【2022】相続手続きの手順は?遺言書がある場合・ない場合

相続手続きの手順遺産分割協議
この記事を監修した専門家は、
牛腸真司
税理士
立命館大学卒業2011年、税理士登録。税理士登録番号は118275。2012年 東京都港区益本公認会計士事務所(現税理士法人総和)にて資産税対策専任。2015年 千葉県税理士会登録。千葉県税理士会松戸支部広報部員。

身内が亡くなった場合、どのような流れで相続手続きを進めるべきか悩んでしまうことも多いでしょう。今回は、一般的な相続手続きの流れについて、遺言書がある場合とない場合とに分けて詳しく解説します。

相続手続きの手順:遺言書がない場合

遺言書がない場合の相続手続きは、次のように進めましょう。なお、財産や相続人などの状況によっては順序が前後したり他の手続きが必要となったりする場合もありますので、一般的なケースとしてご参照ください。

役所関係の手続きを済ませる

はじめに、役所関係の手続きを済ませましょう。役所関係の手続きとして、代表的なものは次のとおりです。

  • 死亡届の提出:死亡後7日以内に死亡地か故人の本籍地であった市区町村役場へ提出します。
  • 年金受給者死亡届:国民年金の場合は亡くなった日から14日以内、厚生年金の場合は亡くなった日から10日以内に行います。
  • 国民健康保険資格喪失届:死亡日より14日以内に故人の住所地であった市区町村役場へ提出します。
  • 世帯主の変更届:死亡日より14日以内に故人の住所地であった市区町村役場で行います。住民票の世帯主であった人が亡くなり、かつ残った世帯員が2人以上いる場合に必要となります
  • 葬祭費や埋葬料の請求:国民健康保険や健康保険の加入者が死亡した場合に受け取れる可能性がある給付です

その他、電気料金など公共料金の引き落とし先の変更も、このタイミングで行っておくと良いでしょう。

相続財産を調査して財産目録を作成する

この先に行う手続きの準備として、故人(「被相続人」といいます)の財産を調査して、財産目録にまとめます。同居しておらず財産状況が一切分からない場合や、財産の数が多く把握しきれない場合などには、専門家へ依頼してサポートを受けると良いでしょう。

相続人を確定する

財産の把握と同時進行で、被相続人の相続人を確定します。被相続人の配偶者とその配偶者との間の子のみが相続人となるケースでは把握は難しくないでしょう。

一方で、被相続人に以前の配偶者との間に子がいる場合や、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合などには、相続人の確定に時間を要する可能性があります。相続人が漏れてしまえばこの先で行う遺産分割協議が無効になってしまうため、相続人の確定は慎重に進めてください。

相続人を確定するには、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍謄本など見慣れない多くの書類が必要です。これらの書類は、後の手続きでも必要となるものです。そのため、自分で集めることが大変である場合には、専門家の収集代行を依頼することも検討すると良いでしょう。

相続放棄か単純承認かを決める

次に、その相続について相続放棄をするか単純承認をするかを決めましょう。

相続放棄とは、はじめから相続人ではなかったものとする手続きであり、家庭裁判所で行います。はじめから相続人ではなかったこととなりますので、借金などマイナスの財産があっても引き継がずに済む一方で、プラスの財産も一切相続できなくなります。

相続放棄をする場合には、自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。そのため、相続放棄を検討している場合には、早めに手続きを済ませるようにしましょう。

一方、単純承認とは、通常どおり相続を受けることです。単純承認する場合には、特別な手続きは必要ありません。

遺産分割協議を行う

相続放棄をしなかった法定相続人の全員で、遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、誰がどの遺産をもらうのかという遺産分けの話し合いのことです。

無事に遺産分割協議が成立したら、協議の結果をまとめた遺産分割協議書を作成しましょう。

相続税申告をする

相続税申告が必要となる場合には、相続開始を知ってから10ヶ月以内に相続税の申告と納税を行います。

相続税申告は、遺産総額に被相続人が行った過去の一定の贈与を加算した合計が、次の式で計算をする「相続税の基礎控除額」を超える場合にのみ必要です。

  • 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

相続税申告が必要となりそうな場合には、相続が起きたらできるだけ早く税理士へ相談しておきましょう。

各財産の名義変更をする

最後に、不動産や預貯金など、各財産の名義変更や解約手続きを行います。名義変更や解約の際に必要となる書類については、後ほど詳しく解説します。

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相続手続きの手順:遺言書がある場合

被相続人が遺言書を遺していた場合の相続手続きは、次のような流れとなります。

役所関係の手続きを済ませる

はじめに、役所関係の手続きを済ませましょう。こちらは、遺言書がない場合の手続きと特に変わるところはありません。

遺言書の検認を行う

遺言書の種類が検認の必要であるものであった場合には、すみやかに検認手続きを行います。遺言書が次のものであった場合には、検認は必要ありません。

  • 「公正証書遺言」
  • 法務局での保管制度を活用した「自筆証書遺言」

一方で、遺言書が次のものなどであった場合には、検認が必要です。

  • 法務局での保管制度を活用していない「自筆証書遺言」

検認とは、遺言書の状態を保存するために家庭裁判所で行う手続きのことです。検認が必要な遺言書は、検認を経なければ名義変更などの手続きに使うことができません。

相続税申告をする

相続税申告が必要となる場合には、期限内に申告と納税を済ませましょう。相続税については、遺言書がない場合の手続きと特に変わりはありません。

各財産の名義変更をする

最後に、各財産の名義変更を行います。有効な遺言書がある場合の名義変更では、原則として遺産分割協議書や他の相続人の印鑑証明書が不要になるなど、必要書類が大きく軽減されます。

各財産の相続手続きに必要となる書類

各財産の名義変更や解約などの相続手続きで必要となる書類は、次のとおりです。なお、これは遺言書がない場合の一般的な必要書類です。

遺言書がある場合には、遺言書が必要となる代わりに、遺産分割協議書や相続人全員の印鑑証明書などが原則として不要となり、必要書類は少なくなります。一方で、相続関係や状況によってはこれら以外の書類が必要となる場合もありますので、実際に手続きをする際には、手続き先であらかじめ必要書類を確認しておくと良いでしょう。

遺産分割協議書

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果をまとめた書類です。相続人全員が協議内容に同意していることの証として、相続人全員が実印で捺印をします。どの遺産を誰が相続したのかが分かるよう、明確に記載しましょう。

特に、不動産はその不動産の全部事項証明書を確認しながら、全部事項証明書の記載どおりに明記してください。記載内容があいまいである場合には、相続手続きに使用できない可能性があるためです。

相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書に押印が実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。金融機関など手続き先によっては、印鑑証明書に3ヶ月や6ヶ月などの使用期限を設けている場合がありますので、あらかじめ手続き先に確認しておくと良いでしょう。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等

相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本が必要となります。

それぞれ、その時点で被相続人が本籍地を置いていた市区町村役場で取得しましょう。郵送で取り寄せることも可能です。

なお、相続人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪である場合には、これらに加えて被相続人の両親それぞれの出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本も取得しなければなりません。

被相続人の除票

被相続人の除票は、不動産などのその財産の名義人と、今回死亡した被相続人の同一性を確認するために必要です。被相続人の最後の住所地を管轄する市区町村役場で取得します。

除票は不動産の相続手続きでは原則として必要となりますが、金融機関などの手続きでは不要であることが少なくありません。

相続人の戸籍謄本

相続人が生存していることを確認するため、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要です。

その財産を相続する人の住民票

不動産の相続手続きの際には、その不動産を相続する人の住民票が必要となります。これは、新たな名義人の住所を、正しく登記するためです。金融機関などの手続きでは、原則として必要ありません。

手続き先の所定様式

これらの基本書類と併せて、手続き先ごとの所定様式が必要となることが一般的です。不動産の場合には、登記申請書がこれにあたります。

登記申請書は穴埋め形式ではなく、原則として自分で一から作成しなければなりません。また、金融機関では金融機関ごとに異なる所定様式がありますので、あらかじめ様式を入手しておくとスムーズでしょう。

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まとめ

今回は、相続手続き全体の手順を解説しました。全体の手続きを行う際には、全体の流れを知ったうえで進めていくとわかりやすいのではないでしょうか。

しかし、相続手続きには除籍謄本など見慣れない書類も多く必要となり、すべてを自分で集めることは容易ではありません。また、特に不動産の手続きでは登記申請書も作成しなければならず、こちらも一から自分で行うことは困難でしょう。

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