「無申告加算税」とは?いくらかかる?課税されないための注意点とその他のペナルティ

無申告加算税 相続税
この記事を監修した専門家は、

相続税の納税が必要な場合、期限までに手続きをしないと無申告加算税が課されてしまいます。

無申告加算税の税率は非常に高く、実際に課税されると重たい負担になるため注意が必要です。

この記事では、無申告加算税の概要や課税されないために意識すべきポイントを解説します。

期限までに申告しなかった場合に無申告加算税以外で課されるペナルティについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

無申告加算税とは?

無申告加算税

相続税の納税を期限までに行わなかった場合、さまざまなペナルティが課されます。

無申告加算税もその一つで、無申告だった場合に通常の納税額に加算して課される罰金です。

ただし、期限までに申告・納税をしなかった場合でも無申告加算税が課されないケースもあります。

つまり、無申告だと常に無申告加算税が課されるわけではありません。

ここでは、無申告加算税が課される場合と課されない場合の違いや、課された場合の税率について解説していきます。

概要

無申告加算税は、「申告期限までに申告をしておらず期限後に申告した場合に課される罰金」です。

無申告であることに自ら気づいて自主的に期限後に申告・納付した場合でも、税務署から指摘を受けて期限後に申告・納付した場合でも、無申告加算税が原則として課税されます。

ただし、期限後に申告した場合でも次の要件をすべて満たす場合には無申告加算税は課されません。

無申告加算税が課されない場合
  • その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること
  • 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること

なお、上記の「一定の場合」とは、次のいずれにも該当する場合を言います。

税率

無申告加算税の税率は50万円を境に変わり、原則として次のとおりです。

つまり、無申告加算税の納税額は、本来の税額に上記の税率を乗じて計算した金額になります。

15%や20%は非常に高い税率であり、実際に無申告加算税を課されてしまうと納税額が大きく増えてしまうため注意が必要です。

 

ただし、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、無申告加算税の税率が5%になります。

なお、平成29年1月1日以後に申告期限が到来するものについては、税務署の調査の事前通知の後に申告・納税をした場合、無申告加算税の税率は50万円までは10%、50万円を超える部分は15%です。

無申告加算税を課されないために意識すべきポイント

無申告加算税を課されないために意識すべきポイント

相続税の申告や納税の義務がある場合には、申告期限までに手続きをすることが大切です。

のちほど詳しく解説しますが、相続税の申告期限は原則として10ヶ月となっています。

10ヶ月と聞くと時間的に余裕があるように思えますが、実際に相続が起きるとさまざまな手続きで忙しくなり、10ヶ月はあっという間に過ぎてしまうため注意が必要です。

ここでは、申告期限を守って無申告加算税を課されないために意識すべきポイントを紹介します。

無申告加算税を課されないためのポイント
  • 手続き期限よりも前倒しで早めに準備を進める
  • 遺産分割協議が終わらない場合は概算額で申告する

ポイント①:手続き期限よりも前倒しで早めに準備を進める

相続税の申告・納税を行うためには、誰が相続人なのかを確認する相続人調査や、遺産に含まれる財産が何かを確認する相続財産調査など、非常に多くの手続きが必要になります。

相続人調査をするには、故人の出生から死亡までのすべての戸籍を集めなければなりませんし、相続財産をすべて把握するためには故人の財産を一つひとつ確認する地道な作業が必要です。

このように、相続が起きた後に必要になる手続きの中には、手間がかかり時間がかかるものもあるので、手続き期限よりも前倒しで早めに準備を進めるようにしましょう。

 

なお、相続に馴染みがない人の場合は、そもそもどんな相続手続きが必要なのかさえわからない場合も少なくありません。

迷っている間に手続き期限を過ぎてしまっては大変なので、相続で困った場合には専門家に早めに相談するようにしてください。

そうぞくドットコムであれば相続手続きを任せることができ、ネットから簡単に相談できるのでおすすめです。

ポイント②:遺産分割協議が終わらない場合は概算額で申告する

相続税の税額を計算するためには、相続人それぞれが相続する遺産が確定して、その確定した遺産額をもとに税額を計算する必要があります。

そして、相続人が2人以上いる場合に、誰がどの遺産を相続するのかを相続人の間で決める話し合いが遺産分割協議です。

しかし、たとえば相続税の申告・納税の期限である10ヶ月までに遺産分割協議が終わっていない場合には、各相続人が相続する遺産額が確定しておらず、正しい相続税額を計算できません。

このような場合には、一般的に、各相続人が法定相続分で相続したものとして税額を計算し、概算額に基づいて相続税の申告・納税を行います。

遺産分割協議が終わっていない場合でも、相続税の申告期限である10ヶ月が延長されるわけではない点に注意してください。

なお、遺産分割協議が終了して各相続人が相続する遺産額が確定したときに、確定した相続税額と概算で納めた税額との間に過不足がある場合には、税額を修正するための手続きを行います。

相続税の申告期限

相続税の申告期限

無申告加算税を課されないためには、期限までに申告・納税を終える必要があり、そもそも「期限がいつなのか」を正確に理解しておく必要があります。

相続が発生したときの状況によっては、相続税の申告期限がいつなのか判断に迷う場合もあるため、特殊なケースも含めて申告期限を確認しておきましょう。

申告期限は原則10ヶ月

相続税の申告期限は、原則として「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月後」です。

相続税の納税の期限も申告期限と同じなので、納税が必要な場合には10ヶ月以内に手続きを終える必要があります。

なお、「相続の開始を知った日」とは、通常は被相続人(遺産を残して亡くなった人)が死亡した日です。

たとえば、相続の開始を知った日が2020年12月22日であれば、相続税の申告・納税の期限は2021年10月22日になります。

期限日が土日祝日の場合

相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月後が土日祝日の場合は、翌平日が相続税の申告期限です。

土日祝日は税務署が開庁しておらず手続きができませんが、その場合は申告期限が前倒しになって直前の平日が期限になるわけではなく、後倒しになります。

死亡日が特定できない場合

人が亡くなって相続が開始したとき、ケースによっては孤独死のように死亡日を厳密に判定できないケースがあります。

このような場合、戸籍には死亡年月日として「令和2年〇月〇日から同月〇日までの間」などと記載されることがあり、戸籍に記載された死亡期間の最終日が相続の開始日です。

そのため、たとえば最終日にあたる日に相続人が相続の開始を知ったのであれば、その翌日から10ヶ月後が相続税の申告期限になります。

遺言書による遺贈の場合

亡くなった方が生前に遺言書を作成していて、相続人以外の人に財産を渡す旨を記載している場合があります。

このように、遺言書によって相続人以外の人に遺産を渡すのが遺贈です。

そして、相続人以外の人が遺産の受取人として指定されている場合には、その受取人が遺言書の存在や内容を確認するまで、自分が遺産の相続に関係していることを知らないケースも考えられます。

相続人と同様に故人の死亡日を基準に10ヶ月の期間をカウントしてしまうと、遺言書の発見が遅れた場合などに期限までの実質的な日数が短くなり困ることにもなりかねません。

そのため、このような場合には、その人が遺言書の内容を確認して自分が遺産を相続することを知った日を基準にして、その翌日から10ヶ月後が申告期限になります。

停止条件付の遺贈の場合

遺言書によって、相続人以外の人に遺産を渡す遺贈の中には、停止条件が付いている場合があります。

停止条件付の遺贈とは、一定の条件が成立した際に遺贈を実行するもので、たとえば「甲が25歳になったときに銀行預金300万円を遺贈する」といった内容の遺言が該当します。

停止条件付の遺贈では、条件が成立せずに遺贈が実行されないこともあり、そもそも財産が相手に渡らなければ相続税の申告や納税も必要ありません。

そのため、このような場合は、実際に条件が成立して遺贈が行われてから判断する必要があります。

停止条件付の遺贈の条件が成立した場合には、その成立した日の翌日から10ヶ月後が相続税の申告期限です。

相続放棄・相続欠格・相続人廃除の対象者がいる場合

「相続放棄」「相続欠格」「相続人廃除」に該当する人がいると、他の人が新たに相続人になって遺産を相続する場合があります。

しかし、新たに相続人になった人は、そもそも自分が相続人になるとは思っておらず、遺産を相続できることを知らないケースもあるはずです。

そのため、このような場合には、本来の相続人に代わって自分が相続人になったことを知った日を基準にして、相続税の申告期限を考えます。

つまり、新たに相続人になった人にとっての相続税の申告期限は、その人が相続人になったことを知った日の翌日から10ヶ月後です。

申告期限を超えた場合に課される無申告加算税以外のペナルティ

申告期限を超えた場合に課される無申告加算税以外のペナルティ

相続税の申告・納税を期限まで適切に行っていなかった場合には、無申告加算税以外にもさまざまなペナルティを課されてしまいます。

追徴課税をされると思っている以上に納税額が大きくなることがあるため注意が必要です。

ここでは追徴課税される税金のうち次のものについて紹介しますが、相続税の申告・納税の義務がある場合には、期限までに手続きを終えるようにしてください。

無申告加算税以外のペナルティ
  • 延滞税
  • 過少申告加算税
  • 重加算税

延滞税

申告期限までに税金を納税しなかった場合に、納税が遅れたことに対する利息として課されるのが延滞税です。

原則として、法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課税されます。

令和2年12月31日までの延滞税の税率は、次のとおりです。

過少申告加算税

本来納税すべき税額よりも少なく申告していた場合に、その不足していた税額に対して課税されるのが過少申告加算税です。

過少申告加算税の税率は原則として10%ですが、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%になります。

なお、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。

ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期が到来するものについては、調査の事前通知の後に納税した場合は、次のとおり過少申告加算税がかかります。

重加算税

税務署によって悪質と判断された場合に、過少申告加算税や無申告加算税に代えて課税されるのが重加算税です。

重加算税は税率が非常に高くなっています。

悪質と判断されて重加算税を課されないためにも、隠ぺいなどの行為は絶対にしないようにしてください。

まとめ

相続税の申告・納税の義務があるにも関わらず、期限までに手続きをしていないと無申告加算税が課されてしまいます。

無申告加算税の税率は15%や20%と非常に高くなっているため、相続税の申告・納税は期限までに終えるようにしてください。

また、仮に期限を過ぎてから無申告であることに気付いた場合には、1日でも早く申告・納税の手続きをすることが大切です。

延滞税が課される日数が減ることになり、さらに一定の条件に該当すれば期限後の申告でも無申告加算税が課されません。

実際に相続が起きたときには、相続税の申告・納税期限を過ぎて無申告にならないように、手続きに向けた準備を早めに行うようにしましょう。

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