お葬式では、多くの人が関わり故人をお見送りするため、細かな時間のズレや遅れなどに気を配らなければならず、気持ちが落ち着かないという家族や親族の方も少なくありません。
お葬式に掛かる時間の目安がある程度わかっていると、参列者をお迎えする準備や連絡をするときにスムーズになります。
そこで、今回はお葬式に掛かる時間の目安やタイムスケジュールの具体例、お葬式の時間に関するマナーについて詳しく解説していきます。
お葬式の時間はどのくらい掛かる?

最初に、お葬式に掛かる時間についてお伝えしていきましょう。
お葬式で行われる儀式は、次のような流れに沿って行われます。
- お通夜
- 告別式
- 火葬~お骨拾い
そのため、それぞれの儀式の時間を把握しておく必要があります。
ここでは、お葬式で行われる儀式別に所要時間の目安を解説していきます。
1.お通夜
お通夜の所要時間は、平均すると目安は次のとおりです。
- 家族や親族:4時間ほど
- 参列者:3時間ほど
お通夜の法要は1時間ほど、通夜振舞いで少し長居をしたとしても約2時間でお開きになるため、法要と通夜振舞いの時間を合わせて3時間ほどが目安になります。
家族や親族はお通夜の1時間前から準備を始めるため、参列者よりも1時間長く4時間ほどが目安になります。
ただし、地域によってはお通夜の作法が異なるため、必ずしも4時間というわけではありません。
もう少し詳しく知りたい場合には、近所の人や親戚にお通夜の流れを尋ねてみてください。
2.告別式
告別式の所要時間は、平均すると目安は次のとおりです。
- 家族や親族:3時間
- 参列者:2時間
告別式は法要から出棺までを行うため、告別式で1時間半、出棺準備から出棺までを30分と考えると良いでしょう。
告別式でも、家族や親族は1時間前には集合して準備をするため、目安となる時間が参列者よりも1時間長くなります。
家族や親族は出棺後すぐに火葬場へ向かわなければならないので、早めに集まって段取りを決めるようにしましょう。
3.火葬~お骨拾い
火葬とその後のお骨拾いは、全体で2時間ほどが目安です。
- 火葬:1時間半
- お骨拾い:30分
がそれぞれの所要時間ですが、火葬の終了時間は故人の年齢や体格などにも左右されるため一概には言えません。
火葬場の人に尋ねると、ある程度の目安時間を教えてもらえます。
火葬後に遠方まで帰宅するなどの事情がある場合は、終了時間を聞いてみると良いでしょう。
初七日を繰り上げる場合
もし、初七日を繰り上げて法要する場合は、主に次のような方法が取られます。
- 遺骨を連れ帰り自宅でささやかなお食事の席を設ける
- 会場をあらかじめ予約しておき初七日を行う
- 火葬の間に火葬場の斎場を借りて法要を行う
上記の例のうち、自宅でささやかなお食事の席を設ける場合は、時間の区切りをつけずゆっくりと語り合うケースが多いです。
会場をあらかじめ予約しておく場合は、2時間ほどを目安にすると良いでしょう。
火葬の間に初七日を行う場合は、用意を簡単にできるよう仕出し弁当を届けてもらうケースは少なくありません。
どの方法でも、お食事の時間は1時間半から2時間が目安になるため、火葬後の繰り上げ法要を考えている人は目安にしてください。
お葬式の一般的な開始時間帯

お葬式で行われるお通夜・告別式・火葬は、はっきりとした開始時間を決めないと親族や参列者に連絡しにくいですよね。
お葬式で行われる儀式は、それぞれある程度目安となる時間帯があります。
では、お葬式で行う儀式の具体的な時間帯とはいつになるのか、その内容について詳しく解説します。
一般的な開始時間帯
お葬式で行われる法要は、一般的な開始時間がわかっていると葬儀社とも相談がしやすく、家族内でも意見がまとまります。
ここでは、お葬式の法要を次の3つに分けて、それぞれの一般的な開始時間を詳しく紹介します。
- お通夜
- 告別式
- 火葬
1.お通夜
お通夜の一般的な開始時間は、17時30分から19時です。
一般的にお通夜は夜に行われるため、開始時間も日が沈む時間を目安にすることが少なくありません。
さらに、多くの一般参列者にお声掛けをした場合、仕事が終わって駆けつけやすい17時30分以降が参列者の負担が少なく、翌日の告別式に参列できない人もゆっくりお別れできます。
逆に、20時以降になると、お通夜が終わる時間が深夜になってしまいます。
翌日の告別式のことも考え、適切な時間帯を選ぶようにしましょう。
2.告別式
告別式の一般的な開始時間は、10時から11時です。
告別式はその後の火葬時間まで考えなければならないため、できるだけ午前中から始めて午後の早い時間で終わるように決めていきます。
告別式の所要時間は2時間が目安ですが、故人の社会的地位や人脈によってはさらに時間が掛かることも少なくありません。
参列者の人数や告別式で行われるセレモニーの内容を踏まえ、適切な時間帯を予測して決めるようにしましょう。
3.火葬
火葬の一般的な予約時間は10時から15時ですが、どのような葬儀をするのかによっても時間帯が異なります。
火葬は、お骨拾いまで考えるとどうしても2時間は掛かるため、告別式の当日に火葬をするなら13時から15時が一番多い時間帯です。
火葬のみを希望するなら、朝からの予約でも問題ありません。
火葬の予約は葬儀社を通じて行うことがほとんどなので、葬儀社の人と相談してから決めていくようにしましょう。
火葬場の予約時間で異なる
お葬式で行われるお通夜・告別式・火葬のうち、実は最も重要になるのが「火葬」の予約時間です。
特に、都心部では火葬場が少ないことから予約が取れないことが多く、最初からお通夜や告別式の日時を決めてしまうと、火葬の予約時間に合わせて変更しなければなりません。
一番良いのは、火葬場の予約日時に合わせて告別式の日時を決め、最後にお通夜の日時を決める方法です。
葬儀社の人とよく相談して火葬場の日時を予約し、それからお通夜や告別式の時間帯を決めるようにしましょう。
僧侶の都合も確認する
告別式で僧侶による法要を行う場合は、僧侶の都合も確認しなければなりません。
特に、お彼岸やお盆の時期は僧侶が忙しく、場合によっては予定している時間帯よりも少し時間がずれることがあります。
最近では、葬儀社と懇意にしている僧侶にお願いすることも増えてきましたが、檀家となっている寺院があるのに予定時間を優先して他の僧侶にお願いすることは得策ではありません。
家族が代々お世話になっている僧侶がいるのであれば、まずはご挨拶して時間帯を伝えてお伺いを立ててみましょう。
お葬式のタイムスケジュール具体例

これまでお葬式に掛かる時間を細かく説明してきましたが、具体的な流れがわからないとイメージしにくいですよね。
そこで、ここでは次のように時間を設定し、お通夜から火葬を終えるまでのタイムスケジュールの具体例を詳しく解説していきます。
- お通夜:18時
- 告別式:11時
- 火葬の予約時間:14時
- 火葬場までの移動:40分
お通夜の日
最初に、お通夜の日のタイムスケジュールをお伝えしましょう。
お通夜の開始時間を18時にした場合の動きについて、家族や親族の目線から詳しく解説します。
16時~:納棺
お通夜が始まる2時間前に家族の手で納棺の儀が行われ、冥土へ旅立つ支度を終えた故人が棺に納められます。
納棺の儀は所要時間が1時間なので、故人の三親等以内の親族はお通夜の2時間前には集まり、納棺の儀を通して故人とゆっくりお別れをしましょう。
17時~:親族集合
お通夜の1時間前には親族が集まるようにし、故人へのお別れや家族に対するお悔やみを伝えます。
この段階で、先に芳名帳に住所と名前を記入し、香典を渡しても大丈夫です。
ある程度ご挨拶が済んだら、お通夜の受付や斎場の案内、通夜振舞いのお手伝いといった役割の相談をしましょう。
17時30分〜:受付
お通夜の30分前には、一般参列者の受付を始めます。
受付を終えた参列者は斎場に入りますが、自由に席に座ってしまうと席がまばらに空いてしまうのであまり良くありません。
受付を終えた人は案内係が誘導し、できるだけ席を詰めて座ってもらうようにしましょう。
18時〜:お通夜
予定時間の少し前に僧侶が入場し、18時からお通夜の法要が始まります。
お通夜の法要に掛かる時間は1時間ほどです。
お通夜の法要が済んだら、喪主からご挨拶をして参列者にお礼を述べ、通夜振舞いへ案内するようにしましょう。
通夜振舞いが始まっても遅れて来られる参列者がいますので、受付と会場には家族や親族の誰かが残るようにします。
お通夜の法要が終わって2時間ほどすると参列者の波も引き、通夜振舞いのお食事も進んでいますので、頃合を見計らってご挨拶をしてお開きにしましょう。
告別式の日
告別式の日は、法要だけではなく火葬まで行うスケジュールになります。
- 告別式の開始時間:11時
- 火葬の予約時間:14時
の場合のタイムスケジュールを解説していきましょう。
10時〜:親族集合
故人の家族と親族は、告別式の開始時間の1時間前には斎場に集まるようにします。
お通夜のときと同様に、告別式の受付や案内係など仕事の分担を決めていきます。
ここで、もう一つ重要なのが移動手段の確認です。
告別式が終わったあと、家族や親族は火葬場へ移動することになりますが、ご位牌と遺影を持つ2人以外は全員バスや自家用車での移動になります。
- 誰がバスに乗るのか
- 誰が自家用車で向かうのか
- 火葬場までの道を知っているか
など、細かい部分まで確認してスムーズに移動できるようにしましょう。
10時30分〜:受付
告別式の30分前には、一般参列者の受付を始めます。
中にはお通夜にも来てくださった参列者もいますので、ご挨拶をして斎場へ案内しましょう。
お通夜と同様に席はできるだけ詰めてもらうように促し、僧侶の入場を確認したら席に着くようにしましょう。
11時〜12時30分:告別式
告別式の所要時間は、法要や弔電の紹介、喪主の挨拶などを合わせて約1時間半です。
僧侶が退場したあとに弔電や挨拶が行われ、最後に参列者全員で棺の中に花を手向けて故人にお別れをします。
棺の蓋が閉じられたら参列者は外へと案内されますので、家族や親族で出棺の準備をしましょう。
13時〜:出棺
棺が霊柩車に乗せられたら、参列者に向けて改めてお礼を述べます。
ご挨拶が済んだらご位牌と遺影を持つ人は霊柩車へ、その他の家族・親族は移動用のバスや自家用車に乗って火葬場へ向かいましょう。
季節によっては、雨や雪などで道路が混んでいる場合があります。
もし本来通る道が混むようであれば、予約時間に到着できるよう迂回路を調べておくと良いでしょう。
14時〜:火葬
火葬場に到着すると、予約時間にあわせて火葬場の人が出迎えてくれます。
棺を運ぶための専用の台車に棺を乗せ、火葬炉の入り口まで進みましょう。
火葬炉の前で最後のお別れをした後、棺が火葬炉に入っていくのを見届けてから、家族と親族は控え室に移動して1時間半ほど待機します。
このときに控え室の備品を使ってお茶を飲むこともありますが、火葬が始まって1時間ほどを目安に片付けを始め、綺麗に洗ってから返すようにしましょう。
15時30分〜:お骨拾い
火葬が終了した後、係の人から声が掛かったら別室に移動してご遺骨を拾います。
お骨拾いの所要時間は30分ほどですが、地域によってはご遺骨を全身拾うため、もう少し時間が掛かるかもしれません。
ご遺骨を骨壺に納めたら終了です。
16時〜:終了
ご遺骨を納めたら部屋を出て、火葬場に費用を支払います。
直接帰宅する親族はここで解散し、家族は斎場に戻って預けてある香典や荷物を引き取りに行きましょう。
お葬式の時間に関するマナー・注意点

お葬式は静粛な儀式なので、特に開始時間や集合時間には気をつけなければなりません。
では、具体的にはどのような点に注意が必要なのか、お葬式の時間に関するマナーを詳しく解説します。
マナー・注意点①:親族は1時間前には集合する
故人の三親等ではない親族は、できれば1時間前には集合してお葬式の準備を手伝うようにします。
お葬式ではさまざまな手順や手続きを踏まなければならず、とても家族だけでは手が足りません。
親族が少しでも早く駆けつけて担える雑務を手分けして手伝うことで、故人の家族は精神的にも負担が減り落ち着いてお葬式の準備に取り組めるのです。
特に、女性が喪主の場合、責任感を感じるあまり無理をして倒れたり、お葬式のあとに寝込んでしまったりすることは少なくありません。
親族は1時間前には集合して、少しでも故人の家族の心身的負担を取り除けるようにしましょう。
マナー・注意点②:参列者は30分前には到着する
一般参列者は、お葬式の開始時間30分前には受付を済ませて着席するようにします。
お葬式では多くの人が故人を偲んで最期のご挨拶に来ており、緊張した空気の中で厳かに法要が行われます。
遅刻して斎場に入ってしまうと、遅刻した人が目立ってしまうだけではなく、静粛な空気を乱す可能性があります。
できれば、30分より少し前には斎場の近くに到着しておき、時間を合わせて30分前には受付を済ませるようにしましょう。
マナー・注意点③:遅刻した場合の対処方法
遅刻しないように気をつけていても、交通事情やアクシデントによりどうしても遅刻してしまうことがあります。
もし遅刻してしまった場合はどのようにすれば良いのか、遅刻した時間ごとに解説します。
30分以内なら急いで斎場へ
遅刻した時間が30分以内なら、できるだけ急いで斎場に向かいましょう。
受付に誰かいるようなら声を掛け、ご挨拶をしてから静かに斎場に入ります。
誰もいない場合は、芳名帳への記入もお香典を渡すのもあとにして、静かに斎場に入りましょう。
斎場に入ったら入り口から一番近い席につき、空気を乱さないように法要に参列してください。
1時間前後なら斎場の係に相談する
1時間前後の遅刻になる場合は、まず斎場にいる係の人に声を掛けます。
誰のお葬式に来たのかを伝え、斎場に入れるかどうかを確認しましょう。
もし斎場に入っても大丈夫なら、静かに入って入り口近くの席に座ります。
タイミング的に難しいと断られたときは、斎場には入らずお葬式が終わるまでロビーなどで待ちましょう。
お葬式が終わって扉が開いたら中へ入り、故人の家族に遅刻したことを詫びてお参りをさせてもらいます。
受付に人が戻ってきたら芳名帳に記入し、お香典を渡すようにしましょう。
1時間以上の遅刻は連絡する
1時間以上の遅刻がわかっているときは、あらかじめ連絡して遅刻のお詫びをします。
家族と直接連絡できるときは家族へ、無理な場合はお葬式が行われる斎場へ連絡しましょう。
お通夜のみ参列する場合は、連絡することで通夜振舞いから顔を出すこともできます。
あまり遅い時間でなければ故人にお参りできますし、故人の家族にも直接お悔やみを伝えられます。
まずは連絡をしてどうすれば良いか判断するようにしましょう。
まとめ

お通夜・告別式・火葬に掛かる所要時間や開始時間について詳しく解説しました。
お葬式に掛かる時間や細かいタイムスケジュールがわかっていると、見通しが立てやすくそれだけでも精神的な不安が少なくなります。
お通夜・告別式・火葬の予定を立てるときには目安時間を参考にして、心にも余裕を持って予定を立ててみましょう。