故人の遺骨を埋葬して供養するお墓は、先祖代々から受け継がれてきた供養の方法ですよね。
しかし、近年でお墓の種類や供養の方法は増えてきており、供養をする家族のライフスタイルに合わせてお墓の種類を選ぶ人も少なくありません。
お墓の種類や供養の方法を知っておくと、現在頭を悩ませているお墓の継承者問題や、自分の望む供養の形が見えてきます。
今回は、お墓の種類と供養の方法について詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
お墓の種類が増えた理由

最初に、なぜお墓の種類が増えたのか、その理由についてお伝えしましょう。
お墓は故人の遺骨を埋葬する場所であり、回忌と呼ばれる法要やお盆などの節目ごとに家族や親族がお参りして供養することが一般的ですよね。
しかし、さまざまなライフスタイルや家庭の事情により、昔ながらのお墓を持つことが難しくなってきたため、現在ではお墓の種類や供養の方法は多様化しています。
ここでは、お墓の種類が増えた理由をご紹介しながら、現代社会におけるお墓の問題点について解説していきます。
理由①:お墓の継承者の減少
お墓や供養方法が増えた理由で一番に挙げられることは、お墓を継承する人が少なくなったという点です。
お墓は、法令によって定められた土地にしか建てられないため、墓地や霊園などに申し込んで一区画を購入して建てることになります。
区画を購入するといっても、土地そのものを購入するのではなく「墓地の一区画を使用する権利」を購入するのですが、このときに登録されるのが墓地使用者の住所や氏名です。
墓地使用者として登録されている人は、年間を通じて決まった管理費を墓地や霊園に支払います。
これによりお墓が維持できるのですが、もし墓地使用者が亡くなったあと誰もお墓を引き継がず管理費が支払われなかった場合、一定期間をおいたのちにお墓は撤去されることになります。
少子高齢化と核家族化が進んだ現代では、地方にある墓地の使用者になることが難しかったり、物理的に距離がありすぎてお墓参りも困難なケースが増えてきました。
このような背景から、現存するお墓の今後を考え直したり、負担にならない供養の方法を模索する人が増えています。
理由②:お墓を建てられない経済状況
経済的な状況の変化も、お墓や供養方法の種類が増えた理由の一つです。
お墓を建てるための費用は、全国平均で一区画につき約200万円前後、墓地の場所や区画の広さによってはそれ以上の費用が掛かります。
もし、地方にあるお墓を墓じまいして新たにお墓を建てようとすると、墓じまいに掛かる費用が約100万円前後なので、ざっと見積もっても約300万円は必要です。
2018年に行われた国税庁の民間給与実態統計調査によれば、50代の平均年収は約500万円前後です。
50代といえば、両親が高齢となりお墓の問題も出てきますよね。
両親の介護や子供の教育費も重なる時期に、年収の半分以上も必要となるお墓をいきなり用意することはかなり難しい状況です。
お墓を継承するつもりはあっても経済的に難しい、そんな思いも持つ人が増えたことも、お墓や供養の種類が増えた理由となっています。
お墓の種類は先を見据えて決める
日本では、お墓に遺骨をおさめて供養することで、亡き故人をしのんだり心の安らぎを得てきました。
ふと思い立ったときに手を合わせる場所があることも、一族のつながりを強くしてきたのです。
しかし、少子高齢化・核家族化が進んできた現代では昔ながらの供養が難しく、無理にお墓を継承することでかえって家族間でいざこざが起こることも少なくありません。
大切なのは、自分たちの代も含めて家族が無理なく先祖の魂を供養し、安心して後を任せてられる方法を考えることです。
どのようなお墓や供養方法なら家族全員が納得できるのか、現在あるお墓の種類や供養の方法を良く知って検討してみましょう。
継承者ありのお墓の種類

お墓の種類には、大きく分けて「継承者ありのお墓」「継承者なしのお墓」の2種類があります。
継承者ありのお墓は、一つのお墓を先祖代々に渡って受け継ぎながら供養していく方法ですが、少子化にともない少し変わった種類のお墓も見られるようになりました。
ここでは、継承者ありのお墓について詳しく解説していきます。
種類①:累代墓
累代墓とは、「〇〇家の墓」という形で先祖代々受け継がれているスタイルのお墓で、一般的に広く親しまれた形式です。
墓石の正面には本家の苗字が刻まれ、墓石の裏面やその横に設置される墓誌と呼ばれる石碑には、本家筋で亡くなった人の名前と没年月日などが刻まれます。
累代墓は墓地や霊園の区画の永代使用権を得て建てられ、永代使用者の名義を代々継承しながらお墓を守っていきます。
累代墓には本家とその直系の一族の遺骨が納められることが一般的ですが、お墓の使用者と墓地の管理人の許可を得られれば誰の遺骨でも納めることができます。
しかし、法律的な決まりはなくても、夫の累代墓に妻の親族の遺骨を納めたり、逆に妻側のお墓に夫の親族の遺骨を納めることはあまり受け入れられません。
累代墓は一族の単位が重要視される種類のお墓なので、結婚を機に独立して別の家庭を築きお墓を継承しなかった次男や嫁いだ娘、養子縁組などで苗字が違う親族も受け入れられない傾向にあります。
種類②:両家墓
両家墓とは、夫婦それぞれの実家のお墓を一つの区画に納め、両家のお墓として供養していく形のお墓です。
少子化にともない一人息子や一人娘の家庭が増えたことで、お互いの家のお墓を守るために両家墓を選択する人も増えてきました。
両家墓には、「墓地の一区画に二基のお墓を建てて供養をする方法」と「一つの墓石に二つの苗字を刻んで供養する方法」の2種類があります。
しかし、お墓を二基建てるためには区画の広さや費用の問題も出てくることから、現在では一つの墓石に両家の苗字を刻んで供養する方法が良く見られます。
両家墓に納められるのは、夫婦それぞれの実家の直系にあたる人の遺骨です。
継承するお墓が一つになることでお世話がしやすくなるほか、両家がお金を出し合うことで費用の面もクリアになるため、両家墓を検討する人が増えてきています。
継承者なしのお墓の種類

続いては、継承者なしのお墓の種類を解説しましょう。
継承者なしのお墓とは、お墓を継承させず自分の代だけで供養が終了する形式のお墓です。
主に独身で親族との付き合いがほとんどなかったり、子どもがいてもお墓を継承させることが難しいと考える人が選ぶお墓の種類です。
ただ、最近では終活の一環として自分の代で先祖の供養を終わらせ、子供たちに苦労をかけないようにと考えて検討する人も増えてきました。
では、継承者なしのお墓にはどのような種類があるのか、その内容を詳しく解説します。
種類①:個人墓
個人墓は、その名の通り一人の人の遺骨を納めて供養するためのお墓です。
家というくくりから独立して建てることができるため、個人として活躍した有名人や著名人のお墓でも個人墓がみられます。
個人墓には、「永代供養付き」と「永代供養無し」の2種類がありますが、継承者なしで個人墓を考えている人が選ぶのは「永代供養付き」の個人墓です。
永代供養とは、故人の死後33回忌や50回忌の法要を目安にして弔い上げをし、仏様として永代的に供養するというもの。
永代供養付きの個人墓に納められた遺骨は、目安となる法要を機に他家の遺骨と一緒に合祀され、寺院や墓地で供養されます。
継承者がいなくても、弔い上げまでお任せできる個人墓は、身寄りがなかったり継承者がいない人にとって安心できるお墓の種類です。
種類②:夫婦墓
夫婦墓とは、実家のお墓には入らず、夫婦2人だけが入るためのお墓です。
夫婦墓は基本的に永代供養まで行うことを前提としており、子供がいない夫婦や自分の死後に子供にお墓のことで苦労をさせたくないと考える人が良く検討している種類のお墓です。
また、妻の死後に別の女性と結婚して夫婦となった人や、家族関係が複雑で面倒を掛けたくないという人も夫婦墓を選択するケースがあります。
現代では、少子化だけではなく再婚や血のつながりのない子供との関係など、複雑な家庭環境からお墓の継承者問題が起こることも少なくありません。
子供にお墓の問題を任せられないと感じる夫婦にとって、夫婦墓は誰にも迷惑をかけることなく安心できる選択肢となっています。
種類③:共同墓
共同墓とは、まったく血縁のない友達や知人、同じ趣味や宗教観を持つ人と一緒に入るためのお墓です。
近年では「墓友」ということばで注目されているので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
実は、共同墓とは本来「一つの敷地を他家と共有してそれぞれお墓を建てる」ことを意味するのですが、「墓友」でいうところの共同墓とは、文字通りまったく血のつながらない人と同じお墓に埋葬されることです。
遠くの親戚より近くの他人ということばどおり、共同墓を選ぶ人は普段の生活を助け合って暮らしているケースが多く、その延長線上にあるものが共同墓なのです。
しかし、お墓を建てる墓地では「苗字が一緒」「血縁関係がはっきりしている」などの条件があるところがほとんどで、血縁のない者同士が一緒に入れるお墓を建てることは簡単ではありません。
もし共同墓を考えるときには、最初から共同墓を案内している業者に相談するか、墓地の管理者に利用規約をよく確認してから検討する必要があります。
種類④:合祀墓
合祀墓は、他家の遺骨と一緒に埋葬されるお墓です。
寺院にある永代供養塔や墓地にある合祀墓などがこれにあたり、預けた遺骨は他家の遺骨と一緒に埋葬して供養されます。
合祀墓はすでに建てられているため、あらためてお墓を建てる必要はありません。
その代わり、他家の遺骨と一緒にされてしまうため、後から思い直しても遺骨を取り出すことができません。
もし誰にも相談せずに合祀墓による供養を選択した場合、後々揉めたとしても遺骨を取り戻すことができないのです。
最初から家族が納得しているのであれば問題はありませんが、合祀墓による供養を検討するときには、周囲の意見や後々のことまでよく考えてから選択するようにしましょう。
墓石以外のお墓・供養の種類

お墓といって最初に思い浮かぶのが墓石ですが、現在では墓石以外にもさまざまなお墓や供養の種類が存在します。
では、墓石以外のお墓や供養には、どのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、近年注目されている墓石以外のお墓や供養について詳しく紹介します。
- 樹木葬
- 納骨堂
- 海洋散骨
- 宇宙葬
- 山岳葬
- 手元供養
種類①:樹木葬
樹木葬は、簡単に言えば墓石の代わりに樹木を植えて、その根本に遺骨を埋葬する方法です。
自然葬の一つで、木の根本に埋葬された遺骨が長い年月を掛けて自然にかえっていくことから、多くの人の注目を集めています。
樹木葬にも「合葬」と「個別葬」の2種類があります。
「合葬」では、一本の木の根本に他家の遺骨と一緒に埋葬され、「個別葬」になると一本の木の根本に故人一人の遺骨が埋葬されます。
樹木葬と聞くとよく勘違いする人がいるのですが、遺骨の埋葬は法律で決められた土地でしかできません。
したがって、樹木葬も指定された墓地の区域内で行われるものであり、樹木葬を希望する人は埋葬区域の永代使用料を払って供養します。
たとえ自分の土地であったとしても、墓地として許可が降りている区域以外で樹木葬を行うのは違法となるため注意が必要です。
種類②:納骨堂
納骨堂は、特定の施設に遺骨を預けて供養する方法です。
預ける場所によって形式はさまざまですが、現在では主に次のような種類に分かれています。
- 仏壇式:仏壇のように上下にわかれている区域の中に遺骨を納める
- ロッカー式:小さなロッカーのような区域に遺骨を納める
- 機械式:お参りするときに割り当てられた番号を入力すると遺骨が運ばれてくる
- 位牌式:仏様のいる祭壇の周りに位牌が設置されている。遺骨は別の場所で保管されていることが多い
- 室内墓地式:小さな墓石を室内に設置してお参りできる
これらは遺骨を個別保管しているタイプですが、納骨堂にも合祀するタイプのものもあります。
後から遺骨を取り出すことはできませんが、永代供養と同様に供養することができます。
納骨堂は一般的な墓地に比べると必要な土地の面積が少なくて済むため、とくに都心部では人気の供養方法です。
種類③:海洋散骨
海洋散骨は、遺骨をパウダー状になるまで粉骨したものを海に撒いて供養する方法です。
現在行われている海洋散骨で一番多いのは、クルーザーで海の沖合まで出てセレモニーを行い、自然に優しい紙製の袋に入れた遺灰を海に撒く方法です。
実は、散骨自体は違法ではありませんが、場所によっては自治体により散骨を禁止しているところもあります。
したがって、海洋散骨も「陸地から〇〇km以上の沖合い」という決まりがあるため、個人的に浜辺で散骨することができません。
海洋散骨は、「遺族が参加する方法」と「すべて業者に任せる方法」の2種類があり、どちらも散骨後に証明書が発行されます。
生前から海洋散骨を希望する場合には、事前に説明を受けたりパンフレットを取り寄せるなどして、情報を集めてみても良いでしょう。
種類④:宇宙葬
宇宙葬とは、パウダー状にした遺灰を宇宙空間にまで打ち上げて散骨する方法です。
さまざまな種類がありますが、現在実際に行われている宇宙葬には次のような種類があります。
- バルーン葬:遺灰を直径2メートルのバルーンに入れて空へ放す。成層圏まで到達したバルーンが気圧により破裂し遺灰が散骨される
- ロケット葬:数グラムの遺灰をカプセルに入れてをロケットに乗せて打ち上げる。地球の周回軌道に乗ったロケットはゆっくりと地球の周りを周回した後、大気圏に突入して燃え尽きる
- 月旅行プラン:遺灰をロケットにのせて月まで旅行する。月面に到着した遺灰はそのまま散骨され、月から永遠に地球を見守る
- 宇宙旅行プラン:遺灰をロケットに乗せて永遠に宇宙を旅する。多くの著名人が生前から申し込みをするほどの人気があり、ロケットで打ち上げられた遺灰は永遠に宇宙を旅する。
話を聞くだけでもワクワクする宇宙葬ですが、プランによってはお値段が相当高いです。
また、ロケットは海外の基地から打ち上げられるため、家族との話し合いが不可欠です。
宇宙葬に興味がある人は、できれば生前から資料を集めて生前予約を行い、残された家族が問題無く宇宙葬が行えるよう準備をしてみると良いでしょう。
種類⑤:山岳葬
山岳葬は、パウダー状にした遺灰を山に撒いて供養する方法です。
さまざまな種類がありますが、実際に行われているのは次のような方法です。
- フランスの会社と提携し、遺灰の一部をヘリコプターでモンブランに運んで散骨するモンブラン葬。
- 山岳散骨の業者に個別で申し込みをし、自分の手で遺灰を散骨する個別葬。
- 山岳散骨の業者に遺灰を託して散骨してもらう方法。
山岳散骨も、海洋散骨と同じく違法ではありませんが、自治体や山の持ち主によっては思わぬトラブルとなることもあります。
奥深い山も必ず誰かしらの持ち物として登記されており、もし間違って散骨してしまうと訴えられかねません。
1番良いのは、山岳散骨を行う業者に相談して情報を提供してもらったり、業者が行うセレモニーに参加する形で散骨する方法です。
散骨は違法ではありませんが、一見して遺灰とはわからないようパウダー状にしたり、遺灰とわからないよう撒かなければならないなどのマナーがあります。
また、慣れていない人が山に登ると思わぬ怪我をすることもあるので無理はできません。
山登りが趣味な人には魅力的なプランですが、残された遺族のことを考慮して検討するようにしましょう。
種類⑥:手元供養
手元供養とは、その名のとおり遺骨を手元で供養することです。
実は、遺骨は火葬後に必ず埋葬しなければならないという決まりはなく、実際に仏壇で供養を続けている人もいます。
しかし、人目につくところに遺骨があると気になるという人もいるため、最近では次のような手元供養を行う人も増えてきました。
- 遺骨を真珠やダイヤモンドに加工してアクセサリーとして身につける
- 遺骨を樹脂加工してペンダントにする
- 遺骨をプレート状に加工して仏壇に置いて供養する
- 小さな骨壺を用意して遺骨を入れて供養する
ちょっと驚くような供養の方法かもしれませんが、いつでも身につけて故人を偲びたいという人は少なくなく、お墓を建てるよりも費用がかからないことから密かに人気が高まっているのが手元供養なのです。
身内の遺骨であることがはっきりしていれば、自宅で遺骨を供養しても問題はありません。
すぐにお墓を建てられなかったり、今後の方針について家族の意見がまとまらないといったときには、いったん手元供養をしておき、後悔がないように家族で話し合ってみても良いでしょう。
継承者ありのお墓のメリット・デメリット

お墓の種類や供養の方法を考えていくと、どうしても行き着くのが継承者の問題ですよね。
継承者のあり・なしによってお墓の種類や供養の方法に違いが出てきますし、先のことまで考えた際に一番気にかけなければならない問題でもあります。
では、継承者のありのお墓となしのお墓では、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
ここでは、継承者のあり・なしにわけてメリットとデメリットをお伝えしましょう。
継承者ありのお墓のメリット
継承者ありのお墓の大きなメリットは、供養する場所があるという安心感です。
遺骨が納められた墓石には、自然霊や先祖代々の魂が宿るとされています。
お墓の建て直しや大きな工事をする時に魂抜き(たまぬき)という法要が行われるのですが、これは墓石に宿る先祖の魂に眠ってもらい、失礼がないようにするためです。
それだけ大切にされているお墓は家族や親族にとって大切な場所であり、一族の象徴ともいうべき存在でした。
死後もなお安心して眠れる場所があり、遺族も安らかな気持ちで手を合わせられる。
継承者のいるお墓は、お金に変えられない家族の心のよりどころとなっています。
継承者ありのお墓のデメリット
家族の大切な場所であるお墓ですが、継承者が必要なお墓は必ず誰かが引き継いでお世話を続けなければなりません。
一見頑丈に見える墓石も、長い年月をかけて自然の中にさらされていると、劣化して色褪せたり墓石が割れてしまうことがあります。
玉砂利を敷いてしても定期的に掃除をしなければ雑草も生えますし、場合によってはお墓自体を建て替えなければなりません。
手入れをしていればそれだけ長く墓石を保つことができますが、そのためにはしょっちゅう通える時間と距離が重要です。
しかし、核家族化が進んだ現代ではお墓のお世話に通うことが難しく、結果として放置されてしまうお墓も存在します。
継承者が必要なお墓には、現代のライフスタイルとのすり合わせが難しいというデメリットがあるのです。
継承者なしのお墓のメリット・デメリット

続いては、継承者なしのお墓のメリットとデメリットについて解説します。
継承者なしのお墓は種類が多いのですが、そのぶん検討するべきメリットとデメリットが多く存在します。
継承者なしのお墓のメリットとデメリットをよく比較して、自分にとって一番良い供養の方法とはどのようなものなのかを具体的にイメージしてみましょう。
継承者なしのお墓のメリット
継承者なしのお墓のメリットとしては、次のような点が挙げられます。
- 供養の方法によっては費用が掛からない
- 子どもや孫に負担が掛からない
- お墓の世話や維持を気にしなくて良い
- 自分の思い通りのお墓を用意できる
継承者なしのお墓は自由度が高いため、全体的にみてさまざまな負担が軽減されることが一番の魅力です。
もちろん、一つひとつ吟味しなければなりませんが、基本的には「自分の代だけのお墓」という期限があるので、先々のことまで心配する必要がありません。
継承者の問題で悩んでいる人の多くは、精神的にも経済的にも負担が少ないという点に強く興味を持っています。
継承者なしのお墓のデメリット
良いことづくめに思える継承者なしのお墓ですが、実際に行ってみると次のようなデメリットが聞かれます。
- 手を合わせる場所がなくて寂しく感じる
- 故人の遺言だったので散骨したが、親戚一同から非難された
- 手元供養して欲しいと言われたが気持ち的に落ち着かない
- 樹木葬にしたがお供えや線香もあげられず、手入れも勝手にできないので戸惑った。
先々のことを考えた上で選んだお墓や供養方法も、よく調べずに選んだり家族の意見を聞かずに決めてしまうと、結果的に気苦労を与えてしまうことにもなりかねません。
お墓や供養は、残された家族の心のよりどころという役割もあります。
具体的な希望がある場合でも、必ず家族に相談して考え方のすり合わせを行うことが大切です。
お墓の選び方のポイント・注意点

最後に、お墓の種類の選び方についてお伝えしましょう。
お墓や供養の種類は、個人的の好みだけではなく周囲との兼ね合いも大切です。
では、お墓や供養の方法を具体的に決めるときにはどのような点に注意をすれば良いのか、継承者のあり・なしに分けてポイントをおさえながら紹介していきます。
継承者ありの場合
継承者ありのお墓を選ぶ場合、ポイントとなるのは周囲への確認事項です。
スムーズに話を進めるためにも、次の3点について確実に確認していきましょう。
注意点①:継承者の意思を確認
最初に確認するのは、継承者となる人の意思です。
継承者ありのお墓の場合、お墓に定期的に足を運んだり墓地の使用者として管理費を支払うなど、責任を負う場面が出てきます。
こうした責任を果たすためには、継承者となる本人にその意思があるかをしっかり確認しなければなりません。
もし、本人にたずねたときに不安や問題点があるようだったら、その部分をクリアにしてお互いの意見のすり合わせをするようにしましょう。
注意点②:親戚の意思を確認
累代墓を継承する場合、一族となる親戚の意見も無視することができません。
累代墓を継承するとき、あまりに古い遺骨は永代供養したり改葬するなどの方法があります。
親戚に相談せずこれらのことを行なってしまうと、親族間でトラブルとなることがあります。
これは両家墓にも言えることで、相手方の家族の意見を聞かずに話を進めてしまうことでトラブルが起こり、その結果として子供と夫婦の仲が悪くなってしまうことがあります。
継承者ありのお墓は、家族の象徴ともなるお墓です。
お墓のあり方についてよく話し合い、気持ちよくお墓が受け継がれていくよう準備しましょう。
注意点③:お墓の場所を確認
継承者ありのお墓で意外に盲点となるのが「お墓の場所」です。
体が元気で車の運転もできるときには気にならない距離も、高齢になると運転ができず通うのに時間が掛かったり、墓地や霊園のちょっとした段差や坂道が辛くなることがあります。
せっかく受け継ぐ人がいても、通いづらい位置になると足が遠のいてしまい、結果として放置されることも少なくありません。
継承者ありのお墓を選ぶときにはお墓の場所を確認し、受け継いだ人が通いやすい墓地や霊園を選ぶようにしましょう。
継承者なしの場合
継承者なしのお墓や供養方法を選ぶ場合、ポイントとなるのは家族や周囲の人への気遣いです。
自分の意思が反映されやすいからこそ、周囲との摩擦がないように行動しなければなりません。
次のポイントに注意して、問題なく話が進むように行動してみましょう。
注意点①:家族の理解を得ること
自分が良いと思ったお墓や供養の方法でも、残された家族には受けいれられないこともあります。
実際にあった例の中には、亡くなった後に友人に散骨をお願いしていたが家族に拒否されたり、樹木葬の予約をしていたもののどうしても受け入れられずキャンセルしたといったケースもあります。
お墓や供養は、故人の意思も大切ですが残された家族の思いも無視できません。
どうしてもこうして欲しいという希望があるときには、家族の理解を得てから話を進めるようにしましょう。
注意点②:生前から準備すること
継承者なしのお墓や供養方法の場合、一般のお墓とは違う段取りが必要です。
そのため、生前から準備をしておかないと残された家族が迷ってしまい、結果として思い通りの供養をしてもらえないこともあります。
生前から準備を進めておくと、資料を一緒に確認したり家族に相談して納得してもらいやすいというメリットもあります。
継承者なしのお墓や供養方法を考えたいときには、生前からしっかり準備を進めるようにしましょう。
注意点③:墓じまいをしておくこと
現段階で継承しているお墓がある場合、墓じまいをしておくことも重要なポイントです。
たとえ自分が継承者なしのお墓や供養方法を選んだとしても、お墓をそのままにしておくと結局誰かがその責任を負うことになり、根本的な問題解決にはなりません。
墓じまいをすることも、継承者の立派な責任です。
せっかく継承者なしのお墓や供養方法を選ぶのであれば、のちのち家族が困らないよう墓じまいもしっかりと終わらせて、継承者なしのお墓や供養方法のメリットが十分生かせるようにしましょう。
まとめ
お墓の種類と、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく紹介しました。
近年問題となってきた少子高齢化がきっかけとなり、継承者の問題を解決するためにさまざまなお墓や供養の種類が増えてきました。
どの種類のお墓にもメリット・デメリットはありますが、大切なのは残された家族の気持ちです。
先々のことを考えて、自分も家族も納得できるお墓や供養方法を探してみましょう。