家族が死亡した場合の「家の名義変更」方法は?期限・費用・自分でできる?

家の名義変更 司法書士
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家族が亡くなってしまうと、さまざまな手続きが発生します。

中でも、悩まれる人が多い手続きの一つが、家の名義変更です。

自宅の土地や不動産の名義変更は法務局で行いますが、法務局は行き慣れていないという人も多く、その時点からすでにハードルを感じてしまうという人も少なくありません。

この記事では、家の名義変更はそもそも自分でできるのかということから、家の名義変更手続きの期限、そして家の名義変更に必要となる書類について解説をしていきます。

家族が死亡した場合の家の名義変更の手続き

家族が死亡した場合の家の名義変更の手続き

そもそも家の名義変更とはどのような手続きで、なぜ必要なのでしょうか?

まずは、家の名義変更が必要な理由や、名義変更の前提として必要となることについて解説します。

家の名義変更とはどんな手続き?

土地や家を買ったり家を新しく建てたりした際には、その土地や建物の所有者を登記することが一般的です。

この登記は、数百円の手数料を支払うことで、誰でも見ることができます。

例えば、ある人が「この土地は私のものだから、1,000万円で買って欲しい」と言ってきたところで、その土地が本当にその人のものかわからなければ、大金を支払って取引することはできませんよね。

そんなとき、登記を確認してその人の名義になっているということであれば、安心して取引ができます。

これが、登記をする大きな理由の一つです。

つまり、登記があるということは、本当にその土地や建物がその人のものであるという一つの証拠となるわけです。

一方で、原則として登記は申請しなければ、勝手に名義が変わることはありません。

例えば、家の建物を持っていた人が亡くなったからといって、勝手にその人が亡くなった旨が登記に掲載されることもなければ、同居していた人に勝手に名前が変わることもないのです。

ですので、相続が起きて所有者が変わった場合には、法務局へ名義変更の手続きを行う必要があります。

これが、家の名義変更手続きです。

家の名義変更手続きの前に必要なこと

家の名義変更は、相続人が一人で手続きをして完結するものではありません。

原則として、家の名義変更の前提として、次のどちらかにより、家の名義をもらう人を決める必要となります。

なお、2020年4月から配偶者居住権という制度が始まっていますが、これは配偶者が自動的に家の名義をもらえるような制度ではありませんので、誤解しないようにしておいてください。

配偶者が相続で家の名義をもらう場合にも、他の相続人がもらう場合と同様に次のいずれかが必要です。

家の名義変更手続きの前に必要なこと
  • 遺言書
  • 遺産分割協議

遺言書

亡くなった人が生前に遺言書を遺しており、その遺言書内で家を相続する人の指定がある場合には、その遺言書で家の名義変更をすることができます。

この場合、他の相続人の同意などは特に必要ありません。

ただし、その遺言書が法務局での保管制度を利用していない「自筆証書遺言」であった場合は、家の名義変更に先立って、遺言書の「検認」手続きが必要です。

一方で、その遺言書が「公正証書遺言」であった場合や、法務局での保管制度を利用した自筆証書遺言であった場合には、検認を経ずそのまま家の名義変更に使用できます。

遺産分割協議

亡くなった人が特に遺言書を遺していなかった場合には、相続人全員の話し合いである「遺産分割協議」で、家の名義を誰がもらうのかを決める必要があります。

この遺産分割協議は全員同意が原則で、一人でも反対をする人がいれば成立させることはできません。

多数決ではありませんので、注意しておきましょう。

本人同士ではどうしても話し合いがまとまらない場合には、調停や審判といった裁判所での手続きへ移行します。

また、相続人の中に未成年者がいる場合や、認知症の人や行方不明の人がいる場合には、そのままでは遺産分割協議ができません。

このような場合には、遺産分割協議に先立って「特別代理人」や「成年後見人」、「不在者財産管理人」といった、これらの方の代わりに遺産分割協議に参加する人を選任しなければなりません。

家の名義変更は死亡後いつまでにすべき?

家の名義変更は死亡後いつまでにすべき?

では、相続発生後の家の名義変更は、いつまでにすべきでしょうか?

結論からお伝えすると、特に法定の期限はないものの、できるだけ速やかに手続きをしておいた方が良いといえます。

家の名義変更に期限はあるのか

2021年4月現在、家の名義変更には特に期限はありません。

何ヶ月以内にしなければならないというような決まりはないということを知っておきましょう。

家の名義変更は放置しても良いのか

それでは、家の名義変更は放置してしまっても良いのでしょうか?

結論をお伝えすると、期限がないからといって、家の名義変更を放置することはおすすめできません。

なぜなら、家の名義変更を放置することで状況が変わり、より手続きが煩雑になったり費用がかさんでしまったりする可能性があるためです。

例えば、次のようなことが起きる可能性が考えられます。

家の名義変更を放置すると起きる可能性があること
  • 相続人が死亡し「数次相続」が起きる
  • 相続人が認知症となる
  • 一部の相続人が自分の法定相続人だけを転売する

相続人が死亡し「数次相続」が起きる

数次相続とは、手続きをしないうちに相続人が亡くなってしまうことを指します。

例えば、元々相続人が長男と二男だった場合で、手続きをしないうちに二男が亡くなってしまったような場合です。

この場合、遺産分割協議書さえ作っていなかったのであれば、長男が家の名義を自分のものとするためには、改めて二男の配偶者や二男の子などと遺産分割協議を行わなければなりません。

たとえ二男が生前に口頭で「家の名義は長男である兄がもらえば良い」と言ってくれていたとしても、その証拠がなければ登記はできないためです。

長男が家を相続するという内容の遺産分割協議に全員が納得してくれるのであれば良いのですが、仮に一人でも納得しなかったり、長男としては納得ができないほどの対価を請求されてしまったりした場合には、手続きが難航してしまいます。

「こんなことなら、二男が元気なうちに手続きを済ませておけば良かった」と思っても、後の祭りなのです。

相続人が認知症となる

家の名義変更を放置している間に、相続人が認知症となってしまうケースが考えられます。

認知症と診断され、法律でいうところの「事理弁識能力のない状態」となってしまうと、そのままでは遺産分割協議を行うことができません。

例えば、父の家の名義変更を放置している間に、母が認知症となってしまった場合などです。

この場合に家の名義を変えるには、改めて成年後見人を選任して遺産分割協議を行う必要が生じてしまいます。

なお、成年後見人は、被後見人を守ることが重要な役割です。

そのため、被後見人である母親が何も相続しないという内容の遺産分割協議に同意することはまずありません。

このような遺産分割協議は、後見人がその監督をする家庭裁判所へ相談しても、許可されないことが一般的であるためです。

このような理由から、たとえ母が元気なときに、口頭で「長男が家を相続すれば良い」と言ってくれていたとしても、母親に成年後見人がついている以上、このような遺産分割協議を成立させるのは困難となってしまいます。

一部の相続人が自分の法定相続人だけを転売する

実は、遺産分割協議書がなくても、相続人であれば自分の法定相続分だけの登記をすることができます。

登記しただけであればまだしも、さらにその部分のみを事情を知らない第三者へ転売したとすると、取り戻すことは非常に困難です。

たとえ取り戻すことができたとしても、弁護士報酬などの費用がかさんでしまったり、心理的に負担を感じてしまったりと、多くの不利益を被ることでしょう。

 

このように、家の名義変更を放置してしまうと、事情が変わって手続きが難しくなってしまう場合がある他、トラブルの原因となってしまうこともあるのです。

ですので、法律上の期限はないとはいえ、できるだけ速やかに名義変更を済ましておくことをおすすめします。

家の名義変更の一般的な必要書類

家の名義変更の一般的な必要書類

それでは、家の名義変更にはどのような書類が必要となるのでしょうか?

ここでは、一般的に必要となる書類を紹介します。

ただし、これはあくまでも一例であり、状況により別の書類が必要となるため、事前に法務局に確認するようにしてください。

なお、登記申請を司法書士へ依頼した場合には、これらの書類は司法書士の方で集めたり作成したりしてもらえることが一般的です。

家の名義変更の一般的な必要書類
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 住所の証明資料
  • 固定資産税評価証明書又は固定資産税評価通知書
  • 戸籍謄本や除籍謄本
  • 遺言書や遺産分割協議書
  • 登記申請書

登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書は、その家の登記が本当に被相続人となっているかどうかなど、相続登記前の登記の現状を確認するために取得します。

登記事項証明書はオンライン申請で取得することもできますし、最寄りの法務局で取得することも可能です。

法務局へ出向く場合には、どこの法務局でも構いません。

登記事項証明書の取得は、全国どこの法務局からでも可能であるためです。

法務局で取得をする場合には、法務局の端末の操作または窓口に備え付けてある申請用紙に記載をすることで請求でき、手数料を支払うための印紙の購入窓口も法務局の中にあります。

本人確認もされませんし押印も不要ですので、手数料分のお金以外は特に持っていくものはありません。

ただし、取得したい不動産の地番や家屋番号がわからなければ取得できないため、地番や家屋番号のわかる資料は持って行った方が良いでしょう。

なお、地番は住所と同じ場合もありますが、異なる場合も少なくありません。

地番や家屋番号は、毎年4月から5月頃に市町村役場から送付される固定資産税納付のための書類に同封されている不動産の一覧表や、不動産を購入した際の資料などで確認ができますので、こういった資料を持っていくと安心です。

住所の証明資料

登記申請の際には、被相続人の最後の住所のわかる資料と、その家を取得する人の住所のわかる資料が必要です。

具体的には、被相続人の住民票の除票または戸籍の附票と、家を取得する人の住民票か戸籍の附票を添付します。

住民票の除票は、被相続人が最後の住所を置いていた市町村の役場で取得が可能です。

一方、戸籍の附票は、被相続人が最後の本籍地を管轄する市町村役場で取得します。

また、家を取得する人の住民票は、その人の住所地の市町村役場で取得でき、戸籍の附票は本籍地の市町村役場で取得が可能です。

なお、一般的に住民票は籍地や世帯主、続柄の記載があるものが求められます。

固定資産税評価証明書又は固定資産税評価通知書

固定資産税評価証明書または固定資産税評価通知書は、その不動産の固定資産税評価額を証明する資料として、添付が求められます。

登記申請の際には登録免許税がかかり、相続登記の場合の登録免許税は固定資産税評価額の1,000分の4で計算されますが、この登録免許税の計算のための資料として必要となります。

固定資産税評価証明書等は、その不動産のある市町村の税務課などで取得できます。

登記用の「固定資産税評価通知書」を発行している市町村もあり、こちらは手数料が無料です。

そのため、評価通知書のある市町村の場合には、評価通知書の方を取得すると良いでしょう。

戸籍謄本や除籍謄本

原則として、相続登記の添付書類として相続人全員の現在の戸籍謄本の他、被相続人の出生までさかのぼる戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍謄本といった書類が必要となります。

遺産分割協議書には、原則として相続人全員の捺印が必要で、相続人が漏れている場合には無効となってしまいます。

被相続人の除籍謄本や原戸籍謄本などを確認することで法定相続人がわかりますので、これにより遺産分割協議に漏れてしまった相続人がいないかどうかを確認するのです。

なお、遺言書があり、遺言書で手続きをする場合には、これらの書類は簡略化されます。

一方で、法定相続人が被相続人の子ではなく兄弟姉妹や甥姪の場合には、被相続人の出生までさかのぼる戸籍謄本などに加えて、被相続人の両親の出生までさかのぼる戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍謄本も必要となり、取得がより大変になります。

遺言書や遺産分割協議書

家を取得しようとしている人が、本当に家を取得する権利があるのかどうかの確認のため、遺言書または遺産分割協議書などが必要です。

なお、遺言書が自筆証書遺言で法務局の保管制度を利用していなかった場合には、事前に家庭裁判所で検認を受けておく必要があります。

登記申請書

最も重要な書類が登記申請書です。

登記申請書は様式が厳密に定められていますので、様式に沿った形で、かつ一字一句間違いのないよう丁寧に作成してください。

家の名義変更は自分でできる?

家の名義変更は自分でできる?

家の名義変更は司法書士へ依頼せず、自分でもできるのでしょうか?

法令上は、自分で申請することは何ら禁止されていません。

ですので、平日の日中に何度も法務局へ行く時間が取れ、正確な書類を作成するための知識と根気があり、登記完了を急ぐ理由もないということであれば、自分での手続きにチャレンジしてみることも一つの選択肢です。

とはいえ、家の名義変更手続きには専門的な知識が必要となるため、慣れていないと非常に大変です。

ここでは、自分で行うメリット・デメリットと、司法書士へ依頼するメリット・デメリットを紹介します。

自分で行うか、司法書士へ依頼するかを決める参考としてみてください。

自分で行う場合のメリット・デメリット

まずは、自分で家の名義変更を行うメリットとデメリットを紹介しましょう。

メリット
  • 司法書士報酬が節約できる

自分で家の名義変更をするメリットとして、司法書士報酬が掛からないことが挙げられます。

自分で手続きをするメリットは、この一つのみです。

デメリット
  • 平日の日中に多くの時間を割く必要がある
  • 登記完了までに時間を要する可能性が高い
  • 面倒な手続きをしなければならない
  • 登記に問題があっても気付きにくい
  • 家の名義について相談できない

平日の日中に多くの時間を割く必要がある

法務局は、平日の日中しか開いていません。

また、家の名義変更に必要な添付書類を取得する役所へも、原則として平日の日中に出向く必要があります。

このような理由から、自分で家の名義変更をする場合には、平日の日中に何度も時間を割かなければなりません。

登記完了までに時間を要する可能性が高い

初めて自分で家の名義変更をする場合には、イチから調べながら書類を作成したり収集したりしますので、多くの時間を要します。

また、それでもよほど法律知識があったり登記関係の経験があったりする場合でなければ、不備のない書類を一発で作成することは困難です。

そのため、登記申請書を作成する段階で何度も法務局へ足を運ぶ必要がある他、申請後も不備があれば補正をしなくてはならず、さらに時間がかかります。

ですから、自分で家の名義を変更する場合には、司法書士へ依頼した場合と比べて長い時間が掛かることが多いといえます。

面倒な手続きをしなければならない

家の名義変更の書類を自分で作成したり修正したりするのは、とにかく手間がかかります。

登記の申請書類は、銀行の相続手続き用紙などのように丁寧なフォーマットがあるわけではないからです。

それにも関わらず、法務局が定める記載方法から外れてしまえば、登記は通りません。

また、法務局も書類の作り方や添付書類の集め方をイチから丁寧には指導してくれないことが一般的です。

ですので、自分で家の名義変更をする場合には、このような面倒を覚悟する必要があります。

登記に問題があっても気付きにくい

登記された事項に変更があった際は随時変更の登記をする必要がありますが、これが漏れてしまっているケースが散見されます。

例えば、共有者の住所や名字が変わったにもかかわらず変更登記をしてないケースは珍しくありません。

また、住宅ローンなどを返し終わったにも関わらず、抵当権がついたままとなっているケースも多々あります。

司法書士へ依頼すればこうした問題点にも気づいてもらいやすい一方で、自分で家の登記をした場合には気が付きにくいといえます。

家の名義について相談できない

例えば、相続人間で特に争いがない場合に、亡くなった父名義だった家を、母名義にしようか自分の名義にしようか悩むこともあるでしょう。

自分で家の名義変更をする場合には、こういった相談ができない点もデメリットといえます。

なお、法務局はあくまでも手続き方法を指導してくれるのみで、このような相談には通常乗ってくれません。

司法書士へ依頼する場合のメリット・デメリット

一方、司法書士へ依頼するメリットとデメリットには、このようなものが挙げられます。

メリット
  • 手間がかかることをしなくて済む
  • スムーズに登記が完了する
  • 登記の問題にも気付いてもらいやすい

手間がかかることをしなくて済む

家の名義変更を司法書士へ依頼するメリットとして、時間がかかることをしなくて済むという点が大きいといえます。

司法書士へ依頼することで、自分で苦労をして調べたり慣れない書類を作成したり、何度も法務局へ通って相談をしたりといった苦労をせずに済む点は大きなメリットです。

スムーズに登記が完了する

司法書士は、家や土地など不動産の名義変更のプロです。

ですので、司法書士へ依頼をすることで、自分で行うよりも早くスムーズに登記が完了します。

登記の問題にも気付いてもらいやすい

司法書士へ家の名義変更を依頼することで、これまでで挙げた登記の問題点などにも気づいてもらいやすいことも大きなメリットです。

相続登記は、登記を最新の状態へと修正する大きなきっかけにもなるのです。

デメリット
  • 司法書士報酬がかかる

司法書士へ依頼するデメリットは、報酬がかかるというこの1点のみです。

ですので、依頼を検討している事務所へ報酬額の見積もりを取ってみてから、自分で行うか司法書士へ依頼しようか決めても良いでしょう。

まとめ

家の名義変更は自分でもできる余地はあるものの、添付書類が多く大変な作業だということがおわかりいただけたのではないでしょうか?

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