初めてお葬式を行う際、具体的にどのような日程で行うのかわからず、準備に不安を感じる人も少なくありません。
お葬式の日程はある程度決まっていますが、葬儀形式によって省かれる内容もあるため、事前に大まかな日程を知っておく必要があります。
そこで今回は、基本となるお葬式の日程と葬儀形式別の日程を分け、行うべき準備について詳しく解説し、お葬式の日程の決め方や押さえるべきポイントについてお伝えします。
目次
基本的な葬式の日程の流れ

日本で広く認識されているお葬式は、基本的な日程の流れがある程度できあがっています。
一般葬の場合は基本の日程で行われることが多く、親族や葬儀社との話し合いも基本の日程を基準に進められることがほとんどです。
つまり、お葬式の日程の基本を知っておくことで、いざというときに慌てず準備を進められます。
ここでは、基本的な葬式の日程の流れについて、故人の逝去後から順番を追って解説しましょう。
- 1日目:逝去〜お通夜・告別式の準備
- 2日目:お通夜
- 3日目:告別式〜精進落とし
1日目:逝去〜お通夜・告別式の準備
お葬式の日程1日目とは、故人が亡くなった日のことです。
臨終の時間帯によって多少の違いがありますが、お葬式の日程は1日目でほぼ決まりますので、遺族は慌ただしい中でも必要な手続きを行ったり、お葬式に関わる段取りや手続きをしたりしなければなりません。
1日目にやるべきことは、大きく分けると「故人の臨終」「遺体の搬送・安置」「お通夜・告別式の準備」の3つです。
それぞれの項目をくわしく解説しますので、やるべきことを順番に確認してください。
- 故人の臨終
- 遺体の搬送・安置
- お通夜・告別式の準備
故人の臨終
故人の臨終を迎えたら、遺族は次のようなことを行います。
- 医師に死亡診断書をお願いする
- 故人の医療処置やエンゼルケアをお願いする
- 故人の2親等内やすぐに来て欲しい遺族に連絡する
- 遺体の搬送をお願いする葬儀社に連絡する
- 故人の荷物をまとめる
- 病院への支払いについて説明を受ける
- 自宅に安置する場合は場所を整える
現代では病院で臨終を迎える人がほとんどなので、ほとんどの場合はこのような手続きが行われます。
自宅での故人を看取った場合は、訪問看護によるケアなど病院によって対応がさまざまなので、わからないことは医師や看護師に尋ね、必要な手続きが速やかに行われるよう行動しましょう。
遺体の搬送・安置
遺体のエンゼルケアや引き取りの手続きが済んだら、葬儀社の寝台車に遺体を乗せて安置場所まで搬送します。
安置をするためには、遺体を寝かせる場所を作って布団を敷いたり、小さな祭壇を飾ったりなど準備が必要なので、できれば早めに安置場所を決めて葬儀社へ伝えるようにしてください。
自宅に安置することが難しい場合は、葬儀社に相談すれば安置するための控え室を借りることができます。
状況に応じて適切な安置場所を決めるようにしましょう。
お通夜・告別式の準備
遺体の安置が終わったら、お通夜・告別式の準備に入ります。
遺体を火葬するための手続きからお葬式に必要なものの手配まで、遺族はさまざまな事柄を決めていかなければなりません。
一人で行うのは大変な作業になりますので、遺族・親族で手分けをしたり、葬儀社の人に手伝ってもらったりしながら準備を進めましょう。
具体的な内容は以下のとおりです。
- 役所に死亡届を出し火葬許可証をもらう
- 火葬場の予約をする
- 葬儀形式を決める
- 葬儀会場の広さを決める
- 葬儀の祭壇・仏具・棺などを決める
- 会葬御礼状と御礼品を決める
- 僧侶に法要をお願いする
- お通夜・告別式の日時を確定して友人・知人に知らせる
- 通夜振る舞いの手配をする
2日目:お通夜
故人が亡くなった翌日はお葬式の日程2日目にあたり、遺族はお通夜の法要を行なったり、お通夜に参列してくださった人に通夜振る舞いをしたりなどの対応で忙しくなります。
手配や手続きのほとんどは1日目に終わっていますが、慌ただしい中での準備は思わぬ見落としもあります。
日程2日目に行う内容を確認して、つつがなく進行できるようにしましょう。
具体的な内容は次のとおりです。
- 納棺
- お通夜
- 通夜振る舞い
納棺
納棺とは、死装束を着せた遺体を棺に納めることです。
納棺の前に湯灌と呼ばれる儀式をして体を清めることもありますが、近年ではエンゼルケアでアルコール清拭が行われるため、髪型を整えたり死化粧をしたりして納棺するのが一般的です。
このとき、故人の好きな食べ物や思い出の品を一緒に納めることもありますが、水気の多い食べ物や金属が使われている金属は、火葬の妨げになるのでふさわしくありません。
遺体と一緒に品物を棺に納める時には、事前に入れても大丈夫か葬儀社の人に相談してください。
お通夜
納棺された遺体を葬儀会場へ運びお通夜の準備を整えたら、参列者を迎え入れましょう。
来て頂いた僧侶は別室へ案内し、改めてご挨拶とお礼を述べてください。
お通夜の開始時間5分前になったら、受付の人も会場へ入って着席します。
お通夜に遅れてくる人がいることもありますので、受付が無人にならないよう段取りを組んだり、葬儀場の人に相談して変わってもらったりするなど、あらかじめ決めておくと良いでしょう。
開始時間になったら司会からのアナウンスがありますので、式次第にしたがってお通夜を行ってください。
通夜振る舞い
通夜振る舞いは、遺族が参列した人へお礼を込めて振る舞う料理のことです。
肉や魚を使わない精進料理がメインで、参列者の人数によって次のような席を設けます。
- 参列者の人数が多くはっきりしない時にはオードブル形式
- 参列者の人数がある程度把握できている時には1人1席設ける
- 会席を行うことが難しい時は仕出し弁当を渡す
また、通夜振る舞いの慣習は地域によっても異なり、棺を見守りながら時間制限を設けず会食したり、1〜2時間でお開きのご挨拶をして帰宅を促したりするなど、さまざまな形があります。
通夜振る舞いの形式で悩む時は、遺族の状態や参列者の人数などを考慮して、葬儀場や周囲の人に相談しながら準備すると良いでしょう。
3日目:告別式〜精進落とし
お葬式の日程3日目は、告別式と火葬が行われ故人と最期のお別れをする日です。
一般葬では、火葬の後に繰り上げ初七日や精進落としの会席が設けられることも多く、見送った故人の思い出を話しながら冥福を祈ります。
3日目の準備も1日目でほとんど終わっていますので、当日に慌てて準備をすることはありません。
しかし、欠席予定の人が急遽駆けつけてくださったり、思わぬアクシデントで予定が狂ったりすることもあるので、3日目の大まかな日程も理解しておきましょう。
具体的な内容は次のとおりです。
- 告別式
- 火葬
- 精進落とし
告別式
告別式は、故人を見送るための本葬です。
故人や遺族とゆかりのある人たちが集まり、お焼香をあげたり棺に花を手向けたりして、故人との最後のお別れを惜しみます。
告別式の後には火葬が控えていますので、タイムスケジュール的には朝の11時ごろから告別式を行い、お昼の1時ごろから火葬を行うケースがほとんどです。
しかし、火葬は火葬場の予約が取れないとできませんので、必ずしも思ったようなタイムスケジュールが組めるとは限りません。
また、火葬の予定時刻が3時以降だった場合、朝の早い時間から告別式を行うと、火葬までかなり時間が空くことになります。
告別式の時間は、火葬の予約時間を考慮して決めるようにしてください。
火葬
告別式を終えて出棺した遺体は、火葬場へ運ばれ棺ごと火葬されます。
火葬にかかる時間は故人の年齢・性別・体重でも異なってきますが、平均すると火葬が終了するまでが約90分、お骨拾いまで含めると約2時間です。
火葬が終わったら受付へ行き、火葬費用を払って埋葬許可証を受け取ります。
埋葬許可証がないと、遺骨をお墓や納骨堂などに収められませんので、必ず受け取ってなくさないよう保管してください。
精進落とし
精進落としは、火葬後に遺族や親族・参列者が集まって食事をする席のことです。
多くの場合は、お刺身やお寿司・天ぷらなどの懐石料理を用意し、お葬式を手伝ってくださった方を労いながら故人の昔話などをします。
精進落としの形式は、日本料理店を予約したり自宅でオードブルを用意したりとさまざまですが、火葬後にあらためて集まることになるので、あらかじめお声がけして出欠を確認すると用意しやすいでしょう。
精進落としも地域によって慣習がありますので、遺族や親族で話し合って決めるようにしてください。
【葬儀形式別】葬式の日程の流れ

近年では、一般葬以外にもさまざまな形式で葬儀が行われるようになりました。
お葬式の日程の基本はほとんど変わりませんが、日程が短くなったり参列者が限られたりすると、その分流れにも変化があります。
では、一般層以外のお葬式ではどのような日程の流れになるのか、葬儀形式別に分けて詳しくお伝えしましょう。
一日葬
一日葬とは、お通夜を行わず告別式・火葬だけを行う形式のお葬式です。
遠方に住んでいてどうしても一般葬が行えなかったり、喪主が高齢で基本の日程をこなすだけの体力がなかったりなど、さまざまな理由から一日葬を選ぶ人が増えています。
一日葬ではお通夜がないので、その分日程も短くなり遺族に負担が掛かりません。
具体的な内容は次のとおりですので、一日葬を検討する際の参考にしてください。
1日目:逝去〜告別式の準備
一日葬の日程1日目は、一般葬の日程とほとんど一緒です。
ただし、お通夜はありませんので告別式・精進落としの準備だけになり、その分遺族の負担が軽くなります。
1つだけ気をつけなければならないのが、火葬の予約です。
火葬は、逝去してから死後24時間を経過しないとできない決まりがあるため、故人が亡くなった時間によっては、予定しているスケジュールで火葬場を予約できない可能性があります。
さらに、予定していた日に火葬の予約が取れないと、1〜2日後に告別式が行われるケースもあるのです。
つまり、お通夜の日が設けられていなくても、一般葬より短い日程になるかどうかはわかりません。
お通夜がないだけでも負担は軽いですが、お葬式の全体的な日程が短くならない可能性があることも理解しておきましょう。
2日目:告別式〜精進落とし
一日葬の日程2日目は、告別式と火葬・精進落としです。
2日目の流れは、一般葬とほぼ変わりません。
遺族の状況によっては精進落としを行わず、少し自宅でお茶会をして解散することもあります。
火葬後の過ごし方は遺族によって違いますので、周囲の人とよく話し合って決めるようにしましょう。
直葬・火葬式
直葬・火葬式とは、お通夜や告別式を行わず、火葬炉の前で簡単なお別れの儀式をして火葬をする形式の葬儀です。
身寄りのない一人暮らしの人が亡くなったり、経済的な事情でできるだけシンプルなお葬式にしたりなど、見送る人の事情で直葬・火葬式が選ばれています。
一般葬と比較すると、日程もやるべきことも少ないので、遺族の負担も軽くなることでしょう。
具体的な内容は次のとおりです。
1日目:逝去〜火葬の準備
逝去から遺体の安置までは、一般葬とほぼ同じ流れです。
用意された棺に遺体を納め、火葬場の一室を借りたり自宅で安置したりして一晩過ごします。
火葬の手続きは一般葬と同じなので、死亡診断書を用意して死亡届を出し、火葬許可証をもらって準備を進めましょう。
2日目:お別れの儀式〜火葬
火葬の予約時間になったら、炉の前でお線香をあげ、最後のお別れをして火葬します。
火葬が終了したらお骨拾いを行い、骨壷に収めたら直葬・火葬式の終了です。
火葬後は受付で費用を払い、埋葬許可証を受け取ってから帰宅しましょう。
家族葬は一般葬と同じ日程
家族葬とは、一般葬よりも小規模な人数で故人を見送る葬儀形式のことです。
故人や遺族がお声がけした人だけが集まり、ゆっくりと少人数で最後のお別れをします。
家族葬は、一般葬を少人数で行う形式なので、お葬式の日程は一般葬とほとんど変わりません。
無宗教で見送ることもありますが、日程的に見るとお通夜・告別式・火葬という流れで行われるので、1日目に準備・2日目にお通夜・3日目に告別式と火葬、という流れになります。
家族葬の日程はほぼ一般葬と同じであることを理解しておき、少しでも不安や疑問がある場合は、葬儀社の人に確認して準備を進めましょう。
葬式の日程を決めるポイント

お葬式の日程は、ポイントを押さえておくとスムーズに決まりやすくなります。
ここでは、お葬式の日程を決める上で押さえておくべきポイントをお伝えしますので、日程を決める際の参考にしてください。
- 火葬の予約日が告別式の日になる
- 葬儀形式で葬式の日程が変わる
- 僧侶の予定とすり合わせる
- 友引を考慮する
火葬の予約日が告別式の日になる
どのような葬儀形式であっても、告別式の後に火葬が行われます。
しかし、火葬場の予約が取れていないと、告別式が済んだとしても遺体を火葬できません。
つまり、火葬の予約日がそのまま告別式の日になるのです。
火葬の予約日が決まれば、自然にお通夜・告別式の日も決まりますので、火葬の予約日=告別式の日と覚えておきましょう。
葬儀形式で葬式の日程が変わる
先にお伝えしたとおり、葬儀形式によってはお通夜や告別式がないため、お葬式の日程も変わります。
どのような葬儀を行うかによって準備する内容も異なりますので、日程決めの前に葬儀形式を決めるようにしましょう。
僧侶の予定とすり合わせる
檀家になっている寺院がある場合、法要をお願いする際には僧侶の予定も考慮しなければなりません。
大きい寺院の場合は複数人の僧侶が在籍しているので日程も合わせやすいですが、住職が1〜2人だと予定が合わず、思ったような日程を組めない可能性もあります。
僧侶による法要を希望している場合は、火葬の予約をする前に僧侶へ連絡して予定を尋ね、お互いにすり合わせをしてから日程を組むと良いでしょう。
友引を考慮する
友引は、六曜と呼ばれる運勢占いの一つで、本来は「物事の勝負がつかない日」という意味があります。
しかし、日本では「友を引く」という漢字から「死者に連れて行かれる」という考えが古くから浸透しており、友引の日の告別式を嫌う人も多くいます。
さらに、友引の日を公休日にしている火葬場も多く、遺族が希望した日に予約できない可能性もあるのです。
お葬式の日程を決めるときには、友引も考慮して考えるようにしましょう。
葬式の日程を決める際の注意点

お葬式の日程を決める際には、滞りなく流れが組めるよう気をつけなければならないことがあります。
具体的にどのようなことを注意するべきなのが、くわしくお伝えしましょう。
- 最初に火葬の予約をする
- 葬儀の場所・時間帯に気をつける
- 周囲の人とよく相談して決める
最初に火葬の予約をする
先にお伝えしたとおり、火葬の予約日が告別式の日になります。
さらに、友引の日が公休日になっている火葬場も多いため、告別式の日を先に決めると火葬の予約ができないかもしれません。
お葬式の日程をスムーズに組むために、最初に火葬の予約をしてから全体的な流れを決めていきましょう。
葬儀の場所・時間帯に気をつける
お葬式の日程を決める時、葬儀の場所や時間帯を気にしないという人も多いのですが、この2つは気をつけておかないと思わぬ問題になることがあります。
駅から離れていてバスの本数も少ないような場所にある葬儀場を選んでしまうと、自家用車がない人や運転できない人は、葬儀の時間に間に合わなくなる可能性があります。
また、特定の日に告別式を行うことにこだわり、朝の早い時間や夕方の遅い時間で火葬予約すると、その前の告別式が早すぎたり遅すぎたりするため、遺族や参列者のスケジュールが厳しくなることでしょう。
お葬式の日程を決める際には、葬儀の場所や法要の時間帯にも気を配り、無理のない日時で日程を決めるようにしてください。
周囲の人とよく相談して決める
お葬式の日程は、遺族の意向だけではなく、周囲の人とよく相談して決めることが大切です。
例えば、遺族の日程では親族の予定に合わなかったり参列できなかったりすると、当日にお手伝いを頼むこともできませんし、お葬式後に多くの弔問客が訪れて対応に追われる可能性もあります。
お葬式の日程は、来て欲しい親族や友人・知人にも相談して、温かく故人を見送れるような流れを決めていきましょう。
まとめ

お葬式の日程は、葬儀形式や遺族の意向など、さまざまな事情で流れが変わってきます。
日程を組む際のポイントを押さえ、葬儀を手伝ってくれる人や参列予定の親族ともよく相談しながら、心のこもったお葬式ができるよう日程を組みましょう。