家系図とは、一族の血縁関係や婚姻関係を調査して図に表したものですが、これはご自身で作成することは可能です。
この調査は、公的な書類を取得してその内容を確認しながら進めることになりますが、これはまったくの素人にとって非常に骨の折れる作業です。
そこで、ここでは家系図の調べ方を解説しながら、「戸籍謄本の請求方法」「請求書に記載する内容」「取得時の注意点や対応方法」などについて解説します。
家系図の調べ方

家系図の作成方法には、「戸籍の追跡」「墓標の調査」「寺院に保管された過去帳の閲覧」の3種類がありますが、その中で最も確実なやり方は「戸籍の収集」です。
そこで、ここでは収集した戸籍を遡りながら戸籍を収集する方法を解説します。
また、実際に作業を行う際には考えなければならない、戸籍を請求する範囲についてもお伝えします。
家系図は戸籍を遡って作る
戸籍を遡って家系図を作成するプロセスは、次の作業を繰り返すことになります。
- 自治体窓口から戸籍を取得する
- 取得した戸籍を読み取る
- 戸籍情報を家系図に書き込む
この作業を繰り返し行うことで家系図は完成しますが、取得する戸籍は一か所に申請するわけではありません。
これは、戸籍に記載されている方の住所が全国各地に散らばっているためで、このことが原因となり戸籍請求先の自治体も広範囲となります。
このような事情から、家系図の作成は非常に時間と労力がかかるため、専門家へ作業を依頼するのが一般的です。
しかし、それでもご自身で行いたいと考える方は、次のように計画的で効率の良い作業を心掛ける必要があるでしょう。
戸籍を請求する範囲は事前に決めておく
戸籍を請求する範囲は、作成を希望する家系図の範囲によって異なりますが、請求範囲は事前に決めておいた方が良いでしょう。
当初の計画で全ての戸籍を調べようとする方もいますが、これでは家系図完成まで多くの時間がかかり過ぎてしまい、初めて戸籍取得する方にとっては計画自体に無理があります。
先ずはご自身の名字の家系を辿り、順序その他の家系へと戸籍を請求する範囲を広げていくことをおすすめします。
戸籍を請求できる
なお、戸籍を請求できる範囲は、戸籍法により予め次の範囲に限定されています。
- その戸籍に記載されている本人
- その配偶者
- 直系関係にある人物
このような決まりから、自身と血がつながった直系の先祖の戸籍は取得することが可能ですが、先祖の兄弟姉妹のように傍系となる方の戸籍は取得できません。
傍系となる先祖を含めた家系図を作成する場合は、その親族の委任状が必要です。
戸籍謄本取得のための事前準備
先ほどの解説のとおり、ご自身で家系図を作成する方にとっては事前準備が非常に重要です。
ここでは、スムーズな家系図作成につながる時前準備について解説していきます。
- 自身の本籍地を確認する
- 自身の戸籍謄本を請求する
自身の本籍地を確認する
戸籍を取得する際には、その方の本籍地を知らければなりません。
基本的には実家や現住所が本籍地となっていることが一般的ですが、本籍地をどこに定めるのかは自由に決めることが可能です。
そのため、ご自身が考えていた場所と微妙に本籍地が異なる場合や、まったく違う場所が本籍地として登録されているケースはよくあります。
先ずは次の手順で住民票を取得し、ご自身の本籍地を確認してみましょう。
- 自治体窓口で住民票の写しを取得する
- 書式の中にある「本籍地」の欄にチェックを入れる
- 本籍地が記載された住民票を確認する
自身の戸籍謄本を請求する
本籍地がわかれば、今度はその本籍地の自治体窓口から戸籍謄本を取り寄せます。
先祖の戸籍を取得する際には、ご自身の戸籍は必要不可欠となるためこの作業は確実に行いましょう。
戸籍謄本の請求方法

本籍地が分かれば、その本籍地にある自治体窓口で戸籍謄本を取得することが可能ですが、この請求方法には次の2種類があります。
ここでは、この2種類の請求方法について説明します。
窓口に直接赴いて請求する
戸籍の請求書は自治体窓口で取得することができますが、請求書の書式は役所ごとに異なります。
これは、自治体ごとに事務規定が異なり書類の統一がなされていないことが原因ですが、おおよそ記載内容に変わりはありません。
なお、詳しい記載内容に関しては、次の「戸籍交付申請書に記載する内容」の中で紹介します。
郵送で請求する
戸籍は郵送で請求することも可能です。
これは戸籍法で定められた法律のため、次のものを郵送すればどこの自治体窓口でも対応してくれます。
- 戸籍交付申請書
- 請求者の本人確認書類のコピー
- 手数料相当分の定額少為替
- 返信封筒・切手
- 請求対象者との関係が確認できる戸籍のコピー
なお、これら郵送するものについては、次の「戸籍請求書に同封する書類」の中で詳しく解説します。
戸籍交付申請書に記載する内容

先ほども解説したように、戸籍を取得する際に記載する書類の名称は自治体ごと異なりますが、記載内容はどの自治体でも次の項目となるため作成は難しくはありません。
ここでは、それぞれの項目とその記載内容を説明しています。
- 宛名・日付
- 請求者
- 必要な戸籍
- 証明書の種類
- 使い道・提出先
宛名・日付
戸籍謄本の請求先は自治体の長となるため、宛名の欄には自治体名を記載します。
日付は書類を作成した日でも、申請書が届く予定日でもどちらでも構いません。
請求者
請求者の欄には次の内容を記載します。
- ご自身の「住所」「氏名」「生年月日」
- 筆頭者から見た請求者の関係
- 日中連絡可能な電話番号
筆頭者から見た請求者の関係とは、取得する戸籍の人物から見た請求者の続柄です。
そのため、親の戸籍を取得する人物がその子供である場合は、「子」の欄に丸を付けることになります。
筆頭者について
筆頭者とは、戸籍の初めに記載される人物の名前です。
初婚同士の方が結婚した場合は新たに新戸籍を作成しますが、このときに夫側の名字を選べば夫が筆頭者、妻側の名字を選べば妻が筆頭者となります。
必要な戸籍
必要な戸籍の欄には、筆頭者の「氏名」「生年月日」を記載します。
なお、1枚の申請書で数世代の戸籍をまとめて取得したい場合は、最も新しい戸籍の筆頭者の欄に「他」を付け加えましょう。
このような表記をすることで、戸籍担当者は筆頭者の上の世代まで戸籍を請求していると判断できます。
証明書の種類
証明書の種類の欄には次の用語が記載されていますが、この意味については分からなくても戸籍請求は行うことが可能です。
- 戸籍
- 除籍
- 改製原戸籍
家系図作成には古い戸籍を大量に取得することになるため、この際の請求対象はほぼ除籍か改製原戸籍のいずれかになります。
そのため、実際に請求する際にはこの項目のすべてに「各1通」と記載します。
なお、この際に取得する戸籍は、一部の事項だけが記載されている「戸籍抄本(こせきしょうほん)」ではありません。
すべての事項が記載されている、「戸籍謄本(こせきとうほん)」を取得しましょう。
使い道・提出先
使い道・提出先の欄には、「家系図を作成するため」と記載します。
なお、「不明な点があれば携帯電話に連絡を下さい」の一文と携帯電話番号をこの欄に添えておけば、戸籍担当者から連絡を受けることも可能です。
作業を円滑に進めるためにも、この一文は記載することをおすすめします。
戸籍請求書に同封する書類

戸籍を郵送で請求する際には、次のものが必要です。
必要なものが不足すると請求が一度で行うことができず、新たに送り直さなければなりません。
郵送する前には必ず同封内容を見直し、不足がないのかを確認してから送るように心がけてください。
- 戸籍交付申請書
- 定額小為替
- 身分証明書のコピー
- 返信用封筒
- 返信用切手
- 請求対象者との関係が確認できる戸籍のコピー
戸籍交付申請書
再三になりますが、この申請書の名前は自治体によって名称が異なりますが、記載内容はどれもほぼ同じです。
「戸籍交付申請書に記載する内容」で解説した内容をもとに、記載に不備がないのかを確認してから同封しましょう。
定額小為替
戸籍に関する証明書の発行手数料は、ここで紹介する定額小為替で支払います。
この定額小為替は、遠隔地で必要な現金に代わって支払いができる送金サービスで、郵便局で購入することが可能です。
なお、どれだけの枚数の戸籍謄本が取れるのかは郵送する前にはわからないものです。
そのため、定額小為替は多めに見積もり、あらかじめ1万円ほどを送っておいた方が良いでしょう。
使わない定額小為替があれば、自治体の担当者が返還してくれるため損をすることはありません。
身分証明書のコピー
行政機関から発行された次のような身分証明でれば、どの証明書でも受け付けてもらえます。
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 写真付き住基カード
- 健康保険証 など
この証明書は原本を郵送する訳には行かないので、記載がある内容の面をコピーして郵送します。
なお、身分証明書の種類は自治体によっても受付内容が異なる可能性があるため、郵送する前に一度電話で確認した方が良いでしょう。
返信用封筒
取得した戸籍は、役所側が準備した封筒で返信されるわけではないため、戸籍請求書を郵送する際には返信用封筒を同封するという決まりがあります。
なお、戸籍の請求はどれだけの枚数が取得できるのかがわからないため、戸籍の量が多い場合は封筒に入りきらないことも少なくありません。
なるべく大きめの返信用封筒を準備した方が良いでしょう。
返信用切手
大きめの返信用封筒として角形2号の封筒を使用する場合は、380円の切手を同封することになります。
切手は封筒に貼らずに書類にクリップなどで留めておきましょう。
なお、レターパックを使用して必要書類を郵送する場合の切手は不要です。
請求対象者との関係が確認できる戸籍のコピー
ご自身の親よりも上の世代のご先祖様は、本籍地の変更や別の自治体に転籍していることが一般的です。
このような場合は、現在お住まいの自治体に保管してある戸籍だけでは、戸籍を請求する人物に本当に請求権があるのかを判断することが困難です。
そのため、戸籍を請求する人物は請求対象者が直系先祖に含まれていることを証明するため、手書きの家系図や戸籍のコピーを資料として同封しなければなりません。
戸籍謄本を請求する際の注意点・対応方法

家系図は戸籍の取得を繰り返し行うことで完成することができますが、この作業にはいくつかの注意点があります。
ここでは、その注意点を解説しながらそれぞれの対応方法を紹介します。
- 本籍地表記が変更されている場合がある
- 市区町村が合併されている場合ある
- 取得できない戸籍謄本もある
- 作業量の多さから取得を諦める方もいる
本籍地表記が変更されている場合がある
戸籍を繰り返し請求していると、本籍地の表記が現在とは異なる名称に変更されているケースがあります。
このような場合は、昔の表記のままで請求しても問題はありません。
現在の表記で請求すると、担当者が戸籍を見つけられなくなってしまいます。
市区町村が合併されている場合ある
市区町村が合併した際には、過去の住所地と現在で自治体自体が異なるケースもあります。
このような場合は、自治体の戸籍課に電話連絡をして、請求先となる自治体を確認する方法がおすすめです。
請求先となる自治体を間違ってしまうと、戸籍請求ができません。
作業が大幅に遅れてしまうため、郵送で戸籍を取得する際には一度電話で確認した方が良いでしょう。
取得できない戸籍謄本もある
2010年に改正された戸籍法によって、現在では戸籍の保存期間が150年と決められていますが、それ以前の保存期間は80年でした。
そのため、1930年までに除籍となった謄本と原戸籍に関しては廃棄されている場合もあるため、場合によっては取得ができない可能性があります。
ただし、これはあくまでも法律で決められた最低限の保存期間に過ぎません。
実際には多くの戸籍がこの期間を過ぎても保存されているため、1930年以前の戸籍も取得可能な場合が多いのが現状です。
作業量の多さから取得を諦める方もいる
ここまで家系図の作成方法を解説しましたが、その作業量の多さや複雑さに驚かれた方も多いのではないでしょうか?
戸籍の取得やそれに関連した資料の添付など、家系図の作成はどんなに効率的な作業を行っても多くの時間が必要です。
なお、本サイト「そうぞくドットコム」では、家系図作成に必要な書類の代行取得が定額制でご利用頂けます。
手続は24時間ネットで行うことができ、必要な入力も5分程度で完了するため、日中は仕事で忙しい方でも夜間の空いている時間で簡単にお申し込みを行うことが可能です。
まとめ

ご自身のルーツを知りたいと考える方や、ご自身以前の家族が生きてきた軌跡をたどりたいと考える方は、家系図の作成を行う方が大勢います。
中には職場を定年退職してから家系図を作成し、10年弱の年月をかけて壮大な家系図を完成させる方もいるほどです。
しかし、実際多くの方はそこまで家系図作成に時間を割くことはできません。
そのような方は、専門家への依頼も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
「そうぞくドットコム」なら定額制のため戸籍の量が増えても費用はそのまま、不安な点はサポートセンターが対応してくれるため、誰でも簡単に戸籍を取り寄せることが可能です。