【2022】相続での不動産の名義変更は自分でできる?必要書類・費用・手順

相続での不動産の名義変更は自分でできる?不動産
この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。2021年、AGE technologiesへ入社。

不動産を持っていた人が亡くなって相続が起きると、名義変更手続きの必要性が生じます。では、不動産の相続での名義変更は、自分で行うこともできるのでしょうか?

今回は、自分で相続での不動産名義変更する流れや必要書類、自分で相続登記を行うデメリットなどについて詳しく解説します。

不動産の相続での名義変更とは

不動産の相続での名義変更

相続での不動産の名義変更とは、亡くなった人(「被相続人」と言います)の名義となっている不動産を、相続人の名義などへと変える手続きです。不動産の持ち主の変更は、原則として当人同士の話し合いだけで成立させることができます。

たとえば、相続の場面では、相続人全員で行う遺産分けの話し合い(「遺産分割協議」と言います)がまとまった時点で、協議の結果不動産を取得することになった人が権利を取得することとなります。しかし、法務局で名義変更の登記をしなければ、そのことを第三者へ対抗(主張)することができません。

遺産分割協議の結果長男が自宅不動産をすべて取得することになったにも関わらず、長男が法務局で名義変更手続きをしていなかった場合で考えてみましょう。

この場合において、二男にお金を貸している債権者が二男の法定相続分を差し押さえて第三者に売り払ってしまったとしても、長男は売られてしまった部分の不動産を取り返すことができないということです。

このようなトラブルを避けるためには、相続で不動産を取得したらすみやかに法務局での名義変更手続きまでを済ませておく必要があります。この法務局で登録された名義人を変える手続きが、相続での不動産の名義変更手続きです。

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不動産の相続での名義変更にはいくらかかる?

不動産を相続で名義変更するためには、主に次の3つの費用がかかります。

不動産の相続での名義変更にかかる費用
  • 司法書士報酬
  • 必要書類の取得費用
  • 登録免許税

このうち、「司法書士報酬」は、司法書士へ不動産の名義変更手続きを依頼した場合にのみかかる費用です。一方、「必要書類の取得費用」と「登録免許税」は、司法書士へ依頼せず自分で名義変更手続きをした場合であってもかかります。

それぞれについて解説していきましょう。

司法書士報酬

司法書士報酬は、法律などで一律に決まっているわけではありません。そのため、依頼をする司法書士によって、報酬額や報酬の計算方法は異なります。

一般的な相場としては、相続での不動産の名義変更手続きを依頼した場合の司法書士報酬は、おおむね8万円から10万円であることが多いでしょう。

ただし、複雑な相続である場合や不動産の数が多い場合、書類の取り寄せからすべてを依頼した場合などには、報酬が加算される場合があります。

依頼先の司法書士や相続の状況などによって金額は変動しますので、司法書士報酬を正確に知るためには、依頼を検討している事務所へ個別で見積もりを取ることが必要です。

必要書類の取得費用

後ほど解説しますが、相続で不動産を名義変更するためには、さまざまな書類が必要となります。これらの書類の取り寄せにかかる費用は相続人の状況などによって異なりますが、相続人が配偶者や子である場合などで、おおむね5,000円から1万5,000円であることが多いでしょう。

一方、相続人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪である場合には取得すべき書類も増えるため、おおむね1万5,000円から2万円の費用がかかることが一般的です。

登録免許税

法務局で不動産の名義を変える際には、登録免許税という税金を納めなければなりません。相続で名義変更をする場合の登録免許税額は、原則として次のとおりです。

  • 登録免許税額(相続)=不動産の固定資産税評価額×1,000分の4

たとえば、名義変更をしようとする不動産の固定資産税評価額が2,000万円である場合の登録免許税は8万円、名義変更をしようとする不動産の固定資産税評価額が5,000万円である場合における登録免許税は20万円となります。

不動産の相続での名義変更を自分でやるメリット・デメリット

不動産の相続での名義変更を自分で行うメリットとデメリットは、それぞれ次のとおりです。これらを踏まえて、自分で行うか司法書士へ依頼をするかを検討すると良いでしょう。

不動産の相続での名義変更を自分でやるメリット

不動産の相続での名義変更を自分で行う主なメリットは、費用(司法書士報酬)が削減できる点のみです。

不動産の相続での名義変更を自分でやるデメリット

不動産の相続での名義変更を自分で行う主なデメリットは、次のとおりです。

デメリット
  • 時間と手間がかかる
  • 相続について専門家のアドバイスが受けられない
  • 手続きを見落とすリスクがある
  • 名義変更の完了までに時間がかかりやすい

時間と手間がかかる

不動産の相続での名義変更を慣れていない人が自分で行うには、相当な手間と時間がかかります。なぜなら、不動産の相続での名義変更は決して簡単な手続きではなく、一つずつ調べたり管轄の法務局へ確認したりしながら手続きを進める必要があるためです。

相続について専門家のアドバイスが受けられない

相続について、専門家のアドバイスを受けたい場合もあるかと思います。たとえば、争いがない相続において、自宅不動産を被相続人の妻である母名義にすべきか長女である自分名義にすべきかなどです。

しかし、法務局で乗ってもらえる相談は原則として手続きに関する相談のみであり、名義変更の前提となるこのような相談には乗ってもらうことができません。このような相談など細やかなサポートを得たい場合には、名義変更手続きを司法書士へ依頼すべきでしょう。

手続きを見落とすリスクがある

自分で不動産の名義変更をした場合には、必要な手続きを見落としてしまうリスクがあります。たとえば、家の前の道路が私道であれば、自宅建物や自宅敷地とは別途、この私道についても名義変更手続きをしなければなりません。

しかし、私道は固定資産税が非課税であることが多く市区町村役場から毎年固定資産税の納付に際して送付される「固定資産税課税明細書」などには掲載されない自治体もあるため、被相続人が私道を持っていたと認識できず、名義変更手続きが漏れてしまうリスクがあります。

自分で不動産の名義変更をする場合には、このような手続き見落としのリスクが高くなってしまうでしょう。

名義変更の完了までに時間がかかりやすい

不動産の相続での名義変更を自分で行う場合には、名義変更の完了までに時間がかかる傾向にあります。なぜなら、上で解説をしたとおり、1つずつ調べたり確認したりしながら手続きを進めていく必要があるためです。

また、申請後に法務局から補正(修正)の連絡が入ることも多く、この対応にも時間がかかる可能性があります。

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不動産の相続での名義変更を自分で行う流れ

不動産の相続での名義変更手続きを自分で行う場合における一般的な手続きの流れは、次のとおりです。

不動産の相続での名義変更を自分で行う流れ
  • 不動産を相続でもらう人を決める
  • 必要書類を準備する
  • 不動産の名義変更登記を申請する

不動産を相続でもらう人を決める

はじめに、相続で不動産をもらう人を決めます。被相続人が生前に有効な遺言書を遺しており、その遺言書で不動産を渡す相手が定められていた場合には、原則としてその遺言書に従います。

遺言書がなかった場合には、遺産分割協議で不動産をもらう人を決めましょう。遺産分割協議とは、相続人全員で行う遺産分けの話し合いのことです。

必要書類を準備する

不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義変更に必要となる書類の準備を行いましょう。必要書類は、後ほど詳しく解説します。

不動産の名義変更登記を申請する

必要書類の準備ができたら、不動産の名義変更登記を申請します。名義変更登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。あらかじめ、法務局のホームページから管轄の法務局を確認しておきましょう。

不動産の名義変更登記を申請する方法には、次の3つが存在します。

  • 法務局の窓口へ持ち込んで申請する
  • 郵送で申請する
  • オンラインで申請する

慣れていない場合には、可能な限り窓口へ持参する方法で申請をすると良いでしょう。なぜなら、軽微な不備であればその場で修正ができる可能性が高いためです。

不動産の相続での名義変更を自分で行う場合の必要書類

不動産の相続での名義変更を自分で行う場合には、次の書類が必要となります。

不動産の相続での名義変更を自分で行う場合の必要書類
  • 不動産の全部事項証明書
  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
  • 被相続人の除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 不動産の固定資産税評価証明書

ただし、これらは遺産分割協議書で不動産の取得者を決めた場合に一般的に必要となる書類です。状況によってはこれら以外の書類が必要となる場合もありますので、あらかじめ管轄の法務局の登記相談などを活用して個別事情に沿った必要書類を確認しておくと良いでしょう。

不動産の全部事項証明書

不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)とは、不動産の情報が記載された書類です。

この書類は、相続登記の添付書類ではありません。しかし、登記申請書や遺産分割協議書を正確に作成するためには全部事項証明書どおりに不動産の情報を記載する必要がありますので、あらかじめ取得しておくべきでしょう。

全部事項証明書は、全国どこの法務局でも、1通600円で誰でも取得することが可能です。

登記申請書

登記申請書は、不動産の名義変更におけるメインの書類です。原則として、この書類に記載をしたとおりに登記がなされますので、誤りのないよう正確に記載しましょう。

登記申請書は金融機関などの相続書類と違って穴埋め形式で作成できるものではなく、一から自分で作成しなければなりません。自分で作成する際には、法務局のホームページにある記載例を参考にしつつたたき台を作成し、法務局の登記相談を活用して精度を高めていくと良いでしょう。

遺産分割協議書

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果をまとめた書類です。名義変更をしようとする不動産を誰が取得することになったのかが分かるよう、明確かつ正確に作成してください。

相続人全員が協議に同意していることの証として、相続人全員が実印で捺印を行います。

相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書に押した印が実印であることの証明として、相続人全員の印鑑証明書を添付します。

印鑑証明書を代理で取得しようとすれば本人の印鑑カードかマイナンバーカードを預かる必要が生じますので、これは個々の相続人にて取得してもらい、遺産分割協議書への押印時に合わせて預かるとスムーズでしょう。

印鑑証明書は住所地の市区町村役場で取得することができるほか、マイナンバーカードを持っていることを条件にコンビニエンスストアのコピー機の操作で取得できる自治体も増えています。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等

相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本が必要です。これらは、それぞれ被相続人がその時点で本籍を置いていた市区町村役場で取得しましょう。

なお、相続人が兄弟姉妹や甥姪である場合にはこれらに加えて被相続人の父母それぞれについて出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本が必要となるなど、相続人の状況に応じて別の書類が必要となる場合があります。

被相続人の除票または戸籍の附票

被相続人と登記の名義人が同一人物であることを証明するため、被相続人の除票または戸籍の附票が必要となります。

これらは、いずれも被相続人の最後の住所地などを証する書類です。除票は被相続人の最後の住所地の市区町村役場で、戸籍の附票は被相続人の最後の本籍地の市区町村役場で取得できます。

相続人全員の戸籍謄本

相続人が存命であることを確認するため、相続人全員の戸籍謄本が必要です。それぞれ、相続人の本籍地の市区町村役場で取得します。

不動産を取得する相続人の住民票

不動産の新たな名義人を正しく登記するため、不動産を取得する相続人の住民票が必要です。住民票は、住所地の市区町村役場で取得できます。

不動産の固定資産税評価証明書

上で解説をした登録免許税額を正しく算定するために、不動産の固定資産税評価証明書が必要です。固定資産税評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場などで取得できます。

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不動産の相続での名義変更を自分で行うことが難しいケース

次のうち、一つでも当てはめる場合には、自分で相続での不動産名義変更を完了させることは困難です。これらの場合には、専門家へ手続きを依頼することをおすすめします。

  • 数次相続が起きているなど相続関係が複雑である
  • 相続人間に争いが生じている
  • 不動産の権利部の登記がない
  • 不動産の名義変更登記の完了を急いでいる
  • 法務局が遠方などで相談に出向くことが難しい

数次相続が起きているなど相続関係が複雑である

数次相続とは、相続が複数回にわたって起きている状態を指します。たとえば、不動産が数十年前に亡くなった祖父(父の父)名義であり、その後父も亡くなっている場合などです。

このように相続関係が複雑化している場合には相続登記に必要な書類が膨大になる傾向にある他、書類の書き方も特殊になります。そのため、このような場合に自分で不動産の名義変更をすることは非常に困難でしょう。

相続人間に争いが生じている

相続人間で遺産分割協議がまとまらないなど争いが起きている場合には、弁護士へ相談するなどして、まずは遺産分割協議をまとめる必要があります。

また、相続争いとまではいかずとも相続人同士の関係がさほどよくない場合には、自分で不動産の名義変更を行うことはおすすめできません。なぜなら、何とか押印を取り付けた後で遺産分割協議書の記載に誤りがありそのままでは不動産の名義変更に使えないことが分かったような場合において、再度押印をもらうことが難しい可能性があるためです。

不動産の権利部の登記がない

不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)は、通常、不動産の基本情報が記載されている「表題部」と、不動産の所有者など権利関係が記載されている「権利部」から構成されています。しかし、中には権利部の表示がなく、表題部のみしか記載がない不動産も存在します。

この場合には「保存登記」が必要となるため、登記申請書の書き方などが通常の相続での名義変更とは異なってきます。そのため、自分で名義変更手続きをすることはおすすめできません。

不動産の名義変更登記の完了を急いでいる

たとえば、相続登記の完了後に不動産の売却を控えている場合など、不動産の名義変更登記を急ぐ事情がある場合には、自分で手続きをすることはおすすめできません。なぜなら、上で解説をしたとおり、自分で名義変更登記をする場合にはプロである司法書士へ依頼した場合と比較して相続登記の完了までに時間がかかる傾向にあるためです。

法務局が遠方などで相談に出向くことが難しい

自分で不動産の相続での名義変更をする場合、一度ですべて完璧に書類を揃えて完璧に登記申請書を作成できるケースは、ほとんどありません。そのため、ある程度書類がそろった段階で法務局の登記相談を活用し、書類の精度を高めていくこととなるでしょう。

こうしたことから、管轄の法務局が遠方であるなど法務局へ出向くことが難しい場合には、自分で不動産の相続登記を完了させることは困難です。

まとめ

不動産の相続での名義変更を自分で行うことは、不可能ではありません。しかし、自分ですべての手続きを完了させることは容易ではなく、多くの手間や時間がかかってしまうことでしょう。

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この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。2021年、AGE technologiesへ入社。