【2022】相続登記義務化の法案はいつから施行?どんな罰則がある?

相続登記義務化の法案はいつから施行?どんな罰則がある?不動産
この記事を監修した専門家は、
呉村成信
司法書士
2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。2021年、AGE technologiesへ入社。

※この記事の内容は2022年7月時点の情報をもとに作成しています。

2021年4月、相続登記の義務化を定めた法案が国会で可決され成立しました。

相続登記をしない人に罰則が科されるなど、新制度は従来の制度とはさまざまな点で異なり、大きな意味を持つ法改正です。

相続登記はいつから義務化されるのか、一体なぜ義務化する必要があったのか、制度改正の背景や現行制度の問題点、新制度のポイントについて解説します。

相続登記の義務化とは?

相続登記の義務化とは?

土地や家が誰のものなのか、不動産の名義は法務局で管理されている登記簿に記載されています。

そして、不動産の所有者が変わったときに登記簿上の名義人を変更するには登記が必要で、相続に伴って行う登記が相続登記です。

亡くなった人から相続する人に不動産の名義を変更するには、相続登記をする必要があります。

ただ、現在の制度では、相続登記をする法的な義務はなく、仮に相続登記をしなくても罰則を受けることはありません。

そして、現行のこの制度ではさまざまな問題が実際に生じているため、相続登記の義務化に向けた議論が進められてきました。

その結果、法務省の法制審議会で2021年2月に法律の改正に関する要綱案が決定され、同年4月に国会で法案が可決されて相続登記が義務化されることになったのです。

新制度が施行されるのは少し先ですが、施行されると相続人は一定の期限までに相続登記をしなければならず、違反すると過料を科されることになります。

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相続登記の義務化はいつから?

相続登記の義務化はいつから?

相続登記を義務化する法案は2021年4月に国会で可決されましたが、実際に新制度が開始されるまでにはもう少し期間があります。

今すぐに相続登記が義務化されるわけではありません。

相続登記の義務化は2024年4月1日に施行されます。

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相続登記の義務化の背景と問題点

相続登記の義務化の背景と問題点

相続登記の義務化に関する法律の詳細な内容を確認する前に、まずは法改正が一体なぜ行われたのか、その背景について見ていきましょう。

ここでは、現代の日本社会が直面している課題や現行制度の問題点について解説します。

所有者がわからない土地が増加

平成28年の土地に関する調査で、登記簿上の所有者が不明な土地が約2割あることがわかりました。

登記が正しくされていれば所有者不明の状態にはならないはずですが、実際には登記がされていないケースや、所有者の住所情報が古くて連絡がつかないケースが少なくないことがわかります。

登記がされない理由やケースはいくつか考えられますが、原因の一つと考えられるのが、相続登記が義務化されていないことです。

例えば、売買で土地を取得した場合は、売主が勝手に他の人に売却しないよう、通常買主は購入の際に登記を行い、土地が自分のものであることを登記簿にしっかりと登録します。

しかし、相続登記の場合は、土地の所有者は既に亡くなっていて、勝手に他の人に売却されてしまうリスクがありません。

そのため、土地を相続する人にとっては、わざわざ手続きの手間をかけて登記をするインセンティブが乏しく、登記をすることを面倒に感じて放置しているケースがあると考えられます。

そして、今後の日本は大相続時代を迎えて相続の件数がさらに増加することが見込まれ、このままでは相続登記をせず所有者不明土地になる土地がさらに増える懸念がある状況です。

所有者不明土地が増えてさまざまな問題が顕在化

所有者不明土地があると、例えば次のような問題が生じます。

  • 買収が難航するなど土地の利用や取引で支障が生じる
  • 治安が悪化し国土が荒廃するリスクがある
  • 固定資産税の課税漏れが起きる
  • 土地所有者を探すために時間・費用がかかる

所有者がわからない土地や、所有者は登記簿に記載されているものの住所情報が間違っている土地は、そもそも所有者と連絡を取ることができません。

そのため、例えばある地域で開発計画を進めるために土地を買収しようとしても、所有者と連絡が取れないと買収が進められず、街の開発計画が実施できず難航してしまいます。

他にも、所有者がわからず放置される土地があると治安の悪化や害虫被害・国土の荒廃などの問題が起きる可能性があり、固定資産税の課税漏れが起きて課税の公平性が保てない点でも問題です。

所有者不明土地が近年増えたことで、さまざまな問題点が指摘されるようになっています。

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法改正6つのポイント

法改正6つのポイント

今回の法改正では、相続登記の義務化以外の事項も含めて、さまざまな点で現在の制度が変更されることに決まりました。

2021年4月21日に国会で可決・成立した法案の主なポイントは次の6つです。

  1. 相続登記を3年以内にしないと10万円以下の過料が科される
  2. 氏名や住所変更の登記も義務化される
  3. 施行日以前の登記にも遡及して適用される
  4. 遺産分割協議で揉めた場合は相続人申告登記を行う
  5. 一定の要件を満たすと相続で取得した土地を手放せる
  6. 一定の場合に登記官が職権で登記や付記をできる

1. 相続登記を3年以内にしないと10万円以下の過料が科される

2024年4月1日以降は、相続によって不動産を取得した人は取得した日から3年以内に登記をしなければなりません。

登記の義務があるにも関わらず正当な理由なく期限までに登記をしなかった場合、10万円以下の過料が科されます。

今回の法改正では、単に相続登記が義務化されて手続き期限が設定されるだけでなく、罰則も設けられる点がポイントです。

2. 氏名や住所変更の登記も義務化される

相続登記だけでなく、不動産の所有者の氏名や住所が変更したときの登記も義務化される予定です。

相続登記の義務化が2024年4月1日施行なのに対して、氏名や住所の変更の登記の義務化は2026年度までに施行される予定になっています。

不動産の所有者の氏名や住所に変更があったときは、その変更があった日から2年以内に登記をしなければなりません。

登記の義務があるにも関わらず正当な理由なく期限までに登記をしなかった場合、5万円以下の過料が科されます。

3. 施行日以前の登記にも遡及して適用される

相続登記や氏名・住所変更に関する登記の義務は、新制度施行後には施行日前から登記が正しくされていない不動産の所有者にも遡及して適用されます。

施行日以降の相続や氏名・住所変更だけが登記の義務化の対象になるわけではありません。

なお、手続き期限は相続登記だと3年以内、氏名・住所変更だと2年以内ですが、施行日前から登記が正しくされていない不動産に関しては、この期間は新法の施行日を基準に考えます。

したがって、相続登記の場合は、2024年4月1日までに相続登記をしていない場合は、2024年4月1日から3年以内に登記をしないと過料を科されるので注意が必要です。

現在所有している不動産で正しく登記がされていない物件がある場合には、早めに登記を済ませておいたほうが良いでしょう。

4. 遺産分割協議で揉めた場合は相続人申告登記を行う

家族が亡くなり相続が開始した後、遺産の分け方を巡って相続人で揉めてしまい、相続登記の手続き期限である3年以内に話し合いがまとまらないケースもあるはずです。

誰が不動産を相続するのか決まらないと相続登記ができませんが、この場合はやむを得ない事情がある以上、過料を科すべきではありません。

そこで、遺産分割協議がまとまらず相続登記ができない場合は、相続人が相続の開始等を申し出ることで、相続登記の義務を履行したものと見なす制度が設けられます。

相続人申告登記と呼ばれる制度で、この制度の利用があった場合には、申出人の氏名や住所などを登記官が職権で登記に付記できる制度です。

ただし、あくまで登記の義務を履行したものと見なして過料が科されずに済むだけで、登記をしたことにはなりません。

そのため、遺産分割協議が終わって誰が不動産を相続するか決まったときに、登記を行い不動産の所有者を登録します。

5. 一定の要件を満たすと相続で取得した土地を手放せる

現在の制度では、土地を相続した後に手放したい場合でも、利用価値が低いと買い手が見つからず自治体への寄附も拒否されてしまう場合があります。

これは、使い道がないのに手放すことができず、固定資産税などの費用だけがかかる”負動産”になってしまうケースです。

しかし、新法の施行後は、一定の要件を満たすと相続で取得した土地を国に渡して所有権を手放せる制度が新設されます。

土地を国庫に帰属させる際、土地の管理に要する費用として10年分の費用を納付しなければならず費用はかかりますが、新制度によって相続した土地を手放せるようになる点がメリットです。

ただし、一定の土地は国庫に帰属させることができず、例えば次の土地は対象外になります。

  • 建物がある土地
  • 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
  • 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
  • 崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
  • 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
  • 通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

6. 一定の場合に登記官が職権で登記や付記をできる

登記簿上の情報を最新のものにできるよう、今回の法改正では登記官が職権でできる事項が拡大され、次の事項もできるようになります。

  • 登記名義人の死亡情報を把握した場合、登記官は職権でその旨を示す符号を表示することができる
  • 登記名義人の氏名・住所変更を把握した場合、登記官は職権で変更の登記をすることができる(ただし登記名義人が自然人である場合はその申出があるときに限る)
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相続登記の手続き方法

相続登記の手続き方法

実際に相続登記が義務化されるのはまだ少し先ですが、新法が施行されると施行日前に相続した不動産にも遡及適用され、相続した土地や家の登記をせずにいると過料を科されてしまいます。

そのため、不動産の所有者は登記簿上の情報が正しいかどうかを確認して、もしも誤りがある場合には早めに登記を済ませておいたほうが良いでしょう。

登記は法務局で手続きをする必要があり、自分で手続きをするか登記の専門家である司法書士に依頼することが一般的です。

自分で手続きする場合

相続した不動産の登記を自分でやる場合は、次のような流れで手続きを進めます。

  1. 戸籍謄本や固定資産評価証明書など、必要書類をそろえる
  2. 登録免許税を計算する
  3. 登記申請書を作成する
  4. 登記申請書に必要書類を添付して法務局に提出する

相続登記で必要になる書類は、「遺言に基づく登記」「遺産分割協議に基づく登記」「法定相続分に基づく登記」で異なります。

必要書類については次の記事で詳しく解説していますが、たとえば遺産分割協議に基づいて相続登記をする場合は、一般的に以下の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票
  • すべての相続人の戸籍謄本と印鑑証明書
  • 不動産を相続する相続人の住民票

登記申請書は以下の法務局ホームページからダウンロードできます。

登記申請書は、登記対象となる不動産に関する情報や相続する人、登録免許税の税額などを記載して法務局に提出する書類です。

登記対象となる不動産に関する情報は、登記事項証明書を見ながら記入することになるので、手元に登記事項証明書がない場合は法務局で発行申請を行いましょう。

また、相続登記でかかる登録免許税の税額は、固定資産評価証明書に記載されている不動産の評価額(固定資産税評価額)に税率0.4%をかけて求めた金額です。

司法書士に依頼する場合

相続登記は、自分でやらずに司法書士に依頼することもできます。

専門家に依頼すると費用はかかりますが、必要書類の取得から申請手続きまですべて任せれば、自分でやる手間も時間もかけずに済む点がメリットです。

必要書類を取得する市区町村役場や登記を行う法務局は平日しか開いていないので、平日は仕事などで忙しくて自分で手続きができない場合は、すべて司法書士に任せてしまっても良いでしょう。

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まとめ

相続登記の義務化を定めた新法は、2024年4月1日に施行されます。

施行日前の相続登記にも遡及して適用され、3年以内に登記をしないと10万円以下の過料を科される点に注意してください。

また、相続登記だけでなく、氏名や住所が変わった際の登記も義務化され、2年以内に登記をしないと5万円以下の過料を科されてしまいます。

引っ越しなどで住所が変わっている場合は早めに登記を済ませるようにしましょう。

そうぞくドットコムでも相続登記についてのサービスを提供しているので、手続き方法がわからずお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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この記事を監修した専門家は、
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2016年、司法書士試験合格。東京司法書士会所属。都内の司法書士事務所にて不動産登記を中心に登記業務全般に携わる。その後独立し、2019年、そうぞくドットコム不動産の立ち上げ期から参画し、プロダクトアドバイザーに就任。2021年、AGE technologiesへ入社。