【解説】遺影写真の素材の選び方は?目的別の遺影の種類とサイズ

お葬式の祭壇一般知識・マナー

葬儀の祭壇や仏間・仏壇などでよく目にするものの一つに、故人の生前の姿を写した遺影があります。

故人がまだ元気だった頃の穏やかな表情は大切な人を亡くした悲しみを和らげてくれるものですが、いざ遺影を準備しようと思うとどのような写真が良いのか悩むことも少なくありません。

そこで今回は、遺影を準備する意味と遺影の種類とともに、具体的な準備の仕方や写真の選び方・飾り方などについて詳しく紹介します。

遺影とは

白木の位牌が据えられた祭壇

今でこそ、遺影は葬儀のために準備されることが一般的になっていますが、実はその起源はあまり古くありません。

遺影を飾るようになったのは戦時中に戦死した人の写真や肖像画を飾り供養したことが始まりと言われており、写真や肖像画が一般的でなかった時代には存在しませんでした。

戦争で大切な人が亡くなるという悲しい時代、故人の最期を看取れなかった遺族は、故人の写真や肖像画を見て心を慰め、故人の魂が安らかであるよう供養をしたのです。

 

この風習が現代にも引き継がれ、葬儀の際には故人の遺影を用意して飾り、遺族が供養することが一般的となりました。

まれに、「遺影には位牌と同じように故人の魂が宿っている」と考える人もいますが、宗教的な考えではそのような意味はありません。

しかし、故人の生前の姿が写し出されている遺影は、故人を供養する人にとっても心が慰められる大切なものと言えるでしょう。

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遺影の種類

フォトフレームと花瓶

遺影には、飾る場所や目的に合わせて種類があります。

では、具体的にどのような遺影を用意すれば良いのか、遺影を飾る場所や目的別に紹介しましょう。

遺影の種類
  • 祭壇用:四つ切りかA4サイズ
  • 仏壇・焼香用:葉書サイズ
  • 持ち運び用:キャビネサイズ
  • スライドショー形式

祭壇用:四つ切りまたはA4サイズ

お通夜や告別式などの葬儀中、祭壇上に飾られる遺影に適しているのは「四つ切り」もしくは「A4サイズ」の遺影です。

具体的な大きさは、

  • 四つ切り:縦305mm×横254mm
  • A4サイズ:縦210×横297mm

で、どちらも祭壇用としては一般的な大きさと認識されています。

終活で生前から用意をしていたり故人の遺影作成を葬儀社を通して依頼する場合は、祭壇用と伝えればどちらかのサイズで指定されるので問題ありません。

しかし、もし遺影を自分たちで用意するようでしたら、こちらのサイズを参考にして作成しましょう。

仏壇・焼香用:葉書サイズ

仏壇や焼香台に飾ることが目的なら、葉書サイズの遺影を準備します。

葉書サイズの大きさは縦148mm×横100mmですが、依頼する業者によってはKG版と呼ばれる縦152mm×横102mmのサイズを推奨されることもあります。

業者に頼むのであればどちらを選んでも問題ありませんが、自分で葉書サイズの遺影を用意するのでしたら、印刷用紙のサイズをよく確認してから準備してください。

持ち運び用:キャビネサイズ

キャビネサイズとは、簡単に言えば「葉書サイズよりも少し大きめのサイズ」のことで、家具の上に飾っていても存在感があります。

キャビネサイズの遺影は、遠方から参列した人が「せめて自宅でも遺影に手を合わせたいから」という理由で作成されるケースが多く、持ち運びする遺影として人気があります。

仏壇のない家庭だと、葉書サイズの遺影では他のスナップ写真に紛れてしまいますが、キャビネサイズの遺影なら他の写真よりも大きいのでその心配はありません。

キャビネサイズの平均的な大きさは縦178×横127mmですが、メーカーによっては多少大きさが異なっていたり、2Lという表記になっているので注意しましょう。

スライドショー形式

デジカメやスマホでの撮影が主流になってきた現代では、遺影をデジタル化してスライドショー形式で飾るのも人気です。

デジタルフォトフレームやタブレットに保存された遺影は持ち運びに便利で手持ちのインテリアに合わせられるというメリットがあるため、法要などでスライドショー形式の遺影を飾る人も少なくありません。

従来の遺影という形に慣れているとデジタル化した遺影は受け入れがたいという人もいますので、スライドショー形式の遺影を検討する時は周囲の人とよく相談してみましょう。

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遺影写真の素材の準備の仕方

スナップ写真

遺影を用意する際は、生前の故人が写っている写真から選ぶことになります。

昔ながらの写真はもちろん、現代のデータから選ぶこともあるため、できれば遺影に適した写真を準備したいですよね。

ここでは、実際に遺影を作成した人を参考にして、遺影写真の準備の仕方を紹介しましょう。

遺影写真の準備の仕方
  • デジカメやスマホのデータから選ぶ
  • スナップ写真から選ぶ
  • 終活で用意した写真を選ぶ

デジカメやスマホのデータから選ぶ

デジカメやスマホで写真を撮ることが増えた現代では、遺影の写真もデジカメやスマホのデータから選ぶことが増えています。

遺影を作成する業者としても、選んだ画像をいったんパソコンに取り込んでから加工をするため、すでにデータ化されていると受け渡しもスムーズです。

ただし、デジカメやスマホの画素数が小さいと、祭壇用に引き伸ばしたときに写真が荒くなってしまいますので、どの画像データであってもまずは適切な画素数であるかを確認して渡すようにしましょう。

スナップ写真から選ぶ

デジカメやスマホのデータ画像がなくても、すでに印刷されたスナップ写真から遺影となる画像を選ぶことも可能です。

選んだ写真を業者に預けておけば、後は業者が必要なサイズに引き伸ばして遺影を作成します。

 

しかし、スナップ写真だけだと必要な大きさに引き伸ばしたとき、画面が荒くなり加工の手間が掛かることも少なくありません。

もし可能なら、選んだスナップ写真のネガも探し出しておき、遺影の作成をお願いすとき時に業者に渡すと良いでしょう。

業者側がスナップ写真だけでも大丈夫と判断した場合は、無理にネガを探す必要はありません。

どちらがいいかわからない時は、遺影の作成をお願いする葬儀社や業者に尋ねてみましょう。

終活で用意した写真を選ぶ

近年では終活の一環として、事前に自分の遺影を作成する人も増えてきました。

自分で遺影を準備しておくと、プロのカメラマンにより綺麗な写真が遺影にできる他、画像のデータをCD-ROMで保存して置けるのでいざという時に遺族が困らないというメリットがあります。

 

実際に遺影を事前に用意したという人の中には、メイクや服装までこだわって綺麗な写真の残せるので満足したという人も少なくありません。

もし故人が終活で遺影用の写真を用意しているのであれば、そちらのデータを業者に渡して遺影の作成をお願いしましょう。

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遺影の写真・素材の選び方

花が添えられたフォトフレーム

遺影は、生前の故人の姿を見て供養するものですから、できるだけ遺影に相応しい写真を選ばなければなりません。

では、遺影の写真はどのような選び方をすれば良いのか、具体的なポイントを紹介しましょう。

遺影の素材の選び方
  • できるだけ近影の写真
  • 穏やかな表情の写真
  • 画素数が大きい写真

選び方①:できるだけ近影

故人の遺影は、できるだけ亡くなった日にちに近いものを選びます。

まれに、故人の写真が少なくて亡くなった年齢よりも若い写真が選ばれることもありますが、葬儀や法要でも遺影を飾ることを考えると享年に近い写真が適切です。

遺影の写真は、故人の命日から見てできるだけ近影のものを選び、葬儀や法要でも違和感なく飾れるように準備しましょう。

選び方②:穏やかな表情

遺影の写真は、在りし日の故人の姿を見て懐かしみ、供養をするために飾られるものです。

したがって、生前の故人らしい穏やかな表情の写真や、微笑み程度の笑顔を浮かべている写真を選んでみましょう。

 

小規模葬などで自由度が高い場合、微笑みよりももう少し砕けた表情の写真で遺影を作成することもありますが、このような場合でもある程度遺族や親族で相談し納得した上で遺影にすることほとんどです。

遺影は故人が最後に残してくれる暖かな姿ですから、故人らしく穏やかな写真を選びましょう。

選び方③:画素数が大きい

画素数とは、簡単に言えば画像の密度のことで、画素数が大きいほど写真の引き伸ばしに適しています。

写真はもともと小さな色の点が集まって画像となっており、パソコンの画面上では同じ大きさに見える写真でも画素数が大きければ色の点が多く、画素数が小さければ色の点も少ない状態です。

 

画素数の小さな写真を選んでしまうと、引き伸ばした時に色の点も引き延ばされてしまい、画像そのものがボケてしまいます。

画素数が大きい写真は、引き伸ばしても色の点が多いので崩れることがなく、画像がボケる心配はありません。

デジカメやスマホの画像データから写真を選ぶ際は、できるだけ画素数が大きい写真を選びましょう。

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遺影の飾り方

後飾り祭壇と遺影

故人の葬儀が済んだ後、遺影を家庭に飾る人は多いですが、遺影の飾り方には時期や場所にある程度の決まりがあります。

ここでは、遺影を飾る場所や時期について解説していきますので、遺影を飾るときの参考にしてみましょう。

四十九日までは後飾りの祭壇に飾る

後飾りの祭壇とは、葬儀が済んだ後四十九日を迎えるまで仏壇前にしつらえてある小さな祭壇のことです。

後飾りの祭壇には、故人の遺骨や仮の位牌、お供物・香炉などが飾られるのですが、遺影も四十九日を迎えるまでこの後飾りの祭壇に飾ります。

四十九日を迎えるまでは遺族は忌中ですし、弔問に訪れる人もいますので、遺影は後飾りの祭壇に飾っておきましょう。

四十九日後に仏間や床の間に飾る

四十九日を過ぎたら後飾りの祭壇はしまわれるので、遺影はそれ以外の場所に飾られます。

自宅に仏間や床の間があるようなら、その部屋の壁の上部に遺影を飾りましょう。

家の作りにもよりますが、壁の上部に桟があるならそこに立てかけるように、ない場合は大人の頭よりも高い位置に飾ると良いでしょう。

四十九日後に仏壇の近くに飾る

仏間や床の間がないようなら、できるだけ仏壇の近くに遺影を飾ります。

例えば、自宅がマンションでリビングに仏壇があるならその場所の近くに、自室に仏壇があるなら自室に遺影を飾りましょう。

四十九日法要後にお焚き上げする

遺影には宗教的な意味はないため、普通の写真として遺族が処分することもできますが、故人の姿が写し出されていると自分で処分することに戸惑う人も少なくありません。

もし四十九日を過ぎてどうしても遺影を飾る場所がない場合は、遺影をお焚き上げして供養する方法もあります。

四十九日の法要後、もし遺影の取り扱いで困るようなら遺族でよく相談して、お寺でお焚き上げをお願いしてみましょう。

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遺影の選び方・飾り方の注意点

注意ポイント

遺影の選び方や飾り方には、注意しなければならないことがあります。

では、具体的にどのような点に気を付ければ良いのか、遺影の選び方・飾り方の注意点を解説します。

遺影の選び方・飾り方の注意点
  • 仏壇の中や真上に飾らない
  • 故人らしい表情の写真を選ぶ
  • あらかじめ用意された遺影を優先する
  • 画素数に注意する
  • 用途に合わせたサイズにする
  • 遺族や葬儀社とよく相談して決める

注意点①:仏壇の中や真上に飾らない

遺影は、仏壇の中や仏壇の真上に飾ってはいけません。

仏壇の中にはすでに仏様や位牌がいらっしゃるため、遺影を飾ると仏様やご先祖の霊に失礼にあたります。

また、仏壇の真上に物があることも仏様に失礼なので、遺影は仏壇の中や真上に飾らないようにしましょう。

注意点②:故人らしい表情の写真を選ぶ

遺影は、遺族だけではなく手を合わせる人すべてが目にするものです。

したがって、多くの人が遺影を見て生前の故人を思い出せるよう、故人らしい表情の写真を選ばなければなりません。

 

選んだ写真がかなり昔のものだったり、あまり故人とかけ離れた表情の写真を選んだりしてしまうと、本来の遺影の目的から離れてしまいます。

遺影を選ぶ際は故人らしい表情の写真を選び、多くの人が納得できるものにしましょう。

注意点③:あらかじめ用意された遺影を優先する

もし故人が生前に遺影を用意していたら、あらかじめ用意されていた遺影を優先しましょう。

終活で遺影を用意している人の中には、「この服で写真を撮りたい」「綺麗にメイクをした写真を残したい」といった希望がある人も少なくありません。

せっかく用意した遺影用の写真を使わないことは、故人の遺志を尊重せず傷つける結果になります。

あらかじめ遺影用の写真があるのなら、できるだけそちらを優先してください。

注意点④:画素数に注意する

デジカメやスマホの画像データから写真を選ぶ際は、必ず画素数をチェックしましょう。

特に、写真を大きく引き伸ばす祭壇用の遺影では、画素数が大きくないとかなり画像が粗くなり修正の手間が掛かります。

必要な画素数が分からない場合は、遺影の作成をお願いする業者などに確認を取り、加工しても問題がない画素数の写真を選びましょう。

注意点⑤:用途に合わせたサイズにする

用意する遺影のサイズは、用途によってそれぞれ異なります。

葬儀社や業者にお願いするのであれば、用途を伝えるだけでそれに合ったサイズの遺影を作成してもらえます。

しかし、自分で用意する場合は必ず必要なサイズを確認し、用途に合わせた遺影にしましょう。

注意点⑥:遺族や葬儀社とよく相談して決める

遺影の写真を選ぶ際、どうしても決められなかったり迷ったりする場合は、必ず遺族や葬儀社とよく相談して決めてください。

葬儀社に頼むのなら丁寧にアドバイスがもらえますし、必要な個数を提示して注文することも可能です。

 

特に、写真選びの段階では故人らしい表情の写真を探す段階で迷ったり、注文する遺影の個数などで困ることもあります。

遺族や葬儀社とよく相談してから決めるようにしましょう。

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まとめ

故人が亡くなった後でも、生前の姿が遺影として飾られているとふと目にしたときに暖かな気持ちになり、その気持ちが故人の供養へとつながります。

遺影に使う写真の選び方や正しい飾り方をよく理解して、故人にとっても良い供養となるような遺影を準備しましょう。

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この記事を監修したのは、
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