【2020】形見分けとは?やる時期はいつ?対象者・受け方・行う際のポイント

形見分け その他

故人が使用していた品を身近に置くことで、生前の思い出を共有することができる形見分けですが、マナーや意義が曖昧なためしばしばトラブルのもとになってしまうことがあります。

そこで、ここではトラブルなく形見分けを行う方法を解説者しながら、「注意点」「具体的な形見分けの品」「形見分けと相続の関係性」などについて解説します。

形見分けとは

綺麗に保管された宝石

まず初めに、形見分けとは何なのかについて解説しましょう。

冒頭でも触れたように、形見分けとは故人の遺した品物を故人と関係が深かった親族や友人・知人に贈る行為です。

遺品を贈られた方がその品物を通して故人を偲ぶことから、葬儀が終わった後の供養という意味合いもあります。

ただし、この形見分けは地域の風習・しきたりが色濃く反映されるため、そのやり方や考え方はお住まいの地域によって若干異なります。

遺品整理との違い

形見分けと遺品整理は、「故人の生前の持ち物を分ける」という意味合いから混同されがちですが、まったく異なる行為です。

形見分けと遺品整理の違いは次のとおりです。

  • 形見分け:故人と親しい方に遺品を贈りその品を通して故人を偲び供養する行為
  • 遺品整理:故人の遺したものの全てを必要な物と不必要な物に分類する行為

遺産分割との違い

遺産分割とは、遺された財産を受けついだり遺族間で分割したりして相続する行為です。

そのため、故人の生前の持ち物を家族や知人で分けあう形見分けとは意味合いが異なります。

この際の財産には、家や不動産以外にも次のような品が含まれます。

  • 着物
  • 宝石
  • 絵画
  • 家財道具など

形見分けの対象者

手をつなぐ家族3世代

形見分けをする際の対象者に特別なルールはありません。

故人の近親者の中でも親しかった方や、故人の友人・知人に贈ることが一般的です。

ただし、故人の遺志で形見分けの品や対象者が指定されている場合は従わなければなりません。

形見分けの受け方

合掌する女性

遺族から形見分けの申し出があった場合は、できる限りこれを受けるのがマナーです。

しかし、どうしても受け取ることができない事情がある場合は、丁重にお断りしても構いません。

受け取った形見分けの品は、大切に使用することで故人の供養となるため、他者へ譲ったり売却するような行為は避けましょう。

なお、原則として形見分けの品に対するお礼は不要とされています。

【宗教別】形見分けはいつ行う?

ひょうたん型の絵馬

形見分けを行う時期は、各宗教によって異なります。

ここでは、形見分けを行う時期について私たちになじみのある「仏教」「神道」「キリスト教」に分けて解説します。

時期①:仏教の場合

仏教では、四十九日法要を目安として形見分け行うことが一般的です。

これは四十九日を境に忌明けとなり、この日をもって家族や親族も日常の生活に戻るためです。

ただし、地域によっては35日目の「五七日(いつなのか)」のタイミングで形見分けを行う地域もあります。

時期②:神道の場合

仏教の初七日法要に相当する法要は神道の場合は「十日祭」となり、その後は忌明けの法要に相当する「三十日祭」もしくは「五十日祭」を行います。

神道の形見分けは、この三十日祭もしくは五十日祭に行うことが一般的です。

時期③:キリスト教の場合

キリスト教においては、形見分けの概念自体が他の宗教と比べ非常に希薄となることから、形見分けを行う時期に明確な決まりは存在しません。

しかし、遺産相続という視点から考えると「自身が相続人であることを知ってから3ヶ月以内に行う」と決められているため、故人の死後1ヶ月を目安に形見分けを行うケースが多いようです。

なお、キリスト教の代表的な宗派である「カトリック派」「プロテスタント派」のどちらの宗派においてもこの考えは同様です。

形見分けを行う際の注意点

しまってあった貴金属類

誰もが納得できる形見分けを行うためには、次にあげる注意点に気をつける必要があります。

注意点
  • 目上の方には贈らない
  • 遺品を梱包しない
  • 高価すぎるものは贈らない
  • 修理・修復してから渡す
  • 無理に贈ることはNG

注意点①:目上の方には贈らない

そもそも、形見分けとは親のものを子供に、兄弟のものを弟妹や甥・姪に分けるのが本来の姿です。

そのため、個人よりも目上の方に形見分けの品を贈るものではないとされています。

ただし、目上の方であっても形見分けを希望された場合は、形見分けの品を贈っても良いとされています。

注意点②:遺品を梱包しない

形見分けで贈る品はプレゼントではないため、梱包の必要はありません。

しかし、故人の品をはだかでお渡しするのも気が引けるという方は、半紙などに包んでお渡しすれば良いでしょう。

この際には水引なども必要ありませんが、もし書き添えるのであれば「遺品」もしくは「偲ぶ草」などが適切です。

注意点③:高価すぎるものは贈らない

形見分けで高価な品を贈る場合は、贈与税が発生する可能性があります。

この贈与税は贈られる側の負担となる場合が多いため、できるだけ高価な品を贈るのは控えた方が良いでしょう。

注意点④:修理・修復してから渡す

形見分けで贈る品は、修復が必要な場合は必ず修理し正常に作動することを確認してから渡します。

また、衣類などはクリーニングし清潔な状態にしてから渡しましょう。

掛け軸や絵画の場合は修復作業が必要な場合もあり、この際には専門家に依頼します。

注意点⑤:無理に贈ることはNG

故人と特に親しかった方へ「どうぞ、もらってください」と形見分けする場合は多くありますが、この際には相手の気持ちに配慮した行動が求められます。

くれぐれも、相手に無理をいって形見分けの品を受け取ってもらうような行動は慎みましょう。

形見分けを行う際のポイント

指先する女性

形見分けを行う場合は、贈られる側にも法的な制限が発生する可能性があります。

ここでは、贈られる側が気をつけるポイントを中心に、形見分けを行う際のポイントを解説します。

形見分けの品が市場価値があるのかを確認する

故人が遺していった品の中には市場価値が高いものも含まれ、絵画や骨董品などは故人の生前の収集品として、驚くほど高額な値段がつく場合があります。

この品に関し、遺族が「もしかすると高額な物かもしれないが、ぜひもらっていただきたい」と形見分けを行う場合は、その品の価値によっては贈られる側に贈与税が発生してしまいます。

 

このように、形見分けの品の価値を知らないまま誰かに贈ってしまえば、その方が予想しなかった税金を納める事態になりかねません。

贈る品は事前に専門家の鑑定を受け、その価値を十分に理解してから形見分けをしなければ、贈られる側にとって迷惑な品となる可能性があるのです。

遺産分割を完了させてから行う

形見分けの品の中に高額な遺品が残された場合、その処分方法は一人の意思で決定することはできず、相続人全員で決めなければなりません。

そのため、形見分けを行う際には「遺産相続」を完了させ、高額な遺品の処分方法について決定してから行う必要があります。

故人の遺志を尊重する

形見分けで最も重要なポイントは、「故人の遺志が尊重されているかどうか」です。

そのため、生前の故人が形見分けの品について遺したい方を指名しているのであれば、遺族はその意志を実行して故人の希望を果たすのが務めと考えましょう。

しかし、形見分けの品についてはなかなか故人の希望を知る手段がないというのが現状です。

 

このような中で、近年注目を集めているのが「エンディングノート」の存在です。

エンディングノートに形見についての記述があれば、遺族は安心してその内容に従って形見分けができるのです。

ただし、このエンディングノートには法的な拘束力はないため、相続時に「遺言書」のように活用することはでできません。

形見分けを行う品の具体例

年代物のライターコレクション

ここでは、実際に形見分けを行う品にはどのような物があるのかを解説します。

故人が使っていた日用品

時計や万年筆など故人の日用品は、形見分けの代表的な品です。

これらは故人が最後まで使用していることも多く、故人を偲ぶのには最適な品と言えるでしょう。

故人の衣服や服飾雑貨

故人が生前大切に保管していた着物や髪飾りなどがこれに該当します。

特に女性の場合は着物をコレクションしている方も多く、古くから形見分けと言えば故人の着物を贈るのが一般的でした。

 

先ほどもお伝えしたように、これらの衣服を形見分けする際にはクリーニングを行い、できる限り清潔な状態で贈るよう心掛けてください。

また、クリーニングに出しても綺麗にならないような衣類に対しては、形見分けの品から外すようにします。

故人の生前のコレクション

故人が生前からコレクションしていた「趣味の品」は、形見分けの対象となります。

食器類や絵画などがこれに該当しますが、これらの品は他の形見分けの品と比較すると市場価格が高額となる場合も多く、専門家の鑑定が必要です。

また、これら趣味の品を形見分けする際にはその価値がわかる方に形見分けする場合が多く、趣味を介した友人・知人などがこれらの品を引き継ぐ場合が多いことが特徴です。

数珠などの仏具

仏教において、数珠は最も使用者に身近な仏具と言えるでしょう

そのため、故人がなくなった際にはこの数珠を棺に入れて故人とともに弔います。

しかし、故人が数珠を複数本もっている場合は棺に入れなかった数珠を形見分けし、故人の子供が受け継ぐことがあります。

形見分けと相続

計算する手元

形見分けの品を含む遺品全般は故人の財産として扱われるため、原則的には相続人に相続された後に形見分けを行います。

これは形見分けの品が相続税の対象となるばかりか、贈与税の対象になるケースがあることを意味し、このような事実は一般的にはあまり知られていないのが現状です。

そこでここでは、形見分けと相続についての注意点を要点を絞って解説します。

形見分けは「相続の単純承認事由」に該当しない

「相続の単純承認事由」とは、財産を相続することを認めたと解釈される行為です。

相続にはプラスの相続もあれば借金などのマイナスの相続もあるため、この相続の単純継承事由が認められてしまえば、たとえマイナスの相続であっても故人のすべてを相続することになります。

しかし、形見分けに関してはこの相続の単純継承事由には該当しないとされています。

中には高価な品を形見分けする場合もあり、この場合は相続の単純継承事由に該当する場合もありますので注意が必要です。

形見分けを断る場合も相続には影響しない

先ほどお伝えしたように、形見分けを受ける行為は原則的には単純継承事由には当たらないため、形見分けを断る場合も相続には影響を与えないのが原則です。

ただし、形見分けを受ける側が相続人でその形見分けの品が高価な物である場合は、「相続財産の放棄」と判断される場合があります。

このような場合の形見分けを断るには、相続放棄を行わなくてはなりません。

なお、相続財産の放棄の判断は、その形見分けの品に市場価値があるかどうかが判断材料です。

そのため、いくら珍しい品であっても換金性のない品であれば問題はありません。

形見分けのよくあるトラブル事例

考え込む女性

形見分けは故人を供養する重要な行為ですが、法律的にはさまざまなトラブルに発展する可能性がある行為と言えます。

そこでここでは、形見分けの際に実際に起こりやすいトラブル事例について解説します。

トラブル事例①:故人との関係性が不明

故人の生前の人間関係を完璧に把握するのは難しく、形見分けの場で故人と親しかったと名乗りを上げる方がいる場合、これを信用して換金性の高い品を形見分けする場合があります。

本当に故人と深い仲であったなら良いのですが、中にはまったく無関係の方がこのような行為で遺族を騙すケースが報告されています。

こういった犯罪を避ける意味でも、故人との関係が不明瞭な方への形見分けは行わない、もしくは親族だけで形見分けを行うなどの対策が必要です。

トラブル事例②:形見分けするべき品を破棄される

遺品の中には、一般の方から見れば無価値な物でも、特定の関係者にとっては非常に価値の高い品も存在します。

そのため、遺品整理の段階でこのような品について遺族が早々に廃棄することがあり、そうなってしまえば取り返しがつきません。

このような事態を避けるためにも、形見分けの前の遺品整理の段階から遺品を「処分する物」「相続する物」「形見分けをする物」の3種類に分類し、親族と作業を進めることをおすすめします。

まとめ

縁側に座るおじいちゃんとおばあちゃん

形見分けは故人の品を贈ることから、遺族間でその品の値打ちをめぐって争うケースもあり、近年はまったく形見分けを行わない方も増えています。

しかし、形見分けの本来の目的は故人の品を手元に置き、故人への想いをいつまでも心にとどめる行為です。

これまでの内容を参考に遺族全員が納得できる形見分けを行い、遺された品々を通して故人を供養するよう務めましょう。

この記事を監修したのは、