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300種類以上ある墓石の種類

私たちがお盆の墓参りや法事でお祈りを捧げる墓石は、細かく分類すると300種類以上の種類があります。
そして、それぞれに異なる見た目や特徴があること知っていますか?
この記事では、私たちになじみ深いようで実はあまり詳しく知らない墓石について、墓石の種類や人気の高い石材、購入費用、デザインの種類などを解説します。
国産墓石の一般的な種類
まずは、国産墓石の中でも一般的な墓石から紹介しましょう。
その名称と特徴を下の表にまとめました。
石材名 | 産地 | 特徴 |
伊達冠
(だてかんむり) |
宮城県 | 赤茶色とグレーの波紋が特徴。
経年劣化から錆が浮き出てさらに味わい深い色となる。 |
浮金石
(うきがねいし) |
福島県産 | 日本国内ではとても貴重な黒御影石のためな価格は高価。 |
青葉石
(あおばいし) |
福島県産 | 青色の艶が特徴的。 |
花塚石
(はなづかいし) |
福島県産 | 目の粗さが特徴的。 |
稲田石
(いなだいし) |
茨城県産 | 磨きをかけると一気に艶をます特徴がある。 |
真壁石
(まかべいし) |
茨城県産 | 目が粗い青御影石。
値段は安価で関東圏で人気のある。 |
羽黒青糠目石
(はぐろあおぬかめいし) |
茨城県産 | 青みがかった色と、細かい目合いをもつ最高級石材。 |
庵治石
(あじいし) |
香川県産 | 石目に雲母が混入している日本国内最高の石材。 |
大島石
(おおしまいし) |
愛媛県産 | 青みがかった石目が美しいく色あせない石材。 |
人気の高い国産墓石5選

続いて、国産墓石の中でも特に人気の高く、つねに需要がある石材とその特徴を解説します。
人気の墓石①:万成石(まんなりいし)【岡山県産】
淡いピンクやベージュが入り混じった桜色が特徴の万成石は、濃淡がはっきりしているという特徴があります。
また、年数が経過するごとに色合いが落ちつき、味のある色に変化していきます。
人気の墓石②:本小松石(ほんこまついし)【神奈川県産】
本小松石は、淡く緑色をした石材はおごそかな雰囲気をまとっています。
神奈川県の足柄下郡真鶴町岩地区以外に産出されないとても貴重な石材です。
関東地方では特に高級石材として慎重され、「源頼朝」のお墓に使用されたことは特に有名です。
人気の墓石③:浮金石(うきがねいし)【福島県産】
浮金石は、日本を代表する黒御影石として有名です。
その名のとおり、石の表面は金箔がちりばめられた独特の石肌をしており、とても高級感があります。
関東圏における高級石材として慎重され、「関東には黒色のお墓が多い」と言われるのは、この浮金石を用いたお墓が多いことが由来しているためです。
人気の墓石④:大島石(おおしまいし)【愛媛県産】
大島石は、青御影石の代表的な石材として、均等で青みがかった石肌と、素朴で上品な雰囲気を持ちます。
古くから関西圏の一般的な墓石用石材として愛されてきました。
人気の墓石⑤:庵治石(あじいし)【香川県産】
庵治石は全国的にとても人気があり、最高級石材として有名です。
石肌に入りこんだ「班(ふ)」という模様は、石材表面を磨き上げるほどにその光沢を増し、その輝きは世界最高の花崗岩と称されています。
外国産の墓石の一般的な種類

墓石用の石材は、日本国内だけのものが使用されているわけではありません。
外国産のものもあるのです。
ここでは、外国産の墓石の一般的な種類と特徴を表にまとめました。
石材名 | 産地 | 特徴 |
AG-98 | 中国・福建省 | 白色の石肌は日本の大島石とよく似ている |
G-616 | 中国・福建省 | 薄緑色の石材で、とても落ち着いた雰囲気 |
G-663 | 中国産 | 桜色の石肌で柔らかいイメージのため女性に人気がある |
山西黒
(さんせいくろ) |
中国・山西省産 | 小さな石目が特徴的な黒御影石 |
三狭紅石
(さんきょうこうせき) |
中国産 | 石目が揃ったやわらかい赤色が特徴的 |
BVR | インド産 | 黒御影石の中では安価で人気がある |
LK-01 | インド産 | きれいな艶ときめ細かな石目が特徴な高級石材 |
PAN | インド産 | 比較的安価なインド産黒御影石の代表的な石材 |
エメラルドパール | フィンランド産 | 細かい石目と宝石の様な輝きが特徴 |
人気のある「中国産」墓石の種類と特徴
上の表からもわかるように、外国産石材の主な原産国は中国産がとても多いです。
ここでは、その中でも特に人気がある石材とその特徴を紹介しましょう。
K-12【中国国龍省産】
K-12はとても濃い石肌が特徴で、海外産石材の中では一番人気の青御影石です。
中国産石材の中では比較的高額ですが、その濃い色合いが近年の濃い石材を好む流行と合致し、ここ十年でもっとも使用される、中国産石材です。
新八光(G623)【中国福建省産】
新八光は目が粗く供給量も豊富なことから、長尺ものがとれるという理由で、墓石というよりも墓地の外柵材として利用されることが多いです。
墓石以外にも、建築資材としても活用されています。
小桜(G663)【中国福建省】
小桜は、御影石の中でも白色系でほのかにピンク色をおびた色合いが女性を中心にとても評判の良い石材です。
特徴的な色から「桃山」「中国桜御影(ちゅうごくさくらみかげ)」とも呼ばれ、特に女性に人気が高くキリスト教の墓石にもおおく使用されるようになりました。
人気のある「インド産」墓石の種類と特徴
インド産石材も、中国産石材に次いで日本国内では多く使用されています。
特に、日本では希少な黒御影石は高額であるため、インド産の黒御影石はとても人気の高い石材となっています。
アーバングレー【インド産】
アーバングレーは非常にかたく、経年劣化の影響を受けづらい石材です。
特徴的な緑がかった色あいは好みが分かれますが、ここ20年で日本の墓石に使用する石材として一般的になりました。
クンナム【インド産】
世界で一番黒い御影石と呼ばれ、艶のある石肌と劣化しない品質を理由に、インド産「クンナム」と言えば外国産黒御影石の中では、一番の高級石材といえるでしょう。
ただし、国産の最高級黒御影石の石材と比較すると安価となることから、国内において黒御影石人気を国産石材と二分する石材です。
人気のある北欧産墓石の種類と特徴
北欧産の石材は、他にはない独特の色身を帯びた石材が人気を集めています。
ご自身で墓石のデザインをする場合に使用されるケースがおおく、洋型墓石(以下に解説)との相性は抜群です。
スウェーデンマホガニー【スウェーデン産】
赤系の石材として、国内でもっとも評価されているのがこの「スウェーデンマホガニー」でしょう。
赤色といっても赤と茶の中間色のような色味は、とても落ち着きがあり、上品な雰囲気とかわいらしさがあります。
フィンランドグリーン【フィンランド産】
フィンランドグリーンは、淡青系色の御影石として柔らかい緑がかった色合いが特徴的です。
また、風化に強く歳月が経っても劣化しない特性と大材がとれることから、大きなお墓やお墓周りに設けられる外柵にも使用されています。
墓石の購入価格の相場と支払方法

墓石の購入費用は一体いくらくらいするのか、気になる方も多いことでしょう。
ここでは、そんな疑問に答えるため、墓石の購入費用相場や支払方法について解説します。
相場
墓石の購入費用相場は、全国平均で約133万円です。
これは各都道府県の全てのデータを均一化したものですので、お住いの地域により墓石にかかる費用は上下します。
また、東日本では約139万円、西日本では120万円というデータもあることから、墓石に対しては西日本の方が安価に購入する傾向があるようです。
支払い方法
墓石費用の支払い方法は、墓石の設置をする際に「着手金」として墓石費用の半分程度を納め、設置が完了後に残りの費用を支払うことが一般的です。
ただし、購入する墓石店によっては、事前の交渉で着手金を半分以下に設定してくれる場合もあります。
このようなケースもあることから、墓石の支払方法は石材店との交渉で決定される部分もあると言えるでしょう。
墓石購入費用のローン
墓石の購入金額はとても高価なため、上記のような支払方法ができない方は大勢います。
そのため、石材店によっては「メモリアルローン」のように、お墓のローンをくむことが可能な石材店が増えています。
また、石材店の中には墓石購入者の年金を利用してローンを組み、月々の支払を可能としているお店もあります。
墓石金額を決める4つの要素

墓石の金額はさまざまな要因で決定されますが、初めて墓石を購入する人にとってはその要因が何なのか正確にはわからないですよね。
ここでは、そんな疑問をお持ちの方に、墓石の金額が何によって決定されているのかを4つの要素に絞って解説します。
要素①:墓石の種類
墓石の種類は国産で約50種類、外国産で約100種類の合計150種類以上となり、それぞれの等級を含めると300種類以上あります。
このすべての墓石にはその価値に応じた値段があり、安価な墓石もあれば高額な墓石もあります。
これが墓石購入金額の直接的な違いにつながっています。
要素②:墓地面積の大きさ
墓地面積が大きくなれば、それだけ石材の使用量が増えるため費用は高額となります。
また、石材は種類によっては石の使用量が大きくなればなるほど割高になる傾向があります。
これは大きな石材はそれだけ採取されにくく、希少価値が高くなるためです。
要素③:墓石の加工費用
標準的なお墓に手のこんだ蓮の加工が施された台座や複雑な加工を施した花立などを追加するには、加工費用が追加で請求されます。
また、日本で作られるお墓は、海外で作られるお墓に比べて墓石の加工費用が高額となります。
これは日本国内でお墓を加工する職人の人件費が、海外に比べ高額なことがその理由です。
要素④:墓石の設置費用
墓石の価格には設置費用も含まれるため、設置場所によりその値段も異なります。
山の上の複雑な地形に墓石を設置する場合と、整地された平坦な霊園に同じ墓石を設置する場合では、前者は追加の設置費用が発生するでしょう。
設置費用には、人件費や重機の種類や台数から金額が決定されるため、設置工事がしにくい場所ではどうしても高額となるのです。
墓石の種類5つとその特徴

私たちが普段目にするお墓は、実はこれから紹介する5つのタイプに分けることができます。
ここでは、お墓のタイプとそれぞれの特徴について見ていきましょう。
種類①:和型墓石
もっとも人気があり一般的な日本のお墓がこの和型墓石です。
角型の石が上下に3段から4段積み重なっており、縦に長いことが特徴です。
この形状は、五輪塔を簡略化したものや、位牌をかたどったものとも言われています。
種類②:洋型墓石
和型墓石に比べて、明るく現代的なイメージなのが洋型墓石です。
それほど高くない墓石が2段から3段積み上げられることが一般的で、背丈は低く安定感があります。
上段の笠石は大きく面積もひろいため、彫刻や故人が好きだったことばなどを施すことができ、オリジナリティあふれるお墓を作ることが可能です。
種類③:デザイン墓石
石材加工の進歩により、石材を様々な形に加工して墓石とすることが可能となりました。
この工法を用いて作られたのがデザイン墓石とよばれるお墓で、このお墓に決まった形はなく、中にはギターの形や三角形のお墓などもあります。
自分らしいお墓を建てたいと思う方には、うってつけのお墓と言えるでしょう。
種類④:和型高級墓石
お墓の作りや構造は和型墓石と同様ですが、全ての石材を国内で最高級といわれる石材を使用して、耐久性や見た目の重厚感などにこだわったお墓です。
また、お墓の専有面積も広くなる傾向があり、それにともない費用がさらに高額となるのがこのお墓の特徴です。
種類⑤:和型五輪塔墓石
今日では供養塔として認知されている五輪塔ですが、その昔はこの五輪塔タイプのお墓が主流でした。
構造は和型墓石のように縦長ですが、その構造は根本的に異なり5つの輪が重なった形をしているといわれています。
これは、人の体の五体を表しているとも言われ、それぞれに梵字(ぼんじ)が刻まれた、独特の雰囲気を醸し出しているお墓と言えるでしょう。
墓石の品質を決める3つの要素

お墓を購入する際には、だれでも品質が良く傷みの出ない石材を購入したいと思うものです。
ここでは、石材についての良し悪しを判断する際に参考となる、次の3つの要素についてそれぞれ解説しましょう。
- 吸水率
- 見かけ比重
- 圧縮強度
要素①:吸水率
吸水率とは、墓石の水はけの度合いを表した指数です。
この吸水率が低い石材は品質の高い石材だと言われています。
吸水率が低いということは、それだけ耐久性がある墓石ということです。
雨の影響を受けずらい墓石と言えるでしょう。
要素②:見かけ比重
見かけ比重とは、一定の体積に対しての質量がどの程度あるのかを表す指数です。
この見かけ比重が高い墓石は重く強度があり、長持ちすることから高品質な石材と言われています。
要素③:圧縮強度
圧縮強度とは、墓石を圧縮した際にどの程度まで割れずに耐えることができるかを表す指数です。
数値が高い方が強度や硬質が高いことから丈夫な石材と言われます。
このような丈夫な石材は経年劣化の影響を受けづらく、長い年月を経過してもその石質が変わることがありません。
墓石を購入するまでの流れ

では、実際に墓石を購入する場合、どのような流れなのかについて、5つのステップに分けてそれぞれ解説します。
これから紹介する流れを意識して行動すれば、購入までがとてもスムーズに進行できますよ。
ステップ①:希望する墓石を石材店に伝える
まずは、気になる石材店に自身の墓石に対する要望を伝えましょう。
この際、希望する墓地の条件がある場合は、その墓地の条件についても石材店に伝えます。
要望には、次の内容が含まれます。
- 墓石の種類
- 墓石の予算
- 希望する墓地の種類
- 墓地へのアクセス(自宅から何分以内など)
- 墓地の周辺環境(墓地の近くに花屋があるかなど)
ステップ②:墓石のデザインや費用を決定する
霊園と区画が決定したら、事前に伝えておいた予算の中でできる墓石の種類やデザインについて決定します。
ステップ③:見積を取る
このときの見積書は、同じ条件で複数の石材店から相見積もりを取る方が良いでしょう。
一つの石材店だけでは、その石材店の値段や作業内容が妥当かどうかの判断がつかないからです。
相見積もりを取り、作業内容と金額に納得できる業者と契約することが悔いのないお墓選びの近道です。
ステップ④:契約する
墓石や墓地の区画が決まれば、最終確認をしていよいよ契約です。
契約時には、支払い方法について詳細な確認が必要です。
ステップ⑤:完成した墓石の引き渡してもらう
契約後、お墓の工事が着工されます。
一般的には工期は2ヶ月から3ヶ月ほど必要です。
工事の様子を自身で確認したい場合は、石材店に伝えれば工事に立ち会うことも可能です。
工事完了後、石材店からお墓の引き渡しの連絡を受けたら、最後に図面や写真をもとに仕上がりの確認をします。
そして、問題がなければ工事終了後の費用をお支払いして墓石購入となります。
墓石を選ぶ際の3つの注意点

墓石を選ぶ際には、初めての経験でどうしたら良いのかわからず、石材店に言われるがままの墓石を購入してしまうことがあります。
ここでは、ご自身が納得できる墓石を選ぶための3つの注意点を解説しましょう。
注意点①:複数の石材店から見積を取る
先ほども解説したように、墓石の費用や作業内容については複数の石材店から見積を取りましょう。
そうすることで、墓石の相場料金や必要な作業、またその作業にかかる費用について知ることができるからです。
複数の見積もり金額や作業内容を比較すれば、信頼のおける石材店が見つかります。
注意点②:石材店との打ち合わせは綿密に
墓石の購入を初めて経験する方も多いでしょうから、墓石に対する知識はそれほどないでしょう。
そのため、石材店との打ち合わせは基本的な質問やわからないことに対して、誠意をもって対応してもらえる石材店の方が良いです。
打ち合わせの席で、その石材店にあまり信頼がおけないと感じたら契約は見合わせた方が賢明です。
注意点③:経年劣化した石材を見せてもらう
石材店のスタッフにお願いすれば、墓石の経年劣化がどのような進んでいくのか実際にお墓を見ながら説明してもらえます。
自身の購入予定の墓石の見た目がどのように変化するのかを事前に把握して、悔いのない墓石選びの参考にしましょう。
墓石の品質維持方法

できるだけ長く墓石を良い状態で維持したいと考えるなら、石材の良し悪し以上に定期的なお手入れが何より必要です。
細かい汚れはご自身で磨き上げることができますがますが、どうしても汚れが取れない場合は購入した石材店に相談することをおすすめします。
また、お墓参りを普段からすることで、お墓を常に気にかけ綺麗に保つ習慣が身に着きますよ。
まとめ

墓石について、代表的な種類と石材、費用や購入にあたっての注意点を解説しました。
石材は今回紹介した以上に膨大な種類があり、それぞれに異なる特性を持ち合わせています。
そのため、そのすべてを把握してご自身の好みと照らし合わせて墓石を購入することは、あまり現実的ではないでしょう。
また、自身の好みの石材を見つけて後悔のないお墓を購入するには、信頼できる誠実な石材店を見つけ、サポートを受けることが一番大事です。
じっくりと時間をかけて石材店をまわり、自身が一番信頼できると感じた石材店と検討を重ねて作るお墓は、後悔のない最良のお墓と言えるでしょう。