名
書かれている文字の詳細
- 梵字:インドの古代文字サンスクリット語で「空・風・火・木・地」を表し、これに対応する「キャ・カ・ラ・バ・ア」の5つの梵字が書かれています
- 戒名:仏の弟子になった証として一般的には死後僧侶からつけていただく名前
- 年忌:その塔婆を建てたのが何回目の追善供養なのかの記載
- 種子:仏様の種という意味で十三仏のいずれか一つの名称
- 裏面の梵字:大日如来を表す「バン」の梵字
- 建立年月日:塔婆を建てた年月日の記載
- 施主名:塔婆を依頼した人物名
塔婆料を出す人は誰?

塔婆料は塔婆を立てた方が出しますが、連名で塔婆を立てる場合は持ち寄りで費用を出します。
また、塔婆を立てる人には厳密な決まりはないため、遺族や近親者の他にも法事参加者や故人の友人・知人が立てることも可能になっています。
塔婆料は塔婆供養を取り仕切る施主が一括で寺院へ支払うための、塔婆を立てた方は費用を施主へ支払う流れになります。
塔婆料の費用相場

寺院から塔婆を購入し文字の記入を依頼するため、塔婆料は寺院に支払います。
この際の塔婆料は僧侶への感謝の気持ちを表すお布施とは異なり、寺院側が指定しています。
お住まいの地域や宗派によっても異なりますが、塔婆1本の価格は3,000円から1万円が相場です。
この金額は寺院側へ確認すれば教えてもらえるため、施主はあらかじめ塔婆料を確認し、塔婆を立てる方全員に周知しておきましょう。
このようにすることで塔婆料を払う際のトラブルを回避し、スムーズな法要が可能になります。
塔婆の申し込み・支払方法

法要を行う際に参列者の善行として行う塔婆の建立ですが、この際の申し込みはどのような流れで行えば良いのでしょうか?
ここでは、塔婆の申し込み方法と塔婆料の支払い方法について説明します。
- 申込用紙に記入する
- 複数での申込の場合は支払を施主が取りまとめる
- 塔婆料を寺院に渡す
ステップ①:申込用紙に記入する
塔婆の申し込みは直接寺院に問合せその指示に従いますが、現在では用意されている申込書に記入する方法が一般的です。
郵送やファックスでも受け付けているため、遠方からの依頼にも対応してくれます。
もしも寺院側に申込用紙がない場合は、ご自身で申し込み用紙を作成し、文字による塔婆作成依頼をおすすめします。
塔婆作成には必要な情報が多く、口頭での依頼は聞き間違いから記入ミスが多くなりがちです。
そのため、依頼内容を文字にすることでこのような聞き間違いをなくし、結果的に書き損じを防ぐことができます。
なお、塔婆は寺院の住職によって一つひとつ手書きされるため、塔婆が必要な法要の10日前までには申込みを行う必要があります。
寺院が忙しくなるお盆やお彼岸の時期は、さらに時間に余裕をもって塔婆の作成依頼を出した方が良いでしょう。
ステップ②:複数での申込の場合は支払を施主が取りまとめる
塔婆は施主側が1名の場合以外にも、親戚の複数名が合同で立てる場合もあります。
その場合は、別々に寺院側に塔婆の申込みを行うのではなく、塔婆を立てる方全員分を施主がとりまとめて一括で申込みを行いましょう。
その際の支払いは、施主が塔婆の枚数をとりまとめて払うことがマナーです。
ステップ③:塔婆料を寺院に渡す
塔婆料の支払い方に厳密な決まりはありませんが、法要を終えた僧侶へお礼の挨拶を述べるタイミングで、お布施と共に渡すのが一般的です。
ただし、法要の当日に慌ただしく過ごしたくない、もしくは法要が終わった後に何らかの予定があり時間が制限されているなどの事情があれば、あらかじめ寺院へ持参し法要の挨拶を兼ねて渡しても失礼にはなりません。
このように塔婆料を渡すタイミングはご自身の都合で調整することもできますが、法要が終わり時間が経過してからの支払いは厳禁とされています。
塔婆料は、法要が終わった際に速やかに支払うのがマナーと心得ましょう。
塔婆料はお布施と別々に包む
なお、塔婆料は僧侶へのお布施とは別に渡すのがマナーです。
受け取った僧侶にわかりやすいよう封筒を2つ用意し、塔婆料とお布施を別々に包み渡しましょう。
この際には直接手渡しするのではなく、お盆か袱紗(ふくさ)に載せて渡すのが正式な作法です。
塔婆料を入れる封筒の種類

僧侶へ渡す塔婆料は正式なマナーに従って金銭を包むため、その際に使用する封筒は仏事に使用されるものでなければなりません。
ここでは、この塔婆料を包む封筒の種類について解説します。
種類①:市販されている不祝儀袋
寺院とのお付き合いが少なく、塔婆料の包み方やマナーにあまり自信が持てないとお考えの方には、市販されている不祝儀袋に金銭を包むことをおすすめします。
この市販されている不祝儀袋には、初めから表書きに「御塔婆料」と記載されているタイプのものもあり、ご自身で表書きを書く必要がないため非常に便利です。
初めから表書きが記載されている不祝儀袋を使ったからといって、マナー違反となることはありませんので安心してご使用ください。
種類②:白無地封筒
不祝儀袋がない場合は、白無地封筒を使用します。
白無地封筒は文具店などでも販売されています。
文字通り前面に何も書かれていないタイプの白無地封筒と、郵便番号を書くための枠が記載された白無地封筒の2種類があります。
この際、仏事に使用できるのは前者の何も書かれていない白無地封筒です。
郵便番号の枠が書かれた白身時封筒は、仏事では使用することはできません。
もし間違って郵便番号の枠付き封筒を使用すれば、僧侶に対して礼を欠いてしまうため十分に注意しましょう。
種類③:奉書紙(ほうしょし)
寺院に金銭を渡す際には、奉書紙を使用するのが最上位のマナーとされています。
奉書紙とは楮(こうぞ)を原料に作られた厚手の和紙のことで、現在は写経用紙や神社の祝詞を書くための紙として、文具店やインターネットなどで購入することが可能です。
なお、奉書紙は外袋として使用するため別に中袋を用意する必要があります。
この際の中袋は、市販されている無地の不祝儀袋や白無地封筒を用いることが一般的です。
奉書紙で金銭を包む際には、半紙を使って金銭を包む、もしくは先ほどお伝えした中袋に金銭を入れその上から奉書紙で包みます。
半紙に紙幣を包む手順と、奉書紙を使った塔婆料の包み方の手順は次のとおりです。
半紙に金銭を包む手順
- 右下端を折る:半紙が縦長になるように置き右下端が左辺より内側になるように折る
- 置き直す:折り目が自分と平行なるように置き直す
- 金銭を置く:先ほどの折り目とお札の下辺が合わさるよう折り目を入れる
- 左端を折る:左の折り目とお札の間が適度に空いている状態で底辺同士が重なるよう折る
- 右端を折る:同様に右の折り目も底辺同士が重なるよう折る
- お札部分を持ち上げて折る:お札の上は多少開け下から上に折る
- 上部の三角を折る:最後は余った三角形部分を出来上がった長方形部分に合わせて折る
奉書紙の包み方の手順
- 真ん中に中包みを置く:中包みの折り返し部分の空いた箇所が左上になるように置く
- 左側を内側に折る:三等分する感覚で左側を折る
- 右側を内側に折る:三等分する感覚で右側を折る
- 上側を折る:上側を内側に折る
- 下側を折る:下側を内側に折り先ほど上側から折った部分に被せる
塔婆料を入れる封筒の書き方

ここでは、塔婆料を包む封筒の書き方とその際に使用する旧字体の漢数字について解説します。
書き方①:表書き
塔婆料を包む際の表書きは次の表記が一般的です。
- 御塔婆料
- 塔婆料
- 塔婆代
このように塔婆料を包む際の表書きは、その包みが塔婆代金であることがすぐに僧侶へ伝わる書き方を心がけます。
封筒の下にはご自身の氏名を記載し、文字の大きさは上の文字よりもやや小さめで表記します。
個人ではなく家族単位や親族単位で塔婆を立てる際には、「○○家」といった書き方がよいでしょう。
書き方②:中袋
中袋には塔婆の本数分のお金を入れ、旧字体の漢数字を用いて金額を記載します。
なお、金額の頭部分には「金」の文字を入れて金額を表記するのが正しい記載方法です。
金額は旧字体の漢数字で記載する
一般的な漢数字に対応する旧字体の漢数字は次のような表記になります。
- 一:壱
- 二:弐
- 三:参
- 五:伍
- 六:陸
- 七:漆
- 八:捌
- 十:拾
- 千:仟
- 万:萬
書き方③:裏書
裏面には、ご自身の氏名と住所を記載します。
塔婆を立てる人物が複数人いる場合は、封筒の中にその塔婆を立てた人物の名前を記載した紙を入れ「○○家塔婆建立者」としておくことで、僧侶は塔婆を作成する際に迷いなく塔婆の建立者名を書くことができます。
中袋がない不祝儀袋では封筒の口を〆で閉じれば完成です。
中袋がある場合は、必ずしも〆で閉じる必要はありません。
封筒へ記載する際の注意点

塔婆料は包み方以外にも注意点があります。
ここでは、塔婆料を入れる袋に記載する「書き物」について解説します。
- 筆ペンを使用する
- 薄墨は使わない
筆ペンを使用する
塔婆料の袋に書く際の書き物は、筆ペンが便利です。
正式なマナーにのっとれば毛筆を使用するべきですが、墨汁と毛筆を準備している家庭が稀となった現代では、筆ペンを使用しても問題はありません。
薄墨は使わない
塔婆料を入れる袋には黒色の墨、もしくは黒色の筆ペンを使用します。
薄墨の筆を使用するのは、葬儀や四十九日までの香典やお供えに記載するときです。
これは「涙で硯の墨が滲んでしまった」「早く駆けつけるために硯を充分に擦れなかった」という意味があり、故人や遺族に配慮する気持ちが込められている習慣です。
塔婆料を支払う封筒はこれらの仏事とはまったく異なるため、薄墨を使用することはありません。
紙幣の封筒への入れ方

塔婆料に使用するお札の入れ方にはマナーがあり、これを反対に入れてしまうと意味が全く異なるため、僧侶を不快な気持ちにさせてしまうでしょう。
このようなことが起こらないよう、ここではお札の入れ方について解説します。
- 紙幣は表面を前にして肖像を上にする
- 紙幣は新札であっても旧札であって問題はない
入れ方①:紙幣は表面を前にして肖像を上にする
塔婆料を支払うための紙幣は、表面を前にして右側に書かれた肖像画が書かれた方を上にして封筒に入れましょう。
ちなみに、不幸事の際に渡す香典の場合はこれとは逆になり、紙幣の裏面を前面にして納めます。
寺院に支払う金銭ということで勘違いをしてしまい、不幸ごとと同じ入れ方をしている方もいますが、塔婆料の支払いは不幸事ではありません。
結婚式や出産祝いを包む、「慶事」の入れ方が正しい紙幣の入れ方ですので注意してください。
入れ方②:紙幣は新札であっても旧札であって問題はない
塔婆料に使用する紙幣は、新札であっても旧札であってもどちらでも使用することができます。
確かに葬儀に参列する際に包む香典は、「あらかじめ不幸事がおきることを予想しお金を用意していた」と思われないよう、旧札を使用するのがマナーです。
しかし、塔婆料はあくまでも寺院に支払うための金銭です。
このような気遣いは寺院に対しては不必要なため、どのようなお札を使用しても問題はないのです。
塔婆を建立する際の注意点

初めて塔婆を立てる方は、マナーの確認や遺族の意見をまとめる作業に没頭してしまい、全体への注意が行き届かないことから当日になって不備が発覚することがあります。
落ち着いた気持ちで法要に参加するためにも、ここでは塔婆供養を行う際の注意点を次にあげる3つに絞って解説します。
- 寺院と施主のどちらが用意するのかを確認する
- お墓に何本塔婆が建てられるのかを確認する
- 浄土真宗では塔婆の建立は行わない
注意点①:寺院と施主のどちらが用意するのかを確認する
多くの寺院では、塔婆供養の依頼を受けた際には寺院側が塔婆を用意することが一般的です。
しかし、お住まいの地域や一部の寺院によっては、施主側が塔婆を用意して寺院に持ち込むことが慣例となっている場合もあります。
これを間違えてしまうと当日になって塔婆がないという事態になるため、施主は誰が塔婆を用意するのかをあらかじめ寺院側に確認する必要があります。
注意点②:お墓に何本塔婆が建てられるのかを確認する
塔婆は本堂かお墓の後ろに立てられますが、お墓の後ろにそれほどスペースがない場合は、立てられる塔婆の数に限りがあります。
最近では、墓石の横にあらかじめ塔婆立てが併設してある場合もありますが、この際に立てられる塔婆の数は1本から3本程度です。
施主は事前に立てられる塔婆の数を把握し、その範囲内で塔婆を立てるよう遺族の意見をまとめる必要があります。
注意点③:浄土真宗では塔婆の建立は行わない
浄土真宗の寺院では、塔婆供養を行わないため塔婆を立てることはありません。
同じ仏教であっても、浄土真宗には他の宗派の様な故人を供養するという考え方がなく、阿弥陀如来を信じることで極楽浄土に行くことができるとされています。
このような教義の違いから、浄土真宗では塔婆を立てることがないのです。
塔婆の種類

私たちは塔婆と聞くと細長い板状の塔婆を考えがちですが、実は塔婆には様々な種類があり法要や地域によって使い分けられています。
ここでは、塔婆の種類を説明しながらその塔婆が使用される状況を解説します。
種類①:板塔婆
厚さ1cm、長さ60cmから180cm程の塔婆で、私たちがお墓参りを行う際によく目にする塔婆はこの板塔婆です。
この板塔婆は主にお墓の後方に立てられ、単に塔婆と呼ぶ場合はこの板塔婆を指す場合がほとんどです。
種類②:角塔婆
角塔婆は約10cmほどの角ばった棒状の塔婆です。
この塔婆は墓石を立てる前の墓標として使用され、大型の角塔婆は寺院の落慶法要などの重要な場面で用いられることもあります。
角塔婆の上部には5つの切り込みがあり、これは板塔婆と同じく「空・風・火・水・地」を表しています。
種類③:七本塔婆(しちほんとうば)
七本塔婆とは、初七日から四十九日までの供養に用いられる7本の小型の塔婆です。
この七本塔婆の中には、同じ長さの塔婆を横に並べてひさしがつけられたものや、異なる長さの塔婆を並べたものなどいくつかの種類があるのが特徴です。
また、この七本塔婆の建て方は七日ごとに1本ずつ塔婆を立てる場合や、一斉に塔婆を立てて七日ごとに塔婆を1本ずつ倒していくなど、地域によってさまざまな立て方があります。
種類④:水塔婆・経木塔婆
水塔婆とは別名経木塔婆ともよばれ、厚さ数ミリの薄い塔婆です。
主に関西地方のお盆やお施餓鬼法要などで使用され、水に浮かべたり浸したりすることから水塔婆と呼ばれるようになりました。
種類⑤:梢付き塔婆
三十三回忌や五十回忌などの弔い上げで使用する塔婆で、枝葉のついた生木をそのまま使用することから「生木塔婆」とも呼ばれます。
木材は主に「柳」「杉」「松」を使用し、地域によっては弔い上げの法要であってもこの梢付き塔婆を使用せず、一般的な板塔婆を使用する場合もあります。
古くなった卒塔婆を処分する時期

古くなった塔婆を処分する時期は、基本的には新しい塔婆を立てるときです。
しかし、古くなった塔婆の劣化が激しく腐食が進んでいる状況では、風に煽られ折れた塔婆がお墓参りに来た方を傷つける可能性もあるため、新しい塔婆がない状態でも撤去する場合もあります。
卒塔婆の処分方法
塔婆の処分方法は、寺院によるお焚き上げで処分する方法が一般的です。
本来は施主が依頼してお焚き上げを行いますが、新しい塔婆がある際には寺院側が自主的に回収しお焚き上げを行ってくれる場合もあり、寺院によってさまざまな対応方法があります。
なお、このように寺院側が自主的に回収しお焚き上げを行った際には、お布施が不要となる場合がほとんどです。
ただし、中には塔婆の処分負担が大きいという理由から寺院側で塔婆の処分を断っている場合もあり、この際にはご自身で塔婆を処分しなければなりません。
この際には古くなった塔婆を抜き取り、寺院内のゴミ置き場に置くよう指示されます。
故人の追善供養に使った品をゴミ置き場に廃棄するのは少し気が引けてしまいますが、故人を供養することで功徳が残っているため、このような行為で塔婆を廃棄しても問題はないと考えられています。
まとめ

塔婆を立てる行為はお供え物と同じ追善供養の一種のため、お墓参りを頻繫に行う方の中にも、塔婆を立てたことがない方は大勢います。
このように、仏事の中では比較的優先順位の低い塔婆供養ですが、その行為は一番徳が高い追善供養であり、生きている私たちの善行につながると考えられています。
できることなら一年に一度、ご自身の都合のつくタイミングで良いので塔婆を立て、故人やご先祖様を悼み供養したいものです。