マンションを持っていた親などが亡くなった場合には、マンションの名義変更手続きを行う必要があります。
では、相続でマンションの名義変更をするには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
今回は、マンションの名義変更にかかる費用の他、名義変更までの流れや期限などについて詳しく解説します。
目次
相続におけるマンションの名義変更

まずは、マンションの名義変更の期限について解説していきましょう。
期限については近々変更される予定ですので、こちらもぜひ知っておいてください。
マンションの名義変更に期限はある?
2021年年5月の執筆現在、マンションの名義変更に、特に法令上の期限はありません。
とはいえ、次のとおり名義変更を放置すればデメリットが大きいうえ、名義変更の必要書類は銀行口座の解約などの必要書類と重複するものも多いです。
そのため、銀行手続きなどと併せて速やかに済ませておくことをおすすめします。
マンションの名義変更を放置するデメリット
マンションの名義変更を放置することにより、次のようなデメリットが生じます。
そのため、早めに手続きを行っておいた方が良いでしょう。
- 売却ができない
- 賃貸や担保提供ができない
- いざ名義変更をしようとした際の手続きが煩雑になる
- 持分だけを売却される危険性がある
売却ができない
マンションの名義が故人のままとなっている場合、マンションの売却ができません。
賃貸や担保提供ができない
マンションが故人名義のままでは、そのマンションを貸し出して収入を得ることもできません。
さらに、そのマンションを担保に入れてお金を借りることも不可能です。
いざ名義変更をしようとした際の手続きが煩雑になる
年月が経ってからいざマンションの名義変更をしようとすると手続きが煩雑になる可能性が高い点も、名義変更を放置するデメリットです。
なぜなら、年月の経過により相続人の中に亡くなる人が出てきて代替わりが起きたり、相続人が認知症になってしまっていたりと、状況が変わってしまうためです。
元の相続が起きてから長い年月が経過した場合には、相続人を探すだけでも一苦労という事態にもなりかねません。
持分だけを売却される危険性がある
長期間名義変更を放置していると、その間に相続人の一部が自分の法定相続分だけを登記したうえで、その持分のみを第三者へ売却してしまうかもしれません。
そうなれば、トラブルの原因となってしまいます。
相続登記に期限ができる
これまでは、マンションに限らず一戸建ての住宅であっても、相続登記に期限はありませんでした。
そのため、故人名義のまま放置され、現在の所有者が不明となってしまった不動産が社会問題となっています。
所有者が不明である以上、その土地を活用しようにも誰に許可を取って良いのかわからず、活用することも困難であるためです。
そこで令和3年、所有者不明の土地が生まれないよう、民法や不動産登記法の法改正がなされました。
改正法は、2024年度までに施行される予定です。
改正後は、相続が起きてから3年以内に相続登記を行うことが義務付けられ、期限を過ぎた場合には過料が課される可能性があります。
マンションの相続登記はこれまでも速やかに行うことが望ましかったのですが、改正によって、より期限を意識して手続きを行うことが必要となりました。
マンションの名義変更をする際の流れ
相続が起きた後、マンションの名義を変えるにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか?
ここでは、マンションを名義変更するまでの流れについて解説します。
- マンションを取得する人を決める
- 必要書類を収集する
- 登記を申請する
マンションを取得する人を決める
マンションの名義変更するには、まずそのマンションを相続する人を決めることが必要です。
その方法には、主に2つの方法があります。
- 遺言書
- 遺産分割協議
遺言書
被相続人(亡くなった人)が遺言書を遺していれば、原則としてその遺言書に書かれてる人がマンションを相続します。
遺産分割協議
遺言書がない場合には、相続人全員で話し合い、誰がマンションを相続するかを決定します。
話し合いがまとまれば、その結果を遺産分割協議書に記載し、相続人全員が実印で押印をします。
必要書類を収集する
次に、必要書類の収集や作成を行います。
必要書類については後ほど紹介します。
登記を申請する
必要書類が揃ったら、マンションの所在地を管轄する法務局へ登記申請します。
登記申請は郵送で行うことも可能ですが、司法書士へ依頼せずに自分で申請をする場合には、直接法務局へ出向いたほうが良いでしょう。
なぜなら、窓口申請であれば、申請時に不備が見つかった場合、軽微なものであれば、その場で修正ができるためです。
なお、申請前に相談をしたり確認をしてもらったりしたいのであれば、法務局の事前相談の活用をおすすめします。
法務局への相談は、予約をしてから出向くようにしましょう。
マンションの名義変更は自分でできる?
では、マンションの名義変更は自分で行うこともできるのでしょうか?
法律上、自分で相続登記を行うことは何ら禁止されていません。
つまり、自分でマンションの相続登記を行うことも認められているのです。
とはいえ、マンションの相続登記を自分で行うには容易ではなく、いくつかのハードルも存在します。
ここでは、自分でマンションの名義変更をするための条件や、自分で行うデメリットについて解説しましょう。
マンションの名義変更が自分でできるのはどんな人?
マンションの名義変更を自分でできるのは、次に該当する人です。
それぞれ、理由と併せて解説します。
- 平日に何度も法務局や役所へ足を運べる人
- 名義変更を特に急いでいない人
- 書類を作成したり集めたりすることが苦手ではない人
平日に何度も法務局や役所へ足を運べる人
マンションの名義変更をするために必要な書類は、銀行の相続手続き書類のように穴埋めをして作成できるものではありません。
また、状況によって異なる書類が必要となる場合もあります。
そのため、自分でマンションの名義変更の申請をした場合、不備なく一発で申請が通るケースは決して多くありません。
こうした理由から、自分で申請をする場合には、申請時の他、事前の相談やその後の補正などで何度か法務局へ足を運ぶ必要があると考えてください。
また、必要な書類も役所で取得するものが大半であるため、役所へも何度か出向く必要があります。
そのため、平日に何度も法務局や役所へ足を運べなければ、自分でマンションの名義変更をすることは難しいでしょう。
名義変更を特に急いでいない人
マンションの売却が控えているなど、名義変更を急いでいる場合にも自分で申請をすることは難しいでしょう。
自分で行った場合には一つずつ調べながら書類を作ったり集めたりすることに時間がかかるうえ、申請書類に不備があればさらに時間がかかってしまうためです。
書類を作成したり集めたりすることが苦手ではない人
そもそも、書類を作成したり集めたりすることが苦手な場合には、自分でマンションの名義変更を行うことは難しいでしょう。
マンションの名義変更に必要な書類を集めたり申請書を作成したりすることは、決して簡単なものではないためです。
マンションの名義変更を自分で行うデメリットは?
自分でマンションの名義変更を行うメリットは、費用が節約できる点のみです。
一方、自分で行うデメリットは少なくありません。
例えば、次のようなデメリットがあります。
- 平日の日中に何度も出かけなければならない
- 手間や時間がかかる
- 完了が遅くなる
- 登記の漏れが生じる可能性がある
平日の日中に何度も出かけなければならない
前述のとおり、マンションの名義変更を自分で完了させるためには、平日の日中に何度も法務局や役所へ出向かなければなりません。
手間や時間がかかる
自分でマンションの名義変更を行うには、インターネットや書籍などを調べながら一つずつ行う必要があります。
そのため、非常に多くの時間や手間がかかってしまいます。
完了が遅くなる
自分で最初から問題のない申請書類を提出することはほぼ困難です。
事前の相談が必要であったり、申請後に不備の修正である補正が必要になるケースが大半です。
そのため、プロである司法書士へ任せた場合と比べて、完了までに長期間を要する可能性が高いといえます。
登記の漏れが生じる可能性がある
マンションには自分の部屋である専有部分のほか、敷地や集会所などを共有している場合があります。
自分で行った場合、こういった共有部分の登記を漏らしてしまう可能性も低くありません。
通常、法務局は「被相続人様はここの部分も持っていたようですが、これは登記しなくて良いですか?」などと教えてはくれないものです。
こうした登記を漏らしてしまうと、気が付いた時点で再度その部分についても登記を行う必要が生じ、二度手間となってしまいます。
マンションの名義変更を自分でやる場合の費用相場

続いては、マンションの名義変更を自分で行った場合の費用について解説します。
司法書士へ依頼した場合の費用については後述しますので、比較してみてください。
必要書類とその取得費用
まずは、マンションの名義変更に必要な書類について解説しましょう。
なお、下記の書類を集めるためにかかる費用の合計は、相続人の人数や被相続人の転籍の回数などによって異なるものの、相続人が子である場合には1万円前後、相続人が兄弟姉妹である場合には2万円から3万円ほどであることが一般的です。
遺産分割協議書
遺産分割協議書は、そのマンションを誰が相続するのかについて相続人全員で話し合い、その結果をまとめた書類です。
相続人全員が話し合いの結果に納得していることの証明として、全員が実印で捺印をする必要があります。
相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書に押した印が実印であることの証明として添付します。
手数料は市町村により異なりますが、1通200円から400円であることが多いです。
被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
被相続人と登記名義人との同一性を証明する書類です。
住民票の除票は被相続人の最後の住所地の市町村役場で、戸籍の附票は被相続人の最後の本籍地の市町村役場で取得します。
手数料は市町村により異なり、1通200円から400円前後です。
被相続人の出生までさかのぼる戸籍謄本等
被相続人の相続人を確定するために、被相続人の死亡から出生までの連続した戸籍謄本や除籍謄本、原戸籍謄本も必要です。
戸籍謄本は今後も変動が生じる可能性がある一方で、除籍謄本や原戸籍謄本はすでに閉じられているため、二度と内容の変動が起きることはありません。
それぞれ、その当時に被相続人が本籍を置いていた市町村役場で取得します。
なお、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合には、これに加えて被相続人の両親それぞれの死亡から出生までさかのぼる戸籍謄本等も必要です。
手数料は全国一律で、戸籍謄本であれば1通450円、除籍謄本や原戸籍謄本であれば1通750円となっています。
相続人全員の現在戸籍の謄本
相続人が生存していることの証明として必要です。それぞれ、その相続人の本籍地の市町村役場で取得します。
手数料は、全国一律で1通450円です。
実家を相続する相続人の住民票
新たに実家の名義人となる人の住所と正しく登記するために必要です。
その相続人の住所地の市町村役場で取得します。
手数料は市町村により異なりますが、1通200円から400円前後です。
不動産の評価証明書又は評価通知書
登記を申請する際には、後述のとおり「登録免許税」という税金を納める必要があります。
登録免許税の計算のために、評価証明書または評価通知書が必要です。
いずれも、対象となる不動産の所在する市町村役場で取得します。
手数料は、評価通知書は無料である一方、評価証明書は300円前後です。
登記申請書
登記申請を行う際にメインとなる書類が、この登記申請書です。
法務局のホームページに記載例がありますので、こちらを参考として作成した上で、申請前に法務局の登記相談で確認をしてもらうと良いでしょう。
登録免許税
マンションの名義変更登記をするには、登録免許税を支払う必要があります。
登録免許税の金額は、登記をするマンションの固定資産税評価額の4/1000です。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円であれば、8万円ということです。
マンションの名義変更を司法書士へ依頼した場合の費用相場
一方で、マンションの名義変更を司法書士へ依頼した場合にかかる費用は、次のとおりです。
司法書士報酬の目安
司法書士へ依頼した場合には、当然のことながら司法書士の報酬がかかります。
司法書士報酬は自由化されているため、事務所によって金額や計算方法が異なります。
ただ、マンションの1部屋を登記する場合の報酬は、10万円前後のことが多いでしょう。
必要書類とその取得費用
マンションの名義変更を司法書士へ依頼したからと言って、添付書類が減るわけではありません。
そのため、取得自体は司法書士が代行してくれたとしても、取得にかかる費用自体は、自分で行う場合と同様にかかることが一般的です。
登録免許税
登録免許税も、司法書士へ依頼したからといって変動するものではありません。
自分で行った場合と同様に、固定資産税評価額の4/1000の登録免許税がかかります。
まとめ
マンションの名義変更には添付すべき書類も多く、自分で行うのはなかなか大変だということがおわかり頂けたのではないでしょうか?
とはいえ、できるだけ費用を節約したいという方も多いかと思います。
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