親が亡くなったらする事は?手続きや相続の一覧表・リストと連絡の仕方

一般知識・マナー

親が亡くなった際の葬儀や相続の手続きは、通常は遺された子供を中心に遺族が分担して行うものですが、この作業範囲は多岐にわたります。

また、大切な方を亡くして精神的に不安定な時期にこの作業を行うことから、効率的な作業は難しく手続きに奔走してしまいがちです。

そこで、ここでは親が亡くなった際に行う手続きを、死去から「当日」「2日目」「3日目」と時間経過に沿って解説します。

また、その他の必要な葬儀・相続手続きを一目で確認できる一覧表を紹介しますので、親が亡くなった際の手続きを網羅的に確認することができます。

親が亡くなった直後に行うこと

家族の人形

親が亡くなった直後の遺族は、葬儀手続きやその準備を行います。

大切な方を亡くした喪失感で今後のことを考えられないかもしれませんが、これから解説していく作業を一つひとつこなしていくことが遺族の務めです。

まずは、故人の死去に立ち会った医師から死亡診断書発行してもらいましょう。

死亡診断書・死亡検案書の発行

親が亡くなった直後は、医師により死亡診断書・死亡検案書が発行されます。

生前の傷病が原因で死去した場合は死亡診断書、それ以外の場合は死亡検案書が作成されますが、このいずれかの書類はその後の手続きで何度も使用する重要な書類です。

原本は紛失しないように大切に保管し、その後の手続きに使用する分はあらかじめ複雑のコピーを準備しておきましょう。

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親が亡くなった当日に行うこと

純白の胡蝶蘭

親が亡くなり医師から死亡診断書を取得したら、遺族は次の作業を行います。

これらの作業は一人で行うことは難しくまた時間の制約もあることから遺族間で作業を割り振り、すべての作業を同時進行で行うことが重要です。

親が亡くなった当日に行うこと
  • 葬儀会社の決定
  • 葬儀方法の決定
  • 周囲への連絡
  • ご遺体の運搬・安置

葬儀会社の決定

葬儀を依頼する葬儀会社は、故人が死去した病院から紹介してもらうことが可能です。

しかし、この紹介された業者で葬儀を行った場合は、葬儀内容や費用面で遺族が納得できるとは限りません。

葬儀内容に故人の遺志や遺族の希望がある場合は、事前に葬儀会社を選んでおいたほうが良いでしょう。

葬儀方法の決定

葬儀会社が決まったら、担当者との話し合いの中で葬儀方法を決定します。

この葬儀方法はこれまで一般葬が定番でしたが、現在では葬儀規模や葬儀費用ごとに次のような選択が可能です。

  • 家族を中心とした30名程度の葬儀を行う「家族葬」
  • 1日で葬儀の全て行う「一日葬」
  • 費用が安く火葬のみを行う「火葬式」
  • 会社の創業者や役員などが亡くなった際に行う「社葬」 など

周囲への連絡

親が亡くなったことを周囲の方に連絡します。

この際のツールは、電話もしくはメールやLINEを使っても構いません。

まずは葬儀を依頼する寺院の住職に連絡を入れ、葬儀予定日のスケジュールを確保した後に、親戚や故人の友人・知人、職場関係者などに順次連絡を入れましょう。

なお、この連絡時に葬儀日程が決まっている場合は、葬儀を行う場所や開始時間などもこの連絡時に伝えても構いません。

ご遺体の運搬・安置

亡くなった方のご遺体は、数時間しか病院の霊安室に留めておくことができません。

そのため、死去直後はご遺体を運搬して安置場所を確保する必要があります。

通常は葬儀を依頼した葬儀会社がご遺体をご自宅まで運搬し安置しますが、自宅に安置スペースがないなどの場合は、葬儀会社所有の安置施設に運搬することになります。

なお、安置施設の利用料は安置する日数により追加料金となる場合があるため注意が必要です。

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親が亡くなった2日目に行うこと

死亡届と青色の折鶴

親が亡くなった日の翌日、死去から2日目に遺族が行うことは次の通りです。

親が亡くなった2日目に行うこと
  • 死亡届を作成する
  • 火葬許可証を作成する
  • お通夜を行う

死亡届を作成する

死亡届の作成は葬儀会社へ死亡診断書を渡して作成してもらうことが一般的ですが、遺族のみで葬儀を執り行う場合はご自身が作成し提出する必要があります。

なお、この死亡届は死亡を知った日から7日以内に市区町村役場へ、次の内容を記載して提出しなければなりません。

死亡届に記載する内容
  • 故人の「氏名」「生年月日」「性別」「本籍」「住所」「世帯主の氏名」
  • 死亡時間・死亡場所
  • 故人の配偶者の有無とその方の年齢
  • 世帯の職業
  • 故人の職業
  • 届出人の「住所」「氏名」「本籍」「生年月日」「故人との関係」
  • 届出人の連絡先

火葬許可証を作成する

火葬許可証の作成は、死亡届を提出する際に合わせて火葬許可申請書を提出することで取得可能です。

火葬許可申請書に死亡届を添付し、次のいずれかの場所へ提出します。

  • 故人の本籍がある市区町村役場
  • 故人が亡くなった場所の市区町村役場
  • 届出人の所在地である市区町村役場

お通夜を行う

現代では半通夜と呼ばれる形式でお通夜を営むことが一般的で、この儀式の所要時間は1時間から2時間ほどです。

そのため、通常は18時から通夜が始まり遅くとも20時には終了します。

通夜は次のような流れで行われ、この中で遺族は「会場案内」「喪主挨拶」「通夜振る舞い」など弔問客への対応を行います。

通夜の流れ
  1. 受付
  2. 僧侶入場・通夜開式
  3. 読経
  4. 焼香
  5. 法話
  6. 僧侶退場
  7. 喪主挨拶
  8. 僧侶退場・通夜閉式
  9. 通夜ぶるまい
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親が亡くなった3日目に行うこと

お坊さん人形

親が亡くなった日の翌々日、死去から3日目に遺族が行うことは次の通りです。

親が亡くなった3日目に行うこと
  • 葬儀・告別式を行う
  • 火葬を行う
  • 初七日法要を行う
  • 葬儀費用の支払いを行う

葬儀・告別式を行う

本来は葬儀と告別式は異なる儀式ですが、現在ではこの区切りは曖昧です。

そのため、葬儀・告別式をお葬式と呼び、一つの儀式として同日に行います。

この儀式の中でも遺族は弔問客に対してさまざまな対応が求められますが、特に喪主に関しては親族を代表して行う挨拶や読経を頂く僧侶などへの対応など、多くの業務を抱えます。

なお、葬儀・告別式は次のような流れで行いますが、喪主はご自身が行う業務を優先できるよう、これ以外を遺族に割り振りしておくことが重要です。

葬儀・告別式の流れ
  1. 受付
  2. 僧侶入場・葬儀・告別式開式
  3. 読経・引導
  4. 弔辞・弔電
  5. 読経
  6. 焼香
  7. 僧侶退場・葬儀・告別式閉式
  8. 出棺

火葬を行う

葬儀・告別式が終わり出棺の儀を経て棺は火葬場へと運ばれますが、火葬場へ同行する人物は葬儀・告別式の参列者のすべてではありません。

そのため、葬儀・告別式の喪主は火葬場へ同行する人物をあらかじめ決定し、この方々へ声をかけておく必要があります。

火葬場へ到着した遺族は火葬場職員へ火葬許可証を提出し、次の流れで火葬を行います。

火葬の流れ
  1. 棺を火葬炉の前に運ぶ
  2. 故人と最後のお別れを行う
  3. 棺に副葬品を入れる
  4. 僧侶が帯同する場合は僧侶の読経が行われる
  5. 棺が火葬炉へ搬入される
  6. 火葬終了を控え室で待機する
  7. 火葬が終われば「骨上げ」を行い骨壺へご遺骨を入れる
  8. 埋葬許可証を火葬場職員から受け取り火葬のすべてが終了する

初七日法要を行う

本来の初七日法要は、文字通り親が亡くなってから7日目に行う追善供養ですが、近年では参列者への配慮から火葬終了後に行うことが一般的です。

そのため、火葬終了後の遺族は、葬儀会場やあらかじめ予約しておいた飲食店などに移動し初七日法要を営みます。

葬儀費用の支払いを行う

葬儀費用の支払いは、葬儀が終了してから1週間以内とする葬儀会社が一般的です。

支払い方法は通常は現金となりますが、厳しい場合は分割払いなどに対応してくれる場合もあります。

また、葬祭ローンなどを利用することも可能な場合があるため、支払方法については葬儀前の打ち合せ時に確認しておく必要があるでしょう。

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親が亡くなってから49日以内に行うべき手続きの一覧表

赤ペンチェックリスト

ここまで解説してきたとおり、親が亡くなった際の遺族は供養に関連したさまざまな手続きを行いますが、この手続きは供養に限ったものばかりではありません。

ここでは、親が亡くなってから49日以内に行うべき手続きを一覧としてご紹介し、それぞれの手続きごとの申請先と申請期限を示します。

手続き 申請先 申請期限
死亡届 市区町村役場 死亡を知った日から7日以内
火葬埋葬許可申請書 市区町村役場 死亡届と同日に提出
世帯主変更届 市区町村役場 死亡の事実が発生した日から14日以内
児童扶養手当認定請求 市区町村役場 世帯主変更届と同日に提出
国民健康保険証資格喪失届 市区町村役場 死亡の事実が発生した日から14日以内
埋葬料の請求 勤務先・社会保険事務所 死亡した日の翌日から2年以内
生命保険・入院保険の請求 各生命保険会社 原則支払事由発生から3年以内
賃貸住宅の解約 家主・管理会社 早めに
電気・ガス・水道費の解約 各管理施設 早めに
運転免許証の停止手続き 警察署 早めに
死亡退職届 勤務先 早めに
最終給与の確定手続き 勤務先 早めに
死亡退職金手続き 勤務先 早めに
クレジットカードの解約手続き クレジットカード会社 早めに
負債の確認 各金融機関・クレジットカード会社 早めに
復氏届 市区町村役場 期限なし
姻族関係終了届 市区町村役場 期限なし
子の氏変更許可申請 家庭裁判所 期限なし
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親が亡くなってから1年以内行うべき相続手続きの一覧表

ブロックに書かれたチェック

親が亡くなってから行う手続きには相続に関する手続きも含まれ、この手続きは亡くなった日から1年以内に行うことが一般的です。

ここでは、相続手続きを含む1年以内に行う手続きと、それぞれの申請先・申請期限を一覧表で紹介します。

手続書類 申請先 申請期限
遺産分割協議書の作成 相続人 期限はないが申請目安は2~6ヶ月以内/rowDescription]
相続人の確定手続き 市区町村役場 相続手続きに必要なためできるだけ速やかに
世帯主変更届 市区町村役場 死亡の事実が発生した日から14日以内
遺言書の検認 家庭裁判所 相続手続きに必要なためできるだけ速やかに
相続放棄・限定承認の申立手続き 家庭裁判所 相続開始があったことを知ったときから3ヶ月以内
所得税の準確定申告手続き 税務署 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
相続登記手続き 法務局 遺産分割協議成立後、相続税申告まで
相続税の申告手続き 税務署 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
遺留分減殺請求手続き 相続人 相続開始と減殺すべき贈与又は遺贈を知った時から1年
埋葬料の請求手続き 勤務先・社会保険事務所 死亡した日の翌日から2年以内
葬祭費の請求手続き 市区町村役場 葬儀を行った日の翌日から2年以内
死亡一時金の請求手続き 市区町村役場 支給事由が生じた日の翌日から2年以内
高額療養費の請求手続き 市区町村役場・社会保険事務所 治療の翌月1日から2年以内
寡婦年金の請求手続き 市区町村役場 給事由が生じた日の翌日から5年以内
遺族基礎年金の請求手続き 市区町村役場 支給事由が生じた日の翌日から5年以内
遺族補償年金・一時金の請求手続き 労働基準監督署 死亡翌日から5年以内
遺族厚生年金の請求手続き 社会保険事務所 支給事由が生じた日の翌日から5年以内
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期限のある相続手続きの注意点

有効期限と手

先ほど解説した相続手続きには期限があり、この期限を守らなければ手続き自体を行うことができなくなるため注意が必要です。

ここでは、特に期限の厳守が求められる4つの相続手続きについて解説します。

期限のある相続手続きの注意点
  • 相続放棄の期限は死去から3ヶ月以内
  • 準確定申告は死去から4ヶ月以内
  • 相続税の申告は死去から10ヶ月以内
  • 遺留分減殺請求は死去から1年以内

相続放棄の期限は死去から3ヶ月以内

亡くなった親の財産には、負債も含まれます。

そのため、故人に借金がある場合は相続放棄、もしくは限定認証を検討しなければなりません。

この期限は、死去から3ヶ月以内です。

親は、自身の借金について子供には打ち明けづらいものです。

期限内に手続きができるよう、借金の有無についてはあらかじめ家族で話し合いを持ち、その内容を把握しておきましょう。

準確定申告は死去から4ヶ月以内

亡くなった親が自営業者もしくは動産所得がある場合は、故人に代わって相続人が準確定申告を行います。

この申告期限は死去から4ヶ月以内です。

期日を過ぎてしまうと延滞料金発生するため、期限内の正確な申告を行いましょう。

相続税の申告は死去から10ヶ月以内

遺産の総額が相続税の基礎控除を超える場合の申告は、死去から10ヶ月以内です。

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となり、この額を超える相続がある場合は、相続税を納めなければなりません。

なお、相続税の申告を行う際に不動産がある場合、税理士によっても相続税額が異なることがあります。

この点についても注意が必要です。

遺留分減殺請求は死去から1年以内

遺言書の内容によっては、ご自身が相続する財産が法定相続分よりも少ない、もしくはまったくないなどの状況も考えられます。

この場合は、遺留分減殺請求を故人の死去から1年以内に行うことで一定割合の財産を取り戻すことが可能です。

この権利を行使できる親族は次の人物に限られますが、その計算方法は非常に複雑であるため、相続問題に詳しい専門家へ相談したほうが良いでしょう。

  • 亡くなった方の配偶者(内縁関係者は不可)
  • 配偶者の子供(養子・非嫡出子も可)
  • 直系尊属(亡くなった方の父母・祖父母などが該当)
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親が亡くなった際の銀行口座

銀行通帳

親が亡くなった際は、遺族は故人名義の口座を凍結させる必要があります。

これは、故人の口座をそのままにしてことで、相続人の誰かがこの口座から預金を引き出してしまう可能性があるためです。

このような事態を回避するためにも、遺族は銀行に連絡を入れて故人の口座を凍結させなければなりません。

なお、凍結された銀行口座は出金や入金ができませんが、2019年の民法改正により銀行口座ごとに150万円を上限に引き出しが可能となりました。

これにより、現在必要な生活資金や葬儀代金を故人の預貯金から捻出することが可能です。

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親が亡くなった際の香典

御霊前と書かれた香典袋

葬儀には香典が不可欠ですが、親が亡くなった際には子供が喪主として葬儀を営むことが多く、この喪主は香典が不要です。

葬儀を主催するのは喪主や遺族ですが、この主催者側は葬儀参列者から香典を受け取る立場となります。

そのため、喪主は香典を準備する必要がありません。

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親が亡くなった際の確認事項

封筒に書かれた遺言書

親が亡くなった際には、その後の手続きや故人の希望などを何らかの形で遺していないのかを確認し、その内容に沿った形で供養や財産分与を行うのが遺族の務めです。

そこで、ここでは親が亡くなった際の確認事項として、遺言書とエンディングノートの扱いについて解説します。

言書の有無を確認

故人の財産については、遺言書の中に記載することが一般的です。

自宅に遺言書を保管している場合は、金庫や仏壇の中にしまっているケースも多いため、故人の死去後はこれらの場所を入念に調べる必要があります。

なお、このように自宅から発見された遺言書は勝手に開封してはなりません。

裁判所に提出し、相続人立会いの下に開封する「検認」という手続きを経て行うことが定められています。

エンディングノートの有無を確認

エンディングノートとは、故人が生前の内に「自身の遺志」「葬儀方法」「供養方法」などを記載したノートのことです。

このエンディングノートがある場合は、葬儀やお墓に関する事柄などが細かく記載されているケースが多く、これにより遺族は故人の意思に従ってこれらの手続きを行うことが可能です。

このエンディングノートが葬儀後に見つかると、故人の遺志を尊重した供養を行うことができません。

それだけに、このエンディングノートの保管場所は、遺族間で共有しておいた方が良いでしょう。

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まとめ

手続きを行う士業の男性

親が亡くなった際、子供は大きな悲しみの中でお通夜や葬儀・告別式を営み、同時にさまざまな手続きを行う必要があります。

また、故人に財産がある場合は相続問題を率先して解決しなければならない立場にあるため、これに関連した書類の作成や手続きも行わなければなりません。

しかし、ここで紹介した手続きをご自身のみで行うことは不可能です。

信頼できる遺族や専門家の協力を得ながら手続きを行うことが重要と心がけ、ご自身は手続き全体の流れや提出期限などを意識することで、効率的に多くの手続きを行うことができるでしょう。

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この記事を監修したのは、
マガジン 編集部
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