相続税の計算方法を順を追ってわかりやすく解説

相続税
この記事を監修した専門家は、

 

相続について考える時に、避けては通れないのが相続税です。また、相続税は計算方法が複雑で、実際の相続では税理士など専門家に算出してもらうことが多いでしょう。

しかし、順を追って確認していけばそこまで難しいものではありません。本稿では、相続税の計算方法について、一般的な計算方法を詳しく解説していきます。


被相続人=資産を残す人=亡くなった方
相続人=資産を受け継ぐ人=配偶者、子供、親せきなど


1.相続税とは

人が亡くなった時に、その人が持っていた資産(お金、家、土地、物など)を、残された人たち(配偶者、子供、親、兄弟など)に受け渡すことを「相続」と呼びます。そして、相続が発生し資産が被相続人から、相続人へ渡った時、税金が発生します。これを相続税と呼びます。

相続税は、受け取った資産額に対して課税されるものであり、相続税を支払うのは相続人です。それでは相続税の計算方法を見ていきましょう。

2.相続税の計算方法を簡単解説!

相続税の基本的な計算方法は、ステップ1〜5で考えることができます。以下、各ステップ毎の簡易説明です。

2-1 被相続人の「正味の遺産額」を把握する


● 相続税の計算の全ては資産額を把握することから始まりますが、重要なのは正味の遺産額を正しく把握することです。
● 資産は、把握しやすい現預貯金だけでなく、建物、土地、家財一式など様々な物が含まれます。また、それらプラスの財産から、借金などの債務、マイナスの財産を差し引いたものが正味の遺産額となります。

2-2 基礎控除を差し引く

● 1でまとめた正味の遺産額から基礎控除を差し引き、課税遺産総額を算出します ※基礎控除については次の章で説明

2-3 法定相続に基づいて分割したものとして相続税の合計を算出する

● 課税遺産総額を法定相続に基づいて分割したとして、それぞれにかかる相続税を計算し「相続税の総額」を確定させます

2-4 実際に分割された取得財産の比率に応じて相続税を按分し、それぞれの相続税を算出する

● 3で確定した相続税の総額をもとに、実際の取得財産の比率で按分します

2-5 各種控除を適用し、税額が確定

● 最後に、各人の相続税額から、各種控除(配偶者控除、未成年者の税額控除など)を差し引いて、相続税額が確定します

 

大きくは、上記の5ステップによって、相続税の計算をすることが可能です。

3.基礎控除とは?

計算方法のステップ2で「正味の遺産額から基礎控除を差し引きます」と説明をしました。相続税では正味の遺産額全てに対して課税される訳ではなく、そこから基礎控除を差し引いた金額に課税されます。

また、正味の遺産額から基礎控除を差し引いた場合に「0円」となる、つまり【正味の遺産額<基礎控除】の場合は、相続税はかかりません。

気になる基礎控除の金額ですが以下の通りです。

基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

上記の通り、基本は3,000万円が基礎控除として差し引かれ、加えて法定相続人の数×600万円が基礎控除額となります。

◆ケーススタディ

● 4人家族
● 被相続人:父
● 相続人:母、姉、妹

この場合基礎控除は、3,000万円+(600万円×3人(母、姉、妹))=4,800万円となります。 つまり、4,800万円までの相続財産であれば相続税はかかりません。

4.累進課税について

相続税は累進課税によって、課税されます。累進課税とは、課税対象が増えるほど、より高い税率を課する課税方式のことです。

これは課税方法のルールを指し、物を買った時などに発生する消費税は、いくらの物を買っても税率は一律8%(2018年4月現在)であり、これは累進課税とは言いません。

相続税では、資産の額に比例して、税率も高くなります。この累進課税率はルールが決まっており、以下の通りに課税されます。

法定相続分に上記の速算表で税額を算出し、取得した遺産の金額を上記の速算表にあてはめて相続税の金額を算出します。

5.ケーススタディで確かめよう!

では実際に基礎控除や累進課税をケーススタディに当てはめて計算をしてみましょう。

ケーススタディ

● 被相続人:夫
● 総資産額:2億円
● 相続人:妻(1人)子(2人/兄、弟)

ステップ1 被相続人の「正味の遺産額」を把握する

このケースでは正味の遺産額を「2億円」で計算します

ステップ2 基礎控除を差し引く

基礎控除の金額は「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で求められるので、相続人が妻と兄弟2人の合計3人の場合は、「3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円」となり、基礎控除差し引き後の総資産は「2億円-4,800万円=1億5200万円」となります。

ステップ3 法定相続に基づいて分割したものとして相続税の合計を算出する

基礎控除の金額は「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」で求められるので、相続人が妻と兄弟2人の合計3人の場合は、「3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円」となり、基礎控除差し引き後の総資産は「2億円-4,800万円=1億5200万円」となります。

妻(1億5200万円×1/2=7,600万円)
兄(1億5200万円×1/4=3,800万円)
弟(1億5200万円×1/4=3,800万円)

次に、課税率と控除額から、相続税を計算します

◆ 法定相続による妻の相続税額
7,600万円の課税率:30%
7,600万円の控除額:700万円
→妻の相続税=(7,600万円×30%)-700万円=1,580万円

◆ 法定相続による兄弟の相続税額
3,800万円の課税率:15%
3,800万円の控除額:50万円
→子1人の相続税=(3,800万円×15%)-50万円=520万円

◆ 相続税額の合計
1,580万円+520万円+520万円=2,620万円

これで、相続税の合計金額が2,620万円と確定します。

ステップ4 実際に分割された取得財産の比率に応じて相続税を按分し、それぞれの相続税を算出する

何らかの事情で、弟の相続資産を全て、兄に相続すると仮定します。するとそれぞれの「実際の取得財産の比率」は以下のようになります。

妻:1/2
兄:1/4(元々の自分の分)×1/4(弟の分)=1/2
弟:0

※計算を簡易にするため遺留分は考慮しないものとします

先ほど確定した相続税の合計額2,620万円にこの実際の取得財産の比率を按分します。すると以下のようになります。

妻:2,620万円×1/2=1,310万円
兄:2,620万円×1/2=1,310万円

ステップ⑤ 各種控除を適用し、税額が確定

最後に、各種控除を差し引いて、各人の相続税が決定します。

ここは、ケースによって異なりますが、このケースの場合、配偶者控除が適用可能になるため、妻の相続税(1,310万円)は0円となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?このように相続税の計算では「相続人の数」「資産の額」この2つが大きく影響します。

また、相続税は厳密に計算しようとすると、特に不動産などでは資産の評価方法が異なったり、控除についても特別控除などが存在したりするため、もっと複雑な計算になります。

この記事でご説明したのはあくまでも基本的な考え方のステップであり、実際の納税すべき金額とは異なる場合がございます。そのため相続税の申告等については専門家に依頼し、正しい申告を行うことが重要です。

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