【2021】相続の不動産名義変更の費用・必要書類は?自分でやる?司法書士に依頼する?

不動産名義変更 不動産
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土地や建物などの不動産の所有者が変わる場合、法務局で名義変更の手続きを行う必要があります。

不動産の所有者が亡くなって相続が起きた場合についても、土地や建物の名義人が自動的に相続人に変更されるわけではありません。

不動産を相続する人が必要書類をそろえて、登録免許税などの税金や費用を負担して手続きを行うことになります。

土地や建物の名義変更は何度も経験するものではなく、慣れない手続きに戸惑う人もいますが、権利者として登録する大切な手続きなので、手続き方法を確認して早めに終えることが大切です。

この記事では、相続に伴う不動産の名義変更の手続き方法や必要書類、期限、費用を紹介します。

不動産の名義変更とは

不動産の名義変更とは

不動産が誰のものなのか、土地や建物の名義人は「登記簿」という書類や、登記事項を磁気ディスクに記録して管理されています。

紙で管理されているものを証明書として取得できるものが「登記簿謄本」、データで管理されているものを証明書として取得できるものが「登記事項証明書」です。

登記簿謄本と登記事項証明書は、記録されている媒体が紙かデータかの違いがあるだけで、内容に違いはありません。

登記簿謄本(登記事項証明書)は法務局に申請すれば誰でも取得でき、不動産の所有者が誰なのか確認できるようになっています。

不動産の所有者が変わった場合には、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載された名義人を変更するための手続きが必要です。

土地や建物の所有者を変更するには登記が必要

登記とは、権利関係を登録して世の中に公示するための制度です。

登記の中でも、不動産の権利関係を登録するための登記が不動産登記で、土地や建物の所有者を変更するためには、所有権の移転登記を行う必要があります。

そして、相続に伴って所有者を変更する登記は特に相続登記と呼ばれ、亡くなった方から不動産を相続する人に名義を変更するためには相続登記を行わなければなりません。

死亡届を役所に出したら、土地や建物の名義が変更されるわけではなく、不動産の名義変更のためには相続する人が相続登記をする必要があります。

登記の手続きは法務局で行う

登記の手続きは、登記の対象となる不動産がある地域を管轄する法務局で行います。

法務局は全国にありますが、登記の手続きはどこの法務局でもできるわけではありません。

法務局の窓口に書類を持参または郵送して手続きをすることが一般的で、この他に主に司法書士が使う手続き方法としてオンラインで登記を行う方法があります。

なお、法務局が開いている時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。

登記の手続きは司法書士に依頼することもできますが、自分で法務局に行って手続きをする場合は平日の日中に行く必要があります。

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相続に伴う不動産の名義変更の手続きの流れ

相続に伴う不動産の名義変更の手続きの流れ

不動産の名義変更の手続きである登記を自分でやる場合には、次のような流れで手続きを進めることになります。

不動産の名義変更の手続きの流れ
  1. 必要書類を揃える
  2. 登記申請書を作成する
  3. 管轄の法務局に書類を提出する
  4. 登記完了予定日以降に登記識別情報通知書を受け取りに行く

登記所の混雑具合にもよりますが、書類を提出してから登記が完了するまでにかかる期間は通常は1週間から10日程度です。

必要書類を揃える

相続に伴う不動産の名義変更では固定資産評価証明書が必要になり、相続する人の戸籍謄本や住民票、亡くなった方の戸籍謄本や住民票の除票などが必要になります。

固定資産評価証明書や戸籍謄本、住民票は市区町村役場で発行できるので、役所が開いている平日の日中に行って書類を取得することになります。

また、登記申請書を作成する際に登記簿謄本(登記事項証明書)が必要になります。

固定資産評価証明書に記載された地番や家屋番号を使って、登記簿謄本(登記事項証明書)の発行申請を法務局で行いましょう。

なお、必要書類はケースによって異なるため、このあとの「不動産の相続登記で必要になる書類」で詳しく解説します。

登記申請書を作成する

不動産の名義変更では、法務局に登記申請書を提出する必要があり、申請書の用紙は法務局のホームページからダウンロードできます。

登記申請書は登記を行う際に法務局に提出する書類で、登記を行う人や登記対象の不動産に関する情報などを記入した書類です。

なお、申請書の書き方は後ほど解説しますが、法務局のホームページに記入例が掲載されています。

法務局に提出する申請書と聞いて難しい書類をイメージする人もいるかもしれませんが、記入例を見れば登記が初めての人でも基本的には作成できるので、作成が極端に難しいということはありません。

管轄の法務局に書類を提出する

登記申請書を作成して必要書類を揃えたら、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。

管轄の法務局がわからない場合には、以下のサイトから確認するようにしてください。

窓口で提出する場合は、平日の午前8時30分から午後5時15分までに法務局に行く必要がありますが、管轄の法務局に書類を郵送して提出しても構いません。

なお、手続き場所は不動産の所在地の法務局であり、土地や建物を相続する人が住んでいる地域の法務局ではない点に注意が必要です。

たとえば、実家を相続するようなケースでは相続する人が遠方で暮らしていて、実家の地域を管轄する法務局が遠くにあるということが少なくありません。

自分で法務局に行って窓口で手続きをする場合には、実家の地域を管轄する法務局までわざわざ行く必要があり、時間と手間がかかります。

登記完了予定日以降に登記識別情報通知書を受け取りに行く

登記は書類を提出してその場で完了するわけではなく、通常は登記が完了するまでに1週間から10日程かかります。

窓口で手続きをした場合は、登記が完了する日(登記完了予定日)をその場で教えてもらえるので、完了予定日以降に再度法務局に行くようにしてください。

登記が完了すると、登記完了証や登記識別情報通知書などを受け取れます。

ただし、登記完了証や登記識別情報通知書などは、法務局から郵送してもらうことも可能なので、再度法務局に行くのが面倒であれば、郵送の申請をしておくと良いでしょう。

また、登記の手続き書類を郵送によって提出した場合は、法務局のホームページで登記完了予定日を公開していますので、そちらで確認することができます。

申請先の法務局のホームページを確認してみてください。

不動産の相続登記で必要になる書類

不動産の相続登記で必要になる書類

相続に伴って不動産の名義変更の手続きをする場合、次のいずれのケースに該当するかによって、手続きで必要になる書類が異なります。

  • 遺言書に基づく相続登記
  • 遺産分割協議に基づく相続登記
  • 法定相続分に基づく相続登記

亡くなった方が遺言書を遺しているのか、遺言書がない場合でも遺産分割協議による登記なのか法定相続分による登記なのか、相続が起きたときの状況によって手続き書類が変わることになります。

遺言書に基づく登記の場合

亡くなった方が生前に遺言書を作成しており、その遺言内容にしたがって相続登記をする場合、手続きの際に次の書類が必要になります。

遺言書に基づく相続登記の必要書類
  • 登記申請書
  • 固定資産評価証明書
  • 遺言書(検認を受けた場合は検認済証明書も必要)
  • 被相続人の死亡時の戸籍謄本、住民票の除票
  • 不動産を相続する人の戸籍謄本と住民票

遺産分割協議に基づく登記や法定相続分に基づく登記では、不動産を相続する人以外の相続人の戸籍謄本も必要になりますが、遺言書に基づく登記では不要です。

遺言書に基づく登記では、不動産を相続する人が自分の戸籍謄本と住民票を揃えて提出します。

これは、遺言書で指定された人が不動産を相続するためで、他の相続人が誰なのかは(登記の手続き上は)関係がなく、不動産を相続する人以外の相続人の戸籍謄本は必要ないからです。

また、遺産分割協議や法定相続分による登記のように、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を揃えて相続人が誰かを確認する必要もないので、被相続人の戸籍謄本は死亡したことの記載があるものを提出すれば足ります。

遺産分割協議に基づく登記の場合

遺言書が遺されておらず、相続人が複数人いて遺産分割協議を行った場合には、手続きの際に次の書類が必要になります。

遺産分割協議に基づく相続登記の必要書類
  • 登記申請書
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票
  • すべての相続人の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 不動産を相続する相続人の住民票

遺産分割協議に基づく相続登記では、そもそも遺産分割協議の対象となる相続人が誰なのかを確認できるように、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を揃えて提出する必要があります。

登記の手続き自体は不動産を相続する人が行いますが、相続する人の書類だけでなく他の相続人の戸籍謄本や印鑑証明書も必要になるので、他の相続人に依頼して書類を揃えるようにしてください。

なお、法定相続情報証明制度を利用して法定相続情報一覧図の写しを持っている場合には、戸籍謄本などに代えて法定相続情報一覧図の写しを提出することで手続きができます。

法定相続分に基づく登記の場合

法定相続分に基づく相続登記では、手続きの際に次の書類が必要になります。

法定相続分に基づく相続登記の必要書類
  • 登記申請書
  • 固定資産評価証明書
  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票
  • すべての相続人の戸籍謄本、住民票

法定相続分とは、法律で規定された遺産相続割合のことで、どの相続人がどれだけの遺産を相続できるのか、相続する遺産の目安となる割合です。

法定相続分に基づいて各相続人が不動産を相続する場合には、誰が相続人なのかが分かるように被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を揃えて提出する必要があります。

また、相続登記では不動産を相続する人の戸籍謄本と住民票が必要になり、法定相続分に基づく登記ではすべての相続人が不動産を相続するので、すべての相続人の戸籍謄本と住民票が必要です。

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登記申請書の書き方

登記申請書の記載例

出典:法務局ホームページ

登記申請書の用紙は上記の法務局ホームページからダウンロードでき、上記は相続登記で使う登記申請書の記載例になります。

上記の記載例のとおりですが、登記申請書に記載する主な項目は以下のとおりです。

登記申請書に記載する主な項目
  • 登記の目的と原因
  • 亡くなった人と不動産を相続する人に関する情報(氏名など)
  • 申請を行う法務局
  • 登記対象となる不動産の課税価格と登録免許税の税額
  • 登記対象となる不動産に関する情報(所在地など)

不動産の課税価格は、市区町村役場で固定資産評価証明書を取得すれば確認できます。

不動産の所在地や地番、家屋番号などの情報は登記簿謄本(登記事項証明書)の記載内容を転記する形で記入するので、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)の発行申請を行うようにしてください。

不動産の名義変更の期限

不動産の名義変更の期限

家族が亡くなって相続が開始するとさまざまな手続きが必要になり、また、相続に伴う手続きの中には手続き期限が決まっているものと決まっていないものがあります。

期限が決まっているものについては期限までに確実に手続きを終えるようにして、期限が決まっていないものについては少しでも早く手続きを済ませることが大切です。

手続き期限は特に決まっていない

登記をいつまでにしなければならないという法律上の期限はありません。

そのため、相続が起きて不動産の所有者が相続人に変わる場合でも、仮に登記の手続きをしないまま放置しても罰則を科されることはないということになります。

ただし、次に説明するように、登記をしないと不利益を被る可能性があるので、不動産の名義変更はできるだけ早く行うことが大切です。

また、登記を義務化して手続き期限を設ける法改正が行われており、2024年を目途に相続登記を義務化する法律が施行される点には留意してください。

登記をしないと売却や抵当権の設定ができない

相続登記をしないと、たとえば次のようなデメリットが生じる場合があります。

登記をしないことで生じるデメリット
  • 相続した不動産の売却ができない
  • 不動産に抵当権を設定することができない
  • 登記をしないまま次の相続が起きると手続きが煩雑になる

土地や建物などの不動産を売却する場合や抵当権を設定する場合、取引相手は不動産の所有者が誰なのかを登記簿で確認します。

登記されていなければ、その人が不動産の本当の所有者なのか確認ができないため、不動産の売買や抵当権の設定には基本的に応じてくれません。

また、登記をしないまま次の相続が起きると、利害関係者の数が増えてしまって登記の手続きに関わる人が増えてしまうこともデメリットです。

そして、これらのデメリットは、相続開始後にすぐに登記の手続きを済ませれば回避できます。

相続登記は不動産の名義変更を行って真の権利者として登録する大切な手続きなので、できるだけ早めに終えるようにしましょう。

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不動産の相続登記でかかる税金や費用

不動産の相続登記でかかる税金や費用

不動産の相続に伴う名義変更でかかる税金や費用としては、主に次の4つが挙げられます。

相続登記でかかる主な税金と費用
  • 相続税
  • 登録免許税
  • 必要書類の取得費用
  • 専門家への支払報酬

税金のうち登録免許税は必ずかかり、相続税はかかる場合とかからない場合があります。

相続登記の手続きを司法書士に依頼した場合には報酬の支払いも必要です。

不動産とは別に現金も相続していれば税金や費用の支払いに充てられますが、そうでない場合には、不動産を相続する人自身が納税資金などを準備することになります。

相続税

相続税は遺産を相続する人にかかる税金で、次のような流れで計算します。

相続税の計算方法
  1. 遺産額の計算:相続税の課税対象となる遺産額を計算
  2. 課税遺産総額の計算:遺産額から基礎控除額を控除
  3. 相続税の総額の計算:各自が法定相続分に基づいて相続した場合の相続税額を計算して合計
  4. 各自の相続税額の計算:相続税の総額を各自の実際の相続割合に基づいて按分し、税額控除を適用して各自の相続税額を計算

相続税の詳細な計算方法については以下の記事で解説していますが、遺産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。

  • 相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円×(法定相続人の数)

逆に、基礎控除額を超える遺産を相続する場合には、基本的に相続税がかかるため申告と納税の手続きが必要になります。

相続税の申告・納税の手続き場所は亡くなった人の住所地の税務署で、手続き期限は相続が開始したことを知ってから10ヶ月です。

登録免許税

登録免許税は、登記の手続きをする際に納める税金で、税額は次の式で求めた金額です。

  • 登録免許税の税額 = 課税標準 × 税率0.4%

課税標準は固定資産評価証明書に記載されていて、登録免許税は現金による納付が原則なので金融機関などで現金で納付します。

ただし、納税額が3万円以下の場合には収入印紙による納税も認められているため、その場合は収入印紙を登記申請書に貼付する形でも構いません。

必要書類の取得費用

登記の手続きをする際に必要になる固定資産評価証明書や戸籍謄本、住民票などの書類を発行する際、それぞれ費用がかかります。

各書類の発行費用はそれほど高くありませんが、必要書類の枚数が多いケースでは費用がかさむケースがあります。

専門家への支払報酬

相続する不動産の名義変更手続きを司法書士に依頼する場合には、報酬の支払いが必要になります。

報酬額や報酬体系は司法書士事務所ごとに異なりますが、専門家に依頼した場合の費用の目安額は6万円~8万円程度です。

また、登記以外にも相続に伴う手続きを依頼する場合は、さらに費用がかかることになります。

相続登記は自分でできる?専門家に代行を依頼すべき?

相続登記は自分でできる?専門家に代行を依頼すべき?

ここまでに紹介した方法に従って手続きをすれば、相続登記は自分でもできるので司法書士に依頼する必要は必ずしもありません。

専門家に依頼すると費用がかかりますが、不動産の名義変更を自分でやれば費用を節約できる点がメリットです。

ただし、相続登記の手続きに慣れていない人が自分でやろうとすると、手続き方法が分からず苦労したりミスをして時間がかかったりすることが少なくありません。

「自分でやって手間や時間をかけるくらいならば、最初から司法書士に依頼しておけば良かった……」と後悔するケースもあるので、相続登記は最初から専門家に任せてしまっても良いでしょう。

専門家に手続きの代行を依頼すれば、費用はかかりますが必要書類を揃えるために市区町村役場に行ったり登記の手続きのために法務局に行ったりする手間がかからずに済みます。

また、そうぞくドットコムであれば定額69,800円(税抜)で相続登記の手続きに関するサービスを利用できるので、気になる方はぜひ問い合わせてみてください。

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まとめ

土地や建物などの不動産を相続する人は、必要書類を揃えて法務局に提出して名義変更を行う必要があります。

登記の手続き場所は不動産の所在地を管轄する法務局です。

登記の手続きをする際には登録免許税を納付する必要があり、ケースによっては相続税もかかることがあります。

納税資金としてどれくらいの金額のお金を準備しておかなければいけないのか、事前に概算額を計算しておくと良いでしょう。

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