【2022】遺産分割協議とは?やり方と遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議遺産分割協議
この記事を監修した専門家は、
牛腸真司
税理士
立命館大学卒業2011年、税理士登録。税理士登録番号は118275。2012年 東京都港区益本公認会計士事務所(現税理士法人総和)にて資産税対策専任。2015年 千葉県税理士会登録。千葉県税理士会松戸支部広報部員。

相続について決めるときに問題になるのが、残された遺産をどう分けるかということ。
誰もが納得いく「遺言書」があればよいのですが、遺言書の普及率は10%程度と言われており、遺言書が無いケースもたくさんあります。
そのような場合、相続人全員で話し合いをし、遺産の分け方を決めることになります。それが遺産分割協議による相続です。


被相続人=資産を残す人=亡くなった方
相続人=資産を受け継ぐ人=配偶者、子供、親戚など


遺産分割協議とは

誰かが亡くなると、その人が生前所有していた財産の相続が発生します。遺言書があれば、基本的にはそれに従って遺産を分割することになりますが、

  1. 遺言書がない
  2. 遺言書の内容に全員が納得いっていない

という場合、話し合いで遺産の分割方法を決めることになります。この話し合いを、遺産分割協議とい一般的ないます。

遺言書があっても遺産分割協議が開かれるケース

遺言書がない、というのは文字通りですが、「全員が納得いっていない」という状態は少し抽象的ですね。具体的には以下のようなケースの場合を指します。

遺言書に記載のない遺産がある場合

本来は全ての資産に関して、どのように分割すべきか遺言書に書かれているはずですが、遺言書に載っていない資産が判明した場合です。遺言書に載ってないので、遺産分割協議を開く必要があります。

遺言書の内容に不服がある場合

これは色々なケースがありますが、代表的なものを述べると、遺言書の内容が、相続人の遺留分を侵害している場合です。遺留分とは「相続人に最低限保証されている権利」のことで、基本的には、法定相続で受け取る額の半分と定められています。

遺言書に「遺産のすべてを寄付する」「半分をお世話になった介護士さんに」などと、第三者へ遺産を渡す旨が書かれている場合、相続人にとっては遺留分が侵害されるケースが多く、遺産分割協議に発展するのです。

上記の2つのようなケースでは、たとえ遺言書が残されていたとしても遺産分割協議が実施されます。

相続人全員で行う必要がある

また、遺産分割協議を行なう上で注意すべきは、相続人全員で行わなければならないという点です。遺産分割協議で作成する、遺産分割協議書には相続人全員の押印が必要で、誰か1人でも抜けていた場合、無効になってしまいます。

期限については、いつまでにしなければならないという法的な期限はありませんが、仮に相続人の誰かが、相続放棄の手続きを取ろうとする場合、3ヶ月以内に家庭裁判所への申し立てが必要になります。

その意味でも、相続発生から1〜3ヶ月以内に相続人全員で遺産分割協議を開催することが望ましいと思われます。

必ずしも対面で行わないといけないという事ではないので、電話などで済ますことも出来ない事はありませんが、印鑑が必要になるので、その場合は郵送等で他の相続人からの押印を取り寄せることとなります。

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遺産分割協議はどのタイミングで実施するのか

1章で遺産分割協議について簡単な概要や、注意点について解説しました。2章では、遺産分割協議を含めた、相続の全体的な進め方や必要書類について解説します。

1.遺言書を確認する

まず、遺言書がないかどうか確認しましょう。前述の通り、遺言書がない場合や、あったとしても内容に不足や不服がある場合には、遺産分割協議を行うことになります。

逆に遺言書が見つかった場合は、その内容通りに遺産分割を行うことになりますが、遺言書は法的に正しい扱いをしないといけないため、誰でも勝手に開封して良いという訳ではありません。遺言書が見つかった場合は、きちんと検認作業を行うようにしましょう。

2.法定相続人の確定

遺産を相続できる権利を持つ人を、法定相続人と呼びます。

法定相続人には順位があり、高い順から、配偶者、子(非嫡出子も含む)、親、兄弟姉妹となります。配偶者は常に相続人になり、その他は、子がいなければ親が、子も親もいなければ兄弟姉妹が相続人になるというわけです。これらの情報は近しい身内であれば調べなくても分かることが多いです。

しかし相続では「相続人が誰であるか」という事を法的に証明する必要があり、そのために取得すべき書類があります。法定相続人を調べるためには、以下の書類が必要になります。

  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の出生から死亡までの除籍謄本
  • 被相続人の改正原戸籍

いずれも、被相続人の本籍地の役所や役場で入手できます。また、郵送で取り寄せることも可能です。

またこれらの書類は相続人の調査だけでなく、不動産の名義変更、銀行口座の凍結解除、年金・保険の手続きなどにも必要となることが多いので、全て取得するのに多少労力はかかりますが、きちんと取得しましょう。

3.相続財産の調査

次に、相続すべき財産を調査、確定させます。財産には、不動産や預貯金、有価証券といったプラスのものだけでなく、借金や税金、未払い金といったマイナスのものも含まれます。通帳や固定資産の納税通知書などから確認し、できれば財産目録を作っておきましょう。

4.遺産分割協議の実施

遺言書の有無を確認し、相続人を調べる、そして相続財産が把握できたら、いよいよ遺産分割協議を実施します。遺産分割協議の進め方については、3章で詳しく解説しますので、ここでは割愛します。

5.それ以外で用意すべき書類

相続人を確定させるために、被相続人の戸籍謄本が必要でしたが、相続ではその他の手続きも含めて、用意しなければならない書類がたくさんあります。

  • 被相続人の住民票の除票、戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の、住民票
  • 相続人全員の、印鑑証明
  • 相続人全員の、実印

戸籍謄本は本籍地で、それ以外は住民登録をしている市区町村の役所および役場で入手できます。郵送での取り寄せも可能です。

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遺産分割協議の期限

遺産分割協議自体には、原則として期限はありません。

ただし、遺産分割協議が成立しなければ原則として預貯金を解約したり不動産の名義変更をしたりすることができません。そのため、相続手続きをすみやかに終えるためには、早めに協議を行った方が良いでしょう。

また、相続税の申告が必要である場合には、申告期限である相続開始後10ヶ月以内までには遺産分割協議を成立させることをおすすめします。なぜなら、仮に申告期限までに遺産分割協議がまとまっていなかった場合には、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など、相続税を大きく減らせる可能性が高い特例を使用することができないためです。

所定の手続きをしたうえで申告期限後3年以内に協議がまとまればこれらの特例の適用を受けることはできるものの、それでも申告のし直しが必要となるため、手間や税理士報酬が大きくなってしまいます。

また、申告期限後3年以内に申告をし直すことで還付を受けられる可能性があるものの、いったんは特例の適用を受けない前提の額で相続税を納めなければなりません。そのため、一時的な費用の負担も大きくなってしまうでしょう。

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遺産分割協議の進め方について

3章では具体的な遺産分割協議の進め方について、解説します。法的に決まっている明確な手順がある訳では無いので、進める時に気を付けるべき点などを説明します。

法定相続分どおりに分けるのが原則

遺言書が無いため、基本的にはどのような分け方をしても相続人の自由ですが、ある程度の公平さを保つ必要があるため、原則としては法定相続分どおりに分割することになります。法定相続分とは、相続法によって定められた遺産の分割の仕方のことで、以下のように定められています。

  • 配偶者と子ども:配偶者が1/2、残りの1/2を子どもで等分
  • 配偶者と親:配偶者が2/3、残りの1/3を親で等分
  • 配偶者と兄弟姉妹:配偶者が3/4、残りの1/4を兄弟姉妹で等分

特別受益について

遺産分割の内容を決める際、遺留分など考慮すべきことがいくつかありますが、特別受益の持戻しについては揉め事に発展するケースもあるため、注意が必要です。特別受益とは、特定の相続人が、被相続人から生前に贈与などで受けていた場合の利益のことです。

ケーススタディ

  • 相続人:配偶者、子(2人)
  • 相続財産:2,000万円

法定相続通りに分けると、

  • 配偶者:1000万円
  • 子(2人):500万円ずつ

となりますが、仮に子供のうち1人だけ、被相続人の生前に住宅購入費として500万円の援助を受けていたとしましょう。1人の子どもは生前の住宅購入費の援助と今回の相続財産で合わせて1000万円受け取ったことになるので、不公平が生じてしまいます。そうならないために、相続分は特別受益(=今回で言う住宅購入費の500万円)を含んだ計算方法で算出することになっているのです。

よってこのケースでは

  • みなし財産:2500万円(相続財産2000万円+特別受益500万円)

を法定相続分どおりに分割し

  • 配偶者:1250万円
  • 子(2人):625万円ずつ

が法定相続分となります。そしてこのうち、特別受益を受けていた子の相続分は、625万円-500万円(特別受益分)=125万円となるわけです。

特別受益の種類

主な特別受益は、以下のとおりです。

  • 遺贈(遺言書に、財産を遺贈する、相続させると書かれている)
  • 高等教育を受けるための学費
  • 不動産
  • 不動産の購入資金や事業の開業資金の援助
  • 有価証券
  • 婚姻の際の持参金や支度金

遺産分割の4つの方法

原則としては、法定相続分に従って分割すればよいのですが、相続財産の中に不動産など「物理的に分けることが難しい財産」がある場合は、うまく分割できないこともあります。そんなときの分割方法は、大きく4つあります。

1.現物分割

自宅の土地建物は妻に、マンションは長男に、預貯金は次男にといったように、現物をそのまま分ける方法です。最も簡単ですが、公平な分割はどうしても難しくなってしまいます。

2.換価分割

財産を現金化して分割する方法です。公平に分けることはできますが、一度現金化する必要があるため、売却に手間と費用がかかります。

また、不動産の売却で出た所得には譲渡所得税がかかることがあるので注意が必要です。

代償分割

現物分割で公平にならなかった場合に、相続する財産が多い人が、少ない人に代償金を払って調整する方法です。相続分が多い人がそれなりの財産を持っている必要があり、現実的には難しい場合もあります。

また、代償金は現金以外に不動産などで支払うこともできます。ただし、この場合は代償金を払う人に譲渡所得税が課せられる場合があります。

共有分割

ひとつの財産を、相続人で共有する方法です。たとえば、自宅の土地建物の1/2は妻が、1/4は長男が、1/4は次男がというように、法定相続分に合わせて相続します。売却や取り壊しの際には全員の同意が必要なこと、共有者が亡くなった場合、さらなる相続が発生して共有者が増えることなどを考えると、あまりおすすめできません。

また、自分の持ち分であれば自由に売却などができるので、自宅の土地建物の半分だけが他人に渡ってしまうという可能性も否定できません。

ケーススタディ

相続人

  • 配偶者、子A、子B

相続財産

  • 時価1億円、取得費と譲渡費用の合計が7000万円の不動産a
  • 時価5000万円、取得費と譲渡費用の合計が3000万円の不動産b
  • 預貯金2000万円

現物分割する

配偶者が不動産a、子Aが不動産b、子Bが預貯金をそれぞれ相続する。

一部を換価分割する

配偶者が不動産aを相続する。

不動産bを5000万円で売却し、預貯金と合わせた7000万円を、子A、子Bで3500万円ずつ相続する。このとき、不動産bを売却したことで、2000万円の利益が出ています。利益は子Aと子Bで分割しているので、それぞれ、1000万円分の利益について、譲渡所得税が課せられる可能性があります。

全てを換価分割する

不動産a、不動産bを売却する。預貯金と合わせた1億7000万円を配偶者、子A、子Bで分割する。配偶者は8500万円、子Aと子Bは4250万円ずつ相続する。

このとき、不動産aの売却で3000万円、不動産bの売却で2000万円の利益が出ています。利益は配偶者が1/2、子Aと子Bが1/4ずつ得ているので、配偶者は2500万円分、子A、Bは1250万円分の利益について、譲渡所得税が課せられる可能性があります。

代償分割する

相続財産は1億7000万円分なので、法定相続分は、配偶者が8500万円、子A、子Bが4250万円ずつである。配偶者が不動産a、子Aが不動産b、子Bが預貯金を相続する。配偶者が、1500万円(1億円ー8500万円)を子Bに支払う。子Aが750万円(5000万円ー4250万円)を子Bに支払う。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議で具体的な分割の内容が決まったら、遺産分割協議書の作成を行います。

遺産分割協議を開いただけで終わってしまっては後々「言った言わない問題」が起こりかねませんし、銀行などの預貯金や、不動産の名義変更などの手続きを行う場合、遺産分割協議を行なった証明として必ず遺産分割協議書の提出を求められるので、必ず作成しておきましょう。

遺産分割協議書には決まった形式はなく、第三者が見てその内容がわかれば問題ありません。書くときには、以下のポイントを盛り込みましょう。

  • 被相続人の情報
  • 誰が何の財産を取得するのか、具体的な内容と割合(全ての相続財産について記載する)
  • 協議の日付
  • 相続人全員の住所、署名(できれば自筆)、捺印(実印)

これを人数分作成し、相続人が各自1通ずつ所持することになります。

相続放棄という選択

1章で「遺産分割協議に期限はないけれど、相続放棄の手続きとかがあるので、1〜3ヶ月以内に終えると良い」と説明しました。

改めて相続放棄、そして限定承認について説明します。相続財産には、借金などのマイナスのものもあります。そんなときには、相続放棄をする、もしくはプラスの範囲内でマイナス分を相続する限定承認をするという選択肢があります。

どちらも、3ヶ月の熟慮期間中に家庭裁判所への申請が必要です。

相続放棄

相続人が独断で行うことができます。たとえば、配偶者と子のうち、子だけが相続を放棄することが可能です。その場合、もし被相続人の親や兄弟姉妹がいた場合、次の順位の相続人に権利が移ることになります。

限定承認

限定承認は、相続人全員で手続きを行わなければなりません。相続人のうち、ひとりでも反対の人がいれば、限定承認はできないことになります。

遺産分割協議で決まらなかったら

もし、遺産分割協議をしても決まらない場合、あるいは、相続人との話し合いができない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをすることができます。
遺産分割調停とは、調停官と調停委員が間に入って、遺産の分割方法について話し合うものです。ここで決まれば、調停調書が作成されます。

それでも決まらない場合は、自動的に遺産分割審判が行われます。これは、家庭裁判所の裁判官が分割方法を決定するもので、審判が確定すると審判書が作成されます。

もし、審判内容に不服がある場合は、異議申し立てをして、高等裁判所での審理に持ち込むこともできますが、そこまでいくケースはほとんどないと考えてよいでしょう。

相続人全員での話し合いが困難なときの対応

遺産分割協議は相続人全員で実施する必要があり、最後には分割協議書に全員の押印が必要です。しかし、さまざまな理由で、相続人全員が物理的に集まって協議することができない場合、どのようにすれば良いのでしょうか?

ケースに分けて確認します。

相続人が遠方に住んでいる

相続人が遠方に住んでいて、直接の話し合いが困難な場合、電話やメールなどで取り決めすることも可能です。遺産分割協議書は郵送などでやりとりし、署名、捺印をそろえる方法が最も簡単でしょう。

また、仮に調停へと発展した場合でも、テレビ電話などでの参加が認められています。

相続人の意思能力が欠如している

認知症などで意思能力が欠如している相続人がいる場合はどうすればよいのでしょう。相続財産が現金のみ、法定相続分に従って分けたので遺産分割協議書は不要、と判断した場合は、特別な手続きはいりません。

しかし、書面に残さなかったことであとから問題が起こる恐れはあります。それを防ぐには、成年後見人制度を利用するとよいでしょう。

家庭裁判所に申し立てをすれば、相続人の成年後見人を選出してくれます。親族に適切な人がいればその人が、いない場合には、第三者が後見人となり、その後の遺産分割協議に参加することになります。

遺産分割協議のやり直しは原則できない

遺産分割協議によって相続内容が決まったら、後からのやり直しは原則できません。しかし、後から他の財産が出てきた場合や、他の相続人が見つかった場合には、再度話し合いをすることになります。

この面倒を避けるためにも、相続財産と相続人の確認はしっかり行っておきましょう。

また、後になって遺言書が出てきた場合、相続人全員がこれを無視することに同意すれば、やり直しの必要はありません。しかし、ひとりでも反対する人がいると、遺言書どおりに相続をし直さなければならなくなることがあります。

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遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書は、どのように作成すればよいのでしょうか?ここでは、法務局のホームページに掲載されている例をもとに、遺産分割協議書の基本的な書き方を解説します。

遺産分割協議書の例

被相続人の情報を記載する

はじめに、誰の遺産についての遺産分割協議書であるのかが分かるよう、亡くなった人(「被相続人」といいます)の情報を記載します。被相続人の情報は、記載例のように文章で記載しても構いませんし、箇条書きで書いても構いません。

 

被相続人について最低限記載するべき情報は、次のとおりです。

 

  • 氏名:戸籍上の氏名を正しく記載します
  • 最後の住所:住民票(除票)どおりの表記で、省略せずに正しく記載します
  • 死亡年月日:戸籍謄本や除籍謄本どおり、死亡年月日を正しく記載します

 

なお、被相続人の情報としては、ほかに生年月日や本籍地を記載する場合もあります。

遺産分割協議がまとまった旨を記載する

前文として、相続人全員で遺産分割協議をしたことと、ここに記載の内容で無事に協議がまとまった旨を記載しましょう。協議をした相続人については、誰が協議をしたのかがわかるよう、全員の氏名を羅列することが一般的です。

誰がどの財産を取得することになったのか記載する

遺産分割協議書には、誰がどの財産を取得することになったのかを記載します。誰が読んでも異なる解釈にならないよう、明確に記載してください。

また、財産についてはどの財産のことであるのかが分かるよう、特定できる内容を明記します。それぞれの財産についての書き方は、次のとおりです。

土地と建物

特に土地や建物については、その土地や建物の全部事項証明書を確認しながら次の事項を明記してください。

  • 土地:所在、地番、地目、地積
  • 建物:所在、家屋番号、種類、構造、床面積

これらについて、全部事項証明書に書かれている情報をそのまま転記すれば問題ありません。記載があいまいであったり誤っていたりすれば、相続登記などの手続きができない可能性があるため注意しましょう。

なお、全部事項証明書は、全国どこの法務局からでも、誰でも取得することが可能です。

取得にかかる手数料は、1通600円です。また、インターネット上から登記されている情報を閲覧することもでき、こちらは全部事項証明書よりも安価で閲覧できます。金額は定期的に変更されていますが、令和4年9月現在は1通332円です。

預貯金

預貯金については、次の情報を記載しましょう。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 預金種別(普通預金、定期預金など)
  • 口座番号

なお、残高までは記載しないことが一般的です。これらについて、預金通帳などを確認しながら正しく記載してください。

有価証券

証券口座に預託している上場株式などの有価証券の場合には、次の情報を記載しましょう。

  • 証券会社名
  • 支店名
  • 口座番号
  • 銘柄
  • 株数や口数

証券口座がある場合には、あらかじめ証券会社から残高証明書を取り寄せ、取り寄せた残高証明書で銘柄名や株式数などを確認したうえで作成することをおすすめします。

協議がまとまった日を記載する

遺産分割協議書には、遺産分割協議がまとまった日付を記載します。実際に協議がまとまった日であればいつの日付であっても構いませんが、被相続人が亡くなった日より前の日付とすることはできません。

相続人全員が署名捺印する

遺産分割協議書には、相続人全員が署名と実印での捺印をします。相続人の情報としては、氏名のほかに、現住所を記載することが多いでしょう。

その他、生年月日や被相続人から見た続柄(「長女」など)を記載する場合もあります。

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遺産分割協議に関するよくある質問

最後に、遺産分割協議に関するよくある質問に回答します。

法定相続分どおりに分けないといけないのか

法定相続分とは、民法で決められた相続分です。たとえば、配偶者と長男、長女の3名が法定相続分である場合の法定相続分は、配偶者が2分の1、長男と長女がそれぞれ4分の1ずつとなります。

では、必ずしもこの法定相続分どおりに遺産を分けなければならないかというと、そういうことではありません。相続人全員が合意をするのであれば、たとえば長男と長女は一切相続せずに配偶者が全財産を相続したり、配偶者と長女のみが相続して長男は一切相続したりしても良いのです。

ただし、仮に相続人同士では話し合いがまとまらず調停や審判へと移行した場合には、原則として法定相続分をベースとして遺産分割をすることとなります。

また、次で解説する認知症の人や未成年者などが相続人の中にいる場合、これらの人については、原則として法定相続分を確保する内容で遺産分割を行うことが必要です。

相続人が認知症ならその人を無視して進めてよいか

相続人の中に重度の認知症の人がいる場合、その人を無視して手続きを進めて良いのでしょうか?

結論をお伝えすると、たとえ認知症であったとしても、相続人の一部を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。仮に認知症の相続人を無視して遺産分割協議を行ったのであれば、その協議は無効となります。

しかし、重度の認知症の人は、自分で有効に遺産分割協議を行うことも不可能です。では、どうすれば良いのでしょうか?

この場合には、遺産分割協議に先だって、「成年後見人」を家庭裁判所で選任してもらわなければなりません。そのうえで、その成年後見人が、認知症となった相続人の代わりに遺産分割協議に参加することとなります。

なお、成年後見人は認知症である本人の不利益になる行為はできません。そのため、この場合には、認知症である相続人が少なくとも法定相続分は取得する内容でなければ協議を成立させることはできないでしょう。

また、成年後見人は、たとえ遺産分割協議をきっかけとして選任したのだとしても、遺産分割協議が終わったからといって解任できるわけではありません。一度選任をしてもらった以上、原則として亡くなるまでのお付き合いになりますので、この点についてもあらかじめ理解しておきましょう。

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まとめ

遺産分割協議は、遺言書がない、あるいは遺言書に不備や不服がある場合に、相続内容を決めるために行う話し合いです。
基本的には法定相続分どおりに分けることになりますが、不動産などがある場合には、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割といった方法で分けることになります。
遺産分割協議は、原則やり直しはできません。トラブルを防ぐためにも、決定した内容は必ず書面に残しておきましょう。

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