遺言書は3種類ある?記載する際の注意点などを解説!

生前対策
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相続では生前対策が重要であるということはこちらの記事でお伝えしました。そして生前対策の代表例とも言えるのが 遺言書 の作成です。

遺言書は「単なる手紙」では無いので、法規則に則った正しい遺言書を準備する必要があります。本稿では、遺言書を作成する際に気を付けるべきポイントを解説します。

1.遺言書とは

遺言書とは「亡くなった時に、資産を誰にいくら渡すか」について、生前にその人の考えを示しておくものです。

相続では、法定相続に基づいて遺産分割を行いますが、遺言書の内容は法定相続よりも優先されます。つまり遺言書を準備しておくと、法定相続の割合は関係なしに、記載の内容に従って遺産分割を進める事ができるのです。

これにより、被相続人の想いや考えがより遺産分割の内容に反映させることができるのが遺言書のメリットです。また遺言書に書かれている内容は「本人が望んでいたことだから」と相続人の間でも納得感のあるものになり、相続が円滑に進むことが多いです。

最近、自分の死に対するあらゆる準備しておくための活動として終活という言葉が話題になっていますが、終活に登場するエンディングノートは遺言書とは全く異なるのでご理解下さい。

エンディングノートは単純に自分が遺したいもの(家族との思い出や、大切な物の保管場所など)を綴るノートであり、法的拘束力を持ちません。遺言書は遺産分割について明記したものであり、法的拘束力を持ちます。

しかし、冒頭でも言った通り、法規則に則った正しい遺言書を準備しない限りは、「ただの紙切れ」となってしまうのでお気を付け下さい。

2.種類は3つ

遺言書には大きく分けると、まず「普通方式」と「特別方式」があり、さらに「普通方式」には3つの種類があります。本項では「普通方式」の3種類について解説致します。

公正証書遺言

これは「公証人」によって作成されるもので、「公正役場」というところで作成することが可能です。

公証人とは

聞きなれない言葉ですよね。

公証人は「契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者」とされており、判事や検事など法律関係の実務を長くこなし、公募に応じた人の中から、法務大臣の任命によって決まります。公証人によって、認証を受けた公正証書は、法的な拘束力を持ちます。

公正役場とは

「公証人がいる役所」と理解すれば良いでしょう。市役所などとは異なるので注意です。普段はあまり行くことがないですが「公証役場」という役場が存在します。

全国には約300の公証役場があります。「どこにある?」と思われる方は「市区町村+公証役場」で検索すると、すぐに場所が出てくると思われます。

遺言書は「法規則に則った正しいものを準備する必要がある」と繰り返し説明していますが、その点、公正証書遺言は公証人が作成するので法的に無効になるようなことはありません。

また公証役場で大切に保管されるので、相続発生後に「遺言書が見つからない!」なんて言うことにもなりません。

加えて、公正証書遺言は日本公証人連合会の「遺言検索システム」にて、簡単に検索することが可能なので、残された家族が見つけやすいと言う点も魅力的です。

※検索できるのは相続発生後(=被相続人が亡くなったあと)となります

公正証書遺言のメリット

● 遺言書が無効となることは無い
● 公証役場で大切に保管される
● (相続発生後は)検索で探すことも可能

公正証書遺言書の注意点

遺言書の作成に費用がかかる。手数料は以下の通りです。

自筆証書遺言

これは文字通り、被相続人が自ら作成する遺言書です。公正証書遺言書と異なり、必ず本人が書く必要があり、別の方が書いたものだと遺言は無効となります。

また、何度も言うように、遺言書は「ただ相続財産とその相続人を記載すれば良い」という訳ではなく「民法に則った記載方法」で書く必要があるため、自筆で書く場合は記載方法を入念に調べながら記載する必要があります。

さらに、自筆遺言書は「手書き」しか効力を持たないため、パソコンなどの電子入力はNGです。また、相続が発生した際に遺言書が見つからなくては意味がないので、その保管場所にも気を付けることが重要です。

自筆証書遺言のメリット

● 自分で書くだけなので、いつでも、どこでも作成することができる
● 費用がかからない

自筆証書遺言書の注意点

● 法規則に則った かたちで記載しないと無効になる
● 必ず本人が書く必要がある
● 必ず手書きで書く必要がある
● 保管場所に気をつける必要がある

秘密証書遺言

上記の2つとは少し特徴が異なります。

秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られたくない場合に利用する遺言の方法です。これは公証役場にて「遺言が存在します」と言う事実だけを証明してもらうと言う旨の遺言書になります。

作成自体は、自らで行うことが可能で、手書きでも、パソコン等による電子入力でも構いません(署名は直筆で書く必要があります)。

作成した遺言書を最低2人以上の証人を連れ、公証役場まで持っていき、照明を行います。秘密証書遺言なので、内容自体は見られることはありませんが、存在していると言うことが証明されます。

効力を持つかどうかですが、これは公証人が内容を確認する訳ではないので、自筆遺言書と同じで、無効になる可能性もあります。そのため作成には法規則に則っているかに注意する必要がございます。

で は公証役場に持って行くと言う点以外で、自筆遺言書と何が違うのか?と言う所ですが、秘密証書遺言は「存在の照明」は行われているため、自筆遺言書の時に起きることがある「その遺書書は本当に本人が記載した本物かどうか」と言うような、無駄な争いは起こりません。

秘密遺言書のメリット

● 内容を誰にも見られない
● 「存在の証明」は行われるので、相続発生後に遺言書を原因とした争い事が起こりにくい

秘密遺言書の注意点

● 法規則に則ったかたちで記載しないと無効になる
● 保管場所に気をつける必要がある

3.遺言書を作成する時に気を付けること

基本的に遺言書は「自分の想いを綴る場所」なので、他人にこう言われたからこのように書く、と言うよりは、自分の資産をどのように分け与えることで、自分含めた全員が幸せになるのだろうと言うことを考えながら書くのが良いです。

しかし、以下のような「」には注意が必要です。

二次相続まで考える必要がある

相続税の特別控除の1つである配偶者控除。配偶者控除を利用すれば「最低でも1億6,000万円までは配偶者は相続税がかからない」ので、「それなら遺言書に[全財産て妻に相続する]と書けばお得だ!」と考える方が少なくないかもしれません。

しかし、先ほどの記事の後半でも解説しているように、相続は二次相続まで考えて設計する必要があります。一次相続では配偶者に全財産を相続し、配偶者控除を使うことでお得になるかもしれませんが、その場合二次相続で子供に多くの資産が相続され、多額の相続税を支払うわないといけない状況になりやすいです。詳しくは上記の記事を読んでみて下さい。

遺留分を考慮する必要がある

「私が1番大切な人はこの人だ」「老後の生活は彼が支えてくれた」「家族じゃないけどとても大切な人」このような感情から、親族、親族外に関わらず「1人の人に多くの資産を分け与えたい」と思うのは人間の心理としてよくあることだと思います。

ではこの場合、遺言書に「◯◯に全財産を渡す」と記載すればその通りに遺産分割は行われるのでしょうか?答えはNoです。

記事の冒頭で「遺言書に記載の内容は法定相続よりも優先されます」と説明しました。確かにそれは事実で、法定相続では「相続人外」に該当してしまう人にでも、遺言書で指定おけばその人に資産を分け与えることが可能です。

ですが「全財産をある特定の人に」と言う渡し方はできません。それは相続人に与えられた最低限の相続分を守る権利「遺留分」が存在するからです。遺留分についてはこちらの記事で詳しく記載しているので、詳細はこちらをお読み下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

3種類の遺言書があるのはご存知でしたか?人によってメリット、デメリットの受け取り方が変わるため一概には言えませんが、できれば公証遺言書を作成することが円滑な相続を進める上で最も良い方法かと思われます。

また、遺言書を作成する際は、自分の想いも大切にしながら、二次相続まで考えた設計、遺留分を考慮した配分を意識するようにしましょう。

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