【2020】相続税の申告期限はいつまで?期限後に申告するデメリットは?

相続 税 申告 期限 相続税
この記事を監修した専門家は、

相続税の申告義務がある場合、法律で決められた期限までに申告する必要があります。

期限を過ぎると罰金を取られるなど不利益を被ることになるため、相続税の申告に向けた準備は早めに始めることが大切です。

この記事では、相続税の申告期限や期限に間に合わなかった場合のデメリット、間に合わない場合の対処法を解説していきます。

相続税の申告期限

相続税申告書

相続税の申告期限は決まっていて、原則として延長ができません。

期限までに相続税の申告をしなかった場合のデメリットについては後ほど解説しますが、相続税の申告は期限までに確実に手続きを終える必要があります。

まずは、相続税の申告期限がどのように決められているのか確認していきましょう。

相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月後

相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月後」です。

たとえば、相続の開始を知った日が2019年10月25日であれば、相続税の申告期限は2020年8月25日になります

「相続の開始を知った日」は、通常は被相続人(遺産を残して亡くなった人)が亡くなった日です。

 

ただし、「相続の開始を知った日」が死亡日とは一致しないケースもあります。

死亡日当日ではなく、後になってから亡くなったことを知った場合には、その知った日が基準日です。

 

また、2020年は新型コロナウイルスの影響を考慮して、「期限までに相続税の申告・納付ができないやむを得ない理由」がある場合に限り、期限の延長が認められています。

延長できる期間は最長で、「期限までに相続税の申告・納付ができないやむを得ない理由」があったやんだ日から2ヶ月後までです。

 

なお、この特例措置がいつまで続けられるのかは、社会情勢次第で変わる可能性があります。

実際に相続が起きて相続税の申告期限を確認する場合には、国税庁ホームページなどで最新の情報を確認するようにしてください。

納税期限は申告期限と同じ

相続税の申告期限と納税期限は同じです。

そのため、相続税の納税についても「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月後」までに終える必要があります。

遺産に不動産が多く含まれる場合など、相続税の納税資金を相続人自身が別途用意しなければならないケースでは、特に注意が必要です。

期限までに納税資金が準備できなくて慌てないためにも、納税資金の準備が必要かどうかや、必要な場合に用意すべき金額は早めに確認するようにしてください。

 

なお、期限までに相続税の納税が難しい場合、延納や物納という制度を利用する方法もあります。

ただし、延納や物納を選択できるのは一定の条件を満たす場合に限られるため、誰でも自由に利用できるわけではありません。

相続税の申告期限の延長は原則できない

相続税の申告期限は原則として延長ができず、10ヶ月以内に申告も納税も終えなければいけません。

しかし、次のような場合には例外的に期限の延長が認められることがあります。

ただ、上記に該当するケースは必ずしも多くはありません。

そのため、相続税の申告・納税の期限は基本的に10ヶ月後であると考えるようにしてください。

ケース別の相続税の申告期限

相続税申告を手渡しする人

相続税の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月後」です。

そのため、基本的には10ヶ月後の対応する日(応答日)を相続税の申告・納税の期限と考えれば問題ありません。

しかし、10ヶ月後にあたる日から期限日がずれる場合や、そもそも「相続の開始を知った日」がいつなのか判断が難しい場合があり、たとえば次のようなケースが該当します。

相続の開始を知った日がいつか判断しにくいケース
  • 申告期限が土日祝日の場合
  • 死亡日が特定できない場合
  • 相続人以外への遺贈
  • 停止条件付の遺贈
  • 相続放棄・相続欠格・相続人廃除

それぞれのケースで相続税の申告期限がいつになるのか、確認していきましょう。

ケース①:申告期限が土日祝日の場合

申告期限が土日祝日の場合、税務署が休みで手続きができません。

そのため、このような場合はその次の平日が相続税の納税・申告の期限になります。

たとえば、相続の開始を知った日が2019年12月10日(火)の場合、10ヶ月後は2020年10月10日(土)ですが、土曜日のため申告・納税の期限は次の月曜日である2020年10月12日(月)です。

ケース②:死亡日が特定できない場合

孤独死など死亡日が厳密に特定できないケースでは、戸籍の死亡年月日が「令和2年〇月〇日~同月〇日の間」などと記載されていることがあります。

この場合の相続開始日は、戸籍に記載された最終日です。

最終日にあたる日に相続が開始したことを相続人が知ったのであれば、相続税の申告期限はその翌日から10ヶ月後になります。

ケース③:相続人以外への遺贈

亡くなった方が残した遺産は、相続人が相続するのが基本です。

ただ、遺言書が残されていて、相続人以外の人が遺産を受け取る場合もあります。

 

遺言によって財産を渡す「遺贈」で相続人以外の人が遺産を受け取る場合、その人は遺言書の内容を見るまで、自分が遺産を受け取ることや相続税の申告が必要なことを知りません。

そのため、このような場合の相続税の申告期限は、遺言書の内容を確認して自分が財産を受け取ることを知った日を基準に考えて、その日の翌日から10ヶ月後になります。

相続が起きてから遺言書が見つかるまでに日数がかかったとしても、相続税の申告期限までの期間がその日数分だけ10ヶ月より短くなるわけではありません。

ケース④:停止条件付の遺贈

たとえば、Aが亡くなり遺言書で「Bが30歳になったときに銀行預金1億円を相続させる」と書き残していたとします。

この場合、Bが30歳になるまでに亡くなってしまえば相続は起きないため、Aからの相続で相続税の申告が必要になるかはBが30歳になるまでわかりません。

そのため、このような停止条件付の遺贈では、条件が実際に成立した日を基準に考えて、その翌日から10ヶ月後が相続税の申告期限になります。

ケース⑤:相続放棄・相続欠格・相続人廃除

本来の相続人が相続放棄をすると、その人の次に相続権を持つ人が遺産を相続することになります。

この場合、遺産を相続する人の相続税の申告期限は、本来の相続人が相続放棄をしたことによって自分が遺産を相続することを知った日の翌日から10ヶ月後です。

 

また、相続人だった人が相続欠格に該当することが判明した場合や相続人の廃除を行う旨が遺言書に記載されていて、その内容の通りに廃除された場合も、遺産を相続する人が変わります。

このような場合も、本来の相続人に代わって自分が遺産を相続することを知った日を基準に相続税の申告期限を考えることになり、その翌日から10ヶ月後が申告・納税の期限日です。

相続税の申告期限が過ぎた場合のデメリット

相続税の申告期限が過ぎた場合のデメリット

相続税の申告期限を過ぎた場合のデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

デメリット
  • 相続税の特例制度が使えなくなる
  • 延滞税などの罰金がかかる

相続税の特例が使えないと税額が増えてしまい、延滞税などの罰金がかかると余計な費用負担が生じてしまいます。

申告期限までに申告しなかった場合のデメリットをしっかりと理解して、期限までに確実に相続税の申告を終えるようにしてください。

デメリット①:相続税の特例制度が使えなくなる

相続税の税額を計算する際には、税額が軽減されるさまざまな特例制度が用意されています。

他のケースと同様に、相続税を課すことが適当でないケースにおいて、個別の事情を考慮して税負担を軽くするための制度です。

 

しかし、特例制度の中には申告期限までに申告をしないと使えないものがあります

軽減制度が使えないと相続税額が大きく変わることもあるため、注意が必要です。

配偶者の税額軽減の特例

「配偶者の税額軽減の特例」とは、以下のいずれかの金額のうち多い金額まで、配偶者が取得した遺産に相続税がかからない制度です。

配偶者は故人の資産形成に貢献した存在として、税負担が大きく軽減されることになっています。

 

そして、この特例制度の対象になる遺産は、相続税の申告期限までに遺産分割が終わって配偶者が取得した遺産です。

相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらずに期限を過ぎると、配偶者の税額軽減の特例は適用できません。

 

ただ、このような場合でも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに相続税の申告書を提出すれば、遺産分割協議が合意できたときに特例の適用を受けられます。

分割見込書を提出せずに申告期限を過ぎると、特例を適用できなくなってしまうため注意が必要です。

小規模宅地等の特例

「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった方が居住用や事業用として使っていた土地を親族が相続する場合、相続税を計算するときに土地の評価額を50%または80%減額できる制度です。

居住用や事業用の土地を遺族が相続すると、一定の条件を満たす場合には評価額が大幅に引き下げられて相続税負担が軽減されます。

 

ただし、この特例制度の適用を受けるには、期限までに相続税の申告を行わなければなりません。

当特例制度の要件を満たしているのに適用が漏れてしまうと、税額が大きく変わってしまいます。

特例制度の条件を満たしている場合には、申告期限までに忘れずに申告の手続きを行ってください。

 

なお、遺産分割協議が終わっていない場合の取扱いは、上記の配偶者の税額軽減の特例と同じです。

遺産分割が完了していない場合でも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で申告期限までに相続税の申告書を提出すれば、遺産分割協議が合意できたときに特例の適用を受けられます。

農地等の納税猶予の特例

「農地等の納税猶予の特例」とは、農業を営んでいた人が亡くなり相続人が農地を相続して農業を行う場合などに、農地に係る相続税の納税が猶予される制度です。

農業を引き継ぐ人が高額な相続税の支払いに困って農業の継続を断念することがないように、税制上の配慮がなされています。

 

ただし、この特例制度の適用を受けるには、期限までに相続税の申告を行わなければいけません。

相続財産に農地が含まれて当特例制度を利用する場合には、申告期限までに相続税の申告を行うようにしてください。

非上場株式等の納税猶予の特例

「非上場株式等の納税猶予の特例」とは、事業経営者が亡くなって、後継者である相続人が非上場株式等を相続して会社経営を引き継ぐ場合に、一定の条件を満たす株式にかかる相続税の納税が猶予される制度です。

事業経営を引き継ぐ人が、高額な相続税の支払いに困って事業の継続を断念することがないように、税制上の配慮がなされています。

 

ただし、この特例制度の適用を受けるには、期限までに相続税の申告を行わなければなりません。

事業を受け継いだ人が当特例制度を利用する場合には、申告期限までに相続税の申告を行うようにしてください。

デメリット②:延滞税などの罰金がかかる

申告期限を過ぎてから相続税の申告をするとさまざまな罰金がかかります。

罰金の種類によっては税率が非常に高く、重い負担になるので注意が必要です。

期限までに申告をすれば罰金はかからずに済むので、相続税の申告は期限までに確実に終えるようにしましょう。

延滞税

「延滞税」は、納税期限の翌日から納税が完了する日までの日数に応じて課される罰金です。

令和2年の延滞税の税率(年率)は、原則として

  • 2ヶ月まで:2.67.3%
  • それ以降:8.914.6%

であり、納税が遅れたことに対する利息として課されます。

無申告加算税

「無申告加算税」は、相続税の申告期限までに申告をしなかった場合に課される罰金です。

無申告加算税の税率は、

  • 50万円以下の部分:15%
  • 50万円を超える部分:20%

で、税務調査の事前通知後~更正等の予知までの間に納付すると、5%ずつ税率が下がりそれぞれ10%と15%になります。

また、税務調査の事前通知を受ける前に、自主的に無申告加算税を納めた場合の税率は5%です。

重加算税

「重加算税」は、脱税目的など悪質と判断されたときに無申告加算税の代わりに課される罰金です。

無申告加算税の代わりに重加算税が課される場合の税率は40%で、税率が非常に高くなっています。

相続税の申告期限を過ぎそうな場合の対処法

書類に記入をする男性

相続財産調査や相続人調査、遺産分割協議など、相続が起きると多くの手続きが必要になります。

相続税の申告期限までに申告をしなかった場合のデメリットを理解していたとしても、期限までにどうしても申告が間に合わないケースもあるはずです。

そのような場合の対処法には次の3つがあるので、ご自身の状況に応じて適切な方法を選択するようにしてください。

対処方法
  • 申告期限内に概算で申告を行う
  • 「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し未分割申告を行う
  • 延納や物納を行う

対処法①:申告期限内に概算で申告を行う

相続財産の調査に時間がかかり、申告期限の時点で相続税の税額を正確に計算できない場合には、概算で申告・納税を済ませておく方法が考えられます。

正確に相続税額を計算できるようになった段階で、申告内容の修正(更正の請求)を行う方法です。

正しい税額を計算した段階で、仮で納めた税額が過大だった場合には払い戻しを受けられます。

ただし、逆に正しい税額を計算したところ、既に納めた税額が過少だった場合には、延滞税や過少申告加算税などの罰則対象になる可能性があるため注意が必要です。

対処法②:「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し未分割申告を行う

遺産分割協議でもめてしまい、相続税の申告期限である10ヶ月後までに誰がどの財産を相続するのか、決まらないケースもあります。

このような場合には、そもそも相続税を正確に計算することができませんが、相続税の申告は10ヶ月の期限までに行わなければなりません。

 

そこで、それぞれの相続人が法定相続分(相続人ごとに法律で定められた相続割合)で遺産を相続したものと仮定して相続税額を計算し、一旦その金額で相続税を納税します。

遺産分割協議が終わったときに、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、申告の手続きの際に「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出が必要です。

無申告とならないように期限までに相続税の申告を行うとともに、「申告期限後3年以内の分割見込書」も忘れずに提出しましょう。

対処法③:延納や物納を行う

相続税の申告期限までに納税も終える必要がありますが、期限までに納税資金を準備できないケースもあるはずです。

そのような場合には、延納や物納と呼ばれる制度を活用する方法も考えられます。

延納は、金銭での納付が困難な事由があって一定の条件を満たす場合に、相続税を年賦で納める方法です。

 

また、延納によっても納税が困難な事由で一定の条件を満たす場合には、金銭での納付ではなく物納を申請することもできます。

ただし、延納も物納も利用できる条件が細かく決まっているので、誰でも簡単に利用できるわけではありません。

延納を選択すると利子税がかかって負担が増えてしまい、物納では家族が残した大切な財産を残せない点がデメリットです。

延納や物納を検討する場合には、条件やメリット・デメリットをよく確認してから利用するようにしてください。

申告期限に間に合わせるために意識すべきポイント

ポイントを伝える女性

相続税の申告期限まで10ヶ月あると聞くと、十分に時間があって慌てる必要はないように聞こえるかもしれません。

しかし、実際に相続が起きるとさまざまな手続きが必要になり、10ヶ月はすぐに過ぎてしまいます。

相続税の申告期限に確実に間に合わせるためにも、ここで紹介するポイントを意識して早め早めの対応を心掛けてください。

ポイント
  • 相続手続きのスケジュールを事前に確認する
  • 必要書類は早めに揃える

ポイント①:相続手続きのスケジュールを事前に確認する

相続が起きると、相続税の申告も含めていろいろな手続きが必要になります。

手続きごとに期限が決まっていることも多いため注意が必要です。

 

たとえば、相続放棄をする場合の期限は3ヶ月で、亡くなった方の所得税の準確定申告が必要な場合は、4ヶ月以内に手続きをしなければなりません。

相続税の申告も含めて、いつまでに何の手続きが必要なのか、最初にスケジュールを確認するようにしましょう。

ポイント②:必要書類は早めに揃える

相続税の申告ではさまざまな書類が必要になります。

亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍を揃える必要があり、金融機関の残高証明書など財産を証明する書類も準備しなければなりません。

相続が起きたら、相続人調査や相続財産調査をすぐに始めて、相続税申告に必要な書類の収集も早めに進めるようにしてください。

まとめ

相続税の申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月後」です。

特殊なケースを除いて、相続税の申告期限は原則として延長ができません。

期限を過ぎてから申告をすると、延滞税や無申告加算税などの罰金を課されたり、相続税の特例制度を使えず税負担が増えることがあります。

余計な負担を増やさないためにも、相続が起きたら相続税の申告に向けた準備をすぐに始めるようにしてください。

この記事を監修した専門家は、